2011年9月21日水曜日

20110922 骨折治療学会研修会アドバンスコースを受講してきました。その3

あまりにも内容が多く、十分にまとめきれませんが、とにかく自分が興味をもったところだけまとめていきたいと思います。

踵骨骨折 岡山医療センター佐藤先生、独協医科大学越谷病院 大関先生

踵骨骨折のアプローチはL字拡大皮切、横切開のいずれでも関係ない。とお二人の先生ともおっしゃっていたのが印象的。

・後方関節面の正確な整復
・外側壁のしっかりとした再建

についてお二人ともおっしゃっていたと思います。

距骨、踵骨はねじれの位置にある。まず外反変形を直すこと、ついで後方関節面の整復。

初診時のレントゲンは側面、Anthonsen像、軸位、踵立方関節像の4方向を。depression typeであればCTも必須。3DCTは客観的な評価には使えない。
波状皮切アプローチ。腓骨頭のすぐ遠位で皮切。腓骨筋腱をretractして関節包切除。posterior facetを展開。

外側から距骨下関節の整復をとにかく頑張る。内側から少しずつ戻してゆく。距骨下を鋳型にして押しつけていく感じ。

外側壁の整復はベーラーclampや、しっかりとしたプレート固定が必要。
クジラプレートではだめ!とのこと。(なじみのあるプレートだけにショックです。。。。)

足底筋の運動も重要。足底のコンパートメント症候群でclaw toeになる。

距骨下関節、股関節、脊椎の3つだけが人間の左右のバランスをとるために必要な関節。なので踵骨骨折で距骨下関節が機能しないと片脚起立が不能となり、高所での就労不可となってしまう。

機能予後は整復と関連しない。。。。

術後CT MPRでの評価をして自分の手術についての振り返りをしっかりと行うこと。

大腿骨遠位部骨折 岡山大学 野田先生、瀬尾記念病院 野々宮先生

プレート、髄内釘のそれぞれの限界を見極めて機種を選定すること。

プレート:ロッキングプレート、MIPOがよく用いられるようになってからさまざまな問題が出現。
MIPOにこだわるあまり十分な整復位が得られないまま固定してしまっている例も時々見られる。
abusolute stability~relative stability~intabilityの幅が非常に狭く、しっかりと整復位が得られていないと容易に偽関節化する。
1年から1年半以上たったところでインプラント折損などの大きなトラブルも起こることがあるので注意深い観察が必要である。

髄内釘は究極のMIPOであるという言葉にははっとさせられました。軟部組織の重要性が最近よく言われていますが、髄内釘は優秀な道具であると思います。

整復位の確保が気も。ジョイスティックテクニック、ブロックピンテクニックを用いる。
ネイルはできるだけ長いものを使用すること。
顆部スクリューをもちいた顆上骨折の圧迫手技もあるよ、とのこと。

2011年9月19日月曜日

20110918 骨折治療学会研修会アドバンスコースを受講してきました。その2

上腕骨近位骨折は夜に出たハンズオンセミナーで慶応大学の池上先生が説明してくださった部分も含めてまとめてみます。

上腕骨近位端骨折はplate VS nailの流れは続いている。
nailはストレートタイプのnailにかわってきているというのが世の趨勢らしい。
欧州での最近の報告ではややnailの方が優勢らしい。これはひとえにインプラントトラブルが多く、”disaster”と表現されるほど合併症が多いことが問題となっている様子。

大結節、小結節の整復がとにかくキモ。なぜならば骨頭壊死に至っても大結節と小結節がしっかりしていれば人工骨頭へのrevisionが容易におこなえるからである。
プレート法を用いるのであれば必ず縫いつけること。
SynthesのPHILOSは不親切設計で、先に糸を通しておかないと通せなくなるので注意。ジンマーとスミス&ネフューはそこの部分は改善してある。
小結節と肩甲下筋腱の引き出し。難しければLHB切除=>その後結節間溝に固定。
上腕骨頭は20度後捻。後方オフセットと内側オフセットに気を配る。
後捻があるので、本来はプレートはど真ん中ではなくすこし後方にスクリューが多い方が望ましい。Synthesからもその左右非対称性を考慮したプレートが今後発売される。

腋窩神経の取り扱い。帝京大学の小林先生の方法。
deltoid spritであけて、三角筋上のbursaを切開。指を突っ込んで皮下を探ると索条物が触れる。これが腋窩神経。内側から探る方法は有用であるが、怖いものを先にみておくのもよいというのは池上先生のtips。末梢神経切離しても縫合すればよい。というのはhand surgeonだからいえるのでしょう。

骨頭壊死するかどうかは骨折型と内側のヒンジがあるかどうかで決まる。

プレート固定の大きな問題としては内反変形。30−40%に発症するとの報告もある。
内反変形を予防するためには骨性のinfero-medial supportが必要。

上腕骨遠位端骨折
上腕骨遠位部の解剖学的特徴。
6度内反。前方にオフセットあり。上腕骨小頭の方が少し前方に出ている。(内側オフセット)
肘は屈曲したときに外反していくと顔に手がつかなくなることを想像するとこの解剖学的特徴が理解できる。

関節面の整復について。滑車切痕がせまくなって、尺骨の座りが悪くなることがある。関節面骨片同士をスクリュー固定する際には圧迫を強くかけないようにする。
尺骨神経は前方移行はデフォルト。皮切をおいて皮下を展開。内側で三頭筋から出てきたところが一番尺骨神経を見つけやすい。Osborne靭帯のところで見つけるのは結構大変。遠位までしっかり展開。近位では内側筋間中隔を切離して内側上顆の前方までしっかり移行し、筋膜を2、3針縫っておく。

骨幹端部は強固な固定を要する。場合によっては短縮も辞さない気持ちが大事。
高齢者ならTEAも考慮してよいか。

20110918 骨折治療学会研修会アドバンスコースを受講してきました。その1

骨折治療学会が主催する骨折治療学会研修会アドバンスコースを受講してきました。

骨折治療学会研修会HP

アドバンスコースの受講生だけで300人!!
脊椎を除く全ての骨折をこの2日間だけに!ということです。
しかも各分野のエキスパートを連休のさなかにあつめていただけるとは幸せだなあと感じました。
これだけの多くの人数に対して研修、教育を提供しよう!という関係者各位の熱意にはホントに頭が下がります。

ただ、多くの人に、一度にたくさんのことを提供しよう!としすぎている感は否めませんでした。
折角各分野のexpertの先生方のお話なので、一人1時間くらいあっても良いかなあと。そのために、上肢と下肢にコースを分けるとかの工夫はあっても良かったかなあというのが一日目を聴講させていただいた感想です。

さてさて、セミナーのまとめです。

総論 帝京大学 渡部先生
海綿骨を層で考えると軟骨直下の層は壊れることなく、4番目くらいの層に応力が集中して壊れる。これが脛骨高原骨折で関節が落ち込むときによくみられる形。半月板は応力の緩和効果に優れる。

joint congruityの計測評価
・整復の程度をX線写真だけで評価することは難しい。
・癒合した骨折の評価はもっと難しい。
・CTを用いると計測精度が高くなる。

過去の臨床研究からの知見として得られていることが、整復が良いからと行って臨床成績が必ずしも良いわけではなく、レントゲン写真でOAになっていても必ずしも臨床成績が悪いわけではない。

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関節内骨折の発表はCTを用いるべきかと考えました。
確かに、外傷を扱っている人間として悩ましいところで、綺麗に骨癒合が得られていても痛みが残ったりすることは稀ならず経験します。ひとつは多変量解析などの統計学的手法を用いて新たに手術以外にも介入できるポイントを探すことが一つ。もう一つは手術の技量をあげて低侵襲で正確な手術を粛々と行うというのが僕達にできることでしょうか。

関節内骨折の診断と分類 君津中央病院 田中先生
レントゲン写真を読むときにはまずは軟部組織から”s-ABC”
soft tissue,alignment,bone,cartilage
CTは絶対必要。また術中には透視で評価をするため、斜位像もとっておくと術中イメージ像との比較ができて役立つ場合がある。
骨折の分類はAO/OTA分類を。この分類に加えて各骨折の特異的な分類を用いる。

肩甲骨骨折”関節窩骨折並びに肩甲帯部複合損傷の治療”
順天堂大学付属静岡病院 最上先生

肩甲部複合損傷の治療目標は肩関節のcongruityとpower translationの再建が目標。
再建の順序としては鎖骨骨折の修復が鍵。
近位から遠位へ。前方から後方へ。

アプローチは肩甲窩前縁と烏口突起の骨折は前方アプローチで。それ以外の肩甲骨骨折は後方アプローチで。
後方アプローチは側臥位。肩関節挙上後方アプローチで。

2011年9月14日水曜日

20110914 JBJS(Am) PTH(1-84) Accelerates fracture-healing in pubic of osteoporotic women

Abstract

PTHは骨粗鬆症の患者でその骨折する率を下げるだけでなく、骨折治癒を促進することも知られている。PTH1-84を用いて閉経後女性で骨盤骨折を受賞した患者の骨折治癒率と機能予後についてのRCTをおこなった。

方法
65人の患者。21人を治療群。44人をコントロール群とした。治療群では1日1回100μgの注射を2日以内に開始。すべての患者に1000mgのカルシウムと800IUのビタミンDを投与した。評価は4週ごとにCTによる評価。仮骨形成がある、とするまでとした。また機能評価としてはtimed up and go testを用いた。

結果
骨折治療までの期間は、治療群が7.8週なのに対しコントロール群では12.6週であった。(P<0.001)。8週の断簡で治療群は全骨折が治癒していたのに対し、コントロール群では4例にとどまった。疼痛のVASスケール、timed up and go testはいずれも治療群がコントロール群を上回った

結論
骨粗鬆症をともなう高齢者の骨折でPTH1-84の投与は骨折治療を促進し、機能予後を改善する可能性がある。

discussion
PTHには骨密度の回復だけでなく骨折治癒を促進させる効果があることが知られている。そこで本研究では骨盤骨折を起こした高齢女性に対しその効果を調査した。
PTH1-84は骨盤骨折の骨盤骨折の治癒までの期間を短縮させることが分かった。
PTH1-34はラットの研究において骨折治癒機転を促進することが知られている。最近橈骨遠位端骨折に対してPTH1-34を投与し、その骨折治癒が促進されたという研究結果が報告されている。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19594305
橈骨遠位端骨折にテリパラチドを使ったら骨癒合促進
PTHの1-84と1-34のはその構成が異なる。それぞれ重度の骨粗鬆症の治療に用いられる。PTH1-34はヒトOTHホルモンの最初の35個のアミノ酸で構成されている。残りの50個のアミノ酸は活動しないPTHとされている。PTH1-84は完全な形のPTHである。これらの薬剤の使い分けについてはまだはっきりとした結論は得られていない。
骨盤骨折を今回対象として選んだのは、長期間の画商を余儀なくされ、高齢者であれば機能予後、生命予後ともに大きな影響を及ぼしうると考えたからである。
今回の研究で、PTHの使用に期間制限を設けなかった。前の研究では骨折治療前にテリパラチドの投与を中止した。
サンプル数が少ないのでαエラーの可能性は否定できない。

<論評>
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

といった感じでしょうか。笑
脆弱性骨折(大腿骨転子部骨折、脊椎圧迫骨折、上腕骨近位端骨折)で同様の研究プロトコールで研究を行うことができそうですね。
脊椎の固定術後にも同様の使用方法で早期の骨癒合を期待するということができるかもしれません。

機能評価としてどんな施設でも容易に行えるtimed up and go testを用いていることも好感が持てます。本邦でもロコモティブシンドロームの診断基準の一つとなっているテストです。
http://www.japanpt.or.jp/esas/pdf/e-sas-s-tug.pdf

整形外科医たるもの、レントゲン上で骨癒合が得られた、というところに満足せず、より患者さんのADL回復につながる指標で評価をしたいものです。

PTH1-84は本邦ではまだ使えないようです。しかし、PTH1-34は発売されています。
まだ発売されて間もない薬ですので今後どのような副作用が出てくるやもしれず、慎重な経過観察は必要かと思います。

20110915 JBJS(Am)  Risk factor for postoperative infection following posterior lumbar instrumented arthrodesis

抄録

脊椎手術の創部感染は術後の重篤な合併症である。後方アプローチ、固定術、インストゥルメントの使用、年齢、肥満、糖尿病、喫煙歴、手術室の環境、術中出血などが今まで感染のリスクとしてあげられていた。今回の研究の目的は脊椎のインストゥルメントを用いた後方固定術における個々のリスクファクターについて明らかにすることである。

方法
3218人の患者。2000‐2006年までに脊椎の後方固定術を受けた患者の後ろ向き研究。2.6%(84人)の患者で感染が認められた。多変量ロジスティック解析を用い、脊椎手術の危険性について個々の因子について検討した。

結果
肥満、術中の出血量、手術中に10人以上が出入りするような手術室、硬膜損傷、糖尿病の既往、COPDの既往、冠動脈疾患、骨粗鬆症の患者であることが脊椎手術での創部感染のリスクであることがわかった。肥満とCOPDの存在が脊椎手術後の感染において最も大きな要因であることが明らかとなった。感染の原因菌で最も多かったのはMRSAで34.5%を占めた。


考察
今回の研究で新たに明らかになったことはCOPDの存在と骨粗鬆症、硬膜損傷が脊椎手術後の感染のリスクファクターとして明らかになったことである。今後はこれらの分野の研究調査も必要となる。

<論評>
時代はmass study と 多変量解析の時代に突入したのかなあ。と感じさせました。
PCの性能が向上して、いままで大きなPCでしかできなかった多変量解析を例えば僕のPCのような誰もが持っているPCでもできる様になってきたことがこの変化の一要因だと思います。
そのためには大規模なデータベースが必要で、そのデータベースに権利をもった人が誰でもアクセスできるようにすることが重要かと思いました。
さて、論文の内容ですが、術後感染のように多様な因子が関わるような出来事は何か一つを改善したからと行って劇的な改善が得られるわけではありません。
やれることを少しずつ改善することで初めて効果が現れてくるものだと思います。
まずは、手術中にBCRに出入りする人間の数を減らしますか。笑

2011年9月8日木曜日

20110908 Up to date: cervical spondylotic myelopathy

Summary and recommendation
・頸椎症性脊髄症は椎体と椎間板の加齢による変性、神経・血管の圧迫によって引き起こされる病態である。
・頸椎症性脊髄症に特異的な決まった臨床症状はない。徐々に進行する歩行障害ではじまり、感覚障害、筋力低下、頚部から上肢に疼痛を伴った手の筋肉の萎縮。その他頸髄症に特異的な診察所見で明らかとなる
・頸髄症はALSやその他の頸髄疾患と鑑別されなければならない
・頸椎症性脊髄症は特異的な臨床症状とMRIなどで認められる脊髄の圧迫所見を認め、脊髄症に特異的な臨床所見を伴った時に診断される。
・頸椎症性脊髄症の臨床変化、予後についてははっきりとしたものはない。徐々に症状が悪化し、長期間まったく安定していたところから階段状に悪化することもある。また軽微な頚部の外傷で症状を急激に悪化させることがある。
・治療方針を決定づけるうえでの大規模な無作為化試験は存在しない。神経学的予後を保つために、悪化する前に軽度の圧迫があるような患者では手術を行ったほうがよいとする報告がある。手術を行わずに経過をみる場合にはより細かに神経学的な変化に注意を払いながら外来でのフォローを行わなければならない。保存療法としては頸椎装具、疼痛コントロール、危険なスポーツへの参加の禁止などがある。より深刻な脊髄症がみられる患者では除圧術を考慮すべきである。
・急速な症状の進行、急性発症した脊髄症では神経学的救急の対応が必要となる。MRIを撮像した後に速やかに脊椎外科医へのコンサルトを必要とする。このような場合にはメチルプレドニゾロン大量投与療法を行うほうがよいかもしれない。

<論評>
頸髄症についてのまとめを読んでみました。
頸髄症はその鑑別がまず問題になる、ということが分かります。
脊髄炎、脊髄梗塞、血管奇形、亜急性連合症候群、脊髄空洞症、髄膜へのがんの転移、多発性硬化症、ALSが鑑別となります。
次に、頸髄症の治療についてです。どのタイミングで治療を行うとよいか、ということはまだ議論の対象である、と理解しました。
明らかな痙性が出ているもの、歩行障害が強い例では手術治療をおすすめしますが、手の使いにくさ、しびれを訴えるような例ではどうするか?高齢者や合併症が多い例で手術に踏み切ることができないときにどう対応するか?というのは悩みどころです。
最後にメチルプレドニゾロンの大量投与療法(いわゆるNASCIS2)が推奨されていますが。。。最近アメリカの脳神経学会でその有効性には疑問がつけられているはずです。
 

まだこれからの大規模な臨床研究に期待。という分野ではないかと考えます。

2011年9月4日日曜日

20110904 JABO advanced courseに参加しました。

JABO(Japanese association for biological osteosynthesis)の主催するセミナーに出席してきました。

JABOとは 

JABOは骨折治療のセミナーの中でもAOととも有益なセミナーのうちの一つです。
年に数回主要な骨折についてそのメカニズムから治療法までハンドアウトを用いて教えてくださる素晴らしい団体です。
私このセミナーはほとんど受講しておりましたが、3年前からAdvancedコースが始まったとのこと。
早速受講して参りましたので、その勉強した内容をまとめてみたいと思います。

”難しいピロン骨折の治療”

Pilonとはフランス語ですりこぎの棒のことらしい。
関節内骨折であること、荷重関節であること、下腿遠位は被覆する軟部組織が薄いことなどから非常に治療に難渋する骨折のうちの一つとして知られている。

この骨折の治療のキモはとにかく軟部組織(Soft tissue)

軟部組織は外傷によってダメージを受けるため、そのダメージから回復する時間を稼ぐために、現在ではStaged surgeryが提唱されている。(Sirkin JOT 1999)

・第一段階 受傷早期に創外固定、牽引による短縮の回避。(可能であれば腓骨の固定、関節面整復。ここが難しいので後述)
・第二段階 definitive surgery(プレート固定、イリザロフ法)

第一段階から第二段階まで平均10‐14日は待機。皮膚の腫脹が軽減し、シワが出てくる頃までは少なくとも待つ。(Wrinkle sign)

第二段階でのアプローチ。
・Antero-medial(古典的なアプローチ)
・Antero-lateral
・Extensile approach(Modified antero-lateral)
関節面の整復、骨片の状態、皮膚の状態(水疱、壊死)などに合わせて選ばなければならない。
この時腓骨側の皮切との距離は一般に7センチと言われているが、5-7センチおいてあればよいとする報告もある。ただし感覚はあいていれば開いているほどよい。

術前評価に3DCTは必須。詳細な計画をたてるためにもStaged surgeryにして時間を開けることは重要。


第一段階の手術では創外固定。腓骨はできるだけ固定された方がよいが、次の手術の戦略が立てられない時や腓骨が粉砕して解剖学的な整復位を確保できないのであればK-wire髄内釘のみとし、プレートは当てない。
関節面の整復もプレート設置の邪魔になることがあるので、第二段階の手術の計画が完全に立たないのであれば行わない。

第一段階から第二段階までは患肢挙上、cooling、自動運動を励行。福山市民病院の小川先生の開発された”やぐらいらず”はユニークな方法。創外固定の部品で腓腹部の後面にやぐらを組んで除圧。

骨折型の評価
・内反変形(tension failure):medial butress plateが有用。
・外反変形(compression failure):こちらの骨折型は腓骨の粉砕を伴うので第一段階での手術で腓骨を固定するときには細心の注意が必要。
medial butress plateでは外反転位を防げないので前方からのアプローチ、固定が必要。脛骨外側columnの再建を。

CTでのチェックポイント
・key fragment( Tillaux結節を含む骨片。前脛腓靭帯付着部)。コレを翻転もしくはよけて関節面を整復。粉砕が強い時にはこの骨片から整復を行ってゆく。

LCPはこの骨折に関して言うとかなり合併症が多いことに注意。

関節面は内外のコーナーの再建をしっかりと。ここに距骨からの負担が最もかかる。鈍のみをもちいて細かい骨片は面で距骨に押し当てるとよい。


とにかく大事なのは腓骨の処理。
腓骨の長さが足りていないと早期にOA変化が出現。
透視下にMoteise view にて距骨と内果の距離が4mm以下になるように。腓骨と距骨のBall signも参考になる。
粉砕していたらDCPのような厚いプレートで。1/3円プレートを用いるのであればラグスクリューテクニックを併用。腓骨骨幹部により近く横骨折で80%以上の皮質の連続であればK-wire髄内釘でも許される。

脛骨を止める絶対的なプレートはない。

骨幹端部の骨欠損には骨移植を。量が少なければ脛骨近位端外側からでもOK。

<まとめ>
まずは創外固定で軟部組織の保護を。しっかりとしたプランニングを。といったところでしょうか。

非常にタメになる会でした。年に1回しかありませんが、興味があるかたは是非ご参加を。笑