関節リウマチにおける薬物療法と合併症対策
DMARDsとしてMTX、ブシラミン、SASP、プログラフ。生物学的製剤が6種類。レミケード、エンブレル、オレンシア、アクテムラ、ヒュミラ、シンポニーが現在リウマチ治療で主に使われている。
免疫抑制剤を用いることによる感染症と、薬剤そのもののトラブルに注意が必要。
初診の時のスクリーニングがまず必要。一般採血に加えて尿検査、肝炎ウイルスの検査、ベータDグルカン、QFT、胸部レントゲン写真は準備しておく必要がある。
MTXでは肝障害、肺障害。それ以外にはMTX関連のリンパ腫など。
ベータDグルカンが陽性ならバクタの投与を行う。
感染症として重症化するものとして肺炎球菌肺炎。ワクチンを可能であれば摂取しておくとよい。
Denovo肝炎。劇症化した場合の死亡率は100%。投与前の検査でHBs、HBc,HBe抗体のいずれかが要請の場合には肝臓専門医への紹介を要する。
臨床医のための疫学と統計学の基本。
医学の一分野である疫学に統計が関わるのはごく一部である。
以下エビデンスレベルの低い順にその研究の概要について述べる。
1,
case series
記述疫学、比較群なし。仮説を見出すために行う研究。
2,
crosssectional study
横断研究。Reverse causality(要因と結果を逆に捉えてしまうこと)が起こりえるので注意を要する
3,
case control study
質の高いcase control studyはRCTにも勝ると言われるほど。Caseのとりかたが重要。Controlはstudy baseの原則に従って、sorse populationを代表するものでなければならない。たとえばある病院でのcase seriesであれば、その病院からcontrol群を選ぶ必要がある。
4,
cohort study
相対危険度(relative risk)を表すことができる。
5,
controlled trial
いわゆるp値だけよりも、相対危険度と95%CIで表したほうが情報量が多い。95%CIが表しているのが偶然誤差、有意差、精度。
医学の分野で実際に使える多変量解析はロジスティック回帰分析とCoxハザード比例分析。
ともに目的変数はある、なしの2値を取る。ロジスティック回帰分析から得られるのがオッズ比。ハザード比例分析から得られるのがハザード比。
ロジスティック回帰はほとんどの研究デザインで使用ができる。ハザード比例分析は時間経過が関わるようなもの(生存率)などで用いられる。
人工骨移植
強度、連通性、ミクロ気孔の3つがキーワード。強度の有無。硬いものでは皮質骨程度のものもあるか。普通は海綿骨より弱い。
βTCPは連通性なし。まさに漆喰。
骨伝導性を高めるための工夫。
今後は骨誘導能をいかに持たせるかがキモ。
股関節セッション
変形性股関節症に対するT2マッピングの発表が2例。以前と比べ特に新しい知見なし。難しい技術で、この先の治療につながらないことが問題なのかもしれない。
fluoride-PETも同様。まだ研究の域を出ない。此処から先どのように臨床応用するのか。この高価な検査を行った時に患者さんへのメリットがどのようなものがあるのかということを考えていく必要があると考えられた。
セラミックオンセラミック全人工股関節置換術。耐摩耗性に優れるとされているが、保証されているのは中期成績まで。今回malseatingの率が6%との発表。硬いものを設置するためにどうしても技術的な困難が伴うのか。今後長期でどう変わるか不明なだけに新たな症例に対して積極的に使うのはどうかと感じられた。
脱臼危険因子について多くの症例をなさっている施設、先生から多変量解析を用いた発表。術前の可動域がよい症例、男性、高齢、カップ/骨頭比、脱臼の既往などが挙げられていた。28mm以上の大径骨頭では脱臼は明らかに減少していることが示されていた。個人的には大径骨頭にすることでトルクが大きくなり臼蓋側のゆるみが早く進むのでは無いかと危惧しているところはあるのであるものの、脱臼が人工関節で最も大きな合併症であることは間違いないので、長い年月をかけて検証されていく必要があるものと思われた。
透析患者の人工関節、人工骨頭は非常に成績不良。生命予後は5年。その短い期間でも再置換は20%にのぼる。透析患者さんへの人工関節についてはしっかりとしたお話が必要であろう。
股関節診療ガイドライン
発表されて4年となる。ガイドラインを作られるご苦労は大変なものであることを認識。変形性股関節症の診断基準が無い。というところから先ずは衝撃的であった。笑。本邦での発表は全体にcase seriesに偏っているためエビデンスレベルが低く、採用されにくいと言うことも伺った。今後は質の高いcase control studyを念頭において研究デザインを考えたい。
FAI(femoroacetabular
impingement)のセッション
今まで診断についてあまり進んでいなかった股関節分野で新しい知見として注目されているFAI。臼蓋形成不全、関節唇損傷、との兼ね合いもあり難しい。関節唇損傷はMRIでもやはりはっきりしない。高解像度造影CTでなんとか見えるか。FAIについてはシュミレーションソフトを用いた診断も考えられているとのこと。今までゴールドスタンダードと考えられていたcross over signでも骨盤が後傾の結果に過ぎず、本当のFAIは44%にしか見られないとのこと。特異的な理学所見をとって、バランスボールなどの股関節周辺、体幹筋力訓練。ストレッチによる筋緊張の減少をプライマリーレベルであれば試みるべきか。
リハビリメニューなどについて専門施設に相談して、自分なりのハンドアウトを作成しておきたい。
股関節鏡が関節唇、FAIの切り札。何かしらのトレーニングを積む必要があるのかもしれない。
人工股関節置換術は後方アプローチの工夫についてのものが多かった。外旋筋を切離せずにおこなうERP法。外閉鎖筋の再建が重要でこれを再建することで屈曲時の安定性が増すようである。届かなくてもブリッジングで対応。
長谷川先生の可動域評価は実際的な方法ということで評価を受けていた。
足・足関節の日常診療の要点
診断をつけるためにはまず触診を行う。解剖学的知識に基づいて1つずつ触診することで病態に近づく。足関節の腫脹などでもその評価のためには触診時に動かしてあげるとより良く分かる。
外反母趾は第一中足骨が長いと起こり得る。特に若い子の場合にはそれが顕著。母趾外転筋は荷重時に働いて広がる。それが働かなくなるので外反母趾が進行する。
正しい靴の処方。かかとがしっかりしている。中足骨部をしっかり保持でき、あしがすべらない。つま先に余裕がある。柔らかい靴。
年寄りのSF36を取ると同年代の人達よりも外反母趾を主訴に来る人が圧倒的に元気。運動療法を処方。タオルギャザリング、Hohhman体操。ストレッチング。つま先歩き。
足底の痛みの原因としてベンチは重要。そこに荷重が集中しているという1つの証拠。中足骨頭によって押されている。
若年者の偏平足。靴を持ってこさせて判断。内側ばかりが削れているということが多い。腓骨筋痙性麻痺の見逃しに注意。うち返しができない。
高齢者の偏平足の原因としては後脛骨筋不全。 Toe many sign。片脚での爪先立ちが出来ない。できても踵骨が外反したままの状態となってしまう。アーチの再建が重要。
医学教育のポスターセッション
手術のラーニングカーブをQCの分野の手法で評価した発表があった。今後の検討課題としたい。クリニカルパスに導入されるような疾患であれば使えるはず。しかも人によらず、その対象によることが多いとのこと。ますます興味深い。
Facebookを通じて知り合った同年代の若手と話ができたり、ということで新しいことに取り組むことができたJOAであったと感じています。来年はまた面白いネタを考えて投稿していけたらよいなと感じています。
個人的に夜中に目を覚ますほどの咽頭痛に4日間悩まされながらの参加でした。
まずは体調管理から。ということで。