2011年9月4日日曜日

20110904 JABO advanced courseに参加しました。

JABO(Japanese association for biological osteosynthesis)の主催するセミナーに出席してきました。

JABOとは 

JABOは骨折治療のセミナーの中でもAOととも有益なセミナーのうちの一つです。
年に数回主要な骨折についてそのメカニズムから治療法までハンドアウトを用いて教えてくださる素晴らしい団体です。
私このセミナーはほとんど受講しておりましたが、3年前からAdvancedコースが始まったとのこと。
早速受講して参りましたので、その勉強した内容をまとめてみたいと思います。

”難しいピロン骨折の治療”

Pilonとはフランス語ですりこぎの棒のことらしい。
関節内骨折であること、荷重関節であること、下腿遠位は被覆する軟部組織が薄いことなどから非常に治療に難渋する骨折のうちの一つとして知られている。

この骨折の治療のキモはとにかく軟部組織(Soft tissue)

軟部組織は外傷によってダメージを受けるため、そのダメージから回復する時間を稼ぐために、現在ではStaged surgeryが提唱されている。(Sirkin JOT 1999)

・第一段階 受傷早期に創外固定、牽引による短縮の回避。(可能であれば腓骨の固定、関節面整復。ここが難しいので後述)
・第二段階 definitive surgery(プレート固定、イリザロフ法)

第一段階から第二段階まで平均10‐14日は待機。皮膚の腫脹が軽減し、シワが出てくる頃までは少なくとも待つ。(Wrinkle sign)

第二段階でのアプローチ。
・Antero-medial(古典的なアプローチ)
・Antero-lateral
・Extensile approach(Modified antero-lateral)
関節面の整復、骨片の状態、皮膚の状態(水疱、壊死)などに合わせて選ばなければならない。
この時腓骨側の皮切との距離は一般に7センチと言われているが、5-7センチおいてあればよいとする報告もある。ただし感覚はあいていれば開いているほどよい。

術前評価に3DCTは必須。詳細な計画をたてるためにもStaged surgeryにして時間を開けることは重要。


第一段階の手術では創外固定。腓骨はできるだけ固定された方がよいが、次の手術の戦略が立てられない時や腓骨が粉砕して解剖学的な整復位を確保できないのであればK-wire髄内釘のみとし、プレートは当てない。
関節面の整復もプレート設置の邪魔になることがあるので、第二段階の手術の計画が完全に立たないのであれば行わない。

第一段階から第二段階までは患肢挙上、cooling、自動運動を励行。福山市民病院の小川先生の開発された”やぐらいらず”はユニークな方法。創外固定の部品で腓腹部の後面にやぐらを組んで除圧。

骨折型の評価
・内反変形(tension failure):medial butress plateが有用。
・外反変形(compression failure):こちらの骨折型は腓骨の粉砕を伴うので第一段階での手術で腓骨を固定するときには細心の注意が必要。
medial butress plateでは外反転位を防げないので前方からのアプローチ、固定が必要。脛骨外側columnの再建を。

CTでのチェックポイント
・key fragment( Tillaux結節を含む骨片。前脛腓靭帯付着部)。コレを翻転もしくはよけて関節面を整復。粉砕が強い時にはこの骨片から整復を行ってゆく。

LCPはこの骨折に関して言うとかなり合併症が多いことに注意。

関節面は内外のコーナーの再建をしっかりと。ここに距骨からの負担が最もかかる。鈍のみをもちいて細かい骨片は面で距骨に押し当てるとよい。


とにかく大事なのは腓骨の処理。
腓骨の長さが足りていないと早期にOA変化が出現。
透視下にMoteise view にて距骨と内果の距離が4mm以下になるように。腓骨と距骨のBall signも参考になる。
粉砕していたらDCPのような厚いプレートで。1/3円プレートを用いるのであればラグスクリューテクニックを併用。腓骨骨幹部により近く横骨折で80%以上の皮質の連続であればK-wire髄内釘でも許される。

脛骨を止める絶対的なプレートはない。

骨幹端部の骨欠損には骨移植を。量が少なければ脛骨近位端外側からでもOK。

<まとめ>
まずは創外固定で軟部組織の保護を。しっかりとしたプランニングを。といったところでしょうか。

非常にタメになる会でした。年に1回しかありませんが、興味があるかたは是非ご参加を。笑

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