2011年8月6日土曜日

20110806 JBJS(Br) Operative vs non-operative treatoment of acute rupture of tendo achillis

アキレス腱断裂はスポーツ好きの中年に良く発症する外傷である。治療方法としては再断裂が少ないという理
由で手術治療がすすめられることが多く、また最近では経皮的に縫合する方法も散見される。
しかしながら最近のメタアナライシスでは手術治療でも、保存治療でもその治療成績には差がない、とする報告がある。早期復帰についてもその成績は同等であった。とされている。
今までの報告は合併症に焦点を当てて報告がなされていたが、今回は機能予後について注目して、手術療法と保存療法の二つを比較検討してみた。

Patient:60歳未満。受傷後10日未満で、RA、腎機能障害、ステロイド注射などの他の治療を受けていない患者80名
手術群か保存療法群かはカードを引いて決定

Setting:イギリスの900床以上の大病院での単施設研究

Intervention:
手術群は観血的に皮切を加えて吸収糸で縫合。術後は完全尖足位で4週間、半尖足位で2週間。ギプス除去後から全荷重可
保存療法群は4週間の完全尖足位ギプス、4週間の半尖足位ギプス、2週間の中間位ギプス固定を免荷で行った。

評価はVAS、関節可動域、トルク、筆者がShort muskleskeletal function assessment questionare(SMFA)を用いて評価した。

1年間にわたるフォロー。12週、16週、26週、52週で評価を行った。
Result:
Intention-to-treatの原則に従って結果を評価。
患者背景に有意差なし。
VAS有意差なし。
足関節可動域は3カ月までは変わらなかったが、半年後には手術群の方がわずかに良かったが、有意な差を呈するには至らなかった。
トルク(筋力)はほとんど差が生じなかった。
SMFAは3カ月の時点で有意な差を生じたもののそれ以降は同様の成績であった。
再断裂率は手術群5%、保存療法群10%で有意な差にはなりえなかった。

結論:手術をした方がよいという積極的な根拠を認めるには至らなかった。ルーチンに手術療法を行うことはおすすめ出来ない。

<論評>
少し前から言われていたことの追試、といった役回りでしょうか。
これ以外の患者群の設定の場合にはどうなるかということは分かりませんが、一般的には手術を強くおすすめすることは無くなってゆくのでしょうねえ。

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