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2012年4月20日金曜日

20120420 JBJS(Am) Operative vs nonoperative care of displaces midshaft clavicular fracrures : mera-analysis of RCT

caf-caf-caffine speeding through my veins

転位のある鎖骨骨折に対して手術をした方が良いのではないかと言うことが最近言われるようになってきた。そこで手術療法群と保存療法群の2群で機能予後と合併症の発生について調べることした。

方法
システマティックレビューを用いて鎖骨骨折について手術、保存療法のそれぞれの文献を調べた

結果
412例。6編の論文が該当した。偽関節は保存療法群で29/200。手術療法群で3/212と保存療法群で有意に多く発生した。変形治癒は手術療法群で1例も発生しなかったが、保存療法軍では17/200例発生した。

結論
手術療法は偽関節の発生を減らし、変形治癒の可能性を減らし、また機能回復も早い。と言う結果を得た。しかしながら長期予後について、手術療法群が保存療法群よりも勝るとした研究は殆ど無かった。

考察
研究の対象群となったのは活動性の高い若年男性であった。本研究では手術治療をおこなうことで、早期の社会復帰が可能となることがわかった。また偽関節、変形治癒などの合併症を減らすことができることがわかった。
1年後のDASHスコア、CSスコアを用いた機能回復の程度は5ポイントにとどまり、臨床的に意味があるとされる10‐15ポイントを下回る結果となった。この理由は多岐にわたるためよくわかrなかった。保存療法群での偽関節、変形治癒が発生する割合は23%にのぼる。しばらくの間機能評価は低いものの、長期間での機能評価ではある程度の結果が得られていることから保存療法軍でもより良く治療されていると言える。ただし、将来的に予後が悪そうだと言うとキには手術を行ったほうが良い。
治療に関わる合併症は手術群よりも保存群のほうが多かった。(29%と42%)。手術群で最もおおい合併症はインプラントトラブルであった。
保存療法群では有意に偽関節を発生しやすかった。
この研究の限界はいくつかある。まず、RCTのみでこのメタアナライシスを行ったが、コレは対象がだいぶ限定されている可能性がある。また筆者にその研究の詳細をきいたわけでもない。


【論評】
若年男性の転位のある鎖骨骨折に対しては手術療法を行ったほうが早期社会復帰ができる。ということでした。ハイ。
RCTを行えるような施設は限られておりますので、本研究がどこまで日常臨床に応用できるかは不明でありますが、十分考慮に値する結果にはなっているものと思われます。
高齢者はどうなのか?女性の場合は?と疑問は深まりますが、またココらへんは自分でも研究を進めていきたいものです。
メタアナライシスを自分で行えるようにするといいのかなあと感じましたので、少しそこら辺を勉強してみます。

2012年4月11日水曜日

20120411 JBJS(Am) Detection of THA at airport security checkpoints: How has heighted security affected patients?

Airport Security
JBJS(Am)の”Orthopadics forum”からです。

空港でのセキュリティーチェックは年々厳しくなっている。今まで人工関節を受けた患者がどのくらい空港のセキュリティーチェックに引っかかるかという研究は殆ど無い。この研究の目的は空港のセキュリティーチェックをTHAをうけた患者さんが通過するときどうだったか?を調べることである。

方法
250人のTHAを受けた後に飛行機に乗った患者さんに実際にセキュリティーチェックに引っかかったかどうかを尋ねた。どこの関節を入れ替えたかと尋ねられたか、いくつのセキュリティーに引っかかったか、体内金属の入っている場所で反応した回数、追加検査を受けたかどうか、文書による証明を要求させたかどうか、どれくらい不便だったかなどについて尋ねた。

結果
143人84%の患者で金属に反応があり、ゲートだけでなく別に管理官による個別検査が必要となった。25人の患者で個別検査に加えて別の身体検査が行われ、2人は服を脱いで手術痕を見せるように要求された。143人中99人が人工関節によって何かしらの不都合を感じることになった。

結論
9.11から空港のセキュリティーチェックが厳しくなってから、整形外科手術を受けた患者さんがそのデバイスによって何かしらの不利益を被っているということを示す興味深い研究である。
人工関節を入れている場合には前もって航空会社などに問い合わせておくと良いのかもしれない。


<論評>
僕自身時々患者さんから”今度飛行機に乗るから、英語の証明書書いてね”とお願いされることもありました。
ちなみに考察の中では”医師が書いた証明書を持っていても結局アラームがなって検査を受けるはめになる”とかいてあります。
と言うことは結局引っかかってしまうのですね。
僕が手術した患者さんたちが引っかかっていないことを願うばかりです。

材質にかかわらずアラームが鳴るということは一つオドロキでした。

ちなみにこの論文の結論は”もう、アラームはなっちゃうので、鳴ること自体をどうこうすることはデキないので、チェックポイントには余裕をもって早めに行っておくように患者さんにオススメする”だそうです。笑



2012年4月4日水曜日

20120404 JBJS(Br) The early management of patients w/ multiple injuries その6

多発外傷における骨折治療

Damage control surgery(DCS)は四肢の治療に時間を浪費することを避けるために選択されるsて手術方法のことである。DCSには4つのポイントが有る。1,出血のコントロール。2,脳圧、胸腔内、心嚢腔、腹部、四肢のコンパートメントの除圧。3,創のデブリードマンと内臓の処置。4,骨盤バンドを用いた骨盤の固定。骨折部の牽引とギプス固定。できるだけ侵襲を少なくして身体上のホメオスタシスを保つようにすることがDCSの目的である。骨折を治療する場合に、12時間から24時間以内に手術をするかどうかを決定するのをETC(early total care)、DCO(damage control orthopaedics)と言う。
ETCは受傷後24時間以内に最終固定を行うことを言う。このとき最も重要なのは手術前に蘇生は完全に終わっていることが前提となる。これは入院後6~12時間ではほとんどとりかかることはできない。ETCそのものは即時にすべての手術を行うことを意味しない。
ETCをおこなうか、DCOを行うかは全身状態によって決定する。この場合にはAIS(Abbreviated injury score)の様なスコアリングシステムが有用である。
いわゆるterrible triad:低体温、凝固異常、アシドーシスが存在するかどうかは常に考慮されなければならない。蘇生中は保温に努めなければならない。体温が35度以下、血小板が12万以下、INRが1.5異常、PHが7.25以下もしくはBase excessが5.0meq/lであればETCは行われるべきではない。
DCOは創外固定のみをさすのではない。牽引もひとつの方法として考慮される方法である。

【論評】
ETCとDCOの話ですね。日本でETCが出来る施設がだいぶ限られていますし。。。
自分がいる施設で何ができるかが重要であると思います。

2012年3月29日木曜日

20120329 JBJS(Br) The early management of Pts. w/ multiple injyries その4

骨盤骨折と尿道カテーテル留置

尿量の測定は腎機能の測定や、どの程度蘇生に反応しているかということを知る重要な情報源の一つである。尿道損傷は女性ではほとんど見られない。なので女性の骨盤骨折の患者では尿道カテーテル留置をおこなってもまず差し支えない。男性の骨盤骨折には尿道損傷を合併することがしばしば見られ、特に前後圧迫タイプの骨折によって引き起こされることが多い。
骨盤骨折があるときに、尿道カテーテル留置を行うかどうかというのは非常に議論のあるところである。尿道カテーテル留置によって尿道の部分損傷であったのを完全損傷にしてしまう恐れもある。経験上骨折の血腫内にカテーテルが挿入されることがある。この場合血腫と共に外に漏れ出した尿が排出されることがある。そして尿が排泄されるので術者が膀胱内に尿道カテーテルを留置できたと勘違いすることがある。このような勘違いはしばしば致命的な判断ミスを引き起こしたり、また血腫内への感染のリスクを伴う。
尿道損傷を診断するための身体所見はない。筆者の考えとして、一度は愛護的に尿道カテーテルの挿入を行ったほうが良い。この場合には慣れた術者が慎重に行うことが必要である。カテーテルから血尿が認められた場合には逆行性の尿道造影を行う必要がある。もし、尿道カテーテル挿入前から尿道損傷が疑われるような場合であれば最初から逆行性の尿道造影を試みたほうがよい。
逆行性の尿道造影が陽性。または尿道カテーテルの挿入が不可能だった場合には経験のある泌尿器科医をコールする。このあとどうするかという判断は非常に難しい。セルジンガー法を用いて恥骨上から尿道カテーテルを留置したり、場合によっては恥骨上から膀胱切開術を検討する必要がある。膀胱切開術を行う際には、骨盤骨折の最終内固定をいかに行うかという判断ができる整形外科医が泌尿器科医と相談をして皮切の位置を決める必要がある。

骨盤骨折と低血圧
重症骨盤骨折と低血圧を許容することはともに難しい問題である。整形外科の上級医と外科医との間で詳細な検討が行われなければならない。これらの患者ではたいてい凝固異常を灯っなっている。また大量輸血プロトコールが実施されている。このような場合の最大の問題は骨盤からの出血か、または腹腔内出血かを判断することである。
このような重症骨盤骨折の場合には通常行われるような腹部の診察は役をなさない。たとえ腹部所見が陰性であっても腹腔内大量出血の可能性は全く否定出来ない。
FAST(focused abdominal sonography for trauma)は偽陰性になりやすいので注意が必要である。すなわち、FASTが陽性であれば出血があるといえるが、FASTが陰性であっても出血がないとは全く言えない。
腹部CTは大量の情報が得られる検査方法である。ただし低血圧が続いてしまっているような患者でCTに行くことは困難である。どのタイミングでCTに行くかは経験のあるリーダーの判断による。CTがどれくらい初療室から離れているかということが判断をまた難しくする。
血圧が70以下であれば蘇生を優先する。
骨盤ベルトが大転子の位置に正しく装着されていればそのままの状態で開腹術を行う。骨盤骨折からの出血を先に止めるべきか、腹腔内出血を先に止めるべきかというのは一般外科医と協力のもと診療方針を決定しなければならない。骨盤骨折による出血は腹腔内からコントロールすることは難しく、腹腔外からのアプローチ、血管造影や塞栓術が考慮される。これは実際に診療にあたっているスタッフの判断による。もし、骨盤からの出血が続いており、血圧がそれなりに保たれているのであれば血管造影のうえ塞栓術を行うか、手術室へ行くかはその時その時の判断である。麻酔科医、放射線科医、整形外科医の間で相談してどうするかを決定する。血管造影室はたいてい手術室から離れた場所に設置されていることが多いので、患者をそこへ運ぶ、と決めた場合にはバイタルの変化に注意を払わなければならない。

2012年3月27日火曜日

20120325 JBJS(Br) The early management of pts w/ multiple injuries その3

AO Trauma Pediatric Fracture Course, Riyadh, 2010 重症骨盤骨折

重症骨盤骨折は生命を脅かすような出血をきたす。この時重い腹腔内損傷を合併している場合がある。病院前もしくは院内での死亡の原因は、30%が出血によるもので、15%が出血と頭部外傷の合併であった。出血源としては23%が大動脈、23%が胸部、23%が骨盤骨折、10%が腹腔内出血、7%が四肢からの出血であった。外傷にかかわる整形外科医はとくに骨盤骨折からの出血をいかに減らすか、その出血による死亡をいかに減らすかが重要となる。 初期治療はバンドの装着である。骨盤バンドの目的は骨折部の安定とタンポナーデ効果による止血効果である。凝血塊を壊さずにおくようにしておくと疼痛の軽減にもつながる。単純レントゲン写真は真っ先にとる必要があり、これによって骨盤骨折と腹腔内出血,内臓の損傷との鑑別を付けることができる。

骨盤バンド(pelvic binder)pevvic binderとは
骨盤バンドは骨性の骨盤輪をサポートする目的で用いられる。装着は非常に容易でイギリスでは病院外で装着したうえで搬送されてくる。このバンドを巻く位置は腸骨翼ではなく、大腿骨大転子部にまくことが肝であることを知っておく。こうすることでopen book型の骨折に対しても有効であるし、腹部への外科的アプローチも可能である。骨盤バンドにはいろいろなタイプのものがあるが、その効果はいずれも同じである。整形外科医であればどのタイプの骨盤バンドでも扱えるようにしておきたいものである。骨盤バンドが手元になければシーツラッピング、もしくは普通のベルトを用いる。しかしシーツラッピングは時間経過とともにその圧迫力が低下し、また普通のベルトは皮膚トラブルを起こすので両方とも注意が必要である。 病院への搬送前であっても、受傷機転から骨盤外傷が疑われ、ショック状態にあるような患者であれば骨盤バンドを装着することは合理的である。側方圧迫型の骨盤骨折では骨盤バンドの装着によって骨折部の転位が進行することは自明であるが、臨床的にこれによって有害事象が増えたとする報告はない。(そもそもバンドを付ける程度の侵襲よりも受傷そのものの侵襲のほうが大きいから

骨盤バンドの装着についての前向きの無作為割り付け試験は不可能である。しかしながら最近の観察研究によれば、骨盤バンドの装着によって有意に治療中の血圧が上がったとする報告がある。また骨盤の不安定性を60%減少させたとする報告もあり、その有効性はある程度認められる。

正面からの骨盤単純レントゲン写真は有用である。多発外傷の場合には胸部レントゲン写真と同時に撮像する必要がある。骨盤動揺性を調べる試験は無駄で、むしろ有害であるので行わない。それならば骨盤周辺に何かしらの傷がないかということを注意深く視診でおこなったほうがよい。

バインダーを付けた状態で撮像した場合には少し落ち着いてからバインダーを外して撮影を行う。

いわゆる”ログロール”はレントゲン写真が出来てくるまでは行わない。二次性の出血を助長する場合があり、この二次性の出血はコントロールすることが困難である。一般の鈍的外傷では緊急に処置を要するような骨盤後面のけがには乏しい。逆にテロで爆発に巻き込まれた場合には骨盤の後ろに大きなダメージを負っているのでチェックが必要である。ここは外科医としての常識を働かせて、必要であると考えたときにのみ緊急で廃部の確認を行う。

骨盤バンドの使用によって緊急に行う骨盤の創外固定の必要性は減少した。骨盤バンドが有効でないような病態では創外固定も有効でないことが多く、この場合には手術治療を含めて検討する。骨盤バンドの装着は最長24時間までとしておく。皮膚トラブルには注意が必要である。バンドの位置が常に正しいかは経時的にチェックを行う。脊髄損傷で麻痺を伴う場合には皮膚トラブルの発見が遅れることがあるので余計に注意が必要である。

2012年3月24日土曜日

20120324 JBJS(Br) The early management of Pts w/ multiple injuries

記念すべき200post目です。
なんだかんだ言っても外傷が好きな自分がおりますので、外傷に関連した最新のJBJS(br)を斜め読みしてみます。

抄録
この10年間で重症外傷に対する救命、早期の治療については大きな進歩があった。ドイツ、オーストラリア、アメリカのような国では重症外傷を受け入れるための救急サービスの再編成が行われ、救命センターでは日々集中した治療と研究が行われている。
紛争が続く中東では重症外傷に対する専門的な知見が大量に積み重ねられている。先の戦争では生命の危機にあったような兵士が今では生きていられるようになっている。そしてこの戦場での経験が一般市民に対しての治療にも反映されるようになってきている。
本研究の目的は重症多発外傷に対してのevidenceに基づいたガイドラインを一般整形外科医に向けて提供することである。ただし、このエビデンスはある医療圏の中で十分に経験を積んでおり、また人的資源が十分な所でのエビデンスであり、自分に与えられている医療資源を十分に勘案してエビデンスは用いてほしい。

・外傷チーム
多発外傷を受け入れる病院はいくつかの多発外傷チームを持っておく必要がある。このチームの人員は救命、外傷の評価を速やかに行う能力をもっている必要がある。このような外傷チームを作っておくと生命に危機が及んでいるような患者に対して速やかに治療を開始し、その救命率を上げることができることが知られている。
チームの中でよいリーダーシップを取ることも必要である。そしてそのリーダーはいくつかのサブスペシャリティを持っている必要がある。もし適切に訓練されているのであれば、アメリカやドイツでは一般外科医として訓練された外傷外科医がその役割を担う。イギリスやオーストラリアでは麻酔科医、一般外科医、整形外科医を含んだチームによって方針を決定する。またこの中には放射線医、脳神経外科医をも含む場合がある。経験のあるナース、麻酔補助士もまた重要な役割を担う。このようなメンバーによって多様な受傷をしている患者に対して適切に専門医にコンサルとして協力して治療に当たる。
外傷チームは患者の到着前には受け入れ態勢を整えておく必要がある。この受け入れ態勢の整え方はセンターによって違いはあるが、受傷起点、身体所見、解剖学的要素からどのようなチームを編成するかを決める。いくつかのセンターでは二段階に準備するシステムとなっており、”外傷チーム配置につけ”と”外傷チーム準備を開始せよ”と段階に分けていることもある。すべてのメンバーが自分の役割を前もって決定しておくべきである。整形外科医は重症骨盤外傷、セカンダリーサーベイにおいて重要な役割を担う。四肢外傷、脊椎外傷についても担当となる。整形外科医といえども、気道確保、胸腔ドレーンの挿入くらいはやれるようにしておくべきであろう。

Primary Survey
戦場以外の場所で吹き出すような大出血をみることは稀ではあるが、ないわけではない。戦場では気道確保と同様の重要度で止血が行われる。四肢においては直接圧迫法をまず試みる。もしあればターニケットを装着する。ターニケットは装着した時間を記録する。油性マジックで患肢に記載しておく。できるだけ早く手術室で止血を行わなければならない。手術室に待機しているチームは患者が運ばれてきたらすぐ手術できるように準備して置かなければならない。
気道確保、呼吸についてはAdvaned trauma life supportを参照すること。日本ならJATEC。頚部、脊椎、骨盤は移動の際には愛護的に行う。ケイツは硬性カラー、砂袋、、テープで固定。脊椎骨折の除外診断は安易に行わず、British orthopaedic association(BOA)のガイドラインかEASTのガイドラインにそって固定は外すようにする。

Circulation
外表性の出血はすぐ止血する。あまりにも大量の出血があるような場合には気道確保に優先する場合があってもよい。鼠径、腋窩、頚部などターニケットが使えないような場所では直接圧迫法にて止血する。市中で見られるような鈍的外傷ではほとんど見られないが、銃創ではよく見られるので覚えておいてもよい。この数年凝固因子を誘導するような外用止血剤が開発されている。これらの止血剤は3種類あり、凝固因子を集めるタイプのもの、癒着を促進するもの、凝固因子の前駆物質を供給するものである。これらの使用によって出血が早期に止めることが出来ればよいが、実際の使用についての臨床上の情報は殆ど無い。

その2へ続く

2012年2月29日水曜日

20120229 Up to date treatment of neck pain その2

ブログをご紹介いただきました!!

スポーツ整形外科医S. Uのブログ Sports Physician S.U Blog

産業医大若松病院の内田先生のブログです。
日本で股関節鏡といえば「内田先生」と名前が出てくるほどだと、ボクは勝手に思っております。笑
そんな先生にご紹介いただき、ブログの更新も捗ると言うものです。笑

お読みいただいた方はどなたでも何かコメントを残して頂ければ管理人もまたヤル気がでると言うものです。笑
よろしくお願い致します。

さてはて、先回の頚部痛の続きです。

--------------

6週間を越える頚部痛は一度放射線検査などでその原因について注意深く調べ無ければならない。
慢性の頚部痛に対する治療は様々なものが提唱されているがいずれも根拠が乏しい物が多い。運動と様々な治療の組み合わせによって神経症状のない頚部痛には対処していかなければならない。

・理学療法
理学療法はくりかえす頚部痛に対して基本的な治療の一つである。さまざまな運動療法と物理療法を組み合わせることによって患者が治療に依存しすぎずに自律して運動療法を行えるようになることが目標となる。

2001年のPhiladelohia Panelでのレビューでは様々な治療について評価が行われたが、固有感覚運動と運動療法にが有効であるというエビデンスが合った。牽引については余り効果がないことも同時に示されている。(その他の治療についてはどちらでもない、と言う結論であった。)
2006年のsystematic reviewは頚部痛に対するマッサージについては結論が得られないとしている。

運動療法の有効性を示す論文としては以下の様なものがあげられる。
・180人の就労女性に対して運動療法を指導したところ1年後には明らかに指導しない群よりも改善していた
・就労女性において運動療法やストレッチを指導すると、痛みはそれほどでもないが、可動域の回復が得られる
・頚部痛の患者で5セッションにわたる運動療法の提供は、短い期間の運動療法の提供よりも頚部痛の改善に効果がある

・牽引療法
牽引についてはその有効性は示されていない。

・脊椎のマニュピレーション、マニュアルセラピー(多分整体のようなものか??)
愛護的に行う脊椎のマニュアルセラピーについては有効であるとするシステマチックレビューが一つ有る。
急速な動きを伴うものについてはその有効性は?である。

整体単独での有効性はほとんどなく、運動療法との組み合わせによって効果があるとされている。

ただし、有効性と同時にその危険についても報告されているので注意が必要である。(麻痺、死亡例が海外にて報告されている)

有効性が明らかでない、高齢者の場合などでは整体は全く勧められない。

・薬物療法
三環系抗うつ剤の使用で慢性の疼痛が和らぎ、また不眠にも効果があるとされている。
新しくでた抗うつ剤であるSNRI(プロチアデン錠25®)はうつ状態にあって痛みを訴えるような倍には有効である。ガバペン®は頚部痛に対してしばしば使われる薬剤であるがそのエビデンスに乏しく、糖尿病性神経障害の様な頑固な痛みに使う場合がある。

・トリガーポイント注射
トリガーポイント注射に対してはほとんどエビデンスがない。しかしながら短期間、症状の改善が得られることがわかっているので効くと信じている人にとってはリスクの低い治療法の一つである。
ただし、ステロイドを使うと筋壊死のリスクを高めるので注意が必要である。

・ボツリヌス注射
頚部痛に対する有効性は示されていない。

・TENS(経皮的電気刺激療法)
有効な患者さんもいるが、エビデンスレベルは低い。

・低周波治療
有効な患者さんも一分居る。むちうち症候群の患者さんで一時的な疼痛軽減に役立ったとする報告がある。

・頚椎神経根内側枝ブロック(facetブロック)
facet由来の頚部痛かどうかを診断する際に用いられる。エビデンスレベルは高くない。

・神経高周波熱凝固療法
短期間疼痛除去に有用であるとする報告がある。

・鍼治療
鍼治療の有用性については諸説ある。のでその有用性について評価することは困難である。

・手術治療
慢性の頚部痛に対する手術法はない。

・気功
有効であるとする報告もあるが、さらなる調査が必要な段階である。

・低レベルレーザー治療
有効であるとする報告もあるが、さらなる調査が必要な段階である。

・認知行動療法
有効であるとする報告がある。


【論評】
頚部痛に対してのまとめ。です。
神経学的症候が出ている頚椎疾患に対しては手術治療というオプションを取ることができますが、手術治療が適応とならない患者さんに対してどのような治療を行うかということについて述べられています。
エビデンスレベルの高い、低いというのはあくまでその研究の妥当性を示しているだけであり、目の前の患者さんに対してどの治療を提供するかということが医師として求められているのだと考えています。
すなわちエビデンスレベルの低い治療であっても、そのことを意識下に置きながら患者さんにとって最もよい医療を何とかして提供することが必要なのだと思います。

2012年2月25日土曜日

20120225 Up to date Treatment of neck pain



頚部痛症候群

頚部痛の原因については、頚部捻挫、頸椎椎間板の痛み、頸椎椎間関節症候群、むちうち症候群などさまざまなものがあるが、まずはその重症度判定を行いいかに対応すべきかを決める。

まずは重症度判定をおこなう
・グレード1 明らかな臨床症状がなく、日々の生活もそれほど制限されない
・グレード2 明らかな臨床症状がないが、日々の生活に影響があるほどの痛み
・グレード3 神経症状をともなう(=神経根障害あり)
・グレード4 頸椎の不安定性や感染症など緊急に治療が必要な病態である

頚部痛に対する治療
頚部痛の原因は多岐にわたりまた複雑に絡み合っている。どの治療法も単独で他の治療法に勝るということもないので本人の症状の訴えの強さ、症状のある期間について勘案し、個々に適した治療を提供する。

急性期
・姿勢制御
姿勢について指導することは治療のなかでも重要な位置を占める。座位をとるときには肩と背中が同じ位置にくるようにする。運転中はアームレストなどをもちいて少し休めるようにする。キャリングケースや肩かけかばんは避けるようにする。

睡眠中の姿勢もまた重要である。小さな枕を首の下にひいて寝るようにするとよい。背中はまっすぐにして、太ももを少し持ち上げるように枕を入れる。頸椎が過度に伸展することは避けることが重要。

座りっぱなしでの仕事もよくない。パソコン業務、長時間の電話などは時間制限を行ったほうがよい。定義頸椎の自然な運動ができるように立ったりウオーキングをしたりすることを勧める。

・薬物療法
アセトアミノフェン、NSAIDsは軽度から中程度くらいの疼痛には有効である。とくに強い疼痛を訴える場合にはトラマドールやオピオイドの使用も考慮する

夜間のベンゾジアゼピン(デパス®)を使うことで、筋肉の攣縮による疼痛を軽減できるかもしれない。ただ、NSAIDsよりもエビデンスはない。日中も使用するようであれば5㎎を3回投与することを検討。

・運動療法
運動療法は可動域の保持と患者の活動性を保つためにも必要となる。頚部、肩甲骨周辺の愛護的なストレッチや運動を考慮する

写真のような運動をお勧めする。このほかには頸椎の前屈、後屈。肩の回旋運動などがある。

温めてから動かすほうがよい、ということをお勧めしておく。行うのは朝と夜寝る前の2回をお勧めしておく。症状がとれてからも週に3回は運動を継続するようにおすすめしておく。

・整体
急性期の疼痛に、整体が有効であるとするエビデンスはほとんどない。症状の悪化する可能性も考えれば、急性期の疼痛で整体はお勧めできない。保存療法に抵抗するような頚部痛で運動療法、薬物療法と並行して行うような整体であれば推奨できるかもしれない。

・頸椎カラー
頸椎カラーのルーチンでの使用はお勧めできない。ルーチンに使用すると日常生活への復帰を遅くすることが知られている。
頸椎のソフトカラーは安全でまた安価である為疼痛が強い時期には有効化もしれない。特に夜眠れないという場合には有効である。ただし装着はできるだけ短い時間にするように指導する。

・低レベルレーザー治療
原理も何もわかっていない。ただ、この治療が有効であるとする報告もあり今後さらなる研究が必要である。


慢性の頚部痛はまた次回。


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頚部痛についてのまとめ、です。
その疼痛のメカニズムがよくわかっていないということもあり、さまざまな治療法があります。
患者さんに合わせて提供していくしかないのかもしれませんね。

2012年1月11日水曜日

20120111 JBJS(Am) Procedural sedation w/ Propofol for painful orthopaedic manipulation in the ER compared w/ a Midazolam/ketamine regimen

Procedural sedation with propofol for painful orthopaedic manipulation in the emergency department expedites patient management compared with midazolam/ketamine regimen

U.S. Army Graduate Program in Anesthesia Nursing

この10年で救急外来で疼痛を伴う整形外科的な処置を行うときに、鎮静をかけることが普通となってきた。propofol(ディプリバン®)もmitazolam/ketamine(ドルミカム®/ケタラール®)はそれぞれ救急外来でよく用いられる薬剤である。本研究ではpropofolのほうがmitazolam/ketamienよりも救急外来で迅速に行えるのではないかという仮説を立ててみた。この研究では覚醒までの時間。鎮静にかかった全時間、鎮静に伴う有害事象について調査を行った。
方法
前向き無作為研究を行った。大学付属の高次救急医療センターというセッティングである。鎮静についてはトレーニングされた整形外科のレジデントとナースによっておなじプロトコールで行われた。鎮静時間と有害事象について記録した。
結果
60人の患者。平均年齢45±17歳。30人ずつの調査を行った。覚醒までの時間はpropofolが7.8±3.7分、mitazolam/ketamineが30.7±10.1分であった。(P<0.001)。総鎮静時間はpropofolが16.2±3.8分、mitazolam/ketamineが41.6±10.7分であった。(p<0.001)。呼吸抑制と血圧低下がpropfolで20%に認められ、mitazolam/ketamineは10%であった。
結論
propofolを用いたほうが救急外来では迅速に疼痛をともなう整形外科的処置を行うことができる。

考察
propfolを用いた方が迅速な鎮静、早期覚醒の点で有効であった。
ただ、両方共呼吸抑制がかかることがあるので経験の有るナースとチームを組んで行うことが必要である。血圧低下については今回の研究では起こらなかった。呼吸抑制が行ったときにはすぐに挿管できるような準備をしておくことも必要である。
この研究では比較的全身状態のよい患者ばかりを扱っているので、もともとの呼吸器疾患があるような患者では注意が必要である。

<<論評>>
最近の麻酔はすべてディプリバンで行われているのをみても、非常に優れた薬剤なのだろうなあと思います。
僕が麻酔の研修を受けた頃がちょうど過渡期でありました。。。
ぼくはドルミカムやイソゾールを使って鎮静をかけています。これはひとえに”使い慣れているから”ですね。
鎮静のかかりが悪かった時でもどれくらい薬剤を追加すればよいかを肌でわかっているというのがこれらの薬剤を選択している大きな要因です。
何かトラブルが起こったときにその対処方法を把握している方法を用いるべき、というのが僕の手技に対するスタンスですので、現在のところカエルつもりはありません。そんなに急いで鎮静からさます必要もないですし。
ただ、麻酔科の先生のご指導をいただけるのであればチャレンジしてみたいとも思いました。

2012年1月8日日曜日

20120108 JBJS(Am) Conflict of interest in the assessment of thromboprophylaxis after Total Joint Arthroplasty

Drug Money

抄録
人工関節置換術後に血栓予防薬を使用するかどうかと言うことはいまだ議論のあるところである。この問題を解決するためにエビデンスに基づいて以前の研究を調査を行った。エビデンスレベルがどのようにその結論に影響を与えうるか?利益供与(COI)がその研究に大きな影響をあたえ得ると言うことは良く知られている。本研究の目的は人工関節置換術後に血栓予防薬を使うかという研究と産業界にどれくらいスポンサードされているかをしらべ、その産業界からの関連を調べることである。
方法
pubmedにて2004-2010年までの人工関節と血栓予防薬についての論文を検索。検索された論文についてその金銭的な補助がどこから行なわれているのか、ということについて調べ、またその研究の結論が人工関節後の血栓予防薬の使用について”好ましい””中立的””好ましくない”の3つに分けた。
結果
71本の論文が渉猟された。うち52本が産業界からの資金援助を受けており、14本が受けていなかった。その他5本についてはCOIについて記載されていなかった。結論の質と、資金援助との間には相関があった。52本中わずか2本だけが人工関節後の血栓予防薬の使用について好ましくない、とするものであった。これに内して産業界からの資金援助を受けていない14本の論文ではうち3本(21.4%)人工関節後の血栓予防薬の使用について好ましくない、効果としてあきらかでないとする結論であった。
結論
人工関節術後の血栓予防についての論文の多くが産業界からの資金援助を受けていた。またその結論は多くがその薬剤の使用を推奨するものであった。

考察
人工関節術後に血栓予防薬を使うという研究の79%が産業界からの後援を受けていた。またその結論は全体にその使用が好ましいとするものが多かった。
これはまずひとつに出版バイアスがかかっている可能性がある。利益相反の有無に関らず、前向きな結果が出たものの方がそうでないものよりも採択されやすいということがある。第二に企業が直接的にその研究のプロトコールの作成や、アウトカム評価について関っていることもあるのかもしれない。
第3に研究者自身も無意識のうちに影響を受けてしまっているのかもしれない。
本研究にはいくつかの問題がある。まず、あきらかな利益相反だけを取り上げたことである。有形無形の様々な企業からの影響があり、それら全てを明らかにすることは非常に難しい。
また多種多様な血栓予防薬が使われている。
三番目にこれらの研究の主たるアウトカムに、症状をきたさない深部静脈血栓症の有無も含まれてしまっていることである。
4番目に企業からの後援を受けていない研究はいずれもその規模が小さく、誤差の可能性を否定しきれないものもある。
いくつかの雑誌ではCOIの有無がはっきりしないが、しっかりと記載するようにした方が良いと思われる。
いろいろ問題はあるかも知れないが、ガイドライン作成においては企業からの後援によってより先鋭的な結果が出ていることを踏まえるべきであろう。
企業からの後援があろうとなかろうと、これらの研究はしっかりと組み立てられており、今後の診療態度を決めるのには差支えがないものと考えられる。ただし常にCOIにも考慮することが必要であろう。


<<論評>>
利益相反(Conflict of interest:COI)は日本の学会での発表、論文でもこの数年でしっかりと記載するようになってきました。
この論文がおもしろいのは、今まで誰もCOIがどれくらい明らかになっているかなんていうことを調べるひとはいないところで調べたことですね。
確かに、血栓予防薬の使用について、僕自身も前向きな結論が良く出ているなあと感じていました。それを裏付ける結果でありました。
しかしながら、エビデンスが言われるこのご時勢。
一般にエビデンスレベルが高い研究(研究におけるバイアスができるだけ排除されている研究)としてもっとも有名なのが無作為割付二重盲検試験です。しかしながらこの試験のプロトコールを作成し、その被験者となる患者さんをノミネートし、全く研究と関係がない人にその評価をしてもらうと言うことを研究者個人、一医療機関で行なうことは現代医療では不可能です。それこそ症例数が足りない、というレビューを受けて日の目を見ない研究となってしまうでしょう。
このジレンマをどう解決するかというのは非常に難しい問題です。
ですので、本研究でも言われていたように、COIを明らかに記載することを義務付けることが必要です。
また、今回の研究結果は研究者だけでなく、研究結果を用いる臨床家がその研究結果に対してどのような態度をとって実際の診療行動に結びつけるのか?ということを同時に問われているのだと思います。
自分が普段エビデンス、と呼ばれるものに対してどういう態度で臨んでいて、そのエビデンスを患者さんに適応するときにどう扱っているかということを意識下において診療に臨むことが必要なのかな。と考えました。

2012年1月6日金曜日

20120107 JBJS(Am) Intra-articular injection of HA is not superior to saline solution inj. for ankle arthritis




足関節炎に対してヒアルロン酸の関節内注射は時々行なわれることがあるが、その有効性は証明されていない。さまざまな用量のヒアルロン酸の注射によって改善したと言う報告があるが、妥当性の高い研究は少ない。本研究の目的は足の変形性関節症に対してヒアルロン酸と生食とで比較したものである。
方法
対象は64人のクライテリアを満たした患者。2.5mlの低分子量のヒアルロン酸の注射もしくは2.5mlの生食の注射を行なった。二重盲検としてある。主たるアウトカムは6週後、12週後のAOFASの臨床評価とした。二次アウトカムとして変形性足関節スコアとヴィジュアルアナログスケールによっての疼痛評価を行なった。
結果
8人の患者が脱落。1.6%の患者に有害事象が起こった。AOFASの平均値は6週、12週の時点で二つの群に有意差は認められなかった。
結論
変形性足関節症に対して低分子のヒアルロン酸関節内注射は生食の関節内注射よりも有効であるといえない。

考察
変形性膝関節症に対するヒアルロン酸の関節内注射は1997年にFDAに認可された。以後いくつかの質の高い研究が行なわれ、変形性膝関節症に対するヒアルロン酸の関節内注射はその効果と安全性が確かめられている。
しかしながら現在まで変形性足関節症に対するヒアルロン酸の関節内注射についての研究はほとんど無かった。
他の研究者が行なった変形性足関節症に対するヒアルロン酸の関節内注射の研究でもその有効性を示すことができていない。(無作為試験でない、もしくは盲検化していないと言う条件だと有意差がでる)
本研究で有意差が出なかった原因としては、投与したヒアルロン酸量が十分でなかった可能性。生食のプラセボ効果が大きく出た可能性、ヒアルロン酸がそもそも効いていない可能性がある。
膝と足関節の違いとしては、膝が一次性の変形であるのに対し、足関節は外傷後の二次性変形の結果であることが影響しているのかもしれない。また膝の軟骨面積が1120平方ミリメートルなのにたいし、足関節は350平方ミリメートルに過ぎない。これも影響しているのではないだろうか。
投与方法のレジメをかえるともっと効果が出るのかも知れない。年齢による影響もあるのかと考え年齢調整を行なったが差が出なかった。
結論として変形性足関節症に対してヒアルロン酸の関節内注射は生食の関節内注射よりも有効であるとはいえない。

<<論評>>
ヒアルロン酸の関節内注射は効くのか?というお話です。
なぜ膝に効いて足関節に効かないのかというところで軟骨面積がでていました。肩関節、肘関節などでも同じように調べてみても面白いのかも。
僕個人としては、年齢による差がでるのか?と言うのが気になりました。膝でも65歳以上、65歳未満で分けて調べてみても面白いのかも知れません。



2011年12月24日土曜日

20111224 Up to date Vitamin D insufficiency and deficiency in children and adokescents

ご無沙汰しております。
JBJSも良いですが、少し視点を変えて、骨・関節に関わりのある全身疾患について勉強してみたい!と考えました。

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Summry and recommendation

・母乳で育てられた乳児、ベジタリアンの肌の浅黒い小児、高い緯度の地域に住んでいる小児、吸収障害があるような疾患をもつ小児はビタミンDの不足の危険群である。
・上に記したような状態に当てはまる小児はビタミンDの毛中濃度を測定した方が良い。その際、スクリーニングとしては25(OH)Dの値を測定するとよい。
・ビタミンDの基準値はまだしっかりと定義されたものはないが、以下のような基準で判断する。
   ・25(OH)D>20ng/ml(50nmol/L) ビタミンDが十分足りている
   ・16ng/ml(40nmol/L)<25(OH)D<20ng/ml(50nmol/L) ビタミンDが十分ではない
   ・25(OH)<15ng/ml(37.5nmol/L) ビタミンD不足

・すべての小児(学童期を含む)は、一日少なくとも400ユニットのビタミンDを摂取すべきである。現在アメリカ医学研究所では生後から18歳までの間、600ユニット以上の摂取を推奨している。ビタミンD不足の危険が高い群では25(OH)Dが十分量に達するまで摂取する。
・おもに母乳で育てられた乳児については一日400ユニット分のビタミンDサプリメントを摂取するように推奨する。一日1000ml以上の母乳を摂取出来ていない限りはサプリメントを摂取した方がよい。完全に母乳だけで育てられている場合には母体の摂取量が一日4000-6000ユニット摂取していれば避けられるかもしれない
・乳児、小児で25(OH)Dが20ng/ml以下であれば、ビタミンD補充療法が勧められる。年齢、不足量に応じて1000-7000ユニットの間で6週間の連続投与を行った。維持量として400-1000mgの投与を行う。
・適宜フォローアップの採血を行う。
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骨密度は1~4歳、思春期にスパートをかけて増加することがしられています。(2011骨粗鬆症ガイドラインより)
ビタミンDは腸管からのカルシウム吸収促進、腎でのカルシウム排泄抑制に働きます。ですので小児期にビタミンDの不足は将来的な骨粗鬆症の可能性を惹起する危険性があると考えます。

長期的なコホートが可能であれば、ビタミンDが不足している小児が低骨密度となる、ということが追えるとよいのになあと思いました。

ビタミンDの投与はアメリカでは強く推奨されていますが、日本ではその測定も自費であることから進んでいないのが現状かと思います。
小児整形外科の分野で日本でのビタミンD量についてのデータ。日本人でビタミンDをサプリメントとして摂取することが必要なのかどうかという研究をしてみるのも面白いかと考えました。

2011年8月19日金曜日

20110824 JBJS(Am) Evidence based orthopaedics: Bisphosphonate use for >5 yrs increased risk for subtrochanteric or femoral shaft fractures

閉経後の女性で長期間にわたってbisphosphonate(以下BP剤)を服用していると転子下骨折、または骨幹部骨折のリスクが高くなるか?

カナダのオンタリオ州で行われた地域ベースの症例対象研究。7年間フォローされた。

症例はBP剤を飲んでいて大腿骨転子下骨折、骨幹部骨折を起こした68歳以上の205,466人。コントロールとしてはそのような骨折を起こしていない5人を年齢をマッチさせてそれぞれ割り当てた。
骨軟化症、甲状腺機能異常、てんかんなどの既往がある場合には除外した。
 
研究の参加者をBP剤の内服期間に応じて、長期(5年以上)、中期(3-5年)。短期(3年未満)の3群にわけた。これらをそれぞれ内服して100日未満のグループと比較を行った。

primary outcome は大腿骨転子下骨折、骨幹部骨折で入院したかどうか、secondary outcomeとしては骨粗鬆症による大腿骨頚部骨折、転子部骨折による入院とした。

結果
7年間フォローしたところ、BP剤を飲んでいる高齢者は全体の0.35%、716人が大腿骨転子下骨折、または骨幹部骨折で入院した。5年以上内服した群では大腿骨転子下骨折、骨幹部骨折のリスクが高くなった。secondary outcomeとしては9723人が大腿骨頚部骨折、転子部骨折で治療を受けた。長期間内服したほうが骨折のリスクを減らせる(0.76CI 0.63-0.93)が、短期間内服ではそれほどの意味はなかった(0.93CI 0.81-1.07)。

結論
5年以上のBP剤の内服は大腿骨転子下骨折、骨幹部骨折のリスクを高くする

今回の結果から導かれたこと
・BP剤の長期投与を行ったほうが骨粗鬆症による骨折を減少させることができる
・5年以上の内服を行った群のみで非定型的な骨折が起こりうる。(500人中1人くらい)
・非定型的な骨折自体は稀であるので、その治療効果とリスクとを天秤にかけて使用すること


<論評>
一時期話題をさらったBP剤による大腿骨転子下骨折と骨幹部骨折の話の大規模な研究です。
僕の意見も結論と同様です。可能であれば積極的に治療を継続する以外にはないと思っています。
リスクが上がるといっても、転子下骨折をおこす!ということを予見する方法がない限りは、難しいですよねええ。

2011年8月6日土曜日

20110806 JBJS(Br) Operative vs non-operative treatoment of acute rupture of tendo achillis

アキレス腱断裂はスポーツ好きの中年に良く発症する外傷である。治療方法としては再断裂が少ないという理
由で手術治療がすすめられることが多く、また最近では経皮的に縫合する方法も散見される。
しかしながら最近のメタアナライシスでは手術治療でも、保存治療でもその治療成績には差がない、とする報告がある。早期復帰についてもその成績は同等であった。とされている。
今までの報告は合併症に焦点を当てて報告がなされていたが、今回は機能予後について注目して、手術療法と保存療法の二つを比較検討してみた。

Patient:60歳未満。受傷後10日未満で、RA、腎機能障害、ステロイド注射などの他の治療を受けていない患者80名
手術群か保存療法群かはカードを引いて決定

Setting:イギリスの900床以上の大病院での単施設研究

Intervention:
手術群は観血的に皮切を加えて吸収糸で縫合。術後は完全尖足位で4週間、半尖足位で2週間。ギプス除去後から全荷重可
保存療法群は4週間の完全尖足位ギプス、4週間の半尖足位ギプス、2週間の中間位ギプス固定を免荷で行った。

評価はVAS、関節可動域、トルク、筆者がShort muskleskeletal function assessment questionare(SMFA)を用いて評価した。

1年間にわたるフォロー。12週、16週、26週、52週で評価を行った。
Result:
Intention-to-treatの原則に従って結果を評価。
患者背景に有意差なし。
VAS有意差なし。
足関節可動域は3カ月までは変わらなかったが、半年後には手術群の方がわずかに良かったが、有意な差を呈するには至らなかった。
トルク(筋力)はほとんど差が生じなかった。
SMFAは3カ月の時点で有意な差を生じたもののそれ以降は同様の成績であった。
再断裂率は手術群5%、保存療法群10%で有意な差にはなりえなかった。

結論:手術をした方がよいという積極的な根拠を認めるには至らなかった。ルーチンに手術療法を行うことはおすすめ出来ない。

<論評>
少し前から言われていたことの追試、といった役回りでしょうか。
これ以外の患者群の設定の場合にはどうなるかということは分かりませんが、一般的には手術を強くおすすめすることは無くなってゆくのでしょうねえ。

2011年7月21日木曜日

20110721 整形外科と漢方



整形外科は”痛み”と向きあうことの多い科です。
痛みは他覚的に評価することが困難です。またその原因もはっきりしないことも多いです。

整形外科は数多くある運動器疾患の痛みのうち、治せる一部のものを取り扱っています。
それは同時に、多くの”手術では治ることのない痛み”の患者さんが大勢いることを意味します。

僕はこの田舎にいて、”治せない”患者さんと多く向き合ってきました。
MRIで脊柱管が狭くないのに両下肢がしびれてしまっている人。
多発圧迫骨折後で慢性の腰痛を抱えている人。
90歳を超えた末期の両変形性膝関節症の人。

現代医療から外れてしまい、治療法がない人たちに、違った見方から何かしらの医療を提供できないかと考えて、今回は漢方について勉強してみました。

漢方の最大の問題は”エビデンスがない”ことです。

漢方の処方を僕達整形外科医が行うときには、まず、一般的に成績の得られているエビデンスがある治療を提供すべきと僕は考えます。
それでもダメなときのオプションとして、隠し持っておく意味はあるかなと思って提示しました。

皆様のご意見いただければ幸いです。

2011年7月20日水曜日

20110720 Up to date Acute compartment syndrome 続き

ACSの解剖と臨床症状との関連



下腿は4つのコンパートメントに分かれる。前方、外側、後方、深部後方。
前方コンパートメントは最もACSが起こりやすい。4つの伸筋腱、前脛骨動脈、深腓骨神経を含む。
前方コンパートメントACSが起こると第1趾、第2趾のつま先の感覚低下、足関節の背屈が困難になり、時間経過と共に下垂足、鉤状足となる。
外側コンパートメントは足関節の外転、腓骨動脈、浅腓骨神経、深腓骨神経の近位を含む。深腓骨神経が傷害されると前方コンパートメントと同様の症状が起こる。浅腓骨神経の障害では下肢、足の感覚低下が起こる。
深部後方コンパートメントは足底の底屈、後脛骨動脈、ひ骨動脈、脛骨神経を含む。このコンパートメントの障害では足底の感覚低下、足指の屈曲力の低下、他動的に足指を曲げると疼痛が誘発されるといった症状がある。
後方コンパートメントでは神経血管束を含まない。この部分でおこるACSは頻度が低い。

(前腕、大腿についても記載がありますが、読者の皆さんが希望されれば提示します。笑)


ACSの臨床症状
起こりうる症状
・我慢できないほどの痛み
・長く続く深部の焼け付くような痛み
・感覚障害(ACSが発症してから30分から2時間程度で発現)

他覚所見
・コンパートメントに関連する筋を他動的に動かすと疼痛が誘発される
・触診で”木材を触るような”感覚がある
・動脈の拍動低下(ほとんどみられない)
・感覚の消失
・筋力低下
・麻痺

一般に古来から言われるACSの5P(pain, pallor, pulselessness, paresthesias, paralysis)は正しくない。
Systematic reviewで感度、特異度とも低いことが分かっている。コンパートメント圧の測定のみが確定診断に役立つ。
”我慢できないような疼痛”はACSの早期の発見に役立つ。しかしその特異度はあまり高くない。
患肢の屈曲による疼痛の誘発はACSの診断に有用であるとされているが、再現性に乏しい。圧痛はコンパートメントの上昇を示唆するが、深部コンパートメントの診断には役立たない。
神経学的所見としては、ACSとひ骨神経麻痺との鑑別が難しい。2点識別能の低下はACSの可能性が高いとされている。
筋力低下は外傷があると評価困難である。

臨床的に信じられているいくつかの誤解を下記に記す
・開放骨折ではACSにならない
・酸素飽和度の値を測っていれば良い

血液検査の値でACSを診断することは出来ない。CKが上がっていれば横紋筋融解を起こし、そのためにACSを起こす可能性はあるといえる。

測定方法

ACSの危険性があると考えられるような症例では継続的に繰り返しコンパートメント圧を測定する必要がある。
直接法と間接法がある。
直接法はコンパートメントに直接針をさして行う方法
間接法は正常コンパートメントが0-8mmHgであることを利用して、
・末梢毛細血管が20mmHgで阻害される
・20-30mHgまで圧をかけたら疼痛が誘発される
・30mmHgまで圧をかけたら虚血になる
ことを観察する方法である。

治療はとにかく覆っているものをなくすことが肝要である。
どのコンパートメント圧で筋膜切開を行なうかということについては一定した見解はない。

2011年7月19日火曜日

20110719 週間医学界新聞より サンプルサイズの計算方法

http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02937_06


週間医学界新聞さんへのリンク 
  
週間医学界新聞に統計についての面白い連載が載っているのでご紹介します。

今回はサンプルサイズの計算方法です。

いまやこんな便利ソフトまで出ているのですねえ。ビックリです。

コレをつかって、後は論文を書くだけですねえ。。。。。笑

2011年7月18日月曜日

20110720 Up to Date. Acute Compartment Syndrome

コンパートメント症候群はいつ、どうやって切るか、ということを自信を持って他の人に伝えることが出来ませんでしたので、権威の力を借りてコンパートメント症候群にいかに対応するかについてまとめてみたいと思います。

Summary & recommendations

・急性コンパートメント症候群(以下ACS)は何らかの原因で筋膜内の圧を逃がすことが出来なくなり、コンパートメント内の圧が上昇して阻血障害や、組織の機能障害を起こしうる病態である。ACSは外科緊急疾患である。
・ACSは下肢の骨折、前腕の骨折などの重症外傷にともない早期に発症する。また、軽微な外傷、もしくは外傷が全くないような症例でも生じうる。(例としては、虚血性障害、凝固障害、動物咬傷、薬剤の点滴漏れ、長い間の下肢の圧迫など)
・ACSでは進行する耐え難い疼痛が早期の症状として現れる。これは筋の腫脹のためにおこる膜の伸張による疼痛であると考えられている。ACSは急速に進行していくが、多様な症状は数時間経ってから出現する。診断を確定させようと待つことは患者を危険な状態にしておく、ということになる。
・ACSが疑われるような症例ではコンパートメント内圧を測定すべきである。一度測定し、その値が正常であったとしてもそれはその瞬間には値が低くても、進行する直前であるかもしれない。つまり値が正常であったもがACSを除外診断できた、ということにはならない。重要なことは、ハイリスクの患者であれば継続して何箇所からでも測定を行なうことである。
・コンパートメントの正常圧は0-8mmHgである。大体20mmHgを越えたあたりからACSの症状や兆候が現れてくる。しかし、その兆候が現れてくるまでの圧は様々でもともと高血圧をもっているような患者では末梢神経障害が起こるまでにより高い圧を必要とするし、一方、四肢の虚血性疾患を合併しているような患者ではより低い圧でACSが起こりうる
・どれくらいの圧になれば筋膜切開をするべきかというコンセンサスは得られていない。ある専門家は収縮期血圧と測定したコンパートメント圧の差を、また別のある専門家は拡張期血圧とコンパートメント圧の差を使っている。その差も20mmHgとするか、30mmHgとするかも分かれている。
・ACSの治療は、すべてのコンパートメントから、コンパートメントに圧をかけているものを除去することである。ギプス、シーネなど覆っているものは除去されなければならない。下肢は決して挙上してはならない。鎮痛薬の投与と酸素投与も行う。低血圧になると灌流が低下するので生食の持続投与を行う。
・多くの症例で、筋膜切開を行うときには、関係すると考えられるすべてのコンパートメントの開放を行うことが最終的な治療となる。筋膜切開をためらうことは機能障害の残存につながる。

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・コンパートメント症候群(ACS)の疫学
ACSは一般的に骨折をともなうような大きな外傷で起こるが、小さな外傷もしくは外傷の内容な症例でも起こりうる。一般的に前腕、下腿で好発するが足、大腿、臀部などでも起こりうる。
・ACSは35歳以下で起こりやすい。若い男性は大きな事故に合いやすく、また筋量がおおいことがACSの起こりやすさに関連しているのかもしれない。

ACSの75%に骨折を合併している。粉砕型の骨折であること、脛骨の骨折であることがリスクを高くする。
脛骨骨折の1‐10%にACSを合併する。ついで前腕にACSは起こりやすい。特に小児では上腕骨顆上骨折に合併するACSが多い。

開放骨折、閉鎖性骨折のいずれに関わらずコンパートメント症候群は起こりうる。骨折の治療をできるだけ早期に行うことが必要である。
非観血的骨折整復術をおこなうと、コンパートメント圧が上がっていたコンパートメントの圧を低下する効果がある。ある観察研究では、撓骨遠位端骨折で整復をおこなった例では整復直後にギプスを巻くまでの間でコンパートメント圧は最大になる。第二のピークは4時間後に現れ、その後徐々に消退していくことが知られている。過度のギプス固定はコンパートメント圧を上げる。
観血的な骨折の整復固定はコンパートメント圧を上昇させうる。脛骨髄内釘挿入時にはコンパートメント圧は髄内釘挿入時に最大となり、以後36時間かけて減圧していく。撓骨遠位端骨折術後では24時間程度で減圧する。

骨折を伴わないACS
・直接外力
・熱傷
・過度にきつくまいた包帯
・穿通外傷
・四肢血管へのダメージ
・その他軽微な外傷

外傷のないACS
・再灌流障害
・凝固障害
・ネフローゼ
・点滴、注射薬の血管外漏出
・動物咬傷


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長いので次回に続きます。笑

2011年7月14日木曜日

20110714 Up to date. principles snake bite

ブログの管理人です。
必要に迫られましたので読んでみました。(笑)



Summary and recommendation
・初期治療の目的は、蛇毒の全身への拡散を遅らせながら、一刻も早く病院へ連れてゆくことである。
・圧迫固定法は全身症状の出現や、壊死などの局所所見があるときにのみ用いたほうがよい

様々な臨床症状が問題となるが、主要な問題としては神経毒、ショック、凝固異常、横紋筋融解と腎不全の出現である。

その地方ごとに蛇の種類について知っておくことが重要である。もし蛇咬傷の治療経験に乏しいようであれば専門家に早めに相談するほうがよい。蛇の種類に応じて臨床症状、血液検査などをおこなってゆくとよい。

抗血清の使用についてはその益と害についてよく検討された上でなされなければならない。局所の症状が著しい場合や全身症状の出現など、投与したために生じる有益性が害を上回る際以外には投与しない。

専門のWebサイトで調べたり、聞いたりすることが重要である。

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・野外で行えること
できるだけ速やかに適切な医療機関に搬送することがもっとも重要である。

基本原則
-蛇の縄張りから傷病者を脱出させること
-受傷部位を心臓より低く保ち、安静を保つこと
-持っている薬剤などの情報提供ができるようにしておくこと
-もし可能であれば、デジカメなどで蛇体の一部でも写真に撮れるとよい。死んでいても決して蛇には触らない。(死んだ直後だと咬む反射が残っているため)
-とにかく早く病院へ運ぶことが重要

圧迫固定は全身症状が出現している場合、壊死などの重篤な局所所見が生じている場合に考慮すべきである。

口や、機械的に毒を排出することは推奨されない。ターニケットによる阻血も神経障害を悪化させるだけであるので行わない

・病院で行うこと
蛇の種類、それぞれの蛇毒によって起こりうる症状に応じて対応する

まず牙痕の確認。局所症状に乏しい場合もある。重症な全身症状が、嘔気、腹痛、頭痛などの非特異的な症状から発症することがあるので十分な注意が必要である。
各毒による特異的な症状
・神経毒:複視、眼瞼下垂、進行性の球麻痺
・凝固異常:凝固亢進、線溶系の低下ともいずれとも起こしうる。血液検査を継時的に行うことで評価可能である。
・血圧低下、ショック
・横紋筋融解:CK上昇、高カリウム血症の存在。尿検査で潜血反応が見られた時には注意が必要
・腎機能低下:蛇毒、血圧低下、横紋筋融解など様々な原因で腎機能低下が起こりうる。12歳以下、抗血清の投与が遅かった場合、CKが2000以上になった場合には腎機能低下をきたしやすい。90ml/h以上の補液を行う必要がある。

症状が乏しくてもとにかく慎重に経過観察が必要である。周囲の医療環境を勘案してそれぞれの医療施設ごとでの帰宅許可基準の作成が必要である。

酸素投与は神経毒による呼吸不全の症状をマスクしてしまう可能性があるので、ルーチンには行わない。
抗生剤のルーチンな投与は疑問がのこる。RCTでは感染、膿瘍の形成を低下させたというデータはない。

抗蛇毒血清についてはその投与については慎重でなければならない。(高い確率で何かしらのアレルギー反応をきたしうる)
・ショック、凝固異常のような明らかな全身症状が出現しているとき
・壊死などの重篤な局所障害が出現しているとき
にのみその使用を考慮

血清を使用したさいにおこる有害反応は下記の3つのパターンがある
・急性のアレルギー反応
・発熱反応
・血清病

これらの反応を予防するために1、ボスミンの事前皮下注。2、抗ヒスタミン剤の事前投与などにはその有効性はない。
ただ、何が起こってもよいようにボスミンを手元に準備しておいてから血清は投与すること。

それぞれの病変への対応
・局所
筋膜切開は明らかなコンパートメント症候群の兆候が表れるまでは行う必要はない。
・神経症状
呼吸筋麻痺に伴う症状が問題となる。呼吸数の低下などに注意が必要。挿管などの準備をしておく
・凝固異常
血清の使用なしには凝固異常の改善は望めない。発症したら血清をまず使用。そのうえで血漿交換などを考慮。ヘパリンの投与は有用ではない。
・血圧低下
必要に応じてIVHを確保
・横紋筋融解
しっかりと生食で補液を行う。マンニトールの使用は特に有用ではない。
・腎機能低下
循環血症量の保持。必要に応じて透析を考慮。

<追記>
ジャパンスネークセンター(㈶日本蛇族学術研究所)のHPの中にある”ヘビ百科”がよくまとまっているのでそちらも参考にしてください。電話しても詳細に教えてくださるそうですので日中であれば考慮すべき価値があるかと思います。

2011年6月22日水曜日

20110622 JBJS(Am) Radiation exposure issues in orthopaedics




整形外科領域の被曝としてはCTとC-armによるものが問題となる。

C-armを使って仕事をしている整形外科医は病院内で放射線を利用している部署の5倍も癌死が多い。
FDAからも不要なCTの撮像、透視の使用を減らすこと、シンチグラムなどを減らすようにアナウンスしている。
実際の対応方法
どれくらいまでの被曝量なら大丈夫か、という点についてはいまだ議論の残るところであるが、被曝量を低減することやその方法について知っておくことは必要である。
被曝線量を減らすためには”DEBT”の4つの要素に気を配ることが重要である。
D:Distance ,E:Exposure, B:Bareer, T:technique
D:distance and positioning
まずは線源から距離をとることが重要である。放射線はほとんど直進するが、一部分散している。放射線量は距離の2乗ずつだけ減衰するので、2倍距離をとれば放射線量は1/4となる。昔から”6フィート(約2m)線源から離れなさい、こうすれば放射線のリスクはゼロになる”と言われているが、最近の研究によればその格言に従うと、20フィート(約6m)はなれた場合の40倍の放射線量を浴びているということとなってしまう。
道具の使い方をいくつか工夫するだけで放射線量の低減につながる方法がある。
放射線の発生する側をテーブルの下に回すこと。イメージインテンシファイアと患者側と同じ側に立つと劇的に被曝量が減少する。
この方法は容易に行うことができ、全身の被曝量低減には有効である。しかしながら体の保護されていない小さな部分ではかえって被曝量が上がることがある。そこで、適切なポジショニングを行うことでスタッフの被曝量を減らすようにしなければならない。
Carmの弧の中の放射線量は極めて高い。イメージインテンシファイアと透視部位との距離をなるべく近くすることで被曝量が減少する。

1センチでもいいので、放射線源から離れるような努力が必要である。古くから言われている先に記載した”6フィートルール”で、十分なほど線量の低減は得られるものの、全くゼロではないと言う事をキモに銘じておく必要がある。

E:Exposure
どの程度の時間被爆するとどれくらいの影響があるのか、と言う事については分かっていない。しかしながら透視の時間を減らすようにすると被曝量が低減するというのは本能的に理解できる。
そこでとりうる方法としては連続で透視を出しっ放しにするのではなく、スポットタイプのものに切り替えるとよい。アラームは5分ごとになるようなものを採用したほうが良い。オペレーターがイメージの画面を見ていないときにはスイッチを入れっぱなしにしない、という工夫だけで十分な放射線量の減少が得られる。

B:using of Barrier
鉛入りのエプロンを使用することは有用である。1mmの鉛の暑さがあれば90%の散乱放射線を防ぐことができる。しかし鉛のエプロンですべて防護できるわけではない。
片付け方が悪かったり、折り曲げてしまってしまうとその防護効果は減少してしまう。AAOSの最近の報告では30‐60%程度しか被曝量が減少しなかった、と言う報告もある

Carmを操作する人が被曝量の低下では最も重要な役割を担う。鉛の板や、コリメーターと言った器械を使うことで少しでも放射線の減少に努めなければならない。散乱放射線がこのような機器を使うことで減少するため患者全体への被曝量も低減することが予想される。

T: Technique
既に分かっているところではイメージを使わないようにする。
倍率を上げる機能を使うと放射線量が多くなるのでできるだけ使わないようにする。




<論評>
少しの工夫でだいぶ被曝量は下がるようです。

この対策を実施する前と実施したあとでどれくらい被曝量が変化しているか調べてみると良いと思います。

また術中CTなどはものすごい被曝量になっているのではないでしょうか。一度ガイガーカウンターを持っておじゃましたいところです。笑