抄録
脊椎手術の創部感染は術後の重篤な合併症である。後方アプローチ、固定術、インストゥルメントの使用、年齢、肥満、糖尿病、喫煙歴、手術室の環境、術中出血などが今まで感染のリスクとしてあげられていた。今回の研究の目的は脊椎のインストゥルメントを用いた後方固定術における個々のリスクファクターについて明らかにすることである。
方法
3218人の患者。2000‐2006年までに脊椎の後方固定術を受けた患者の後ろ向き研究。2.6%(84人)の患者で感染が認められた。多変量ロジスティック解析を用い、脊椎手術の危険性について個々の因子について検討した。
結果
肥満、術中の出血量、手術中に10人以上が出入りするような手術室、硬膜損傷、糖尿病の既往、COPDの既往、冠動脈疾患、骨粗鬆症の患者であることが脊椎手術での創部感染のリスクであることがわかった。肥満とCOPDの存在が脊椎手術後の感染において最も大きな要因であることが明らかとなった。感染の原因菌で最も多かったのはMRSAで34.5%を占めた。
考察
今回の研究で新たに明らかになったことはCOPDの存在と骨粗鬆症、硬膜損傷が脊椎手術後の感染のリスクファクターとして明らかになったことである。今後はこれらの分野の研究調査も必要となる。
<論評>
時代はmass study と 多変量解析の時代に突入したのかなあ。と感じさせました。
PCの性能が向上して、いままで大きなPCでしかできなかった多変量解析を例えば僕のPCのような誰もが持っているPCでもできる様になってきたことがこの変化の一要因だと思います。
そのためには大規模なデータベースが必要で、そのデータベースに権利をもった人が誰でもアクセスできるようにすることが重要かと思いました。
さて、論文の内容ですが、術後感染のように多様な因子が関わるような出来事は何か一つを改善したからと行って劇的な改善が得られるわけではありません。
やれることを少しずつ改善することで初めて効果が現れてくるものだと思います。
まずは、手術中にBCRに出入りする人間の数を減らしますか。笑
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