要旨
AOの31-A2タイプの大腿骨転子部骨折に対しての治療は、髄外型のインプラントを用いるべきか髄内型のインプラントを持ち言えるべきかという議論がある。CHSとγネイルを前向きに無作為割付してその結果について調査を行った。
方法
210人の大腿骨転子部骨折の患者を無作為にCHSとγネイルの2群に割付した。primary outcomeは再手術とし、secondary
outcomeは死亡率、入院期間、輸血の必要性の有無、活動性と住居の変化、Euroqolを用いたQOL評価を行った。
結果
2群の間に有意な差は認められなかった。(再手術:γネイル3例、CHS2例)。Tip-Apexの距離がカットアウトと関連しているようであった。死亡率、QOLを含めいずれのsecondary
outcomeでも有意な差は認められなかった。
結論
CHSはγネイルと比較して、そのインプラント費用が低価格であることからAO31-A2タイプの大腿骨転子部骨折に対してゴールドスタンダードに用いられる機種であるといえる。
図1:割付のアルゴリズム。最終フォローはそれぞれ65%、85%
表1:患者の活動性のスコアリングについて
表2:患者背景
表3:結果:γネイルで30日以内の死亡例が20%!輸血は全体の半分に行われている
考察
AO-31A2:大腿骨小転子まで含むような転子部骨折に対しての治療はいまだに議論の残るところである。
この数年大腿骨転子部骨折に対して髄内釘がよく用いられるようになってきているがこれは科学的な根拠のあるものではなく、メーカーの思惑だとか、術者の好みの変遷だとか、患者側の要因とは関連の無いところで決めているような風潮がある。髄内釘の使用は1999年に3%であったものが2006年には69%にまでなっている。
髄内釘がたのインプラント特有の術中合併症や、あとはインプラントの価格の問題がある。CHSは髄内釘よりも1500ドルは安いのである。
2008年のCochrane libraryではCHS型のほうが髄内釘型の機種よりもそのインプラントに伴う合併症は少ないというとことを明らかにしている。
ロングネイルを使うことで短いネイルを使っていたときのような術中骨折を防ぐことはより容易になったのではないかと考える。
いくつかの統計学上の問題は存在するものの、結論として機能評価上の問題が無ければより安いデバイスを用いるべきであろう。
<論評>
僕自身は安定型骨折にはCHS,小転子が含まれているような不安定な骨折と診断したときにはγネイルを用いています。
この研究はRCT、レベル1となっていますが、フォロー率が65%という異常な低さが気になります。また本文中でもありましたが術後早期死亡例が20%と高く、どんな手術をなさっていたのか気になります。(苦笑) なのでこの論文を読んだからといって僕自身の手術方針の決定が変わることはないと思います。
この筆者はコストを述べていらっしゃいますが、コストを述べるのであれば単一機種でなく、複数の機種をおくことでの病院の在庫調整にかかるコストなども計算に入れるべきでしょうね。
まあ、あなたの選んだインプラントは患者さんのことを考えて選んでいますか?という、ひとつの警鐘として受け止めるべき論文でしょう。
2010年4月29日木曜日
2010年4月28日水曜日
2010.4.28 Up to date Overview of the benefits and risks of exercise
はじめに
昔から健康に対する運動療法の有用性はいわれている。運動しないと不健康になるとはいわれていたものの、1996年の報告で運動と健康について述べられた。
この報告では運動することが健康や長寿に有用であることを示した。しかしながらリスクを抱えていたり、運動できなかったりする人も居るので、個々にたいして適切な運動療法を提供することが重要である。
定義
身体活動性と運動とは違う概念であることをはっきりとさせておく。
身体活動性とは基礎体力以上に身体を動かすことである。この身体活動性という言葉の中には仕事上身体を動かすこと、家事、余暇、移動などが含まれる。
運動とはしっかりと計画、構成されたものと定義される。また、運動とは身体のフィットネスを向上させるためのその内容そのものをさす場合もある。
身体活動性はMETS(metabolic equivalent)で測定される。1METsとは3.5 mL
O2/kg/minの酸素を消費するような運動量である。少しきついな、と感じる程度の運動で3-6METsに相当する。(アルゴリズム1参照)
フィットネスとは物事を継続して行えるからだの能力をさす。心血管系の持久力、筋肉の持久力、筋力、パワー、敏捷性などがフィットネスと直接かかわってくる。
公衆衛生上の問題としての運動
座ってばかりの生活のためにアメリカではこの生活習慣の関連した死亡が20万人に達すると考えられている。(糖尿病、心筋梗塞、大腸がん)
これに対して、日ごろから身体を動かしていたり、心血管のフィットネスが高い人では全体の死亡率が低かった。
アメリカの大多数の国民はほとんど運動しない生活を送っている。2004年の調査では全体の55%が座った生活をしていることがわかった。女性、老人、糖尿病持ち、収入が低い群が運動をしない傾向にあった。2008年になってその傾向は改善傾向にあり、64.5%の人がガイドラインがすすめる週に150分以上の中程度の運動または75分以上の運動を行っている。
運動量が低いことは脳血管障害のリスクと大きく関連している。
アメリカ健康計画2010では運動の習慣を持つ人を50%以上に、身体を動かすことのない人を20%まで減少させることを目標としている。
加えて週に2回以上筋力トレーニングをする割合を30%まで上昇させることも目標としている。
アメリカでは徐々に運動習慣を持つ人が増えていることが調査からも明らかになってきている。
長期間にわたって運動を続けることは身体のさまざまな器官に影響を与えることがわかっている。
筋骨格系への影響
中程度のトレーニングを積むことで筋線維が増え、筋への血流増加を認め有効にエネルギーを使うことが出来るようになる。抵抗運動を行うと筋線維が太く、強くなり一度に大きな力を発揮することが出来るようになる。
代謝系への影響
・ミトコンドリアの数とサイズが増え、筋肉量が増加する。
・耐久径のトレーニングを行うと筋肉内のグリコーゲン貯留量が増加する
・脂肪を効率よくエネルギーとして使うことが出来るようになる。
・脂肪滴から遊離脂肪酸を作り、脂肪を脂肪酸とすることが出来るようになる
運動することで酸素の摂取量が多くなる。
心血管系への影響
耐久系のトレーニングを行うことで心血管系には大きな変化が現れる。
・心拍出量の増加と心拍数の減少
・血漿成分の増加と拡張期のでも十分な血液量の確保
・心筋の肥大
・組織周囲の血流増加と酸素摂取、栄養摂取能力の向上
・血圧の低下
・運動によって冠動脈の平滑筋と血管抵抗のいずれでも改善が認められる。
・運動によってサイトカインを活性化
・心疾患を持った患者の心機能の改善
呼吸系への影響
・肺活量が増加し、肺血流量も増加する
その他の効果
免疫系を不活化させ、感染症やある種の癌にかかりにくくする効果があるとされている。
運動することのメリット
・死亡率:健康な群で心血管イベントを減らすということがわかっている。
図1:強度の高い運動をしている人たちはしていない人よりも23%死亡率が低い
図2:運動することによって死亡率が減少する
・心血管イベント
運動と心血管イベントとの間には関連が認められている。
図3:定期的に運動している群がもっとも死亡率が低い
・その他のメリット
血糖値のコントロールについても運動は有用である。
運動することによって乳がん、すい癌の発生率が下がる
肥満防止
禁煙
胆石の発生予防
機能、認知症予防効果
心理的にも有効で不安やうつが軽減する
医療経済上も有用(330ドルの違いがある。)
運動によるデメリット
・筋骨格系の負傷
1週間に64km走るランナーでは負傷する可能性のオッズ比は2.9!。
過ぎたるは及ばざるが如し
・不整脈
習慣的に運動している人の40%に何かしらの不整脈を認めたとの報告がある。運動することによって心筋の酸素摂取能力が上がることから不整脈は起こりにくくなるはずである。今後の議論が必要である。
・心臓突然死
ジョギングで40万時間分の1、フィットネスクラブで89万時間分の1で起こる。男女差なし
運動によって心臓突然死の可能性はわずかにあるものの運動によるメリットには変えられない。
・心筋梗塞
強度の高い運動をすることによって一時的に心筋梗塞のリスクが高まることが知られている。週に4回以上している軍よりも運動回数が少ない群で発症率が高かった。
・左心肥大
・横紋筋融解症
横紋筋融解が起こりやすい条件
・普段運動していない
・ひどく蒸し暑い日
・防具などを付けていて上手に熱の放散が出来ない
低カリウム血漿
喘息
運動鶴ことで7-8割の患者が喘息発作を起こす。なので吸入薬と、あまり強度の高い練習はしないようにしなければならない
その他
脱水など
運動前の医学的評価
臨床的に問題が無くても運動によって2.6倍の患者で心血管イベントが起こる。個々の医学的評価が必要である。と結論されている
・年齢
・全身状態
・運動歴
・整形外科疾患歴
・薬剤の治療歴
・肺病変
・運動への参加率
・身体障害の程度
程度の軽い運動を週6回か強度の高い運動を週3回か行うようにAHAは推奨している。
息切れ、発汗、疲労を元に運動を終了するかどうかをきめるとよい。心拍数は当てにならない。
準備運動には怪我を防止するといった明確なエビデンスはない
クールダウンを行うことによって筋肉内の乳酸量が減少する。
カウンセリングの効果
多くの研究でカウンセリングを行っても行動変容には至らないとする結果となっている。より積極的にかかわったり、個別のメニューを作成するなどすると効果が出てくる。
結果は出にくいもののプライマリケアの現場では常に運動療法の重要性について述べ続けなければならない
昔から健康に対する運動療法の有用性はいわれている。運動しないと不健康になるとはいわれていたものの、1996年の報告で運動と健康について述べられた。
この報告では運動することが健康や長寿に有用であることを示した。しかしながらリスクを抱えていたり、運動できなかったりする人も居るので、個々にたいして適切な運動療法を提供することが重要である。
定義
身体活動性と運動とは違う概念であることをはっきりとさせておく。
身体活動性とは基礎体力以上に身体を動かすことである。この身体活動性という言葉の中には仕事上身体を動かすこと、家事、余暇、移動などが含まれる。
運動とはしっかりと計画、構成されたものと定義される。また、運動とは身体のフィットネスを向上させるためのその内容そのものをさす場合もある。
身体活動性はMETS(metabolic equivalent)で測定される。1METsとは3.5 mL
O2/kg/minの酸素を消費するような運動量である。少しきついな、と感じる程度の運動で3-6METsに相当する。(アルゴリズム1参照)
フィットネスとは物事を継続して行えるからだの能力をさす。心血管系の持久力、筋肉の持久力、筋力、パワー、敏捷性などがフィットネスと直接かかわってくる。
公衆衛生上の問題としての運動
座ってばかりの生活のためにアメリカではこの生活習慣の関連した死亡が20万人に達すると考えられている。(糖尿病、心筋梗塞、大腸がん)
これに対して、日ごろから身体を動かしていたり、心血管のフィットネスが高い人では全体の死亡率が低かった。
アメリカの大多数の国民はほとんど運動しない生活を送っている。2004年の調査では全体の55%が座った生活をしていることがわかった。女性、老人、糖尿病持ち、収入が低い群が運動をしない傾向にあった。2008年になってその傾向は改善傾向にあり、64.5%の人がガイドラインがすすめる週に150分以上の中程度の運動または75分以上の運動を行っている。
運動量が低いことは脳血管障害のリスクと大きく関連している。
アメリカ健康計画2010では運動の習慣を持つ人を50%以上に、身体を動かすことのない人を20%まで減少させることを目標としている。
加えて週に2回以上筋力トレーニングをする割合を30%まで上昇させることも目標としている。
アメリカでは徐々に運動習慣を持つ人が増えていることが調査からも明らかになってきている。
長期間にわたって運動を続けることは身体のさまざまな器官に影響を与えることがわかっている。
筋骨格系への影響
中程度のトレーニングを積むことで筋線維が増え、筋への血流増加を認め有効にエネルギーを使うことが出来るようになる。抵抗運動を行うと筋線維が太く、強くなり一度に大きな力を発揮することが出来るようになる。
代謝系への影響
・ミトコンドリアの数とサイズが増え、筋肉量が増加する。
・耐久径のトレーニングを行うと筋肉内のグリコーゲン貯留量が増加する
・脂肪を効率よくエネルギーとして使うことが出来るようになる。
・脂肪滴から遊離脂肪酸を作り、脂肪を脂肪酸とすることが出来るようになる
運動することで酸素の摂取量が多くなる。
心血管系への影響
耐久系のトレーニングを行うことで心血管系には大きな変化が現れる。
・心拍出量の増加と心拍数の減少
・血漿成分の増加と拡張期のでも十分な血液量の確保
・心筋の肥大
・組織周囲の血流増加と酸素摂取、栄養摂取能力の向上
・血圧の低下
・運動によって冠動脈の平滑筋と血管抵抗のいずれでも改善が認められる。
・運動によってサイトカインを活性化
・心疾患を持った患者の心機能の改善
呼吸系への影響
・肺活量が増加し、肺血流量も増加する
その他の効果
免疫系を不活化させ、感染症やある種の癌にかかりにくくする効果があるとされている。
運動することのメリット
・死亡率:健康な群で心血管イベントを減らすということがわかっている。
図1:強度の高い運動をしている人たちはしていない人よりも23%死亡率が低い
図2:運動することによって死亡率が減少する
・心血管イベント
運動と心血管イベントとの間には関連が認められている。
図3:定期的に運動している群がもっとも死亡率が低い
・その他のメリット
血糖値のコントロールについても運動は有用である。
運動することによって乳がん、すい癌の発生率が下がる
肥満防止
禁煙
胆石の発生予防
機能、認知症予防効果
心理的にも有効で不安やうつが軽減する
医療経済上も有用(330ドルの違いがある。)
運動によるデメリット
・筋骨格系の負傷
1週間に64km走るランナーでは負傷する可能性のオッズ比は2.9!。
過ぎたるは及ばざるが如し
・不整脈
習慣的に運動している人の40%に何かしらの不整脈を認めたとの報告がある。運動することによって心筋の酸素摂取能力が上がることから不整脈は起こりにくくなるはずである。今後の議論が必要である。
・心臓突然死
ジョギングで40万時間分の1、フィットネスクラブで89万時間分の1で起こる。男女差なし
運動によって心臓突然死の可能性はわずかにあるものの運動によるメリットには変えられない。
・心筋梗塞
強度の高い運動をすることによって一時的に心筋梗塞のリスクが高まることが知られている。週に4回以上している軍よりも運動回数が少ない群で発症率が高かった。
・左心肥大
・横紋筋融解症
横紋筋融解が起こりやすい条件
・普段運動していない
・ひどく蒸し暑い日
・防具などを付けていて上手に熱の放散が出来ない
低カリウム血漿
喘息
運動鶴ことで7-8割の患者が喘息発作を起こす。なので吸入薬と、あまり強度の高い練習はしないようにしなければならない
その他
脱水など
運動前の医学的評価
臨床的に問題が無くても運動によって2.6倍の患者で心血管イベントが起こる。個々の医学的評価が必要である。と結論されている
・年齢
・全身状態
・運動歴
・整形外科疾患歴
・薬剤の治療歴
・肺病変
・運動への参加率
・身体障害の程度
程度の軽い運動を週6回か強度の高い運動を週3回か行うようにAHAは推奨している。
息切れ、発汗、疲労を元に運動を終了するかどうかをきめるとよい。心拍数は当てにならない。
準備運動には怪我を防止するといった明確なエビデンスはない
クールダウンを行うことによって筋肉内の乳酸量が減少する。
カウンセリングの効果
多くの研究でカウンセリングを行っても行動変容には至らないとする結果となっている。より積極的にかかわったり、個別のメニューを作成するなどすると効果が出てくる。
結果は出にくいもののプライマリケアの現場では常に運動療法の重要性について述べ続けなければならない
2010年4月21日水曜日
2010.4.20 JBJS(Am) Ninety-Day Mortality After Intertrochanteric Hip Fracture: Does Provider Volume Matter?
要旨
背景
患者を選ぶ人工関節置換術において整形外科資源(整形外科医の人数、手術件数など)がその臨床成績と関連するということはいわれている。しかし患者を選ぶことの出来ない大腿骨頚部/転子部骨折の患者において整形外科資源とその臨床成績について述べられた報告はない。患者を選ばないので整形外科資源の豊富な病院のほうが臨床成績がよい可能性がある。そこでMedicareをもちいた大腿骨転子部骨折の患者について90日後の生命予後について調査を行った。
方法
2000年から2002年までにMedicareに登録された65歳以上の大腿骨転子部骨折の患者。整形外科的資源としてはその病院の常勤の整形外科医の数と医療を提供する人間と定義した。統計学的に調整を加えて条件を平等にしたうえで、(年齢、性別、Charlsonの合併症スコア、転子下骨折の数、入院前住居、使用するインプラントなどを調整。)90日後の死亡率について調べた。
後は調整せずに30日後、60日後、90日後の死亡率について検討を行った。
結果
192,365人について調査を行った。調整前の死亡率について検討すると入院時で2.91%
30日後で7.92%。60日後で12.34%。90日後15.19%であった。統計学的に調整した後で調べてみると、医療資源の少ない病院では医療資源が豊富な病院に比べ10-20%ほど死亡率が高く出た。60日後の死亡率はもっとも小さな規模の病院で最も高かった。1年に2,3度しか手術をしない医者に手術をされると死亡率が高くなることがわかった。
考察
整形外科的資源が豊富な病院で手術をされた患者が90日後の死亡率が低くなることがわかった。しかしこの結果は大規模外傷センターで大腿骨転子部骨折の患者がルーチンに手術を受ければよいということを指し示すわけではなく、また、小規模病院で死亡率が高くなっている原因について更なる調査を要するものである。
表1 患者背景
表2 調整前の死亡率
表3 調整後の相対危険率 小さな病院でリスクが高くなり、また手術数が少ない病院では危険率が高くなる
考察
この研究の前に行われた人工関節置換術についての調査では整形外科的資源が豊富な病院のほうが臨床成績が少しだけよいということがわかっていた。今回は高齢で合併症の多い大腿骨転子部骨折の患者について調査を行ってみた。
‐病院が及ぼす効果
入院中の死亡は大規模施設のほうが多かった。術後30日を越えるともっとも小規模な施設での死亡率が高くなってきた。さまざまな健康上の問題は数が多くなれば緩衝されるので、個々の患者の問題は小さくなる。人工関節置換術では病院の規模による差は小さなものに過ぎなかった。
なせ小規模病院で死亡率が高くなるかということについてはわからなかった。整形外科医が常に見ているわけではないとか、手術室のスタッフの問題とか、さまざまな問題が考えられる。手術そのものよりもその周辺の問題のほうが大きいのかもしれない。
‐術者が及ぼす影響
整形外科医の数と死亡率については逆U字型の傾向となることがわかった。ちょっとしか手術をしないのならその医師は丁寧に見ているかもしれないし、中規模施設の医師はより難しい症例にあたっているのかもしれない。したがって医師数を多くすると死亡率が減少するといった直線的な逆相関は得られなかった。病院の規模の違いほどの違いを医師数では見出せなかった。
‐患者側の要因
男性、術前に施設に入っていること、高齢、合併症が多いということは死亡率が高くなる要素である。
今回の研究の問題点
痛み、機能評価が行えていないこと、メディケアで保険されている患者の調査であり、高リスク群が追えていない可能性があることなどがある。
今回の研究で言えることは、大規模病院で治療されたほうが死亡率は低くなる。また、小規模病院で死亡率が高くなる原因については更なる調査が必要となる。ということである。
<論評>
あくまでもアメリカでの研究結果であり、日本でもこれがそのまま適用できるか?といわれればできないというように考えます。しかし日本でも診療報酬上でのさまざまな加点により大規模病院で手術をしたほうが病院の収益が高くなるように現在設定されています。(手術点数は同じですが、麻酔科医師の数による加点、地域医療支援病院加算などで大規模施設と小規模病院では差が出ます)。日本でもDPCでさまざまなデータを提供しておりますがついぞこんなデータをお上から公表していただいた記憶がありません。日本発のこのような研究結果を期待します。
背景
患者を選ぶ人工関節置換術において整形外科資源(整形外科医の人数、手術件数など)がその臨床成績と関連するということはいわれている。しかし患者を選ぶことの出来ない大腿骨頚部/転子部骨折の患者において整形外科資源とその臨床成績について述べられた報告はない。患者を選ばないので整形外科資源の豊富な病院のほうが臨床成績がよい可能性がある。そこでMedicareをもちいた大腿骨転子部骨折の患者について90日後の生命予後について調査を行った。
方法
2000年から2002年までにMedicareに登録された65歳以上の大腿骨転子部骨折の患者。整形外科的資源としてはその病院の常勤の整形外科医の数と医療を提供する人間と定義した。統計学的に調整を加えて条件を平等にしたうえで、(年齢、性別、Charlsonの合併症スコア、転子下骨折の数、入院前住居、使用するインプラントなどを調整。)90日後の死亡率について調べた。
後は調整せずに30日後、60日後、90日後の死亡率について検討を行った。
結果
192,365人について調査を行った。調整前の死亡率について検討すると入院時で2.91%
30日後で7.92%。60日後で12.34%。90日後15.19%であった。統計学的に調整した後で調べてみると、医療資源の少ない病院では医療資源が豊富な病院に比べ10-20%ほど死亡率が高く出た。60日後の死亡率はもっとも小さな規模の病院で最も高かった。1年に2,3度しか手術をしない医者に手術をされると死亡率が高くなることがわかった。
考察
整形外科的資源が豊富な病院で手術をされた患者が90日後の死亡率が低くなることがわかった。しかしこの結果は大規模外傷センターで大腿骨転子部骨折の患者がルーチンに手術を受ければよいということを指し示すわけではなく、また、小規模病院で死亡率が高くなっている原因について更なる調査を要するものである。
表1 患者背景
表2 調整前の死亡率
表3 調整後の相対危険率 小さな病院でリスクが高くなり、また手術数が少ない病院では危険率が高くなる
考察
この研究の前に行われた人工関節置換術についての調査では整形外科的資源が豊富な病院のほうが臨床成績が少しだけよいということがわかっていた。今回は高齢で合併症の多い大腿骨転子部骨折の患者について調査を行ってみた。
‐病院が及ぼす効果
入院中の死亡は大規模施設のほうが多かった。術後30日を越えるともっとも小規模な施設での死亡率が高くなってきた。さまざまな健康上の問題は数が多くなれば緩衝されるので、個々の患者の問題は小さくなる。人工関節置換術では病院の規模による差は小さなものに過ぎなかった。
なせ小規模病院で死亡率が高くなるかということについてはわからなかった。整形外科医が常に見ているわけではないとか、手術室のスタッフの問題とか、さまざまな問題が考えられる。手術そのものよりもその周辺の問題のほうが大きいのかもしれない。
‐術者が及ぼす影響
整形外科医の数と死亡率については逆U字型の傾向となることがわかった。ちょっとしか手術をしないのならその医師は丁寧に見ているかもしれないし、中規模施設の医師はより難しい症例にあたっているのかもしれない。したがって医師数を多くすると死亡率が減少するといった直線的な逆相関は得られなかった。病院の規模の違いほどの違いを医師数では見出せなかった。
‐患者側の要因
男性、術前に施設に入っていること、高齢、合併症が多いということは死亡率が高くなる要素である。
今回の研究の問題点
痛み、機能評価が行えていないこと、メディケアで保険されている患者の調査であり、高リスク群が追えていない可能性があることなどがある。
今回の研究で言えることは、大規模病院で治療されたほうが死亡率は低くなる。また、小規模病院で死亡率が高くなる原因については更なる調査が必要となる。ということである。
<論評>
あくまでもアメリカでの研究結果であり、日本でもこれがそのまま適用できるか?といわれればできないというように考えます。しかし日本でも診療報酬上でのさまざまな加点により大規模病院で手術をしたほうが病院の収益が高くなるように現在設定されています。(手術点数は同じですが、麻酔科医師の数による加点、地域医療支援病院加算などで大規模施設と小規模病院では差が出ます)。日本でもDPCでさまざまなデータを提供しておりますがついぞこんなデータをお上から公表していただいた記憶がありません。日本発のこのような研究結果を期待します。
2010年4月15日木曜日
2010.4.15 JBJS(Am) Maintenance of Hardware After Early Postoperative Infection Following Fracture Internal Fixation
要旨
背景
観血的骨接合術術後の感染成立は臨床上のジレンマを引き起こす。その解決方法について手助けになるような文献には乏しい。術後6週以内の急性の術後感染に対して内固定材をのこしたまま骨癒合を得られるようにするためにはどうしたらよいかと言う事について研究した。
方法
レベル1外傷センターの患者121例。術後6週以内に術後感染を起こした患者(123感染例)。内固定材を抜去せずに骨癒合を得た例を調査し、骨癒合が得られるようなパラメーターについて調査した。
結果
87例(71%)でデブリードマン、内固定材の再固定、抗生剤の投与で骨癒合が得られた。骨癒合が失敗した要素としては開放骨折であることと、髄内釘を使用したことであった。喫煙歴、緑膿菌感染、骨折部位は有意差がなかった。
考察
骨癒合が得られるまで、デブリードマン、内固定材の再固定、抗生剤使用で治療することが可能である。個々の患者に対してインプラントなどを考慮しながら治療を行うことが必要である。
考察
観血的骨接合術後の術後感染で再固定すべきか抜去するかと言うことについて述べられた文献は殆どない。この話題について述べられた文献はいくつかあるものの、術後6週以内の急性感染について述べられたものはない。内固定材をそのままにして置くか、抜去するかが最も重要である。以前の研究では69例についてちょうさされ、喫煙が最も重要な因子であった。この結果は我々も似たようなものであった。違いは6週以内の症例を対象にしているため内固定材を留置したままにするかそれとも抜去するかを決定することを重要視した。また、より骨癒合を厳格に判断した。内固定材を抜去の後に全例で骨癒合が得られたためこれは内固定材が原因となっている感染であると判断した。
今回の仮説は急性期感染であれば内固定材の抜去を行わなくてもデブリードマン、抗生剤投与で感染の沈静化が可能であるというものであったが、けっかとして71%で骨癒合が得られた。第二の検証項目は抜去するかどうかの判断の材料とする要素について検討した。この検討では開放骨折であることと髄内釘が用いられていることが抜去を考慮する方がよいと言うように有意差が得られた。喫煙しているかどうか、骨折の部位などは有意差が得られなかった。他の文献では喫煙歴、感染した金が緑膿菌であることは危険因子である、ということがいわれている。
また髄内釘ではどうしても還流などでも十分洗浄しきれない部分が出るため感染しやすい。
この研究の限界はひとつは後ろ向き研究であること、もうひとつが抜去の基準がしっかりと決まっておらず術者の判断によって内固定材の抜去が行われたことである。
DMの患者は症例数が少なくてはっきりしなかったが、骨癒合不全、感染の危険因子として一般によく知られている。
結論として観血的骨接合術の患者の早期術後感染では内固定材の抜去をすることなく骨癒合が得られる場合がおおい。今までに上げたような危険因子を有するような場合には抜去をした方が無難である。
<論評>
骨接合術後の感染ではインプラントの緩みがなければプレートはそのまま留置可能であろう、とする論文。なかなか感染部に異物を留置するのは度胸がいりますね。
背景
観血的骨接合術術後の感染成立は臨床上のジレンマを引き起こす。その解決方法について手助けになるような文献には乏しい。術後6週以内の急性の術後感染に対して内固定材をのこしたまま骨癒合を得られるようにするためにはどうしたらよいかと言う事について研究した。
方法
レベル1外傷センターの患者121例。術後6週以内に術後感染を起こした患者(123感染例)。内固定材を抜去せずに骨癒合を得た例を調査し、骨癒合が得られるようなパラメーターについて調査した。
結果
87例(71%)でデブリードマン、内固定材の再固定、抗生剤の投与で骨癒合が得られた。骨癒合が失敗した要素としては開放骨折であることと、髄内釘を使用したことであった。喫煙歴、緑膿菌感染、骨折部位は有意差がなかった。
考察
骨癒合が得られるまで、デブリードマン、内固定材の再固定、抗生剤使用で治療することが可能である。個々の患者に対してインプラントなどを考慮しながら治療を行うことが必要である。
考察
観血的骨接合術後の術後感染で再固定すべきか抜去するかと言うことについて述べられた文献は殆どない。この話題について述べられた文献はいくつかあるものの、術後6週以内の急性感染について述べられたものはない。内固定材をそのままにして置くか、抜去するかが最も重要である。以前の研究では69例についてちょうさされ、喫煙が最も重要な因子であった。この結果は我々も似たようなものであった。違いは6週以内の症例を対象にしているため内固定材を留置したままにするかそれとも抜去するかを決定することを重要視した。また、より骨癒合を厳格に判断した。内固定材を抜去の後に全例で骨癒合が得られたためこれは内固定材が原因となっている感染であると判断した。
今回の仮説は急性期感染であれば内固定材の抜去を行わなくてもデブリードマン、抗生剤投与で感染の沈静化が可能であるというものであったが、けっかとして71%で骨癒合が得られた。第二の検証項目は抜去するかどうかの判断の材料とする要素について検討した。この検討では開放骨折であることと髄内釘が用いられていることが抜去を考慮する方がよいと言うように有意差が得られた。喫煙しているかどうか、骨折の部位などは有意差が得られなかった。他の文献では喫煙歴、感染した金が緑膿菌であることは危険因子である、ということがいわれている。
また髄内釘ではどうしても還流などでも十分洗浄しきれない部分が出るため感染しやすい。
この研究の限界はひとつは後ろ向き研究であること、もうひとつが抜去の基準がしっかりと決まっておらず術者の判断によって内固定材の抜去が行われたことである。
DMの患者は症例数が少なくてはっきりしなかったが、骨癒合不全、感染の危険因子として一般によく知られている。
結論として観血的骨接合術の患者の早期術後感染では内固定材の抜去をすることなく骨癒合が得られる場合がおおい。今までに上げたような危険因子を有するような場合には抜去をした方が無難である。
<論評>
骨接合術後の感染ではインプラントの緩みがなければプレートはそのまま留置可能であろう、とする論文。なかなか感染部に異物を留置するのは度胸がいりますね。
2010年4月12日月曜日
2010.4.12 JBJS(Am) Ergometer Cycling After Hip or Knee Replacement Surgery
要旨
背景
THA、TKAの術後で適当な方法は明らかになっていない。THA,TKAの術後にエルゴメーターによるリハビリテーションを行いQOLと患者満足度を調査した。
方法
62人の患者を無作為にエルゴメーター群と非エルゴメーター群に割りつけた。エルゴメーター群は術後2週間エルゴメーターを行った。患者主体型QOL評価とWOMACによる評価を術後6ヶ月、12ヶ月、24ヶ月の時点で行った。結果は最小限の臨床上の重要な改善について公表されたしきい値で比較された。
結果
二群の背景はほぼ一致していた。THAの術後ではフォロー中のすべてのチェック時においてエルゴメーター群が上回っていた。3ヶ月と24ヶ月の時点で有意な差を認めた。エルゴメーター群の方がとても満足とする割合が多かった。主要アウトカムではその要素が2.0となった。TKAでは二群の間に違いは認められなかった。
考察
エルゴメーターはTHA施行後の患者でQOL、患者満足度の点で有効であると言うことがわかった。しかしTKAでは明らかにならなかった。
考察
エルゴメーターは関節機能、患者満足度、などにおいて基本的な治療方法として用いられてもよいと言うことがわかった。
この研究はTHAの患者においてエルゴメーターがQOLに寄与するという強いエビデンスと成っている。二つのことを強調しておきたい。まず一つ目は2.2の要素で臨床上の最小限の重要な改善が現れたということ。もうひとつが術後2年間続けて臨床上の差が現れていたということである。
患者数が少ないと言うことを言うかもしれないが、患者満足度を見て欲しい。とても満足しているという群が92%もあるのだ。
初めての置換か、再置換なのか、合併症を有しているかなどによって術後のQOLは差が出る。これらは術者にとってどうしようもできない因子である。また、いろいろなインプラントで治療を行うことは患者のQOLを大きく損なう可能性がある。入院でのリハビリと自宅でのリハビリの間に違いはないとする報告もある。最近手術数と患者中心の評価方法との間に関連があるといわれている。この研究の最初の目的は手術数と患者満足度との間に関連があるか調べることであった。
3ヶ月後と6ヶ月後の評価はQOLの評価として適当かと考え行った。12ヶ月後と24ヶ月後は一般的に人工関節置換術後のフォローとして一般に行われている。
この研究は多施設研究なので、単独施設研究よりも様々な患者をフォロー出来ていると考える.
エルゴメーターでよく動かすことが関節などに効果的であるのはよくわかるのだが、TKAで差がでないのはどうしてであろうか。膝の場合は動かすことで膝周囲の軟部組織が腫れたりすることで疼痛が出たためではないかと考える.
この研究の問題点はフォロー率が悪いことである。最終フォロー時は77%まで低下してしまった。また、この研究は片方の脚に行った初回の関節置換についての研究であるので、再置換例、や両側例では不明である。
エルゴメータはTHAで有用であるので使ってみる価値はある。
<論評>
まあ、やってみても悪くはないのでは無いでしょうか。どんな施設でもエルゴメーターはやっているような気もしますが。
背景
THA、TKAの術後で適当な方法は明らかになっていない。THA,TKAの術後にエルゴメーターによるリハビリテーションを行いQOLと患者満足度を調査した。
方法
62人の患者を無作為にエルゴメーター群と非エルゴメーター群に割りつけた。エルゴメーター群は術後2週間エルゴメーターを行った。患者主体型QOL評価とWOMACによる評価を術後6ヶ月、12ヶ月、24ヶ月の時点で行った。結果は最小限の臨床上の重要な改善について公表されたしきい値で比較された。
結果
二群の背景はほぼ一致していた。THAの術後ではフォロー中のすべてのチェック時においてエルゴメーター群が上回っていた。3ヶ月と24ヶ月の時点で有意な差を認めた。エルゴメーター群の方がとても満足とする割合が多かった。主要アウトカムではその要素が2.0となった。TKAでは二群の間に違いは認められなかった。
考察
エルゴメーターはTHA施行後の患者でQOL、患者満足度の点で有効であると言うことがわかった。しかしTKAでは明らかにならなかった。
考察
エルゴメーターは関節機能、患者満足度、などにおいて基本的な治療方法として用いられてもよいと言うことがわかった。
この研究はTHAの患者においてエルゴメーターがQOLに寄与するという強いエビデンスと成っている。二つのことを強調しておきたい。まず一つ目は2.2の要素で臨床上の最小限の重要な改善が現れたということ。もうひとつが術後2年間続けて臨床上の差が現れていたということである。
患者数が少ないと言うことを言うかもしれないが、患者満足度を見て欲しい。とても満足しているという群が92%もあるのだ。
初めての置換か、再置換なのか、合併症を有しているかなどによって術後のQOLは差が出る。これらは術者にとってどうしようもできない因子である。また、いろいろなインプラントで治療を行うことは患者のQOLを大きく損なう可能性がある。入院でのリハビリと自宅でのリハビリの間に違いはないとする報告もある。最近手術数と患者中心の評価方法との間に関連があるといわれている。この研究の最初の目的は手術数と患者満足度との間に関連があるか調べることであった。
3ヶ月後と6ヶ月後の評価はQOLの評価として適当かと考え行った。12ヶ月後と24ヶ月後は一般的に人工関節置換術後のフォローとして一般に行われている。
この研究は多施設研究なので、単独施設研究よりも様々な患者をフォロー出来ていると考える.
エルゴメーターでよく動かすことが関節などに効果的であるのはよくわかるのだが、TKAで差がでないのはどうしてであろうか。膝の場合は動かすことで膝周囲の軟部組織が腫れたりすることで疼痛が出たためではないかと考える.
この研究の問題点はフォロー率が悪いことである。最終フォロー時は77%まで低下してしまった。また、この研究は片方の脚に行った初回の関節置換についての研究であるので、再置換例、や両側例では不明である。
エルゴメータはTHAで有用であるので使ってみる価値はある。
<論評>
まあ、やってみても悪くはないのでは無いでしょうか。どんな施設でもエルゴメーターはやっているような気もしますが。
2010年4月9日金曜日
2010.4.8 JBJS(Am) AAOS guideline:The Treatment of Osteoarthritis (OA) of the Knee
AAOSの変形性膝関節症に対するガイドライン
1、患者教育
1、変形性関節症の症状があるような患者は、関節症協会から提供される自己管理プログラムに積極的に参加したり、ランニングをウオーキングに変えて生活の中に運動を組み込むように教育することは効果がある。(エビデンスレベルⅡ、推奨レベルB)
2、自己管理のために定期的に診察を行うことも有効である。(エビデンスレベルⅣ、推奨レベルC)
3、BMIが25以上の変形性膝関節症の患者にたいして食事療法、運動療法を適切に処方し、最低5%以上の減量を行うことは効果的である。(エビデンスレベルⅠ、推奨レベルA)
2、リハビリテーション
4、変形性膝関節症の患者に対して衝撃の少ないエアロビクス運動を勧めることは効果的である。(エビデンスレベルⅠ、推奨レベルA)
5、変形性膝関節症の患者に対して関節可動域訓練を行うことはひとつの方法である。(エビデンスレベルⅤ、推奨レベルC)
6、変形性膝関節症の患者には大腿四頭筋訓練を勧めることは効果的である。(エビデンスレベルⅡ、推奨レベルB)
3、機械的介入
7、症状のある変形性膝関節症の患者に対して膝蓋骨のテーピングは短期間であるが痛みの除去と機能改善に有効である(エビデンスレベルⅡ、推奨レベルB)
8、内側型の変形性膝関節症の患者に対して外側楔状型の足底板を処方しないことを推奨する(エビデンスレベルⅡ、推奨レベルB)
9、内側単独型の変形性膝関節症の患者に対して外反装具を処方することは推奨することができない(エビデンスレベルⅡ、推奨レベル結論なし)
10、外側単独型の変形性膝関節症の患者に対して内反装具を処方することは推奨することができない(エビデンスレベルⅤ、推奨レベル結論なし)
4、代替医療
11、変形性膝関節症の患者に対して鍼灸を用いて治療することは推奨されない。(エビデンスレベルⅠ、推奨レベル結論なし)
12、グルコサミン、コンドロイチンの処方を行わないように推奨する(エビデンスレベルⅠ、推奨レベルA)
5、疼痛除去
13、特に禁忌がない場合には以下のような処方を行うことが推奨される
・アセトアミノフェンの投与(一日4gを超えない)
・NSAIDsの処方
(エビデンスレベルⅡ、推奨レベルB)
14、60歳以上である、他の疾患の治療中である、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の既往がある、胃潰瘍からの出血の既往がある、ステロイドと抗血小板剤の併用を行っているなどの様々な条件を有する場合には以下のような処方が推奨される
・アセトアミノフェン(1日4グラムを超えない)
・NSAIDs外用(湿布など)
・胃粘膜保護剤とNSAIDsの併用
・COX-2阻害剤
(エビデンスレベルⅡ、推奨レベルB)
6、関節内注射
15、ステロイドの関節注射は短期間の疼痛除去に有用である。(エビデンスレベルⅡ、推奨レベルB)
16、軽度~中程度程度の変形性膝関節症に対してはヒアルロン酸の関節内注射は推奨されない(エビデンスレベルⅠ or Ⅱ、推奨レベル結論なし)
7、穿刺による洗浄
17、穿刺による洗浄は行われるべきではない(エビデンスレベルⅠ,Ⅱ、推奨レベルB)
8手術治療
18、症状のある変形性膝関節症に対して初期の診断目的に関節鏡下にデブリードマンを行うことは有用である(エビデンスレベルⅠ,Ⅱ、推奨レベルA)
19、半月板の症状や関節内遊離体による症状がある変形性膝関節症の患者に対して関節鏡下半月板部分切除や遊離体摘出を行う場合もある。(エビデンスレベルⅤ、推奨レベルC)
20、大腿膝蓋関節のOAがある患者に対して脛骨結節移動術は勧められない(エビデンスレベルⅤ、推奨レベル結論なし)
21、アライメント異常のある活動的な変形性膝関節症の患者に対して骨切り術はひとつの方法である。(エビデンスレベルⅣ,Ⅴ、推奨レベルC)
22、片方の果部のOAに対してfree-floating interpositional
deviceを用いることは有用である。(エビデンスレベルⅣ、推奨レベルB)
<論評>
代替医療に対して厳しい評価が下ったものと思われます。まずは患者教育。その上で治療を行っていくこと。注射のみの外来を行わずやっていけるようになると理想ですよね。
1、患者教育
1、変形性関節症の症状があるような患者は、関節症協会から提供される自己管理プログラムに積極的に参加したり、ランニングをウオーキングに変えて生活の中に運動を組み込むように教育することは効果がある。(エビデンスレベルⅡ、推奨レベルB)
2、自己管理のために定期的に診察を行うことも有効である。(エビデンスレベルⅣ、推奨レベルC)
3、BMIが25以上の変形性膝関節症の患者にたいして食事療法、運動療法を適切に処方し、最低5%以上の減量を行うことは効果的である。(エビデンスレベルⅠ、推奨レベルA)
2、リハビリテーション
4、変形性膝関節症の患者に対して衝撃の少ないエアロビクス運動を勧めることは効果的である。(エビデンスレベルⅠ、推奨レベルA)
5、変形性膝関節症の患者に対して関節可動域訓練を行うことはひとつの方法である。(エビデンスレベルⅤ、推奨レベルC)
6、変形性膝関節症の患者には大腿四頭筋訓練を勧めることは効果的である。(エビデンスレベルⅡ、推奨レベルB)
3、機械的介入
7、症状のある変形性膝関節症の患者に対して膝蓋骨のテーピングは短期間であるが痛みの除去と機能改善に有効である(エビデンスレベルⅡ、推奨レベルB)
8、内側型の変形性膝関節症の患者に対して外側楔状型の足底板を処方しないことを推奨する(エビデンスレベルⅡ、推奨レベルB)
9、内側単独型の変形性膝関節症の患者に対して外反装具を処方することは推奨することができない(エビデンスレベルⅡ、推奨レベル結論なし)
10、外側単独型の変形性膝関節症の患者に対して内反装具を処方することは推奨することができない(エビデンスレベルⅤ、推奨レベル結論なし)
4、代替医療
11、変形性膝関節症の患者に対して鍼灸を用いて治療することは推奨されない。(エビデンスレベルⅠ、推奨レベル結論なし)
12、グルコサミン、コンドロイチンの処方を行わないように推奨する(エビデンスレベルⅠ、推奨レベルA)
5、疼痛除去
13、特に禁忌がない場合には以下のような処方を行うことが推奨される
・アセトアミノフェンの投与(一日4gを超えない)
・NSAIDsの処方
(エビデンスレベルⅡ、推奨レベルB)
14、60歳以上である、他の疾患の治療中である、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の既往がある、胃潰瘍からの出血の既往がある、ステロイドと抗血小板剤の併用を行っているなどの様々な条件を有する場合には以下のような処方が推奨される
・アセトアミノフェン(1日4グラムを超えない)
・NSAIDs外用(湿布など)
・胃粘膜保護剤とNSAIDsの併用
・COX-2阻害剤
(エビデンスレベルⅡ、推奨レベルB)
6、関節内注射
15、ステロイドの関節注射は短期間の疼痛除去に有用である。(エビデンスレベルⅡ、推奨レベルB)
16、軽度~中程度程度の変形性膝関節症に対してはヒアルロン酸の関節内注射は推奨されない(エビデンスレベルⅠ or Ⅱ、推奨レベル結論なし)
7、穿刺による洗浄
17、穿刺による洗浄は行われるべきではない(エビデンスレベルⅠ,Ⅱ、推奨レベルB)
8手術治療
18、症状のある変形性膝関節症に対して初期の診断目的に関節鏡下にデブリードマンを行うことは有用である(エビデンスレベルⅠ,Ⅱ、推奨レベルA)
19、半月板の症状や関節内遊離体による症状がある変形性膝関節症の患者に対して関節鏡下半月板部分切除や遊離体摘出を行う場合もある。(エビデンスレベルⅤ、推奨レベルC)
20、大腿膝蓋関節のOAがある患者に対して脛骨結節移動術は勧められない(エビデンスレベルⅤ、推奨レベル結論なし)
21、アライメント異常のある活動的な変形性膝関節症の患者に対して骨切り術はひとつの方法である。(エビデンスレベルⅣ,Ⅴ、推奨レベルC)
22、片方の果部のOAに対してfree-floating interpositional
deviceを用いることは有用である。(エビデンスレベルⅣ、推奨レベルB)
<論評>
代替医療に対して厳しい評価が下ったものと思われます。まずは患者教育。その上で治療を行っていくこと。注射のみの外来を行わずやっていけるようになると理想ですよね。
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