保存的に治療した橈骨遠位端骨折のギプス除去後に、アドバイスリーフレットとアドバイスビデオで促進されるリハビリテーションを、対面式の治療コースとRCTで比較した。
方法
保存的に治療された橈骨遠位端骨折の患者。ギプス除去後6週間の時点で対象とした。リハビリテーションの介入を、アドバイス・リーフレットまたはアドバイス・ビデオまたは対面式のセラピー・セッションの3つの方法のいずれに無作為に割り付けられた。
主要評価項目は、介入後6週目の腕・肩・手の障害(DASH)スコアで、副次評価項目は、6週目と1年目のDASH、DASH作業サブスケール、握力、可動域などであった。
結果
登録された120名のうち、116名(97%)。そのうち21名が追跡調査不能となり、その結果、6週間後の追跡調査では、アドバイスリーフレット群30名、アドバイスビデオ群32名、対面治療群33名となった。
6週間後のDASHでは、治療群間に有意な差はなかった(アドバイス・リーフレット対対面式治療、p=0.69、アドバイス・ビデオ対対面式治療、p=0.56、アドバイス・リーフレット対アドバイス・ビデオ、p=0.37、アドバイス・リーフレット対アドバイス・ビデオ対対面式治療、p=0.63)。
6週間後には、DASHの作業サブスケールを除いて、どの副次的評価項目にも差はなく、対面式セラピーがアドバイス・リーフレットよりも有効であった(p = 0.01)。
結論
保存的に治療した橈骨遠位端骨折のギプス除去後、リハビリテーションのためにアドバイス・リーフレットやアドバイス・ビデオを提供することは、対面式の治療コースと同等の患者報告アウトカムをもたらす。
<論評>
RCTですが、患者の組入が18歳から70歳と幅広く、おなじ橈骨遠位端骨折と扱ってよいの?というのが疑問です。
たしかにレントゲン写真評価と臨床評価は結びつかない骨折の一つですが、若年者でOAが残るような治療しても良いのとか、レントゲン写真評価ないけど大丈夫?みたいなツッコミが先にきて結果として素直に受け入れるのは難しい論文です。