抄録
大腿骨頸部骨折の人工骨頭挿入術を行う際にセメントを使うと死亡率が上がるかもしれない、という警告がなされている。今回100以上の病院が参加している、National hip fracture databaseを用いて調査を行った。
骨セメントを用いて大腿骨頸部骨折の患者に対して人工骨頭置換術、またはTHAを行った患者。これらの対象に対して混合ロジスティック回帰分析を行った。129病院、16496人の患者。
結果わずかであるが統計学的に有意にセメント群の方が予後がよかった。(オッズ比0.86、95%信頼区間0.72−0.96)。死亡退院と関連する因子は年齢、アメリカ麻酔学会評価(ASA)、性別、屋外歩行が可能であったかどうか、人工関節であった。これらの因子とセメントしようかどうかということは関連しているものの、このモデルでは改善できなかった。
今回の研究ではセメント使用による死亡率の上昇は認められなかった。
考察
骨セメントはTHAの時には死亡率も低いことは知られている。大腿骨頸部骨折では患者の年齢が高くなるので、循環の問題や骨質の問題が生じてくる。
骨セメントを使用してもその死亡率が上がらないことは報告されているのも関わらずイギリスの健康保険省はセメント使用による注意勧告を出している。
NHFDはイギリスの大腿骨頸部骨折を2007年からまとめたデータベースである。イギリスの病院の90%が参加、登録している。
セメント使用による調整を加えない死亡率のオッズ比は0.66と大きな差が出た。しかし、セメント使用するかどうかは患者の背景に左右される場合があるので、調整を行った。セメントレス使用群はやや高齢でASAグレードが高い傾向にあった。しかしながらそのような因子についても調整して検討をおこなったがセメント使用群の方が死亡率が低いことがわかった。
この研究はいくつかの限界がある。一つはあまりにも大きなmassでの検討なので、細かい変化はわからないことである。
また死亡退院とエンドポイントを決めると、術中のトラブルだけでなく、その他の合併症での死亡も含まれてしまう。
この結果を単純に健康保険の場に持ち込むことには問題がある。あくまでもセメント群で少し死亡が少なかった、というだけでその医療機関、患者さん個々に対して同じように当てはめることができる訳ではないからだ。
大腿骨頸部骨折に対して骨セメントを使用することは死亡率を上げる訳ではない。
論評
どうやらイギリスの厚生省から、骨セメントの使用注意勧告が出たために、それに対する意見論文といったところでしょうか。
内容はさておき、最近統計に興味をもっているのでその部分で面白く読めました。
2011年10月26日水曜日
2011年10月24日月曜日
20101024 JBJS(Am) The effect of weekly Risedronate on periprosthetic bone resorption following THA: on RCT
Abstract
骨欠損とそれに伴う人工関節周囲骨折はセメントレス人工関節でおこることがある。この研究の目的はrisedronateを投与して人工関節周囲の骨吸収の状態を観察することである。
方法
40〜70代の変形性股関節症にたいしてTHAをうけた73人。端施設での二重盲検RCT。6ヶ月間35mgのrisedronateを週1回投与する群とプラセボ群とに分けた。プライマリーエンドポイントはGruenのzone1と7での骨密度の変化とした。骨密度は手術2日前、6ヶ月後、1年後、2年後で測定した。セカンダリーエンドポイントは大腿骨ステムの偏位と臨床症状とした。
結果
73例中70例の追跡が可能であった。Risedronate群33例、プラセボ群37例。zone1での骨密度はRisedronate群がプラセボ群よりも術後6ヶ月の段階で9.2%、1年の段階で7.2%、高かった。zone7での骨密度は術後6ヶ月で8.0%、1年で4.3%高かった。セカンダリーエンドポイントは両群で差が認められなかった。
結論
THAを受けた患者でのRisedronateの週1回投与は術後の臨床症状に悪影響を与えることなく、セメントレスステムの周囲の骨密度の減少をa緩やかにした。今後は実際にrevisionが減少したか、ステム周辺骨折が減ったか、ということについての経過観察が必要となる。
考察
週1回のrisedronateの投与はTHAの大腿骨近位の骨吸収抑制に術後1年の段階では有用であることがわかった。
同様の研究が以前大腿骨頸部骨折に対して行われたのだが、その研究よりも骨吸収抑制効果は高かった。より大規模にして実際にステム周辺骨折を防ぎうるかどうかを観察せねばならない。
bisphosphonateを用いることでのstress-shieldingが減少することはいくつかの研究で明らかとされている。また動物実験レベルではosteolysisも減らしている、という報告もある。
nation-wideに骨粗鬆症患者でTHAを受けた患者にbisphosphonateを投与してaseptic looseningが減少するかどうかを調べたところ、有意な差はなかったが、サブグループ解析ではrevisionの数を減らした、とする報告がある。
術前の骨密度と術後の骨密度との間に関連があることも今回の研究でわかった。術前から骨密度の低い群ではステム周囲の骨欠損がおこりやすい。術前から骨密度が低い群ではbisphosphonateの投与を行ったほうがよいのであろう。
現在bisphosphonateによる大腿骨骨折の報告が相次いでいるが、まだbisphosphonate製剤の投与のメリットが勝っていると考え、長期間投与を行った。
骨内架橋(spot welds)はプラセボ群の方に多く認めた。しかしながらステムの固定に関しては両群に差はなかった。この原因としては、プラセボ群の方が骨吸収が進んでいてspot weldsの観察が容易であったこと、bisphosphonate製剤によってリモデリングの過程が抑制された可能性を考える。
カップ側についても今後検討を加える必要がある。
<<論評>>
セメントレスステムはどうしてもストレスシールディングが起こり、それを防ぐ方法としてbisphosphonate製剤の投与を考慮された、ということでしょう。プライマリーエンドポイントとして骨密度となっているのは、超長期の経過観察ともっと大きなサンプルサイズがないとステム周辺骨折についての考察が困難であるから、と考えます。
大きな有害事象もないようですので、投与を検討する価値がある、と考えます。
骨欠損とそれに伴う人工関節周囲骨折はセメントレス人工関節でおこることがある。この研究の目的はrisedronateを投与して人工関節周囲の骨吸収の状態を観察することである。
方法
40〜70代の変形性股関節症にたいしてTHAをうけた73人。端施設での二重盲検RCT。6ヶ月間35mgのrisedronateを週1回投与する群とプラセボ群とに分けた。プライマリーエンドポイントはGruenのzone1と7での骨密度の変化とした。骨密度は手術2日前、6ヶ月後、1年後、2年後で測定した。セカンダリーエンドポイントは大腿骨ステムの偏位と臨床症状とした。
結果
73例中70例の追跡が可能であった。Risedronate群33例、プラセボ群37例。zone1での骨密度はRisedronate群がプラセボ群よりも術後6ヶ月の段階で9.2%、1年の段階で7.2%、高かった。zone7での骨密度は術後6ヶ月で8.0%、1年で4.3%高かった。セカンダリーエンドポイントは両群で差が認められなかった。
結論
THAを受けた患者でのRisedronateの週1回投与は術後の臨床症状に悪影響を与えることなく、セメントレスステムの周囲の骨密度の減少をa緩やかにした。今後は実際にrevisionが減少したか、ステム周辺骨折が減ったか、ということについての経過観察が必要となる。
考察
週1回のrisedronateの投与はTHAの大腿骨近位の骨吸収抑制に術後1年の段階では有用であることがわかった。
同様の研究が以前大腿骨頸部骨折に対して行われたのだが、その研究よりも骨吸収抑制効果は高かった。より大規模にして実際にステム周辺骨折を防ぎうるかどうかを観察せねばならない。
bisphosphonateを用いることでのstress-shieldingが減少することはいくつかの研究で明らかとされている。また動物実験レベルではosteolysisも減らしている、という報告もある。
nation-wideに骨粗鬆症患者でTHAを受けた患者にbisphosphonateを投与してaseptic looseningが減少するかどうかを調べたところ、有意な差はなかったが、サブグループ解析ではrevisionの数を減らした、とする報告がある。
術前の骨密度と術後の骨密度との間に関連があることも今回の研究でわかった。術前から骨密度の低い群ではステム周囲の骨欠損がおこりやすい。術前から骨密度が低い群ではbisphosphonateの投与を行ったほうがよいのであろう。
現在bisphosphonateによる大腿骨骨折の報告が相次いでいるが、まだbisphosphonate製剤の投与のメリットが勝っていると考え、長期間投与を行った。
骨内架橋(spot welds)はプラセボ群の方に多く認めた。しかしながらステムの固定に関しては両群に差はなかった。この原因としては、プラセボ群の方が骨吸収が進んでいてspot weldsの観察が容易であったこと、bisphosphonate製剤によってリモデリングの過程が抑制された可能性を考える。
カップ側についても今後検討を加える必要がある。
<<論評>>
セメントレスステムはどうしてもストレスシールディングが起こり、それを防ぐ方法としてbisphosphonate製剤の投与を考慮された、ということでしょう。プライマリーエンドポイントとして骨密度となっているのは、超長期の経過観察ともっと大きなサンプルサイズがないとステム周辺骨折についての考察が困難であるから、と考えます。
大きな有害事象もないようですので、投与を検討する価値がある、と考えます。
2011年8月14日日曜日
20110815 JBJS(Am) AAOS guideline : The diagnosis of periprosthesis joint infection of hip and knee
AAOSから出た人工関節感染の診断についてのガイドライン
Evidence level
<<Strong>>
・人工関節感染を疑った時には、血沈、CRPの測定をおこなうことを強く推奨する。
・膝の人工関節置換術後の患者で、感染が疑われているような場合には関節穿刺を行うことを強く推奨する。また同時に穿刺で得られた関節液を培養に出すことと、白血球数を含めた成分分析を行うことを強く推奨する。
・股関節の人工関節感染が疑われるような場合には、別の表に示すようにその時々によってアプローチの方法を変える。
・人工関節感染を否定するために術中にグラム染色を行うことは全く推奨できない。
・人工関節感染と確定診断に至っていない患者で、再手術中に人工関節周囲の組織を凍結迅速病理診断に出すことは強く薦められる。
・再手術の最中に複数個所から細菌培養の検体を提出することを強く推奨する。
・提出した培養の結果が出るまでに適当な抗生剤を用いて治療をすることは全くお薦めできない。
<>
・股関節の場合、見た目の人工関節感染の可能性と穿刺液の培養の結果が食い違うようであれば再度穿刺を行ったほうがよい
・関節穿刺を培養に出すときには最低2週間は抗生剤の使用を止めておいたほうがよい
・感染している可能性が低く、人工関節感染と診断され、再手術を受けている患者でも術前の予防的抗生剤投与は行ったほうがよい。
<>
・核医学検査は診断が確定しておらず、再手術の予定もない患者では診断の助けになるかもしれない
<>
・CT,MRIは診断の助けになるのかどうかは結論が得られていない
<>
・股関節の場合、感染していなさそうで、血液検査でCRPまたは血沈のどちらか一方だけ異常値である場合には3か月以内に定期的に採血を行い再評価を行ったほうがよいかもしれない
・膝関節の場合、見た目の人工関節の可能性と穿刺液の培養の結果が食い違うようであれば再度先生を行ったほうがいいだろう、という意見がある。
<論評>
人工関節感染ガイドラインですが、あまり大したことは書いてなかったですねえ。
Evidence level
<<Strong>>
・人工関節感染を疑った時には、血沈、CRPの測定をおこなうことを強く推奨する。
・膝の人工関節置換術後の患者で、感染が疑われているような場合には関節穿刺を行うことを強く推奨する。また同時に穿刺で得られた関節液を培養に出すことと、白血球数を含めた成分分析を行うことを強く推奨する。
・股関節の人工関節感染が疑われるような場合には、別の表に示すようにその時々によってアプローチの方法を変える。
・人工関節感染を否定するために術中にグラム染色を行うことは全く推奨できない。
・人工関節感染と確定診断に至っていない患者で、再手術中に人工関節周囲の組織を凍結迅速病理診断に出すことは強く薦められる。
・再手術の最中に複数個所から細菌培養の検体を提出することを強く推奨する。
・提出した培養の結果が出るまでに適当な抗生剤を用いて治療をすることは全くお薦めできない。
股関節穿刺の基準
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・股関節の場合、見た目の人工関節感染の可能性と穿刺液の培養の結果が食い違うようであれば再度穿刺を行ったほうがよい
・関節穿刺を培養に出すときには最低2週間は抗生剤の使用を止めておいたほうがよい
・感染している可能性が低く、人工関節感染と診断され、再手術を受けている患者でも術前の予防的抗生剤投与は行ったほうがよい。
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・核医学検査は診断が確定しておらず、再手術の予定もない患者では診断の助けになるかもしれない
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・CT,MRIは診断の助けになるのかどうかは結論が得られていない
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・股関節の場合、感染していなさそうで、血液検査でCRPまたは血沈のどちらか一方だけ異常値である場合には3か月以内に定期的に採血を行い再評価を行ったほうがよいかもしれない
・膝関節の場合、見た目の人工関節の可能性と穿刺液の培養の結果が食い違うようであれば再度先生を行ったほうがいいだろう、という意見がある。
<論評>
人工関節感染ガイドラインですが、あまり大したことは書いてなかったですねえ。
2011年8月13日土曜日
20100813 JBJS(Am) Total Joint arthroplasty in patients w/ Hepatitis C
抄録
C型肝炎は全世界で見られる病気であるが、C型肝炎に罹患している患者が人工関節置換を行われた場合の予後についてはほとんど知られていない。今回HCV陽性でC型肝炎になっている患者でTHA、TKAが行われた場合の術後合併症について調査した。
方法
1995-2006年までに手術を受けた71人の患者。40人がTHA、21人がTKAを受けた。血液検査では肝機能異常は指摘されていない。HIV、HBVの混合感染は除外。血友病も除外。HCVグループに年齢、BMI,性別、手術を受けた年、糖尿病、RA、免疫抑制状態などを2:1でマッチさせて症例対照研究を行った。
結果
HCV感染群では、THAを受けた15%の患者で抗生剤の内服、創洗浄、デブリードマンを行われた。10%の患者でインプラントの緩み、インプラント周囲骨折、脱臼などの機械的な合併症が起こった。これに対して対照群では創感染は3.8%、機械的合併症が起こった患者は3.8%であった。
TKAに関してはHCV群の9.4%の患者に機械的な合併症がおこった。対照群は4.7%に創感染を発症し、1.6%で再置換を必要とするような深部感染を発症した。
HCV感染は入院期間の延長、周術期、晩期合併症の増加、再手術、再置換率の増加を有意に認めた。
考察
HCV感染は関節置換術に置いて危険因子の一つであると言える。しかしながらその理由については不明であるのでさらなる研究が必要である。
Disscution
HCV感染は全人口の1.8%に存在する比較的よく見るウイルス感染症である。
HCVは肝硬変のリスクとなりうるが、今回の手術群では肝機能はすべて正常範囲内であった。肝硬変や、肝炎の状態にない患者でも入院期間の延長、合併症の増加などのリスクが高くなることが今回の研究で明らかになった。
最近知られてきている事実として、HCV感染は多様な肝臓以外の症状を引き起こす。
例としては甲状腺炎、糖尿病、凝固異常、血管炎、腎糸球体炎、炎症性の筋炎、関節痛、MCTDなどなどである。
血小板機能が低下することも知られており、今回、合併症がHCV群で多かったのは出血コントロールが付きにくい事も影響しているのかもしれない。ターニケットを用いたTKA群では創治癒不全が生じなかったことから凝固系の機能低下が関連しているのかもしれない。
HCVには糖尿病が合併しやすい事が知られている。糖尿病は手術の危険因子となりうる。実際、HCV群の21%(アメリカ全体で糖尿病の罹患率は約10%)と高かった。しかしながら今回は前もって対照群も糖尿病を有する群をあてはめてあるのでこの議論については結論を出すことができない。
この研究の限界点は後ろ向き研究である事である。
今後HCV陽性であることでどうして術後合併症の発生率が高くなるのかという研究がなされる必要がある。
<論評>
やられたなあと言う感じです。笑
日本の病院はほとんど術前にHCVなどをスクリーニングとして採血をしていますが、このように術後の成績に影響を与えうる。というところまでには頭が及びませんでした。
HBV,HCV,HIVはいずれも関節症状をきたしうるウイルス群ですので、何かどこかで影響しているのかも知れません。
脊椎、手の外科などの神経を扱う手術ではHCV陽性ならどうなるのだろう、大腿骨頸部骨折では?多発外傷では?と言うのが新しい疑問として湧いてきますね。
後ろ向きの症例対照研究ですので、このpaperのプロトコールに沿って行えばすぐ出来ますしね。
2011年8月1日月曜日
20110801 JBJS(Am) Comparison of total hip arthroplasty performed w/ or w/o Cement.RCT, 20 years F/U

抄録
THAのインプラントはすばらしい長期成績が報告されて来ているが、そのインプラントの固定法については未だ議論がなされている。250例の変股症の患者に対して無作為にセメント固定群とセメントレス群とにわけ、Kaplan-meier生存分析を用い平均20年間のフォローを行った。結果、セメントレスステムの生存率は99%であった。レントゲン写真上セメント固定ステムの95%に、セメントレス固定ステムの88%にいくらかのstress-shieldingを認めた。Grade3以上のstress shieldingはセメントレスステムの12%に認めた。
Malloy head total hip システムを使った20年の成績。
セメントレスシステムはセメント固定ステムの成績を上回った。このセメントレスTHAの生存率の全体の改善は大腿骨側ステムの長期成績が確保できたことが最も大きな容易であると考えられる。(ステム生存率は99%)
カップ側の置換率はともに大きな違いは認められなかった。
この研究の限界は、ステム以外はもう現在使われていないデザインであるということ。この研究はMalloy-headについてのみ、の検証であり、他のシステムについて同じことが言えるかどうかは不明である。
<論評>
股関節に興味をもっている人間として、読んでみました。
セメントレスステムの長期成績はものすごく安定している。と言うことがひとつ言えます。
以前このブログでも書いた記憶があるのですが、人工股関節の寿命がどれほど長いかを競う時代は終わりを告げようとしているのではないでしょうか。
人工股関節の生存に関する成績自体は安定しています。
やはり、人のQOLに関わる仕事をしているからこそ、その部分に着目した評価を行うべきでは無いかと考えています。
僕が考えるセメントレスTHAとセメントTHAの利点、欠点について
・セメントレスTHA
利点
・優れた長期成績
・手術時間が短い
・手技がセメントTHAよりは容易
欠点
・modular neckでない限り、ステムの太さとネックのオフセットが比例するので高齢者で髄腔の太いタイプでは大きなオフセットになりがち。
・脚長差、術後大腿部痛の出現はある一定の頻度で出現
・初期固定性が得られないと結構miserable
・髄腔の形状にステムの前捻、設置場所が規定される
・臼蓋側も同様に高位設置気味にならざるを得ない。
・revisionはfull porusタイプではとても大変。しっかりとした骨への固定性はrevisionの際の抜去困難と同義
・stress shieldingによる骨萎縮の問題
・セメントTHA
利点
・フレキシブルに脚長、前捻をコントロールできる。
・revisionがしやすい
欠点
・とにかく煩雑。手術チーム全体がセメントTHAに対する理解がないとトラブルが頻発
・セメント手技にともなう重大な合併症の可能性(血栓症など)
・手術時間が長い。
あくまでも僕の考えるところですので、機種の選定は術者がその機種についてしっかりと理解した上で行うべき。と考えますし、手術はナースや麻酔科の先生方の協力あって初めて成り立つものですので、チームとしてどうしたいかというコンセンサスを得ることも非常に重要であると考えました。
2011年6月29日水曜日
20110629 JBJS(Br) Patient-reported outcomes in Swedish Hip arthroplasty register
スウェーデンで行われた国家規模の前向き観察研究。
スウェーデンでは国家全体で人工関節の登録を行い、その経過観察を行っている。2,002年からはpatient reported outcomes measure(PROM)(患者申告型術後機能評価)を追加し、前向き研究を行って来た。
使用した方法としてはEQ-5D、Chanleyのカテゴリー分類、Visual analog scaleを用いて評価を行った。
34,960例を対象として術前、術後1年の時点でのPROMを測定した。
THAをうけた患者の術前に強い疼痛と低いQOLの状態にあった。年齢、性別による補正を行いEQ-5Dを解析したところQOLの向上が認められた。
男性、高齢、Chanleyのカテゴリー分類でA,Bに当てはまる人よりも女性、若年者、Chanleyのカテゴリー分類でCに当てはまる人のほうが術前のEQ-5Dが低い傾向にあった。多変量解析をおこなったところ男性、高齢、Chanleyのカテゴリー分類でCに当てはまるひとが術後の改善に乏しい傾向にあった。
国家規模で行うPROMの収集は有効である。患者からの反応もよい。今後は国家規模で生活、仕事にどれくらい復帰できたかを調査していくつもりである。
<論評>
スウェーデンで行われた国家規模での患者登録は、以前から知っていたのですが、合わせてPROMを実施していたと言うことがオドロキです。
患者立脚型機能評価は今後の整形外科領域の主要な評価方法になるのではないかと個人的に考えています。
本邦で国家規模で、というのは難しいですが、多施設共同研究のような形で様々な疾患に対しておkなっていけると良いのではないかと考えました。
スウェーデンでは国家全体で人工関節の登録を行い、その経過観察を行っている。2,002年からはpatient reported outcomes measure(PROM)(患者申告型術後機能評価)を追加し、前向き研究を行って来た。
使用した方法としてはEQ-5D、Chanleyのカテゴリー分類、Visual analog scaleを用いて評価を行った。
34,960例を対象として術前、術後1年の時点でのPROMを測定した。
THAをうけた患者の術前に強い疼痛と低いQOLの状態にあった。年齢、性別による補正を行いEQ-5Dを解析したところQOLの向上が認められた。
男性、高齢、Chanleyのカテゴリー分類でA,Bに当てはまる人よりも女性、若年者、Chanleyのカテゴリー分類でCに当てはまる人のほうが術前のEQ-5Dが低い傾向にあった。多変量解析をおこなったところ男性、高齢、Chanleyのカテゴリー分類でCに当てはまるひとが術後の改善に乏しい傾向にあった。
国家規模で行うPROMの収集は有効である。患者からの反応もよい。今後は国家規模で生活、仕事にどれくらい復帰できたかを調査していくつもりである。
<論評>
スウェーデンで行われた国家規模での患者登録は、以前から知っていたのですが、合わせてPROMを実施していたと言うことがオドロキです。
患者立脚型機能評価は今後の整形外科領域の主要な評価方法になるのではないかと個人的に考えています。
本邦で国家規模で、というのは難しいですが、多施設共同研究のような形で様々な疾患に対しておkなっていけると良いのではないかと考えました。
2011年5月16日月曜日
20110515 JBJS(Br) The failure of survivorship
人工関節の耐用年数は再置換までの年月を用いて客観的に評価されることが多い。しかしインプラントの耐用年数だけを評価するのはあまり適切でなく、また感度に欠ける態度である。
なぜならば再置換に至る例は少なく、機種間での違いを明らかにしようとすれば多数の対象と長い年月でのフォローを必要とする。
15年間もてば人工関節としては成功である、とされるがその期間ずっと痛みがあるようであればとても成功した手術とは言えないのではないだろうか。
整形外科医が耐用年数だけの見方と、患者側からの見方(Patient reported outcome measures:PROM)というものは大きく異なっている。
PROMに従ったリサーチを行ってみるとTKRを行った患者の約10-30%、THAを行った患者の10-15%が絶え間ない痛みと機能制限に悩んでいることが分かった。
ある研究によればエンドポイントを再置換すかどうかというところにおくと、7年後の人工関節の生存率は98%であるが、第二のエンドポイントを疼痛としてみてみると75%までその率は低下した。
別の研究では人工関節の生存率は96.7%であったが、VASを用いた患者満足度は73.3%に過ぎなかった。
ほかの研究でも満足度は68%-80%にすぎないという報告がある。
PROM単独でも問題がある。データを集めることに多くの費用がかかったり人手を必要とする。またほかの様々な要因にも患者の見方は左右される。
Oxford hip scoreは術後の機能評価として用いられるが、それぞれの患者の環境などへの配慮はなされていない。
人工関節の耐用年数を調査していくことは今後も必要である。
ただし、単に人工関節のライナーを変えただけの手術か、人工関節全部を再置換したのかという違いはあるし、ある部分が別の部分に悪影響を及ぼしたのかもしれないということには留意が必要である。
非感染性のゆるみが生存率にカウントされるが、それ以前におこっている脱臼や感染といった悪い事象についても合わせてカウントしておく必要がある。
ジャーナルとしても今後は人工関節の生存率だけの報告は採用せず、加えてPROMに配慮した臨床研究を採用、公表していく予定である。
<論評>
journal of bone and joint surgery (British edition)の巻頭の一言です。
人工関節がどれが有用であるという時代は終わりを告げたので、次はこのような方針でやっていきますよという意思表示です。
こういうものをチェックしておかないと投稿してもrejectされ続けるということが起こりえますので、編集方針というものも常に確認しておく必要があると思います。
実際の生活が満足度にどれくらい影響を及ぼしているかということについて調べてみるというのも面白いかなと思いました。
なぜならば再置換に至る例は少なく、機種間での違いを明らかにしようとすれば多数の対象と長い年月でのフォローを必要とする。
15年間もてば人工関節としては成功である、とされるがその期間ずっと痛みがあるようであればとても成功した手術とは言えないのではないだろうか。
整形外科医が耐用年数だけの見方と、患者側からの見方(Patient reported outcome measures:PROM)というものは大きく異なっている。
PROMに従ったリサーチを行ってみるとTKRを行った患者の約10-30%、THAを行った患者の10-15%が絶え間ない痛みと機能制限に悩んでいることが分かった。
ある研究によればエンドポイントを再置換すかどうかというところにおくと、7年後の人工関節の生存率は98%であるが、第二のエンドポイントを疼痛としてみてみると75%までその率は低下した。
別の研究では人工関節の生存率は96.7%であったが、VASを用いた患者満足度は73.3%に過ぎなかった。
ほかの研究でも満足度は68%-80%にすぎないという報告がある。
PROM単独でも問題がある。データを集めることに多くの費用がかかったり人手を必要とする。またほかの様々な要因にも患者の見方は左右される。
Oxford hip scoreは術後の機能評価として用いられるが、それぞれの患者の環境などへの配慮はなされていない。
人工関節の耐用年数を調査していくことは今後も必要である。
ただし、単に人工関節のライナーを変えただけの手術か、人工関節全部を再置換したのかという違いはあるし、ある部分が別の部分に悪影響を及ぼしたのかもしれないということには留意が必要である。
非感染性のゆるみが生存率にカウントされるが、それ以前におこっている脱臼や感染といった悪い事象についても合わせてカウントしておく必要がある。
ジャーナルとしても今後は人工関節の生存率だけの報告は採用せず、加えてPROMに配慮した臨床研究を採用、公表していく予定である。
<論評>
journal of bone and joint surgery (British edition)の巻頭の一言です。
人工関節がどれが有用であるという時代は終わりを告げたので、次はこのような方針でやっていきますよという意思表示です。
こういうものをチェックしておかないと投稿してもrejectされ続けるということが起こりえますので、編集方針というものも常に確認しておく必要があると思います。
実際の生活が満足度にどれくらい影響を及ぼしているかということについて調べてみるというのも面白いかなと思いました。
2011年3月4日金曜日
20110304 JBJS(Br) Is routine chemical thromboprophylaxis after total hip replacement really necessary in a Japanese population
<抄録>
薬剤による抗凝固療法は、人工股関節全置換術(THA)においてルーチンに行うよう推奨されている。筆者らの立場は薬剤を使用しなくても理学療法(機械圧迫)で十分ではないかとする立場である。二種類の抗凝固剤をそれぞれ使用し、理学療法のみの群と無作為割付試験で調べてみた。255人の日本人の患者。片側のTHAをセメントレスで行った患者。プラセボ群、フォンダパリヌクス群(アリクストラ群)、エノキサパリン群(クレキサン群)の3群に分けてそれぞれ85人の患者に投与を行った。全員理学療法は同様に受けた。術後11日目で全員超音波によるDVTの検索を行った。12週にわたってフォローを行った。
結果プラセボ群7.2%、フォンダパリヌクス群7.1%、エノキサパリン群6.0%で3群に有意な差は認められなかった。日本人の患者に限れば、THAの後に抗凝固療法を行わずに機械的圧迫だけで効果がえられるのではないかおと考えられた。
<論評>
素晴らしいですねえ。考察で筆者が書いていらっしゃるとおり、サンプルサイズの問題、単施設研究という問題はあるにせよ、一つの施設でこれだけの仕事をなさったと言う事に敬意を評したいと思います。
超音波での検索はほぼゴールデンスタンダードですので、構わないのになあと思いました。
もともとこの薬自体14日間使えとなっていますが、下手したら退院してますしね。
肺塞栓は起こったときの衝撃があまりに大きいので使いたくなる術者の気持ちもわかりますが、厳密には、心血管リスクが高い、再置換術であるなどのもっと明らかにハイリスクな群に使うよう推奨しても良いのかもしれませんね。
僕自身はガイドラインが変わるまでは使い続けると思いますけど。。。(笑)
薬剤による抗凝固療法は、人工股関節全置換術(THA)においてルーチンに行うよう推奨されている。筆者らの立場は薬剤を使用しなくても理学療法(機械圧迫)で十分ではないかとする立場である。二種類の抗凝固剤をそれぞれ使用し、理学療法のみの群と無作為割付試験で調べてみた。255人の日本人の患者。片側のTHAをセメントレスで行った患者。プラセボ群、フォンダパリヌクス群(アリクストラ群)、エノキサパリン群(クレキサン群)の3群に分けてそれぞれ85人の患者に投与を行った。全員理学療法は同様に受けた。術後11日目で全員超音波によるDVTの検索を行った。12週にわたってフォローを行った。
結果プラセボ群7.2%、フォンダパリヌクス群7.1%、エノキサパリン群6.0%で3群に有意な差は認められなかった。日本人の患者に限れば、THAの後に抗凝固療法を行わずに機械的圧迫だけで効果がえられるのではないかおと考えられた。
<論評>
素晴らしいですねえ。考察で筆者が書いていらっしゃるとおり、サンプルサイズの問題、単施設研究という問題はあるにせよ、一つの施設でこれだけの仕事をなさったと言う事に敬意を評したいと思います。
超音波での検索はほぼゴールデンスタンダードですので、構わないのになあと思いました。
もともとこの薬自体14日間使えとなっていますが、下手したら退院してますしね。
肺塞栓は起こったときの衝撃があまりに大きいので使いたくなる術者の気持ちもわかりますが、厳密には、心血管リスクが高い、再置換術であるなどのもっと明らかにハイリスクな群に使うよう推奨しても良いのかもしれませんね。
僕自身はガイドラインが変わるまでは使い続けると思いますけど。。。(笑)
2010年5月5日水曜日
2010.5.1 JBJS(Am) The Risk of Revision After Primary Total Hip Arthroplasty Among Statin Users
要旨
スタチンは骨代謝とその炎症の抑制に効果があると言うことが知られているが、THAを行った患者に対してその効果がどのようなものであったかと言うことを調べた報告は今までない。
方法
1996年から2005年までにデンマーク股関節登録センターに登録されたプライマリーTHAが行われた2349例についての検討。propensity score matchingという手法を用いて、同様の背景をもつ2349例をコントロール群として多変量解析を用いてスタチンを使っていることが有意に再置換のリスクを減らすかどうかを検討した。
結果
57581例のTHA患者のうち、8.9%が10年積算で再置換を要した。術後にスタチンを用いた群での再置換に対する相対危険度は0.34であった。この他、感染、ゆるみ、脱臼、人工関節近傍骨折の危険性も低かった。
結論
スタチンはプライマリーでTHAが行われた症例に対してその再置換を減らす効果がある。しかしながらそのメカニズムが明らかになるまでは健康な成人に対して人工関節の延命を目的としてスタチンを投与することが適当であると言う事は言えない。
<論評>
propensity scores matchingという方法を用いた解析によってスタチンがTHAの長期生存に有効に働くのではないかと言う事を示唆した文献。
この解析方法が面白いと思いましたし、また同様に日本でもregitration systemを作って同じような発表ができればと願います。
スタチンは骨代謝とその炎症の抑制に効果があると言うことが知られているが、THAを行った患者に対してその効果がどのようなものであったかと言うことを調べた報告は今までない。
方法
1996年から2005年までにデンマーク股関節登録センターに登録されたプライマリーTHAが行われた2349例についての検討。propensity score matchingという手法を用いて、同様の背景をもつ2349例をコントロール群として多変量解析を用いてスタチンを使っていることが有意に再置換のリスクを減らすかどうかを検討した。
結果
57581例のTHA患者のうち、8.9%が10年積算で再置換を要した。術後にスタチンを用いた群での再置換に対する相対危険度は0.34であった。この他、感染、ゆるみ、脱臼、人工関節近傍骨折の危険性も低かった。
結論
スタチンはプライマリーでTHAが行われた症例に対してその再置換を減らす効果がある。しかしながらそのメカニズムが明らかになるまでは健康な成人に対して人工関節の延命を目的としてスタチンを投与することが適当であると言う事は言えない。
<論評>
propensity scores matchingという方法を用いた解析によってスタチンがTHAの長期生存に有効に働くのではないかと言う事を示唆した文献。
この解析方法が面白いと思いましたし、また同様に日本でもregitration systemを作って同じような発表ができればと願います。
2010年4月12日月曜日
2010.4.12 JBJS(Am) Ergometer Cycling After Hip or Knee Replacement Surgery
要旨
背景
THA、TKAの術後で適当な方法は明らかになっていない。THA,TKAの術後にエルゴメーターによるリハビリテーションを行いQOLと患者満足度を調査した。
方法
62人の患者を無作為にエルゴメーター群と非エルゴメーター群に割りつけた。エルゴメーター群は術後2週間エルゴメーターを行った。患者主体型QOL評価とWOMACによる評価を術後6ヶ月、12ヶ月、24ヶ月の時点で行った。結果は最小限の臨床上の重要な改善について公表されたしきい値で比較された。
結果
二群の背景はほぼ一致していた。THAの術後ではフォロー中のすべてのチェック時においてエルゴメーター群が上回っていた。3ヶ月と24ヶ月の時点で有意な差を認めた。エルゴメーター群の方がとても満足とする割合が多かった。主要アウトカムではその要素が2.0となった。TKAでは二群の間に違いは認められなかった。
考察
エルゴメーターはTHA施行後の患者でQOL、患者満足度の点で有効であると言うことがわかった。しかしTKAでは明らかにならなかった。
考察
エルゴメーターは関節機能、患者満足度、などにおいて基本的な治療方法として用いられてもよいと言うことがわかった。
この研究はTHAの患者においてエルゴメーターがQOLに寄与するという強いエビデンスと成っている。二つのことを強調しておきたい。まず一つ目は2.2の要素で臨床上の最小限の重要な改善が現れたということ。もうひとつが術後2年間続けて臨床上の差が現れていたということである。
患者数が少ないと言うことを言うかもしれないが、患者満足度を見て欲しい。とても満足しているという群が92%もあるのだ。
初めての置換か、再置換なのか、合併症を有しているかなどによって術後のQOLは差が出る。これらは術者にとってどうしようもできない因子である。また、いろいろなインプラントで治療を行うことは患者のQOLを大きく損なう可能性がある。入院でのリハビリと自宅でのリハビリの間に違いはないとする報告もある。最近手術数と患者中心の評価方法との間に関連があるといわれている。この研究の最初の目的は手術数と患者満足度との間に関連があるか調べることであった。
3ヶ月後と6ヶ月後の評価はQOLの評価として適当かと考え行った。12ヶ月後と24ヶ月後は一般的に人工関節置換術後のフォローとして一般に行われている。
この研究は多施設研究なので、単独施設研究よりも様々な患者をフォロー出来ていると考える.
エルゴメーターでよく動かすことが関節などに効果的であるのはよくわかるのだが、TKAで差がでないのはどうしてであろうか。膝の場合は動かすことで膝周囲の軟部組織が腫れたりすることで疼痛が出たためではないかと考える.
この研究の問題点はフォロー率が悪いことである。最終フォロー時は77%まで低下してしまった。また、この研究は片方の脚に行った初回の関節置換についての研究であるので、再置換例、や両側例では不明である。
エルゴメータはTHAで有用であるので使ってみる価値はある。
<論評>
まあ、やってみても悪くはないのでは無いでしょうか。どんな施設でもエルゴメーターはやっているような気もしますが。
背景
THA、TKAの術後で適当な方法は明らかになっていない。THA,TKAの術後にエルゴメーターによるリハビリテーションを行いQOLと患者満足度を調査した。
方法
62人の患者を無作為にエルゴメーター群と非エルゴメーター群に割りつけた。エルゴメーター群は術後2週間エルゴメーターを行った。患者主体型QOL評価とWOMACによる評価を術後6ヶ月、12ヶ月、24ヶ月の時点で行った。結果は最小限の臨床上の重要な改善について公表されたしきい値で比較された。
結果
二群の背景はほぼ一致していた。THAの術後ではフォロー中のすべてのチェック時においてエルゴメーター群が上回っていた。3ヶ月と24ヶ月の時点で有意な差を認めた。エルゴメーター群の方がとても満足とする割合が多かった。主要アウトカムではその要素が2.0となった。TKAでは二群の間に違いは認められなかった。
考察
エルゴメーターはTHA施行後の患者でQOL、患者満足度の点で有効であると言うことがわかった。しかしTKAでは明らかにならなかった。
考察
エルゴメーターは関節機能、患者満足度、などにおいて基本的な治療方法として用いられてもよいと言うことがわかった。
この研究はTHAの患者においてエルゴメーターがQOLに寄与するという強いエビデンスと成っている。二つのことを強調しておきたい。まず一つ目は2.2の要素で臨床上の最小限の重要な改善が現れたということ。もうひとつが術後2年間続けて臨床上の差が現れていたということである。
患者数が少ないと言うことを言うかもしれないが、患者満足度を見て欲しい。とても満足しているという群が92%もあるのだ。
初めての置換か、再置換なのか、合併症を有しているかなどによって術後のQOLは差が出る。これらは術者にとってどうしようもできない因子である。また、いろいろなインプラントで治療を行うことは患者のQOLを大きく損なう可能性がある。入院でのリハビリと自宅でのリハビリの間に違いはないとする報告もある。最近手術数と患者中心の評価方法との間に関連があるといわれている。この研究の最初の目的は手術数と患者満足度との間に関連があるか調べることであった。
3ヶ月後と6ヶ月後の評価はQOLの評価として適当かと考え行った。12ヶ月後と24ヶ月後は一般的に人工関節置換術後のフォローとして一般に行われている。
この研究は多施設研究なので、単独施設研究よりも様々な患者をフォロー出来ていると考える.
エルゴメーターでよく動かすことが関節などに効果的であるのはよくわかるのだが、TKAで差がでないのはどうしてであろうか。膝の場合は動かすことで膝周囲の軟部組織が腫れたりすることで疼痛が出たためではないかと考える.
この研究の問題点はフォロー率が悪いことである。最終フォロー時は77%まで低下してしまった。また、この研究は片方の脚に行った初回の関節置換についての研究であるので、再置換例、や両側例では不明である。
エルゴメータはTHAで有用であるので使ってみる価値はある。
<論評>
まあ、やってみても悪くはないのでは無いでしょうか。どんな施設でもエルゴメーターはやっているような気もしますが。
2010年3月25日木曜日
2010.3.25 JBJS(Am) Thrombosis Prevention After Total Hip Arthroplasty A Prospective, Randomized Trial Comparing a Mobile Compression Device with Low-
Thrombosis Prevention After Total Hip Arthroplasty
A Prospective, Randomized Trial Comparing a Mobile Compression Device with Low-Molecular-Weight Heparin
Background:
血栓塞栓症はTHAの合併症としてよく知られている。この研究の目的は新しいmobile compression deviceと低分子ヘパリンとを安全性・静脈血栓塞栓症に対する効果について比較することである。
Methods:
THAを施行された患者を10日間mobile compression deviceの群と低分子ヘパリン群にランダムに割りつけた。Deviceは術中より開始し、この群の患者ではアスピリン81mg/日も術後投与できるようにした。低分子ヘパリンは術後12-24時間後に開始。10-12日後全ての患者で両下肢のエコーを行い腓腹部、大腿部に深部静脈血栓がないかスクリーニングした。いかなる肺塞栓の症状でも肺のスパイラルCTで評価した。出血やコンプライアンスなどの使用上の問題は両群とも見られなかった。臨床的な深部静脈血栓や肺塞栓の検索的評価は術後12週で行われた。
Results:
410患者414股が割付けされ、392名395股が介入的治療の安全性を評価され、386名389股がその効果について評価された。背景は両群で差がなかった。大きな出血のイベントはcompression群で0%、低分子ヘパリン群で6%であった。遠位および近位の深部静脈血栓の発生率はそれぞれcompression群で3%と2%、低分子ヘパリン群で3%と1%であった。肺塞栓はcompression群、低分子ヘパリン群ともに1%であったが、fatalなものはなかった。12週のフォローアップ期間内で、深部静脈血栓1件、肺塞栓1件の2件がcompression群の1人の患者で起きたが、術後12日目のエコーではnegativeであった。両群間で静脈血栓塞栓症の発生率に差はなかった。
Conclusions:
低分子ヘパリンと比較して、mobile compression deviceをTHA後の静脈血栓塞栓症の予防に用いることは、大きな出血のイベントを有意に減らすことができる。
Fig. 1
研究への登録のシェーマ
Table Ⅰ
患者背景。両群間に差はなし。
Table Ⅱ
大きな出血イベント、輸血単位数、Bleeding index(全輸血単位数+(術後最初のHb-退院時のHb))、ヘモグロビンの変化
Table Ⅲ
両群の各々の麻酔法における静脈血栓症と出血イベントの数
Discussion
我々の携帯型のcompression deviceはTHA後の出血に対して低分子ヘパリンより安全であるという仮説を証明した。ヘパリン群の出血イベント6%という結果は5つの研究の結果の5.3%と同等であった。今回、効果の評価よりも安全性の評価を強調したのには2つの理由がある。1つ目は、整形外科医は予防的投与の薬による出血の問題を深く考えているためである。2つ目は、低分子ヘパリンは静脈血栓のイベントを減らすことが様々な報告からも知られているが、それと効果が同等であると証明するには各群1480名は必要であったためである。
我々の静脈血栓に対する結果も以前の報告に相違がない。GelferらのTHAとTKA患者で旧型のcompression deviceを血栓予防にエノキサパリン40mgと同様に用いた報告では、THA後の患者の深部静脈血栓を有意に減らし、エノキサパリン群で40名中13名が合併症を認めたのに比べ、compression群では33名中合併症は0であった。
この研究の問題点は2群間の効果の違いを説明するには患者数が適切でないことである。Compression deviceを用いているため、盲検が困難であったことも問題であった。大きなランダム化前向き試験で、エンドポイントを静脈造影所見としていたため、我々のエコーによる方法は問題があったかもしれないが、エコーはアメリカで診断のスタンダードとなっており、リアルタイムの評価がより可能である。
結論としては、THA患者においてcompression deviceは低分子ヘパリン予防的投与と同等の静脈血栓イベントの発生率でありながら、大きな出血イベントを有意に減少した。
<論評>
術後の出血量については差があるということがわかった。間欠的圧迫法でも十分有用であると言うことが言える?のかしら?有意差のでない研究というのは本当に難しい。
しかし海外はわずか3日間でTHA後に退院させられるのね。
A Prospective, Randomized Trial Comparing a Mobile Compression Device with Low-Molecular-Weight Heparin
Background:
血栓塞栓症はTHAの合併症としてよく知られている。この研究の目的は新しいmobile compression deviceと低分子ヘパリンとを安全性・静脈血栓塞栓症に対する効果について比較することである。
Methods:
THAを施行された患者を10日間mobile compression deviceの群と低分子ヘパリン群にランダムに割りつけた。Deviceは術中より開始し、この群の患者ではアスピリン81mg/日も術後投与できるようにした。低分子ヘパリンは術後12-24時間後に開始。10-12日後全ての患者で両下肢のエコーを行い腓腹部、大腿部に深部静脈血栓がないかスクリーニングした。いかなる肺塞栓の症状でも肺のスパイラルCTで評価した。出血やコンプライアンスなどの使用上の問題は両群とも見られなかった。臨床的な深部静脈血栓や肺塞栓の検索的評価は術後12週で行われた。
Results:
410患者414股が割付けされ、392名395股が介入的治療の安全性を評価され、386名389股がその効果について評価された。背景は両群で差がなかった。大きな出血のイベントはcompression群で0%、低分子ヘパリン群で6%であった。遠位および近位の深部静脈血栓の発生率はそれぞれcompression群で3%と2%、低分子ヘパリン群で3%と1%であった。肺塞栓はcompression群、低分子ヘパリン群ともに1%であったが、fatalなものはなかった。12週のフォローアップ期間内で、深部静脈血栓1件、肺塞栓1件の2件がcompression群の1人の患者で起きたが、術後12日目のエコーではnegativeであった。両群間で静脈血栓塞栓症の発生率に差はなかった。
Conclusions:
低分子ヘパリンと比較して、mobile compression deviceをTHA後の静脈血栓塞栓症の予防に用いることは、大きな出血のイベントを有意に減らすことができる。
Fig. 1
研究への登録のシェーマ
Table Ⅰ
患者背景。両群間に差はなし。
Table Ⅱ
大きな出血イベント、輸血単位数、Bleeding index(全輸血単位数+(術後最初のHb-退院時のHb))、ヘモグロビンの変化
Table Ⅲ
両群の各々の麻酔法における静脈血栓症と出血イベントの数
Discussion
我々の携帯型のcompression deviceはTHA後の出血に対して低分子ヘパリンより安全であるという仮説を証明した。ヘパリン群の出血イベント6%という結果は5つの研究の結果の5.3%と同等であった。今回、効果の評価よりも安全性の評価を強調したのには2つの理由がある。1つ目は、整形外科医は予防的投与の薬による出血の問題を深く考えているためである。2つ目は、低分子ヘパリンは静脈血栓のイベントを減らすことが様々な報告からも知られているが、それと効果が同等であると証明するには各群1480名は必要であったためである。
我々の静脈血栓に対する結果も以前の報告に相違がない。GelferらのTHAとTKA患者で旧型のcompression deviceを血栓予防にエノキサパリン40mgと同様に用いた報告では、THA後の患者の深部静脈血栓を有意に減らし、エノキサパリン群で40名中13名が合併症を認めたのに比べ、compression群では33名中合併症は0であった。
この研究の問題点は2群間の効果の違いを説明するには患者数が適切でないことである。Compression deviceを用いているため、盲検が困難であったことも問題であった。大きなランダム化前向き試験で、エンドポイントを静脈造影所見としていたため、我々のエコーによる方法は問題があったかもしれないが、エコーはアメリカで診断のスタンダードとなっており、リアルタイムの評価がより可能である。
結論としては、THA患者においてcompression deviceは低分子ヘパリン予防的投与と同等の静脈血栓イベントの発生率でありながら、大きな出血イベントを有意に減少した。
<論評>
術後の出血量については差があるということがわかった。間欠的圧迫法でも十分有用であると言うことが言える?のかしら?有意差のでない研究というのは本当に難しい。
しかし海外はわずか3日間でTHA後に退院させられるのね。
2010年1月28日木曜日
2010.1.27 JBJS(Am) 2005 Economic Evaluation of Ultrasonography in the Diagnosis and Management of DDH in the United Kingdom and Ireland
Background:
臨床的な新生児の股関節スクリーニングは股関節の不安定性や脱臼・亜脱臼のリスクを同定するために行われる。しかし、両親や公共医療サービスに対するスクリーニングの費用に関する情報は限られている。この研究の目的は新生児の股関節不安定性の診断および管理における超音波の使用に関する費用を評価するものである。
Methods:
前向き経済的研究を股関節のRCTと共同で行った。UKおよびアイルランドの33施設629名を超音波検査群314名と臨床的評価群315名にランダムに割付けした。Outcomeの情報はカルテや股関節のtrialから得た。Resource情報はカルテや定期的な家族の横断的調査から得た。患者当たりの費用を得るために典型的な単価をresource情報に適応した。2群における平均費用を計算し、比較した。
Results:
患者あたりの公共医療サービスの全費用の平均は超音波検査群で1298$±2168、臨床評価のみの群で1488$±2912であり、差は190$であった。両親にかかる費用では、超音波検査群でsplintingに関する費用が有意に少なく、臨床評価のみの118$と比べて92$と平均26$少なかった。両親にかかる外科的治療に関連した費用と全費用についても、有意ではないが超音波検査群で僅かに少なかった。
Conclusions:
今回の結果より、臨床的に股関節に不安定性のある新生児の管理において超音波の使用は費用負担を増加させず、公共医療サービスと両親に対する費用の軽減をもたらすかもしれないことが示唆される。
Table Ⅰ
Primary-careの費用とこの研究の対象となったメインの臨床事項(splintingと外科手術)との関係について調査した回帰分析結果。
Table Ⅱ
ランダム化割付けによる医療資源の平均使用と医療費
Table Ⅲ
Splinting・外科手術と家族への費用負担の関係
Table Ⅳ
2群におけるsplinting・外科手術に関連した家族の費用負担
Discussion
医療計画の方針を立てる上での信頼の置ける経済的評価の重要性が今認識されてきており、ランダム化によりそのエビデンスのバイアスは最小となる。本研究は新生児の股関節不安定性の診断・管理における超音波に関する費用を調べた最初のtrialである。結果から新生児あたり43$以上超音波にかかるが、これはほかの医療費、特に入院費用などで相殺される。これらほかの医療費は超音波群でわずかではあるが少ない。経済的評価の標準的方法論と同様、先股脱に関連した過失へのclaimに関する費用は含めなかった。我々は2002年UKであったそのようなclaimを調べ、結果に影響を与えるほどではなかったと結論付けた。しかし、訴訟率の多い国では、その影響が出る可能性がある。
我々の研究では先股脱が疑われ治療された場合に、家族により高い費用がかかることを示し、超音波群と比較し臨床評価のみの群でより高いsplintingの費用がかかったことも示している。
システムの違いにより他国にそのまま結果を当てはめることはできない。しかし、今研究はこの国でエビデンスが欠けていたため行ったもので、他国でも超音波の役割による議論があれば興味がもたれるべきである。また、その国の発症率でも本研究との差が出るかもしれない。異なったスクリーニング方法での国の費用を評価したものはスウェーデンやドイツから以前に報告されている。しかし、我々の結果と一まとめにはできない。これらの結果は費用と利益のバランスを評価する費用対効果の分析の重要性が増していることを示している。
股関節エコーは多くの国で臨床手技として加えられているが、施行者によりきちんと使われているかについては不確定である。家族の不安などの非経済的費用の重要性は、股関節のtrialで解析され、別の研究で報告される。
《論評》
小児の股関節エコーなんて意味ない!!と言い続けながらイヤイヤやっていましたがそんなことはないんですね。重症例を早期に見つけたりするためにも必要な手技なのでスクリーニングとして行うことは必要だということがわかりました。
臨床的な新生児の股関節スクリーニングは股関節の不安定性や脱臼・亜脱臼のリスクを同定するために行われる。しかし、両親や公共医療サービスに対するスクリーニングの費用に関する情報は限られている。この研究の目的は新生児の股関節不安定性の診断および管理における超音波の使用に関する費用を評価するものである。
Methods:
前向き経済的研究を股関節のRCTと共同で行った。UKおよびアイルランドの33施設629名を超音波検査群314名と臨床的評価群315名にランダムに割付けした。Outcomeの情報はカルテや股関節のtrialから得た。Resource情報はカルテや定期的な家族の横断的調査から得た。患者当たりの費用を得るために典型的な単価をresource情報に適応した。2群における平均費用を計算し、比較した。
Results:
患者あたりの公共医療サービスの全費用の平均は超音波検査群で1298$±2168、臨床評価のみの群で1488$±2912であり、差は190$であった。両親にかかる費用では、超音波検査群でsplintingに関する費用が有意に少なく、臨床評価のみの118$と比べて92$と平均26$少なかった。両親にかかる外科的治療に関連した費用と全費用についても、有意ではないが超音波検査群で僅かに少なかった。
Conclusions:
今回の結果より、臨床的に股関節に不安定性のある新生児の管理において超音波の使用は費用負担を増加させず、公共医療サービスと両親に対する費用の軽減をもたらすかもしれないことが示唆される。
Table Ⅰ
Primary-careの費用とこの研究の対象となったメインの臨床事項(splintingと外科手術)との関係について調査した回帰分析結果。
Table Ⅱ
ランダム化割付けによる医療資源の平均使用と医療費
Table Ⅲ
Splinting・外科手術と家族への費用負担の関係
Table Ⅳ
2群におけるsplinting・外科手術に関連した家族の費用負担
Discussion
医療計画の方針を立てる上での信頼の置ける経済的評価の重要性が今認識されてきており、ランダム化によりそのエビデンスのバイアスは最小となる。本研究は新生児の股関節不安定性の診断・管理における超音波に関する費用を調べた最初のtrialである。結果から新生児あたり43$以上超音波にかかるが、これはほかの医療費、特に入院費用などで相殺される。これらほかの医療費は超音波群でわずかではあるが少ない。経済的評価の標準的方法論と同様、先股脱に関連した過失へのclaimに関する費用は含めなかった。我々は2002年UKであったそのようなclaimを調べ、結果に影響を与えるほどではなかったと結論付けた。しかし、訴訟率の多い国では、その影響が出る可能性がある。
我々の研究では先股脱が疑われ治療された場合に、家族により高い費用がかかることを示し、超音波群と比較し臨床評価のみの群でより高いsplintingの費用がかかったことも示している。
システムの違いにより他国にそのまま結果を当てはめることはできない。しかし、今研究はこの国でエビデンスが欠けていたため行ったもので、他国でも超音波の役割による議論があれば興味がもたれるべきである。また、その国の発症率でも本研究との差が出るかもしれない。異なったスクリーニング方法での国の費用を評価したものはスウェーデンやドイツから以前に報告されている。しかし、我々の結果と一まとめにはできない。これらの結果は費用と利益のバランスを評価する費用対効果の分析の重要性が増していることを示している。
股関節エコーは多くの国で臨床手技として加えられているが、施行者によりきちんと使われているかについては不確定である。家族の不安などの非経済的費用の重要性は、股関節のtrialで解析され、別の研究で報告される。
《論評》
小児の股関節エコーなんて意味ない!!と言い続けながらイヤイヤやっていましたがそんなことはないんですね。重症例を早期に見つけたりするためにも必要な手技なのでスクリーニングとして行うことは必要だということがわかりました。
2009年11月16日月曜日
2009.11.16. JBJS(Am) Nov. 2009. Assessment of Hip Abductor Muscle Strength. AValidity and Reliability Study
要旨
股関節の外転筋は股関節の中で最も重要な筋肉のうちのひとつである。それゆえに根拠のあるしっかりとした評価が必要とされる。股関節外転筋の筋力を測定するために最も適切な体位というものは知られていないため3つの異なった体位で外転筋の筋力を測定した。われわれは対側の股関節が固定されるので側臥位での測定が最も有用であるとする仮定を立てて研究に臨んだ。
16人の被験者に対しそれぞれ2回の独立したテストを行った。立位、腹臥位、側臥位の3つの姿勢で工業用の動力計を用いて片側の外転筋力を測定した。筋電図を測定側とその反対側の中殿筋に筋電図を測定することでその実験の妥当性を構築した。その体位はもっとも力が出るような体勢とした。最も力が出ないところは対側の筋力の筋電図が最小となるとこを最も妥当なところとした。それぞれの相互関係についてはthe
Bland and Altman limits of agreementによる統計処理を行った。級内相関係数はtest-retestで計算した。
側臥位での外転筋力が臥位、立位よりも有意に大きく評価された。側臥位での対側の筋電図での割合は最小で、これは立位、臥位とくらべ有意に差があった。テストの再現率は側臥位で最も高かった。
側臥位が股関節の外転筋力を測定するのに最も適切である。
図1 それぞれの測定方法の写真。
図2 A:自発最大筋力
B:筋電図での測定側反対側の比。
考察
今回の結果では側臥位での測定がもっとも外転筋力が高く表され、また反対側との比がもっとも小さくなった。ということで検査の妥当性は側臥位での試験が最もあるということが分かる。またテストの再現性も側臥位で最も得られた。
理論的には最大筋力を発揮するとき対側の同側の筋肉よりも作動筋がより大きな活動性を示す。これは良側の筋力の低下は実際には片側の最大外転筋力が発揮される力の減少として表現されるからである。とくにこの研究では中殿筋の筋電図での活動性は対側の共同筋の電位を比較することとなった。立位と臥位はその比が100%を超えるため片脚での能力よりも両側での能力を表すこととなってしまう。これでは必然的に外転筋力が表す範囲が減少してしまう。側臥位ではその比が90%以下であることから片側の筋力をはっきりと表しているということになる。
臥位での外転筋力の測定は重力の影響が排除されるということで外転筋力を測定するときに主に採用されている。しかしこの姿勢では測定の再現性が得られることはなかった。臥位では発揮される外転筋力が最も低く、またその妥当性が最も低いことが分かった。中殿筋の筋電図ではもっとも低い値を示した。これはこの姿勢で外転するときには中殿筋はメインの筋肉としては働いていないということを示している。ベルトでの保持自体が体そのものの保持や壁で保持することよりも劣っているのかもしれない。なので今後の研究では別の方法で体を支える方法を考えなければならない。
立位はもっとも機能的なことを評価するのに適した体位とされている。特に体重がかかった状態を評価するのにもっとも確からしいとされている。しかしながら妥当性は得られず、信頼性も今一つであった。立っているために検査側に十分に倒れこむことができないことが問題である。
重力はこの外転筋力評価で大きな役割をになっている。側臥位だとその重力も加わるのでより妥当性と信頼性が増す。
なのでお勧めとしては側臥位として外転筋力の評価は行うべきである。股関節の痛みのため横になれない人では立位の方がより妥当な評価ができる。
研究の限界としては骨盤の動きを除外していないこと。電気的評価しかしていないことなどがある。
≪論評≫
すいません。何が言いたいのかよくわからないまま訳してしまいました。つまり側臥位で股関節の外転筋力を測定することが最も妥当性が高いということなのでしょう。
臨床的にこれをどう生かしてゆけばよいのか。。。。
また、上の先生に聞いておきます。
股関節の外転筋は股関節の中で最も重要な筋肉のうちのひとつである。それゆえに根拠のあるしっかりとした評価が必要とされる。股関節外転筋の筋力を測定するために最も適切な体位というものは知られていないため3つの異なった体位で外転筋の筋力を測定した。われわれは対側の股関節が固定されるので側臥位での測定が最も有用であるとする仮定を立てて研究に臨んだ。
16人の被験者に対しそれぞれ2回の独立したテストを行った。立位、腹臥位、側臥位の3つの姿勢で工業用の動力計を用いて片側の外転筋力を測定した。筋電図を測定側とその反対側の中殿筋に筋電図を測定することでその実験の妥当性を構築した。その体位はもっとも力が出るような体勢とした。最も力が出ないところは対側の筋力の筋電図が最小となるとこを最も妥当なところとした。それぞれの相互関係についてはthe
Bland and Altman limits of agreementによる統計処理を行った。級内相関係数はtest-retestで計算した。
側臥位での外転筋力が臥位、立位よりも有意に大きく評価された。側臥位での対側の筋電図での割合は最小で、これは立位、臥位とくらべ有意に差があった。テストの再現率は側臥位で最も高かった。
側臥位が股関節の外転筋力を測定するのに最も適切である。
図1 それぞれの測定方法の写真。
図2 A:自発最大筋力
B:筋電図での測定側反対側の比。
考察
今回の結果では側臥位での測定がもっとも外転筋力が高く表され、また反対側との比がもっとも小さくなった。ということで検査の妥当性は側臥位での試験が最もあるということが分かる。またテストの再現性も側臥位で最も得られた。
理論的には最大筋力を発揮するとき対側の同側の筋肉よりも作動筋がより大きな活動性を示す。これは良側の筋力の低下は実際には片側の最大外転筋力が発揮される力の減少として表現されるからである。とくにこの研究では中殿筋の筋電図での活動性は対側の共同筋の電位を比較することとなった。立位と臥位はその比が100%を超えるため片脚での能力よりも両側での能力を表すこととなってしまう。これでは必然的に外転筋力が表す範囲が減少してしまう。側臥位ではその比が90%以下であることから片側の筋力をはっきりと表しているということになる。
臥位での外転筋力の測定は重力の影響が排除されるということで外転筋力を測定するときに主に採用されている。しかしこの姿勢では測定の再現性が得られることはなかった。臥位では発揮される外転筋力が最も低く、またその妥当性が最も低いことが分かった。中殿筋の筋電図ではもっとも低い値を示した。これはこの姿勢で外転するときには中殿筋はメインの筋肉としては働いていないということを示している。ベルトでの保持自体が体そのものの保持や壁で保持することよりも劣っているのかもしれない。なので今後の研究では別の方法で体を支える方法を考えなければならない。
立位はもっとも機能的なことを評価するのに適した体位とされている。特に体重がかかった状態を評価するのにもっとも確からしいとされている。しかしながら妥当性は得られず、信頼性も今一つであった。立っているために検査側に十分に倒れこむことができないことが問題である。
重力はこの外転筋力評価で大きな役割をになっている。側臥位だとその重力も加わるのでより妥当性と信頼性が増す。
なのでお勧めとしては側臥位として外転筋力の評価は行うべきである。股関節の痛みのため横になれない人では立位の方がより妥当な評価ができる。
研究の限界としては骨盤の動きを除外していないこと。電気的評価しかしていないことなどがある。
≪論評≫
すいません。何が言いたいのかよくわからないまま訳してしまいました。つまり側臥位で股関節の外転筋力を測定することが最も妥当性が高いということなのでしょう。
臨床的にこれをどう生かしてゆけばよいのか。。。。
また、上の先生に聞いておきます。
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