2018年2月26日月曜日

20180226 Osteoarthritis and Cartilage Biomechanical change and recovery of gait function after total hip arthroplasty for osteoarthritis: asystematic review and meta analysis

背景
変形性股関節症術後の歩行のバイオメカニクスの変化を評価するため、術前の歩行状態との比較、健常者との比較を行った。
方法
システマティックレビューとメタアナライシスにてTHAの術前の比較と健常人との比較をそれぞれ行った。キネマティクスとカイネティクスのパラメータの評価を行った。
結果
2477例の患者。術後6週で歩行スピード、ストライド、歩幅、外転角度の改善が認められた。股関節の可動域は術後3ヶ月から改善が認められた。術後12ヶ月で歩行スピード、ストライド、片脚起立時間、関節可動域が健常人とほぼ同等レベルまで回復した。
結論
OAに対するTHAでは早期に術後から歩行にかんする改善が認められた。THAの患者では12ヶ月で健常人とほぼ同レベルまでの改善を認めた。

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歩行能力に関するメタアナライシスはありませんので、珍しい研究だなと思います。
研究ごとでの患者背景の違いはあるのではないかと思いますが、一般的なお話としてお伝えするには耐えうる内容ではないかと思います。

2018年2月25日日曜日

20180225 Osteoarthritis and Cartilage The association between ambulatory activity, body composition and hip or knee joint replacement due to osteoarthritis: a prospective cohort study.

OARSIからの報告。
前向き研究。OARSIは統計家の関与がない論文は既に受け付けてもらえません。
普段から統計家と呼ばれる人たちと何かしらのカタチでコミュニケーションを取れるようにしておくことは臨床家にとって必須です。

背景
本研究の目的は変形性関節症のために人工股関節全置換術または人工膝関節全置換術に至ることと、歩行能力、体の組成についての関連を調査することである。
デザイン
1082人の地域住民患者。50−80歳までを対象。歩行能力は万歩計で測定し、体内組成はDEXAをもちいて測定を行った。人工関節置換術を受けたかどうかをレジストリーから確認。年齢、性別、レントゲン写真上の変形の程度、疼痛で調整して歩行能力、体内組成について人工関節置換置換をエンドポイントとしたロジスティック回帰分析を行った。
結果
13年間のフォローアップ。74例、6.8%の患者がTKAを、4.7%の患者がTHAを受けた。歩行能力はTKAのリスクを高くし、THAのリスクを下げた。BMI,総脂肪量、体幹の脂肪量、腹囲はTKAのリスクを高くしたが、THAとは関連しなかった。
結果
歩行はTKAのリスクを高くしたものの、THAのリスクとは関連しなかった。体内組成はTKAと関連したものの、THAとは関連しなかった。日常生活動作や肥満に関しての指導は罹患した関節ごとに異なった指導が必要となる。

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膝に比べて股関節はもともとの形態が、将来の変形に影響することが大きな関節です。
長期間のフォローアップによってそれを明らかにした研究だと思います。
日常生活動作、一般的な指導についてもどのようにおこなうかということは現在のところ充分に研究されたとはいい難いのが実情です。
今後日本からそのような保存療法についてのエビデンスを多く発信していければと思います。。。。。

20180225 人工関節学会に出席してきました。

人工関節学会に出てきました。

股関節学会もそうですが、玉石混交。
今すぐにでも英文雑誌に投稿できそうな演題がある一方、まったく演題としての形態をなしていないものもありました。

とくに残念だったのが、前向きに無作為研究をやったとの報告。

内容は非常によい。手間暇も充分にかかっている!素晴らしい!とおもったのですが、無作為前向き研究のお作法がわかっていない。。。。。もったいなさすぎる。

まずは、無作為研究をするときには、Primaryエンドポイントを決めて、そこから算出されるサンプルサイズを計算しましょう。Primaryエンドポイト以外の内容はあくまでもおまけです。
除外もしっかりと決めておくこと。
あとは有害事象についてもしっかりと検討をしておかないといけません。
一般病院だと難しいですが、今時は臨床統計家の関与は必須ですし、前向きであればUMINへの登録が必要です。

演者の先生に質問しましたが「はあ?サンプルサイズ?全例なんだけど」みたいな顔をされていましたので、多分つたわらなかったなあ。。。。
せめて共同演者の先生には出てきてほしかった。まだ遅くないと思うので、指導の先生とともに研究を組み直していただければと思っています。

このブログで、この2年間で中国からの情報発信のエネルギーの凄まじさをひしひしと感じています。
せっかく時間をかけて、手間暇をかけたからこそ、カタチにして世界に発信していければ。



2018年2月23日金曜日

20180223 JBJS Am Perioperative Allogeneic Red Blood-Cell Transfusion Associated with Surgical Site Infection After Total Hip and Knee Arthroplasty.

輸血が増えると感染が増えますよ。というお話です。
ホントは中まで読まないとなんとも言えませんが、交絡なんじゃね?と思います。
輸血が増えると言うことは、オペ時間も長いでしょうし、術者が下手なのかも知れないし。
症例数で押し切りましたかね。最近JBJSAmはこういうのが散見されて困ります。

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背景
周術期の輸血は人工関節置換術後の感染のリスクファクターとして知られている。しかしながらその投与量や術前の貧血具合、凝固系疾患の有無までは調べられていない
方法
一施設で行なわれた10年間で6788例の人工関節術後の患者を対象。多変量解析を行った。
結果
輸血量と感染の危険性には関連があった。1単位輸血するとオッズ比1.97、2単位輸血すると2.20、3単位以上輸血すると7.40となった。内科疾患で調整したところ、術前から出血傾向にある場合、凝固系疾患がある場合、術前から貧血があることが独立した危険因子であった。
結論
輸血と周術期の感染の間に関係があった。加えて術前の貧血、凝固系疾患は独立した危険因子であった。適切な輸血が求められる。

2018年2月22日木曜日

20180222 J arthroplasty Does Preoperative Opioid Use Increase the Risk of Early Revision Total Hip Arthroplasty?

オピオイドの使用は全世界的に増えています。
これをお読みの方々も以前よりもオピオイドの使用が増えたという実感がお有りになるのではと思います。
脊椎では術前からオピオイドを使用していると術後成績が不良となるとする論文が散見されます。
THAではどうなるのか。というのが本論文です。

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背景
本研究の目的は術前のオピオイドの使用が早期の再置換術に与える影響を評価することである。
方法
2007−2015年。単施設。THAの再置換を行った患者を追跡。術前のオピオイドの使用、年齢、性別、DMの有無、鬱の状態、腎機能障害、肥満をロジスティック解析を行い危険因子を同定した。
結果
17695例のTHAの患者のうち、0.88%(155例)の患者が2年以内に再置換が行なわれていた。36.7%の患者でオピオイドが処方されていた。58.7%の患者が女性。80%が50歳以上であった。単変量解析を行ったところ術前のオピオイド使用患者は早期再置換に有意に多くなっていた。その他には肥満、うつが早期の再置換で有意に多かった。
結論
THA術前3ヶ月以内の使用は早期の再置換の独立した危険因子であった。その他には肥満とうつが関連していた。これらの情報は保険の支払いにて考慮される内容であろう。また術前にオピオイドの中止すると再置換が減るかどうかの検討が必要となる。

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再置換が増えるメカニズムがなにかとの記載はありませんのでオピオイドは交絡因子の可能性があると思います。
しかし、昨今のオピオイドの安易な処方には個人的には疑問を感じています。
運動療法、生活指導を行ったうえで適切に処方されるべきではないでしょうか。

2018年2月21日水曜日

20180221 JBJS Am Intermediate-Term Hip Survivorship and Patient-Reported Outcomes of Periacetabular Osteotomy: The Washington University Experience

アメリカの骨切りといえばClohsyさんのところですが、そのClohsyさんのところからの報告。骨切りのPatiented reported outcomeの中期成績。
骨切りの長期成績とその危険因子については、日本からの優れた報告が多数あり、2013年から2014年にかけてJBJS am、CORRなどに掲載されています。(兼氏先生、安永先生、内藤先生、長谷川先生の報告)。危険因子についてはJOA、BJJに天野先生が重み付けをしたうえでの報告を行っていますのでそちらを参考にされても良いのかもしれません。


背景
Berneseの骨切り(PAO)は症状のある寛骨臼形成不全に対してTHAのかわりとして行なわれる手術である。今まで中長期の成績は報告されていない。本研究はPatient reported outcomeをもちいて成績を評価することである
対象と方法
1994年から2008年。PAOが行なわれた206例238股関節。62例は古典的な寛骨臼形成不全ではないと診断され、22例はフォロー不能となった。129例154関節。術後10.3年のフォローアップ。THAをエンドポイントとしてKaplan Meier曲線を飼いた。UCLAスコア、HHS、WOMCスコアを同時に取得し、WOMACのpainスコアが10点以上、HHSが70点以下となった場合には症状のある関節とした。
結果
15年生存率は92%出会った。8関節(5%)がTHAに置換された。THAまでの期間は6.8年±5.2年であった。24関節、16%が症状のある関節となった。122関節はTHAにならず、症状も出現しなかった。術後10年の時点でのUCLAスコアは7.7点。WOMACのサブスケールは1.2点であった。関節適合性が悪いこと、CE角が38度以上であることが成績不良因子であった。頚部の骨形成をおこなった症例では破綻率が低下した。
結論
間接的合成の不良、寛骨臼のかぶせ過ぎは成績不良因子となりうる。頚部の骨形成は術後可動域に有効で破綻の可能性を減少させる。

2018年2月20日火曜日

20180220 JBJS Am Low Prevalence of Hip and Knee Arthritis in Active Marathon Runners

JBJS Am からの報告。
変形性股関節症、変形性膝関節症(以下OA)の進行と関連する因子として性別、年齢、肥満、家族歴、労働環境などが言われています。
ジョギングなどのスポーツは関節にかかる力が歩行時の2から3倍になるとする報告があることから、過度な運動は変形性関節症のリスク因子として今まで考えられてきました。
本研究はフルマラソンを5回以上経験し、週に10マイル(16km以上)走る人を対象とした横断の観察研究です。この結果ではマラソンはOAの進行と関連しない。と筆者らは結論付けています。
そもそも、週に10マイル走る人は痩せていて、外傷歴とかもないでしょうしね。。。いわゆる選択バイアスそのもの何じゃないかと思います。苦笑。筆者らも書いていますが、今後の経過観察が必要と言っていますが、そのとおりだと思います。ちなみに2000年ごろにLaneさんが同様のコホート研究を行い、運動は危険因子である。と報告していますので興味がある方は一度並べて読まれると良いかと。
以下抄録

はじめに
マラソンが変形性股関節症、変形性膝関節症と関連するかという確固たるエビデンスはない。本研究の目的はマラソンランナーを対象として股関節症、膝関節症の状態について調査をおこなうことである。
方法
5回以上のフルマラソンの完走歴があり、最低10マイル/週走っているマラソンランナー675名を対象とした。疼痛、家族歴、手術歴、走行距離、マラソンの記録、現在走っているかについて調査。多変量解析を行い疼痛と関節症の存在についての独立した危険因子を抽出。対象はアメリカの国立センターに保存されている一般住民とした。
結果
平均年齢48歳。週に最低36km走っている。それを平均19年間継続していいた。平均。76回のマラソン完走歴があった。股関節痛、膝関節痛が47%に認められる一方、関節症変化は8.9%に認められた。これはアメリカの一般住民の関節症の有病率17.9%よりも低かった。年齢、手術歴が独立した危険因子である一方、歩行距離、時間、頻度は危険因子ではなかった。
結論、年齢、家族歴、手術歴はマラソンランナーにとってOAの危険因子となり得た。一方マラソンの頻度、強度はOAと関連しなかった。OAの頻度はアメリカの一般住民と異なっていた。今後は長期間にわたるフォローアップが必要であろう。


2018年2月19日月曜日

20180219 BJJ An interobserver reliability comparison between the Orthopaedic Trauma Association's open fracture classification and the Gustilo and Anderson classification.

BJJから。

開放骨折の評価であるGustilo分類、OTA-OFC分類は、検者間誤差が大きいよ。というお話。
κ値が0.5以下である評価ばかりなので、かなりちがっている。という結論になります。
これならこの論文に書いてある写真、病歴から機械学習を行なわせてAiに判断させたほうがいいんじゃないかと思います。

目的
本研究の目的は整形外科外傷学会の開放骨折分類システム(OTA-OFC)の検者間の信頼性を明らかにすることである。
対象と方法
長管骨の開放骨折をきたした患者。レントゲン写真。創部のレントゲン写真、短い病歴を8人の整形外科医に見せ、それぞれ独立してGustilo分類とOTA-OFCを行った。κ値で評価を行った。
結果
検者間一致率はGustilo分類で0.44、OTA-OFC分類で0.49であった。それぞれ中程度の一致率であった。OTA-OFC分類の下位項目である皮膚は0.55、筋肉は0.44、血管損傷は0.74,コンタミネーションは0.35,骨欠損は0.41であった。
結論
OTA-OFC分類はGustily分類と同じ程度の一致率であったが将来的にはもっとしっかりとした信頼性のあるツールを作成する必要がある。

2018年2月18日日曜日

20180218 BJJ The impact of external fixation on mortality in patients with an unstable pelvic ring fracture: a propensity-matched cohort study.

BJJから。
日本の外傷レジストリーをもちいた傾向スコアマッチングをもちいた骨盤骨折の治療についての論文。
創外固定は比較的容易な手技でおこなうことが出来ます。骨盤骨折のような高エネルギー外傷が運ばれてくるような施設では今後必須になると思います。
外傷のデータベースあってこそのこの研究。このデータベースを構築された救急の先生方のお仕事に敬服いたします。整形外科の他の分野も見習うべきだと思います。

抄録
目的
創外固定が死亡率を減らすかどうかというエビデンスはない。日本の外傷データベースをもちいて不安定骨盤骨折を抽出して、他の外傷からの出血を除いて、創外固定が死亡率に関与するかを調べること
対象と方法
1163名の不安定性骨盤骨折の患者。創外固定をもちいられて治療された群386名と創外固定なしで治療された777名。単独の骨盤骨折かどうかはAISをもちいて、AIS<3 p="">結果
346名の患者がマッチした。マッチさせると創外固定群は有意に死亡率を減少させた。また輸血良、大量出血の有無に関しても有意に低くなった。
結論
不安定性骨盤骨折に対する創外固定は患者の死亡率を低下させる。


2018年2月17日土曜日

20180217 BJJ The role of a small posterior malleolar fragment in trimalleolar fractures: a biomechanical study.

BJJから。

足関節三果骨折における後果骨折の骨片は1/4より大きければ骨接合をおこなうと古くから言われて来ましたが、本当にその4分の1にエビデンスがあるかを調べた論文。
Biomechanicsですので、一概に全部の結果を受け入れられるわけではないですが、常識だと思っていることでも疑って調べてみると面白いよ。という論文。
今後自分であれば、後ろ向き研究で後果を止めたものと止めなかったもので臨床成績、X線評価をチェック。可能であれば前向き無作為研究ができるとJBJSも目指せそうですね。

はじめに
本研究の目的は、足関節後果のはたす影響について検討をおこなうことである。今までにしっかりとした科学的な裏付けなしに、1940年代から足関節後果の治療は行われてきた。
方法
12体の屍体をもちいた研究。三果骨折を作成し、内固定を行った。後果を止めた群(1群)と、止めない群(2群)とに分けた。関節内の圧を測定した。
結果
骨折することで、足関節の接触面積は減少した。骨接合をおこなうことで接触面積はほとんどもとのレベルにまで戻った。後果を固定した群で接触圧は有意に減少した。足関節の背屈運動で、荷重中心は2群では後方に、1群では前方に移動した。圧によって破綻するかどうかを調べた研究では二群間に差を認めなかった。
結論
25%以下の小さな後果骨片では、手術をおこなうことで圧力分布は改善するが、足関節の不安定性に影響を与えない。

2018年2月16日金曜日

Facebookページ作ってみました

少し気分を変えて、Facebookページを作ってみました。
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20180216 J arthroplasty Early Failure of Primary Total Hip Arthroplasty: Is Surgical Approach a Risk Factor?

J arthroplastyから。
THAに対するアプローチの違いによって術後早期の合併症に違いがあるか?という論文

THAでは様々なアプローチが開発されているが、その早期合併症についてはいまだ不明な点が多い。本研究の目的は各種アプローチでの初回THAにおける周術期合併症について検討することである。
方法:後ろ向き研究。High volumeセンターでの2007年から2014年までの初回THAが行われた。THAは手術ごとに分けて検討を行った。前方アプローチ(DAA)と後方アプローチ(PA)に分けて検討した。5年以内の早期再置換の有無をPrimary エンドポイントとした。
結果:6894例のTHAが7年間に行われた。DAA 2431例、PA 4463例であった。103例に対する再置換術が行われた。DAAとPAでの全体の再置換率はDAAが1.69%、PAが1.39%で有意差を認めなかった。大腿骨コンポーネントに関してはDAAのほうがPAよりも早期の再置換が多かった。DAAが35%なのに対してPAが8%出会った。早期の合併症はDAAではDorrAに多かった。PAでの再置換は不安定性に対して行なわれていることが多かった。寛骨臼側の緩み、骨折、感染においては両群で差を認めなかった。
結論 DAAでは大腿骨側コンポーネントのゆるみが原因となるのに対し、PAでは後方不安定性が再置換の原因となった。アプローチ間で統計学的な有意差は認めなかった。

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アプローチごとの早期合併症についての検討。
各種アプローチについては、臨床成績にはそれほどの差がでないので、その特徴を捉えてしっかりと習熟をする必要がある。というのが最近の僕の意見です。
DAAでの大腿骨操作は確かに慣れを必要とする。ということなのだと思います。
新しいアプローチがでたからと言ってすぐに飛びつくのではなく、手練のもとで研修を行い。カダバーで練習し、一度手練についてもらって自分で執刀し、症例を選んで新しいアプローチを開始するといった順序は必要でしょう。


2018年2月15日木曜日

20180215 Injury Risk factors of fixation failure in basicervical femoral neck fracture: Which device is optimal for fixation?

2018年初めての投稿ですね。怠っていてすいません。

2015年頃からナナメ読みと言いながらだいぶ真面目に読んでいましたので、更新速度が遅くなるというデメリットを抱えていました。
2018年はしばらくホントにナナメ読みして、興味があるものを深読みするスタイルに変更します。Facebookにもページを作って、そちらにリクエストが有った場合には深読みします。
興味があってその内容を深く知りたい!というときにはFacebookのナナメ読みのページまでご連絡ください。深読みします。笑

2018年初めての投稿は外傷の老舗 Injuryから

中国の論文です。
大腿骨頚基部骨折は珍しい骨折形態であり、その固定が不安定になることがある。本研究の目的は頚基部骨折の破綻の割合を調べることと、破綻に関連する因子について検討することである。
方法
方法は後ろ向き研究。2003年から2016年の間に手術した3217人の患者のうち大腿骨頚基部骨折と診断された77名。69名が12ヶ月間のフォローが可能であった。まず、破綻した割合を検討し、多変量解析を行い破綻に関わる因子の検討を行った。
結果
69例中17例、24.6%で破綻を認めて、8.6%で再手術が行われた。SlideingHip Screwを使用すると、骨折部の圧潰や、固定部の破綻の独立した因子となった。
結論
Sliding hip screwで固定した場合には、Nailと六角形のBradeで固定する場合よりも破綻率が有意に高かった。頚基部骨折にはSliding hip screwよりもNailのほうが推奨される。

後ろ向き研究です。ひと目でNが多そうに見えますが、実は大したことない。みたいな。笑
13年でこれくらいの症例数であれば、日本でも積極的に股関節骨折を取り扱っている病院でも同じ検討ができるのではないでしょうか。
なぜ六角形のブレードがいいかは深読みしないとわからんす。