Thrombosis Prevention After Total Hip Arthroplasty
A Prospective, Randomized Trial Comparing a Mobile Compression Device with Low-Molecular-Weight Heparin
Background:
血栓塞栓症はTHAの合併症としてよく知られている。この研究の目的は新しいmobile compression deviceと低分子ヘパリンとを安全性・静脈血栓塞栓症に対する効果について比較することである。
Methods:
THAを施行された患者を10日間mobile compression deviceの群と低分子ヘパリン群にランダムに割りつけた。Deviceは術中より開始し、この群の患者ではアスピリン81mg/日も術後投与できるようにした。低分子ヘパリンは術後12-24時間後に開始。10-12日後全ての患者で両下肢のエコーを行い腓腹部、大腿部に深部静脈血栓がないかスクリーニングした。いかなる肺塞栓の症状でも肺のスパイラルCTで評価した。出血やコンプライアンスなどの使用上の問題は両群とも見られなかった。臨床的な深部静脈血栓や肺塞栓の検索的評価は術後12週で行われた。
Results:
410患者414股が割付けされ、392名395股が介入的治療の安全性を評価され、386名389股がその効果について評価された。背景は両群で差がなかった。大きな出血のイベントはcompression群で0%、低分子ヘパリン群で6%であった。遠位および近位の深部静脈血栓の発生率はそれぞれcompression群で3%と2%、低分子ヘパリン群で3%と1%であった。肺塞栓はcompression群、低分子ヘパリン群ともに1%であったが、fatalなものはなかった。12週のフォローアップ期間内で、深部静脈血栓1件、肺塞栓1件の2件がcompression群の1人の患者で起きたが、術後12日目のエコーではnegativeであった。両群間で静脈血栓塞栓症の発生率に差はなかった。
Conclusions:
低分子ヘパリンと比較して、mobile compression deviceをTHA後の静脈血栓塞栓症の予防に用いることは、大きな出血のイベントを有意に減らすことができる。
Fig. 1
研究への登録のシェーマ
Table Ⅰ
患者背景。両群間に差はなし。
Table Ⅱ
大きな出血イベント、輸血単位数、Bleeding index(全輸血単位数+(術後最初のHb-退院時のHb))、ヘモグロビンの変化
Table Ⅲ
両群の各々の麻酔法における静脈血栓症と出血イベントの数
Discussion
我々の携帯型のcompression deviceはTHA後の出血に対して低分子ヘパリンより安全であるという仮説を証明した。ヘパリン群の出血イベント6%という結果は5つの研究の結果の5.3%と同等であった。今回、効果の評価よりも安全性の評価を強調したのには2つの理由がある。1つ目は、整形外科医は予防的投与の薬による出血の問題を深く考えているためである。2つ目は、低分子ヘパリンは静脈血栓のイベントを減らすことが様々な報告からも知られているが、それと効果が同等であると証明するには各群1480名は必要であったためである。
我々の静脈血栓に対する結果も以前の報告に相違がない。GelferらのTHAとTKA患者で旧型のcompression deviceを血栓予防にエノキサパリン40mgと同様に用いた報告では、THA後の患者の深部静脈血栓を有意に減らし、エノキサパリン群で40名中13名が合併症を認めたのに比べ、compression群では33名中合併症は0であった。
この研究の問題点は2群間の効果の違いを説明するには患者数が適切でないことである。Compression deviceを用いているため、盲検が困難であったことも問題であった。大きなランダム化前向き試験で、エンドポイントを静脈造影所見としていたため、我々のエコーによる方法は問題があったかもしれないが、エコーはアメリカで診断のスタンダードとなっており、リアルタイムの評価がより可能である。
結論としては、THA患者においてcompression deviceは低分子ヘパリン予防的投与と同等の静脈血栓イベントの発生率でありながら、大きな出血イベントを有意に減少した。
<論評>
術後の出血量については差があるということがわかった。間欠的圧迫法でも十分有用であると言うことが言える?のかしら?有意差のでない研究というのは本当に難しい。
しかし海外はわずか3日間でTHA後に退院させられるのね。
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