20140221-20140222 日本人工関節学会雑感
沖縄コンベンションセンターにて行われた人工関節学会に参加してまいりました。
真冬の名古屋から最高気温20度の亜熱帯の島へ。
ただ、沖縄の観光地からコンベンションセンターは少し離れており、大学のメンバーでの移動ということで自由に島内をめぐることはありませんでした。
人工関節ステムと骨リモデリング。
機種ごとによって違いあり。ただ臨床成績には関わりないと今のところ判断しています。
自分のチームが使っているステムの特製を理解していればよいと思いました。
術後脱臼対策
脱臼が多因子にわたるためにその対策は必要であろうと思います。
アプローチ、インプラント。インプラントの設置。骨盤後傾。大径骨頭。
性別、年齢、原疾患。術前可動域が良いこと。
多変量解析を行うと男性、術前可動域くらいが独立した説明因子としてでてくる印象。
解析の方法として多変量解析が花盛り。解析ソフトにいれれば良いわけではないよと突っ込みたくなる報告もありましたが身も蓋もないのでスルー。
後方アプローチでは後方の再建は必須だと思います。
今後自分が調査できるネタとしては術前後の脊椎可動域の変化と脱臼、術中脱臼テストの有用性の検証(ROC曲線を用いる)。膝関節、足関節などの多関節の罹患状況の確認など。また思いついたらめもります。
人工膝関節満足度の向上のセッション
TKAはTHAよりも満足度が低いことが知られている。そのため患者立脚型評価、満足度評価が股関節よりも発達、詳細になっていました。
2013年にCORRから報告された患者立脚型評価、他覚的臨床評価を組み合わせた新しい治療評価システムは有効そう。日常生活動作からスポーツなどのアドバンスなアクティビティまで範囲を広げてあるところが良い。股関節にも応用出来ないだろうか。
インプラントの設置が患者満足度と影響しているという報告は股関節だけを主にやっている人間からすると驚きでありました。(股関節はインプラントが下手っぴに入っていても術後の成績がよいことがおおい。)。高位設置と患者満足度、JHEQとの比較を行ってみても良いかもしれない。
セメントレスTHA。Line-toLineテクニックなるカップ設置について初めて拝聴。
セメントレスカップでは臼底骨折が問題となることが少なからずあるので一度だけ叩いてその後スクリュー設置。スクリューは内側にも一本。(カップのデザインも問題となるか)
それだけであれだけの成績がだせるのであればいうことなし。ただ、叩いた時点でプレスフィットだよね。。。
2日目
石黒先生のお話
OAは全身性疾患だ!!という論文のレビューを用いたお話。
脂肪から産生されるレプチンは炎症性サイトカイン、ケモカインと関連あり。
運動、減量は保存療法に必須であるが、まずは減量をオススメすることが肝要。
骨髄浮腫がOAの痛みの原因?
ゾメタを投与したところOAの痛みが軽減したという報告あり。
骨粗鬆症、OA、メタボは密接に関連。
プレゼンのお手本をみるような引き込まれるような講演でした。一度は聞く価値あり。
THAの機種選択。
Mclaughlin先生とフランスからお見えになったRegee先生
TaperWedgeの30年成績。再置換例も殆ど無く非常に優秀とのこと。
出てきた写真はStress Shielding著明。まあ、関係ないと言い切ってしまえばいいのかもしれませんけども、日本人の感覚からするとちょっと。
Subcidenceについても質問されていました。(TaperWedgeタイプのステムは遠位固定になると良くないので)答えは、髄腔ピッタリだから関係ないと。。。。ほんまかいな。
まあ、良いステムの1つで有ることは間違いありませんが、その特徴をよく知って使うことは必須。
またTHAの長期成績はアメリカを始めレジストリーのしっかりした国で行われているので同じような手法の研究を行うことは無駄ですね。
フランスの先生の講演。
フランスは骨盤骨折で有名なJudet先生、ろー(なんとか先生。いま綴りがわかりません)が人工股関節を考案。どれもいまいち。。。ほぼ100%再置換。
その後セメントレスステムを考案するもこれもダメ。
Charnleyのところで教えてもらってきて安定してきたと。その後セラミックオンセラミックが田舎のほうの病院で考案。壊れなければよい材質。。。
現在はモバイルベアリングのTHAを考案してオススメしてくださいましたが、今までの経緯をみるとすこし様子を見たほうが良いかなと思うのはが人の心というものでは無いでしょうか
疼痛管理の講演
単細胞生物でも痛み刺激で逃避反応あり。痛みの性状について詳細に聴取。
傷は深くなるほど痛みを感じる。筋肉は切ると皮膚、皮下より痛い。TKAの痛みの原因か?
骨の中(骨髄)には痛みを感じる神経終末あり。
THAで痛くないのは骨髄を掘削しているからじゃないの?というコメントは秀逸でありました。
人工関節学会は、オレはこういう治療をしてるんだ!という報告会なんだなあと再認識。あんまり議論にならないのですのよね。まあ、過去を省みることで少しでも良い物が提供できればということかと。
患者さんのためになることはなにか。それは新しい機械を使うことではないと思います。
OAの保存治療は未だ薬がなく、人工関節の満足度は70-80%であることを考えればまだ介入の余地はのこされているとおもいます。
日々研鑽していきたいと考えております。