2011年8月19日金曜日

20110824 JBJS(Am) Evidence based orthopaedics: Bisphosphonate use for >5 yrs increased risk for subtrochanteric or femoral shaft fractures

閉経後の女性で長期間にわたってbisphosphonate(以下BP剤)を服用していると転子下骨折、または骨幹部骨折のリスクが高くなるか?

カナダのオンタリオ州で行われた地域ベースの症例対象研究。7年間フォローされた。

症例はBP剤を飲んでいて大腿骨転子下骨折、骨幹部骨折を起こした68歳以上の205,466人。コントロールとしてはそのような骨折を起こしていない5人を年齢をマッチさせてそれぞれ割り当てた。
骨軟化症、甲状腺機能異常、てんかんなどの既往がある場合には除外した。
 
研究の参加者をBP剤の内服期間に応じて、長期(5年以上)、中期(3-5年)。短期(3年未満)の3群にわけた。これらをそれぞれ内服して100日未満のグループと比較を行った。

primary outcome は大腿骨転子下骨折、骨幹部骨折で入院したかどうか、secondary outcomeとしては骨粗鬆症による大腿骨頚部骨折、転子部骨折による入院とした。

結果
7年間フォローしたところ、BP剤を飲んでいる高齢者は全体の0.35%、716人が大腿骨転子下骨折、または骨幹部骨折で入院した。5年以上内服した群では大腿骨転子下骨折、骨幹部骨折のリスクが高くなった。secondary outcomeとしては9723人が大腿骨頚部骨折、転子部骨折で治療を受けた。長期間内服したほうが骨折のリスクを減らせる(0.76CI 0.63-0.93)が、短期間内服ではそれほどの意味はなかった(0.93CI 0.81-1.07)。

結論
5年以上のBP剤の内服は大腿骨転子下骨折、骨幹部骨折のリスクを高くする

今回の結果から導かれたこと
・BP剤の長期投与を行ったほうが骨粗鬆症による骨折を減少させることができる
・5年以上の内服を行った群のみで非定型的な骨折が起こりうる。(500人中1人くらい)
・非定型的な骨折自体は稀であるので、その治療効果とリスクとを天秤にかけて使用すること


<論評>
一時期話題をさらったBP剤による大腿骨転子下骨折と骨幹部骨折の話の大規模な研究です。
僕の意見も結論と同様です。可能であれば積極的に治療を継続する以外にはないと思っています。
リスクが上がるといっても、転子下骨折をおこす!ということを予見する方法がない限りは、難しいですよねええ。

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