2011年9月14日水曜日

20110914 JBJS(Am) PTH(1-84) Accelerates fracture-healing in pubic of osteoporotic women

Abstract

PTHは骨粗鬆症の患者でその骨折する率を下げるだけでなく、骨折治癒を促進することも知られている。PTH1-84を用いて閉経後女性で骨盤骨折を受賞した患者の骨折治癒率と機能予後についてのRCTをおこなった。

方法
65人の患者。21人を治療群。44人をコントロール群とした。治療群では1日1回100μgの注射を2日以内に開始。すべての患者に1000mgのカルシウムと800IUのビタミンDを投与した。評価は4週ごとにCTによる評価。仮骨形成がある、とするまでとした。また機能評価としてはtimed up and go testを用いた。

結果
骨折治療までの期間は、治療群が7.8週なのに対しコントロール群では12.6週であった。(P<0.001)。8週の断簡で治療群は全骨折が治癒していたのに対し、コントロール群では4例にとどまった。疼痛のVASスケール、timed up and go testはいずれも治療群がコントロール群を上回った

結論
骨粗鬆症をともなう高齢者の骨折でPTH1-84の投与は骨折治療を促進し、機能予後を改善する可能性がある。

discussion
PTHには骨密度の回復だけでなく骨折治癒を促進させる効果があることが知られている。そこで本研究では骨盤骨折を起こした高齢女性に対しその効果を調査した。
PTH1-84は骨盤骨折の骨盤骨折の治癒までの期間を短縮させることが分かった。
PTH1-34はラットの研究において骨折治癒機転を促進することが知られている。最近橈骨遠位端骨折に対してPTH1-34を投与し、その骨折治癒が促進されたという研究結果が報告されている。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19594305
橈骨遠位端骨折にテリパラチドを使ったら骨癒合促進
PTHの1-84と1-34のはその構成が異なる。それぞれ重度の骨粗鬆症の治療に用いられる。PTH1-34はヒトOTHホルモンの最初の35個のアミノ酸で構成されている。残りの50個のアミノ酸は活動しないPTHとされている。PTH1-84は完全な形のPTHである。これらの薬剤の使い分けについてはまだはっきりとした結論は得られていない。
骨盤骨折を今回対象として選んだのは、長期間の画商を余儀なくされ、高齢者であれば機能予後、生命予後ともに大きな影響を及ぼしうると考えたからである。
今回の研究で、PTHの使用に期間制限を設けなかった。前の研究では骨折治療前にテリパラチドの投与を中止した。
サンプル数が少ないのでαエラーの可能性は否定できない。

<論評>
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

といった感じでしょうか。笑
脆弱性骨折(大腿骨転子部骨折、脊椎圧迫骨折、上腕骨近位端骨折)で同様の研究プロトコールで研究を行うことができそうですね。
脊椎の固定術後にも同様の使用方法で早期の骨癒合を期待するということができるかもしれません。

機能評価としてどんな施設でも容易に行えるtimed up and go testを用いていることも好感が持てます。本邦でもロコモティブシンドロームの診断基準の一つとなっているテストです。
http://www.japanpt.or.jp/esas/pdf/e-sas-s-tug.pdf

整形外科医たるもの、レントゲン上で骨癒合が得られた、というところに満足せず、より患者さんのADL回復につながる指標で評価をしたいものです。

PTH1-84は本邦ではまだ使えないようです。しかし、PTH1-34は発売されています。
まだ発売されて間もない薬ですので今後どのような副作用が出てくるやもしれず、慎重な経過観察は必要かと思います。

1 件のコメント:

  1. テリパラチドは,今後の骨折治療や骨癒合を目的とした手術に関する影響が注目の的ですね~
    僕も実際に,脊椎偽関節(dens fractureや骨粗鬆症遅発性脊髄麻痺)の治療や,PLIF(TLIF)後の骨癒合については注目してます.すでに,これらの治療に効果があったとするレポートも散見されるようになりましたね.
    アウトカムについてもご指摘のとおり.
    このような結果は,臨床に還元しやすいので参考になりますね~

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