2014年12月4日木曜日

股関節学会から出たFAIの診断基準案


日本股関節学会指針(案)FAIの診断基準
画像所見 CE角25度以上
Pincer typeのインピンジメントを示唆する所見

CE角40度以上 CE角30度以上かつARO0°以下 CE角25度以上かつCross-over sign陽性
正確なX線正面像による評価を要する。 Cam typeのインピンジメントを示唆する所見
主項目:α角(55度以上) 副項目:Head-neck offset(8mm未満)、
Pistol grip deformity、Herniation pit (主項目を含む2項目以上の所見を要する) *X線、CT、MRIのいずれによる評価も可。
身体所見(参考所見) インピンジメントテスト陽性、Patrickテスト(FABERテスト)陽性、
股関節屈曲内旋角度の低下
診断の判定 上記の画像所見を満たし、身体所見を参考にしながら、臨床症状(股関節痛)を

有する症例をFAIと診断する。
除外項目 股関節疾患の既往(炎症性疾患(RA、AS、Reiter症候群、SLEなど)、切開沈着症、骨腫瘍、痛 風性関節炎、ヘモクロマトーシス、大腿骨頭壊死症、股関節周囲骨折の既往、感染や内固定材料に 起因した関節軟骨損傷、明らかな関節症性変化を有する変形性股関節症、小児期より発生した股関 節疾患(寛骨臼形成不全、大腿骨頭辷り症、ペルテス病、骨端異形成症)) 

2014年11月11日火曜日

20141111 J arthroplasty The equivalance of remote electronic and paper patient reported outcome(PRO) collection

いま自分がとりかかっている研究に関連する報告です。
日本語だとWebで患者情報を取得するということはほとんどありませんね。。
JOABPEQなどはアプリが有りますが、その妥当性を検証した論文はありません。
今後僕自身このようなシステムを開発できればと思っています。

抄録
患者立脚型評価(PRO)は臨床現場でその重要性が増してきている。もし、Web上で患者立脚型評価を取得できると遠隔地にいる患者でもその状態を聴取することができる。randmised crossover studyで、47例の股関節術後の患者。Group1は紙で患者立脚型評価を取得してその1週間後にWeb上で登録した群。Group2はまったく逆の順番で患者立脚型評価を取得した。OxfordHipScore(OHS)の級内相関係数(ICC)は0.99、その他の臨床評価でも0.95-0.97と良好な成績であった。OHS、McCathy、UCLAスコアのいずれもWeb Based システムは紙ベースと同様の信頼性が有ることがわかった。

Introduction
PROは患者の状態を把握するためのツールとしてその重要性が増してきている。PROは医療現場で調査のためのツールとして発展してきたが、現在はそれだけでなく医師患者間での意思決定ツールとしても使われるようになってきている。一方、電子版を使用することでより容易にPROを取得している施設もある。病院で特に長期間のフォローが必要な場合には遠隔地に離れていてもWeb版であればいつでもアクセスが可能である。
本研究の目的は股関節の評価に用いられるOHS、McCarthyHip、UCLAスコアについてWeb上で収集したデータが紙で収集したデータとどれほどの整合性があるかを調査することである。

対象と方法
2009年にISPORが提唱したPROを電子版で取得するためのガイドラインにしたがって研究を計画した。PROと紙バージョンの間の整合性がどの程度有るかを検証することを目的とした。
PROの取得は研究病院の日常診療での取得タイミングに合わせて行なわれた。結果は医療者、患者の両方が閲覧できるようなシステムとした。OHS、McCarthyHip、UCLAスコアをデータとして取得することとした。
同等性の評価のために、紙とWebの両方でデータを取得した。この2つの間で得られた結果がMinimally importnat difference(MID)を超えないことが必要である。MIDは
もっとも多く用いられているのは標準偏差の1/2と設定することである。今回もその方法を用いた。
パラレルグループとすると各群234例が必要であると計算されたが、cross over にすれば症例数が少なくて済むことがわかり、再度計算を行い各群47例と設定した。
倫理委員会の同意を得てFAIに対してOpenでデブリードマンを行った患者を対象に研究を行った。Group1は先にWebで回答してから紙で回答。Group2は紙で回答してからWebで回答した。それぞれの回答には1周間の間をおいた。1週間という期間設定はその間では回答が変化しないだろうと考えられたからである。67例の患者に対して調査を行ったが、うち19例が回答を完遂出来なかったため完遂した47例についての検討を行った。27例はGroup1、20例がGroup2となった。
Group1とGroup2の結果を合わせて検討を行った。Web版と紙版のICCを計測した。
結果
平均変化量はGroup1が0.1、Group2が0.7であった。Group1とGroup2を合わせた検討ではICCは0.98であった。
考察
PROはその信頼性、妥当性、反応性が担保されることによって意味をなす。
今まで術前、術後のPROの評価がなされて来たものの、今後は慢性期などにも応用されていくのかもしれない。
紙でのデータ取得ではその結果を反映させるのに時間がかかる。Web版であれば、術後や長期フォロー中にリアルタイムでその結果が患者、医療者双方に提示され、治療に反映できるようになる。そしてわざわざ病院に来なくても評価することが可能と鳴るかもしれない。
Web版でデータを収集することで他の患者さんにデータを提示することも容易となるであろう。またWebでデータを収集することで回答間違い、回答飛ばしなどのミスが減ることが期待される。
コンピューターを用いる方法それ自体は新しいものではない。今までに46編の論文が報告され、紙とコンピュータの間では同等性が担保されていることを報告している。これらの報告ではコンピュータの方が回答率が良かったことなどが示されている。WebBasedの報告は本研究以前には強直性脊椎炎についての一編しか報告がない。遠隔で聴取してもその信頼性が担保されたことが本研究の強みである。

2014年11月9日日曜日

20141108 名古屋股関節セミナー

セメント人工関節 大塚先生
セメントガンはセメントを単なる充填する道具であり、ガンを用いたからといってセメントボーンインターフェイスに圧がかかるわけではない。

出血対策 自己血について 岩瀬先生
MSBOS 平均出血量の 1.5倍
患者さんの状態を反映したものではないので余剰が多くなる。
自施設の平均出血量を一度調査してみるひつようがある
トラネキサム酸の投与 術中局所投与も効果があるか?
セメント寛骨臼固定。 iliac wingの穿刺する方法も。めちゃ
出血することもあるので注意。

脱臼対策 山内先生
iliofemoral impingement 坐骨と小転子のインピンジメント

SSI対策 北村先生
手洗いの前の予備消毒は有用。抗生剤投与はなかなかガイドラインが守られない
DVT対策 北村先生
COIで問題がある人を排除した第9回ACCPガイドラインではほとんどの薬剤が推奨レベルが下がった。



2014年10月2日木曜日

20141002 BJJ Total hip replacement through a posterior approach using a 22mm diameter femoral head

BJJから
最近のはやりだった大径骨頭、前方進入じゃなくてもいいんじゃね?という論文。
僕の個人的な経験として、上手な先生の後方進入は確かに脱臼しないんですよね。
猫もしゃくしも。。。。に一石を投じたという意味で面白いかと思って読んでみました。

抄録
長期の成績が明らかになっていないにもかかわらず、最近THAでは大径骨頭が使用される頻度が増加している。これは脱臼の防止に有効であるという観点からである。しかしながら、後方の関節包の再建は大径骨頭にするとの同じくらいの効果が有るのではないかとこの筆者らは考えている。2004年から2011年までに512例のセメントTHA。22ミリ骨頭を使用。臼蓋の横靭帯を指標にしてできるだけ正確にコンポーネントを設置。平均年齢67歳。平均フォロー期間は2.8年。術前術後のOxford Hip Score、SF12,
UCLAスコアを聴取。他覚的評価はAngeles Merle DAuiigneスコアを使用。カップの設置角をデジタルに計測。脱臼は4股、0.78%であった。結論として22ミリ骨頭、後方アプローチで会っても正しいカップ設置と関節包の再建で脱臼率は低くすることができる。

はじめに
脱臼はTHAの中で最も重要な合併症のひとつである。反復性になった場合にはその治療に難渋する。脱臼の約半分が術後3ヶ月以内に起こり、そのうちの35%から60%が反復性脱臼に移行する。脱臼の病因として考えられていることは、患者側の要因としては年齢、神経学的疾患が併存症として存在すること、軟部組織バランスが悪いこと、術前の関節可動域が良いことなどが挙げられる。インプラントの要因としては骨頭径、臼蓋コンポーネントのデザインが挙げられ、術者側の要因としてはアプローチ、体位、軟部組織バランス、術者の経験が挙げられる。イギリスでは側方アプローチについで後方アプローチがよく使われる。スエーデンの国家レジストリーでは後方アプローチは脱臼の危険因子であると報告されている。近年、大径骨頭の使用が増加している。これは脱臼防止を意図したものである。2003年には36ミリ大径骨頭の使用は1%に満たなかったものの2010年には28%まで増加している。術後1年半までの報告では大径骨頭の使用は確かに脱臼を減少させている。以上の結果からすると小骨頭、後方アプローチの使用は打球のリスクを増加させていると言える。骨頭径の比較、アプローチのコンビネーションでの比較をした研究では後方アプローチにあわせて小径骨頭の使用は10年で12.5%もの脱臼がおこると報告されている。しかしながらこれらの報告では後方要素の再建がおこなわれておらず、26ミリから28ミリ骨頭の使用の間で6.2%から0.8%への脱臼率の減少が言われているもののより小さな骨頭でどうなるかということはわかっていない。また臼蓋コンポーネントの設置不良も脱臼の原因と鳴る。未だに理想的な臼蓋コンポーネントの設置位置には議論がある。本研究の目的は小骨頭を用いた後方アプローチTHAで横靭帯を指標として正しくコンポーネントを設置し、強固に後方成分を再建した場合の脱臼率について報告することである。

手術方法
外旋筋群と関節包は一塊として大転子から切離。横靭帯を指標として臼蓋コンポーネントを設置。40-45度の外方開角、10度の前方開角を目標にして臼蓋コンポーネントを設置。外旋筋群と関節包は大転子に穴をあけてほう着。

結果
4例の脱臼で全て前方脱臼が認められた。0.78%。

考察
歴史的にTHAの脱臼率は1%未満から9%以上まで差がある。0.78%という我々の数字はあらゆる報告の中でも優れた部類に属する。以上から小骨頭、後方アプローチの影響はないものと思われる。横靭帯を指標にして臼蓋コンポーネントを設置すると良い。また後方要素の再建を行うと脱臼率が4.5%から0.5%に下がるとするシステマティックレビューがあるのでこれも行うべきである。
今までの後方アプローチの報告では後方要素の再建を行なわずに脱臼している例が多いので、後方要素の再建は行うべきであろう。
大径骨頭を用いると関節可動域が増加し、ジャンピングハイトが増加し、インピンジメントしにくくなるといったメリットがある。しかしながら大径骨頭ではいまだにポリエチレンウエアが増加する危惧を払拭できない。
この研究は単施設で一人の術者の監修のもとで行なわれたケースシリーズである。今後はRCTも考慮すべきであろう。
結論として後方アプローチ、小骨頭を使用しても低い脱臼率を実現することは可能である。


<論評>
後方アプローチで後方要素を再建しないということはありえないと思ってました。苦笑。関節包と外旋筋群を一塊にして観音開きのように展開するのだと思います。
あくまでも「上手な術者が上手に行うと」低い脱臼率が実現したということです。RCTを行うと論文に書いて有りましたが、多施設で行うと予想としてはやはり小骨頭、後方アプローチはやや不利かなと。(僕自身は後方アプローチ、28-32骨頭派です。)
ポリエチレンウエアは骨頭サイズよりもクロスリンクかどうかの方が大きく影響していると思います。某メーカーで22ミリ骨頭はconventional polyetylene、28mmではhigh cross linkを発売しております。そうなるとHigh cross llinkのほうが摩耗が少ないのではないかと予想してます。材質の違いは骨頭径よりも大きく影響しているはずというのが僕の意見です。
人工関節はアプローチ、骨頭径よりも術者の技量をまず挙げて正確に設置することですよ。また再建できるものは再建して美しい手術をすることですよ。というメッセージと受け取りました。

2014年9月24日水曜日

画像を使ってください

大腿骨頭壊死症の厚生労働省分類

Sugano, Nobuhiko, et al. "The 2001 revised criteria for diagnosis, classification, and staging of idiopathic osteonecrosis of the femoral head." Journal of orthopaedic science 7.5 (2002): 601-605.

を改変したものです。
上記論文を引用ください。

図は著作権はがみたけに所属します。お使いになりたい方は
gamitake1919あっとまーくgmail.com
までご連絡ください。
パワーポイントファイルをお送りしますのでそれを少しいじって使っていただければ著作権の問題をクリア出来ます。



がみたけ 英語論文 投稿への道 その1

こんにちわ。管理人です。

論文を読んでケチを付けるだけではなく、論文を投稿するほうに回らねばと勢い込んで半年。ようやく投稿までたどり着きました。(投稿であって掲載ではない。)

ちょっとしたことが論文投稿のイライラにつながることがわかったので、メモ的に残しておきまする。

1,Figure と Tableはちがう。
Tableは図にせずに、Wordで作ればいいんですね。初めて知りました。

2, Figureの解像度には注意が必要。
現在裕福なラボにいるため、Photoshop, Illustoratorが使えます。
画像は300dpi以上を要求されます。そこでphotoshopが大活躍。
photoshop ー> fileをひらいて、 ー> 
すべてを選択 ー> イメージのなかの画像解像度をクリックして、解像度を 300dpiに設定するだけ。

3 グラフの解像度調整はマックよりもWindowsの方がよい?
白黒グラフでは1,200dpiというかなり高画質を求められておりました。TIFFにするとめちゃんこでかいファイルに。epsというファイル形式にすれば良いらしいと学びました。

マックを使っていますけど、グラフをPDF化して保存。 PDFをillustratorで開く。 その上でEPS形式で保存しなおせば良いらしいですが、ホントに大丈夫かどうかは投稿してからのお楽しみ。


2014年8月23日土曜日

20140823 BJJ Pre-operative function, motivation and duration of symptoms predict sporting participation after total hip replacement

<論評>
原文を引いていただくとわかりますが、図の中の数字のミスが多発。本文中の数字と図の数字が違っています。表1の意味なんかもまったくわからないですし。。
なんでこの論文が載ったのかまったくわからないレベルです。読んじゃったけど。(苦笑)
THAとスポーツについて調べているヒトが参考文献を探すのに役に立つ程度の内容でしかありません。


術前の機能、モチベーション、症状の持続していた期間がTHA術後のスポーツ活動に影響を与える。

今までにTHA後のスポーツ活動レベルについて述べた報告はほとんどない。本研究の目的はTHA術後のスポーツ活動レベル、第二にスポーツ活動を再開するかどうかに影響する因子はなにか、第三にスポーツを満足度との間に関連があるかどうかを調べることである。後ろ向き、815例の検討。1995年から2005年までに行なわれたTHAを対象とした。自己記入型アンケートにてスポーツアクティビティについて聴取。571例について検討を行った。平均フォロー期間は9.8年。366例がUCLAスコア5以上のスポーツアクティビティに復帰していた。スポーツを控えた主な理由は脱臼が怖いと回答したのが65例31.6%、摩耗しないようにしたいというのが52例25.4%、術者に辞めるようすすめられたというのが34例16.6%であった。術後スポーツに復帰するための因子は、術前のharris hip scoreが高いこと、スポーツに対するモチベーションが高いこと、罹患期間が短いことであった。年齢とUCLAスコアと術前のharris hip scoreと満足度との間には相関が認められた。
結論としてTHA術後に多くの患者がスポーツに復帰していることがわかった。参加レベルは術前の機能、モチベーション、罹患期間が短いことと関連しており、また術後の満足度とも相関していた。

はじめに
THAは整形外科手術の中でももっとも成功しているもののひとつである。THAは今後手術数が増加することが予想され、疼痛除去だけでなくより高いスポーツレベルへの復帰も求められている。多くの患者の作成したウエブサイトをみると、THA後のスポーツ復帰が重要であることがわかる。しかしながら今までTHA後にスポーツにどの程度、どのレベルで復帰したかという報告はない。多くの研究ではTHA後にスポーツに復帰したかどうかのみを調査しており、実際にどの程度活動しているかを調べた報告はない。本研究の目的はTHA後にどのレベルで復帰しているかを調査し、その次にスポーツ復帰が可能であるかの術前予測因子を明らかにし、第3にTHA後にスポーツをしているかどうかと患者満足度の相関を調査することである。

対象は1995年から2005年までにOA、IONなどに対してTHAを受けた1084例のうち回答が得られた815例。
この内の70%、571例から完全回答を得た。(図1)
ワトソンジョーンズアプローチ。セメントレスインプラント。UCLAスコア、HOOSを聴取。
2007年の段階で患者たちはどの程度スポーツに参加しているかを調査されていた。またスポーツに対する意欲、満足度もアンケート調査
平均61.3歳。平均BMI27、平均罹患期間は41ヶ月。アンケートまでの平均フォロー期間は10年。
THAに至った理由は疼痛が84.9%、ADL制限が61.9%、ROMの制限が42.9%、医師に勧められたのが30.9%、スポーツへの復帰を希望するのが23.9%であった。

結果
366例の患者がUCLAスコア6位上のスポーツへの復帰が可能であった。平均UCLAスコアは6.8であった。(図2)
HOOSはスポーツが81、疼痛が81.3、症状が88、ADLが85.2、QOLが82.8であった。(図3)
スポーツに復帰しなかった理由は脱臼が怖いのが31.7%、摩耗をさけるためが25.4%、医師の指示にしたがってというのが16.6%、こわばりが16.6%、痛みの残存が11.7%であった。(図4)
AAHKSのオススメでオススメ出来ないスポーツに復帰している患者が全体の26.6%であった。復帰したスポーツはジムが72.4%、ストレッチが63.9%、スイミングが57.5%であった。バスケット、サッカー・テニス、ゴルフ、セーリングなどのスポーツは控える傾向にあった。(表1)
術後スポーツに復帰するかどうかの術前の因子は、術前のHHSが高いこと、スポーツへの復帰の意欲が高いこと、手術までの罹患期間が短いことが挙げられた。HOOSのスポーツスコアとUCLAスコアは関連を認めなかった。
THA術後88.9%の患者が満足していた。年齢、UCLAスコア、HHSスコアが満足度と相関していることがわかった。(表2)

考察
THAの患者さんのなかの何割かはスポーツに復帰することが目的という人もいる。スポーツへの復帰はTHAを受ける理由のうちの一つとなる。今までにTHA術後のスポーツへの復帰についての調査がある。またエキスパートによるrecommendationもある。TKA術後のスポーツ復帰についての報告は多数たるものの、THA術後のスポーツ復帰の報告は少ない。術者のしらないところでTHA術後の患者さんはスポーツに復帰し、またそのような患者さんは高いモチベーションを持っているものと推定された。本研究はいくつかのlimitationがある。ひとつは後ろ向き研究である。回答が得られた例はより熱心な例であるバイアスがかかっている可能性がある。しかしながら本研究では術前のアクティビティを取得してあったのでその問題は回避できているかもしれない。第2のlimitationはスポーツアクティビティについての強度、期間などを聴取できていないことも問題である。これはUCLAスコアでは一応スポーツの頻度も聴取されているので解決出来ている問題と考える。
THA術後にhigh impact sportsを行うことの潜在的な危険性が指摘されている。ジョギング、バスケットボールなどはコンポーネントが破損する可能性が高いので禁止したほうがよいとする報告がある。一方スポーツをすることでbone ingrowthが進み、健康全般には良い影響を与え、肥満を防止できるのでは無いかとする報告もある。本研究で明らかになった重要な点は患者は術者の指示を無視して高いレベルの運動に復帰している可能性があるということである。
平均のUCLAスコアは6.8であった。これはサイクリングのような運動を定期的におこなうことができるレベルである。この値は他の報告とほぼ一致している。復帰率は多の報告で76%とされている。本研究も同様であった。27%の患者が推奨されないスポーツを行った。
THA後にスポーツを行う人は高いモチベーションと高い期待感を持った患者さんであると考えた。TKAの場合でも同様の結果であるという報告があった。男性であること、痩せていること、術前のUCLAスコアが高いことが術後の復帰因子であるとする報告がある。THA術後の患者でもUCLA7位上にたもっている患者が全体の12%いたとする報告がある。本研究とこの報告との違いはフォロー期間によるものでは無いかと考えている。
術前の期待度が術後の満足度と関連するとする報告がある。本研究では若くて活動性の高い患者では満足度が低くなるという相関を認めた。これは高い運動能力をもった患者では術後も同様の能力を期待するからであろう。
術後6ヶ月間は運動を禁止している。また32ミリのセラミック骨頭とハイクロスリンクのポリエチレンを使用している。摩耗量は荷重と活動性に関連するであろう。

多くの患者がスポーツに復帰することがわかった。スポーツ復帰の予測因子は術前機能と罹病期間であった。満足度とスポーツ復帰は関連した。患者にこのような情報を与えることは重要なことである。

2014年8月19日火曜日

20140819 Annals of Internal medicine One-Year Outcome of Subacromial Corticosteroid Injection Compared With Manual Physical Therapy for the Management of the Unilateral Shoulder Impingement Syndrome

<論評>
RCTってしっかりデザインすれば結構簡単にできるんじゃね?しかもImpact factor 16!の雑誌に載るなんて素敵じゃね?ということで読んでみました。
日常の疑問を研究にする。これが基本かもしれません。


抄録
肩のインピンジメント症候群に対してステロイド注射、理学療法はともに治療として用いられるが今までにその2つを比較した報告はない。本研究の目的はこの2つの治療法のいずれが有効かということを比較することである。無作為割付、シングルブラインド、による並行比較試験。セッティングはアメリカの軍人病院ベースの外来患者を対象としている。2010年から2012年まで。18歳から65歳までの104人の片方の肩関節インピンジメントの患者。2群に分け一方には40mgのステロイドをSABに注射。もう一方は6つのセッションからなるリハビリテーションを行った。プライマリーエンドポイントはShoulder pain and disability score(SPD)の評価。セカンドアウトカムからGlobal rating system、NRSによる疼痛評価を行った。結果、2群とも1年でSPDは50%程度回復した。2群間に差は認めなかった。GlobalRatingシステム、NRSによる疼痛評価は2群とも改善を認めたが、2群間に有意差はなかった。1年後のフォローアップで、注射群のほうがより頻回にクリニックを受診していた。(60%と37%)。さらなる注射を必要とした例は38%と20%。19%が理学療法を行った。肩関節へのステロイド注射の合併症は注射するときのいたみだけであった。Limitaitonは1施設による検討であること結論 2群とも有意に改善を認めた。リハビリ群はステロイド注射群に比べて医療機関の利用回数が少なかった。
はじめに
肩関節インピンジメント症候群は肩周辺の腱板損傷、腱板炎、肩関節内の関節包炎などを包括している用語である。一般に5-30人/1000人年に発症するとされている。
保存療法としてはステロイドの関節内注射、理学療法が行なわれる。肩関節下へのステロイド注射は整形外科医、リウマチ科医、一般医によっても最もよく行なわれる手法の一つであるがその長期的な硬化においては疑問がある。腱板断裂を伴わない腱板損傷の患者に対してのステロイド注射についてはガイドライン上でも推奨も否定もできないとなっている。近年のsystematic reviewでは肩関節インピンジメント症候群に対するステロイド注射については短期間での効果はありそうだということとなっている。一方、理学療法も肩関節インピンジメント症候群に対しては有効であると報告されている。最新の2つのシステマティックレビューでは理学療法の意義についてははっきりとしたエビデンスがなく、今後の研究が必要であると結論づけられている。肩関節インピンジメント症候群の患者ではどのタイミングでリハビリを開始したほうがよいかということも一定では無く、初診時に理学療法が行なわれるのは24%にすぎない。肩関節の注射ごのリハビリの効果の有無についての報告はいくつがあるものの、今までに注射とリハビリを直接比較した報告はない。本研究の目的は肩関節インピンジメント症候群における1年後の臨床評価の比較を行うことである。
方法
一重盲検無作為割付試験。プライマリーエンドポイントは1年後のShoulder pain and disability score。(SPADI)。セカンダリーエンドポイントとしてはGlobal rating scale of change(GRC) とNumeric pain ratio scale(NPRS)を用いた。その他臨床試験のお作法に従い、IRBの承認を得て研究を行っている。
Material and method
片方の肩関節のいたみのためにMadigan Army Medical Centerの外来を受診した18歳から65歳までの患者。肩関節の脱臼、骨折、凍結肩の患者は除外。SPADIが20%以下の重症な患者、頚椎症が少しでも疑われるような患者、腱板断裂が疑われるような患者、訴訟を抱えているような患者、3週間の外来受診が困難な患者は除外した。患者は軍人とその家族である。研究に伴う患者の追加出費はないものとした。
一重盲検法。コンピュータによって無作為化された。被検者と治療者は治療方法を知っており、評価者のみが知らないという状態とした。一般医による治療を容認できる被験者を対象としている。
リハビリ群
初回のセッションではPTが身体所見をとる。リハビリ群の介入は関節と軟部組織のimmobilizationが主体である。ストレッチ、神経筋協働訓練、筋力強化訓練(肩関節周囲から脊椎まで)。被検者はまったく同一の治療を受けたわけではなく個々の障害に応じた治療を受けた。3週間にわたって週2回ずつ実施された。また自宅での訓練の方法も提供した。PTはすべてアメリカPT学会の認定を受けていた。
ステロイド注射群
SABに40mgのトリアムシノロンを注射した。被験者にはステロイド注射によって起こるであろう副作用についての冊子を渡しておいた。合計3回のステロイド注射が1ヶ月以上の間隔を開けて実施された。患者には自宅での振り子運動を指導された。
患者は少なくとも最初の1ヶ月はできるだけ病院に来ないように申し渡されていた。施術後1,3,6ヶ月で追加治療を希望する際の連絡先を書いた紙を渡された。連絡すると研究のコーディネーターが出て、リハビリ群は更にリハビリを頑張るように、注射群はもう一度注射に行くように説得するような仕組みになっていた。もし患者が最初の紹介医のところに戻りたいと希望した場合には紹介医のもとでベストと思える治療が行なわれるようになっていた。
アウトカムとフォローアップ
アウトカムは、1か月後、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後で行った。SPADIは100点満点の患者立脚型評価である。
GRCは患者が自分自身のQOLについて変化した具合を測定する方法。
NPRSとは0-10ポイントで患者が感じるいたみの程度を調査者が聴取する方法である。
リサーチアシスタントがブラインドでデータを集めた。データ収集後追加治療について記載した。家庭医、整形外科医、リウマチ科医の下を訪れた回数についても記載を行った。
統計学的評価
最初にSPADIでの変化量を予想してサンプルサイズを決定。43例で充分であると判断した。欠損データには多重代入法を用いた。95%信頼区間を用いて評価をおこなった。
結果
22ヶ月間の研究機関。242例の保存的治療の患者が抽出されたが、138例の患者が除外された。除外された理由は図1のとおりである。
表1に患者背景を占める。リハビリ群でステロイド注射群よりも喫煙率が倍高かった。
ステロイド注射群の全患者が少なくとも1回はステロイドの注射を受けた。38%の患者が2回以上のステロイド注射を希望した。リハビリ群では6患者が最大の6回のリハビリテーションを受けた。リハビリ単位数の最大は6,平均5.5であった。
1年後のアウトカム
図2参照。96%の患者が1年後の評価を受けにきた。いずれのグループもSPADIで50%以上の改善を認めていた。いずれの群がすぐれているということが言えなかった。それぞれの評価ポイントでの違いについて表2に示す。欠損値に対して統計学的処理を加えてもこの結果は変わらなかった。いずれの群でも有害事象は報告されなかった。
医療機関の利用について
図3に医療機関利用程度について示す。ステロイド注射群が医療機関を頻繁に利用した(60%)なに対し、リハビリ群では37%と低率であった。MPTグループはステロイド注射軍よりも追加治療としてステロイド注射を使用した割合が低かった(20%と38%)。本研究以外でも治療をうけた部分まで含めると、ステロイド注射群は合計4回注射を受けているのに対して、リハビリを受けた群で注射を受けた群は合計3回で、その割合も19%と9%とリハビリ群の方が少なかった。
考察
どちらの治療法をおこなっても1ヶ月で症状は有意に改善し、その後その状態が持続した。多くの報告が12週間程度の短期間の報告で、1篇だけが1年間の長期フォローの報告であった。コントロールのないケースシリーズの報告ではステロイド注射の1年後の満足度は88%であると報告されており、またメタアナライシスの結果では12週を過ぎると注射の効果がなくなるということを報告している。
ステロイドの関節内注射の長期成績は疑問視されていた。また同様に潜在的な有害事象が有ることも知られている。例えば上腕骨外上顆炎の患者で、ステロイドの局所注射、リハビリ、経過観察群、プラセボ注射群で比較すると短期的にはステロイドの局所注射群が最も効果的であるが、1年経過したところではプラセボグループ、経過観察軍よりも成績不良となる。本研究ではこれらの結果と異なる結果となった。しかしながらステロイドの関節内注射の安全性については未だに議論が残る。しかも症状の消失が病態の進行を抑えているわけではないことにも注意を要する。ラミレスらは腱板断裂が遺残していてもステロイド注射によって症状が消失する例があることを報告している。今後病状の進行についても両群間で比較を行うことが必要である。
長期間にわたってのリハビリの効果というものはよく知られている。しかしながら今回の結果ではステロイド注射群と同様の成績であった。よく似た研究としてはステロイド注射群と鍼治療を行った群での1年後の比較であった。2群とも改善を認め、その改善度には2群間で有意差を認めなかった。本研究とはアウトカムが異なるため一概に同一の結果とは言えない。他にもグループ単位でリハビリを行った群とステロイド注射群との間に差がなかったとする報告がある。
ステロイド駐車群では医療機関を受診する回数がリハビリ群よりも多かった。ステロイド注射群の38%が2回以上の追加注射を必要とした。一方、MPTグループの20%がステロイド注射を追加で受けた。リハビリグループは追加の維持リハビリを要求されることはなかった。リハビリ群の4患者が追加リハビリを、ステロイド注射群の10患者が追加リハビリを希望した。この追加リハビリによってより疼痛、昨日の改善をみた。
肩の状態に関連するその他の因子としては社会、精神的な問題、恐怖心、疼痛回避のためにある動作を取らなくなることなどが挙げられる。また肩の痛みは不眠と関連している。これらの患者は肥満で有ることが多いが、本研究で2群間の肥満の程度には代わりがなかった。またタバコの使用も肩の痛みにつながることが知られている。リハビリ群の方が喫煙者は多かった。また軍の訓練経験者がリハビリ軍よりもステロイド群で多かった。軍隊での修練が肩の痛みに影響を与えている可能性もある。しかしながら軍退役後20年ということは、引退は38歳ということになり、退役した年齢よりも高いため関連は薄いものと考える。
ステロイドの関節内注射は比較的安全であった。有害事象としては一時的な痛み、皮膚の色素沈着が認められた程度であった。ステロイドの関節内注射によって腱板の全層断裂が引き起こされる可能性がある。リハビリではそのような有害事象についての報告を認めなかった。これは一つに注射を嫌がるヒトは本研究の選定段階で除外されていることも関連するのかもしれない。リハビリはより危険の少ない方法であるといえる。
本研究にはいくつかのlimitaionがある。一つは患者、医師ともブラインドがかかっていない状態で治療を行っていることである。これは介入としてリハビリを行うため仕方ないのであるが、そのため本研究は一般的な外来診療と異なるサンプルを対象としてしまっている可能性がある。また幾人かの患者はすでにリハビリを受けて閉まっていた。また注射を希望しないということで研究から除外された患者はすでにリハビリを受けていたということもバイアスがかかっている一つの証左である。
その他のlimitaitonとして肩関節インピンジメント症候群の診断の問題がある。本研究では以前報告された方法を用いて肩関節インピンジメント症候群と診断した。画像を診断に用いると、とくにMRIで症状がないのに異常所見が認められることがある。またdrop arm signがない症例を対象とした。これは全層の腱板損傷の患者を除外するためである。ステロイドの局所注射、リハビリともに腱板の全層断裂に有効である可能性がある。本研究ではより患者の層を均質化するためにこれらの患者を除外した。コクランライブラリーでは大きな腱板の全層断裂では治療方針が変更される可能性があるのでスクリーニングが必要であるとしているが、本研究では腱板断裂の患者でも比較的容易に症状が改善したため、この意見には疑問が残るとかんがえる。SABへのステロイド注射は肩関節インピンジメント症候群のひとつの診断要件であるからだ。
ひょっとしたら軍人保険外の範疇で何かの治療を受けたかもしれない。しかしながら軍人保険システムはすべての医療費を賄うようになっており、それ以外の治療を受けた可能性は低いものと考える。また本研究ではフォロー時に余分な何かの治療を受けたかどうかを聴取している。
今後の研究課題としては肩関節インピンジメント症候群の新規の症状についてリハビリ群とステロイド注射軍との間で比較することである。またよりよい治療介入の時期についても検討を要する。
リハビリとステロイドの局所注射ではほぼ同様の治療成果をあげた。しかしながらステロイド注射群の方が受信回数が多かった。どのタイミングでどの治療法を提供するとよいかということの検討が今後必要である。


2014年7月28日月曜日

20140728 Bogunovic, Ljiljana, et al. "Activity Tolerance After Periacetabular Osteotomy." The American journal of sports medicine (2014)

JOSKASが先週末に広島で開催されました。
開催期間中、私はシコシコと代務に勤しんでおりましたが。。。熱い議論が繰り広げられた様子がfacebookなどからも伝わってまいりました。

スポーツと股関節といえば股関節鏡が花盛りですね。
一時は何でも関節鏡でいけるんやで!みたいな風潮もありましたが、それも一段落。
スポーツの世界からでてきたFAIという概念が股関節の変性疾患の常識も変えつつあります。

さて、骨切りとスポーツはどうなっているのかなと見渡した時にそういう議論は今までなされて来なかったのですね。。。
これではイカン!と思ったら、研究していらっしゃる先生がおりましたので早速読んでみました。

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抄録
PAOは症状のある形成不全性股関節症に対して有用な方法である。しかし術後のスポーツ参加、アクテビティレベルの報告は皆無である。
後ろ向き研究。36症例の検討(15例が男性、21例が女性)。15歳から45歳。平均25歳。BMIは24±3.5。平均フォロー期間は33ヶ月。平均CE角は14度、AHIは21%。Tonnisgradeは0-1であった。1例がTHAに置換された。71%の患者が活動性が向上したまたは変わらなかったと報告した。またUCLAスコアを測定したところ術前9.2が術後8.8と変化を認めなかった。HarrisHipScore,WOMACスコアはそれぞれ術前よりも回復している。97%の患者が手術に対して満足していた。4例11%の患者が術後股関節痛のために日常生活動作に制限を加えていた。
PAOの術後の多くの患者が術後も高いアクティビティレベルを保っていた。

FAIがアスリートの股関節痛の原因のひとつであると認識されてきているが、古くから臼蓋形成不全はエッジローディングによる関節唇、関節軟骨の損傷に伴う疼痛を生じることが知られている。臼蓋形成不全の治療法は変形の程度に依存する。GanzのPAOは臼蓋形成不全に対して有効な治療方法のひとつである。
関節温存療法は患者が求めるアクティビティレベルまで回復する可能性があることである。
関節鏡の一つのメリットは侵襲が小さいことが挙げられる。股関節鏡の回復までの期間は4から26ヶ月後で有ることが報告されている。
PAO術後はアクティブなスポーツへの復帰が困難かもしれないとする報告が幾つかある。(2つ報告、ともにPhillipon先生の報告)本研究の目的はPAO後の実際のスポーツ復帰率を調査することである。

方法
2007年から2011年までにPAOを受けた151例。全症例で術前のUCLAスコアが7以上であった。術前18ヶ月間はUCLAスコアが7を超えているような患者を活動的な患者として本研究では対象とした。inclusion criteriaに合致したのは45症例であった。プロフェッショナルレベルの患者は居なかった。全症例がレクリエーションれべるから大学スポーツレベルの患者であった。
手術の対象となったのは少なくとも3ヶ月間の疼痛が持続。運動制限、理学療法を行い内服治療を行っても改善しなかった症例のうち、レントゲン写真上で明らかな臼蓋形成不全を認める症例とした。

術後後療法
4週間は20ポンド荷重制限。CPM0-60度。4時間から6時間を毎日。18歳以上ではDVT予防でアスピリンを6週間内服。90度以上の股関節屈曲は禁止。
術後4週を越えたところで荷重制限なし。可動域制限なく他動的関節可動域訓練を開始。エアロバイクを4週から9週の間で開始。4ヶ月でスポーツ復帰を許可した。

術後評価
UCLAスコア、HHS,HOOSを用いて評価をおこなった。

結果
15%の患者でPAOの前に何かしらの手術治療が加えられていた。以前に大腿骨骨切り、臼蓋骨切り、骨移植をおこなったあとの18歳男性にPAOをおこなったが27ヶ月後にTHAにコンバージョンした。
35患者38関節で術前術後のPAOは9.2から8.8と変化がなかった。すべての診療評価で改善が認められた。71%の患者で術前よりも活動性がました(51%)または変化がなかった(20%)という結論であった。
89%の患者が痛みがなくなったために運動を再開するようになったと報告する一方、11%の患者で痛みのために運動を差し控えるようになった。
97%の患者が手術に満足していると回答した。35歳以上の7患者については全患者が手術について満足していると述べた。5例が活動性が改善し、1例が変化なし、1例で活動性の低下を認めた。

考察
PAOは疼痛、機能を改善させ、術前のスポーツレベルにまで改善させることができる。71%の患者が術後の元のスポーツレベルまたはそれ以上のスポーツレベルにまで復帰することが出来た。11%の患者ではPAOの術後にスポーツレベルが落ちた。
DDHが有るような患者の治療方針の決定は未だに議論のあるところである。中程度から高度の臼蓋形成不全があるような患者では寛骨臼骨切り術が有効である。中程度から軽度の臼蓋形成不全の患者ではいまだ最適な治療方法というものは決定していない。PAOの術前に関節内操作を行うことでそれが成績の改善に結びつくこともあるが、関節鏡が痛みの原因となったり機能障害の原因となることもある。
アスリートのPAO術後の機能についての報告はほとんどない。2002年のJBJSの報告、2013年のCORRの報告で痛みがとれると活動性がますとした報告のみである。
本研究では11%の患者を除いて競技に復帰し、97%の患者が満足していたということがポイントである。
本研究の強みは男女取り混ぜて研究していること、様々なスポーツレベルの患者がいることである。
本研究の限界は後ろ向き研究であること、UCLAで7以上と設定したが、これの設定では活動性の定義がクリアにならなかったこと、WOMAC,HOOSではceiling effectのために改善具合がわからなくなったことが挙げられる。
PAOは活動性の高い患者に対しても充分耐えられる術式であり、71%が競技に復帰することがわかった。

<論評>
骨切り術後のような大きな手術のあと、気になるのは筋力低下ですがそこについての言及はありませんでした。
またプロレベルのアスリートで適応できるのかは不明です。
骨切り術は復帰までの時間が長くかかるということが言われていますが、うちだ先生の関節鏡下棚形成術をおこなった患者でも4ヶ月かかって荷重開始と書かれていましたので、骨切り術でもそんなに不利はないのかもしれないと考えるようになりました。
逆に、骨切り術の成績をあげるためには関節鏡の技術(関節唇形成、cam lesionの切除)を追加べきでは無いかと考えるようになったのがこの週末の収穫です。


2014年6月27日金曜日

20140626 JBJS(Am) A Comparison of Various Contemporary Methods to Prevent a Wet Cast

久々にJBJSに僕好みのおもしろ論文が。

ギプスを巻いた時には濡らさないように、と注意されますがその時何で保護するとよいでしょう?という論文です。
僕は、「名古屋市の大きい方のゴミ袋がいいですよ~。口はガムテープで止めてねー
」と患者さんに伝えておりますが、果たして今回の検証の結果はいかに。

抄録
ギプスを濡らさないようにするために、古来から考えられてきた方法や、ギプスを濡らさないようにする専用の靴下があるが、実際にどの方法がよいかというのは検証されていない
マネキンの足にギプスを巻いた。その上で次の6つの方法を試した。
A Glad® Press'n Seal® wrap(アメリカ版サランラップ。粘着力が強力)
B ビニール袋にゴムバンド
C ビニール袋にガムテープ
D ビニール袋2重にしたうえにガムテープ
E CVS Pharmacy Reusable Cast & Wound Protectorという薬局で売っている専用の下肢保護靴下。
F Dry Corp Dry Pro Large Half LegWaterproof Cast Cover
写真に載せた特殊な防水長靴下

この6つの方法を比較検討した。
方法はギプスを巻いたマネキンの足を2分間水中に着ける。その後取り出して検査前と後での重量を比較しギプスにどの程度水分が吸収されたかを測定するという方法をとった。
結果、防水率は62%ー100%であった。A,Bはそれなりで、D,E,Fは最も効果的であった。
C,D,Eの方がA,B,Fよりも取り扱いしやすかった。
結論 ビニール袋2重か、CVSプロテクターが安くて効果的である。

背景
ギプスは骨折の治療などに昔から使われている方法である。ギプスは水に濡らすと強度が落ちる。また中の綿が湿っていることで皮膚トラブルを惹起する。ある研究では救急外来をギプスのトラブルで受診する患者の30%がギプスが水に濡れてしまった。ということであると報告している。
昔からビニール袋にで保護するように言われてきた。最近はよい保護材も出てきている。
AAOSの推奨ではビニール袋を巻いてシャワーをあびるようにするべしとなっている。しかしAAOSのその推奨には文献的な裏付けはなく、またコストがどの程度かかるのかということもわからない。
本研究の目的はギプスを保護するのに良い方法はなにかということを検討することである。
この研究に関するCOIはない。

考察
いずれの方法も一定以上の防水性はあった。しかしながらビニール袋を2重にする方法、CVS保護材、DryCastカバーの3つの方法が特に有用であった。6週間のコストを計算するとビニール袋が10ドル、CVSが11ドル、DryCastカバーが38ドルであった。難易度もDryCastが最も難しかった。
以上からビニール袋2重とCVS保護材による保護がもっとも良いのではないかと考えられた。
先行研究としてはNielsenの商業ベースでの研究がある。その研究では保護材は水泳している時には役に立たなかったが、ビニール袋による保護は水泳にまで堪えたと報告している。ニールセンたちは統計的な検討を行っていない。本研究は統計的に昔から言われている方法を検討したものである。
AAOSが推奨しているように、ビニール袋を二重にしてテープで固定する方法は、統計的に検討を行ったものの誤差を生じることはなかった。
本研究にはいくつかのlimitationがある。
ひとつは水につけているだけなので普段の生活を反映していない可能性があること。CVS、DryCastカバーを6週間実際に継続使用したわけでは無いので途中で壊れてしまうことも有るかもしれないということは考慮されていない。
マネキンを使って実験しているので、テープによる皮膚障害の可能性を考慮できていない。またひとりの検者による計測のみであることも問題である。
今後は実際の活動時にどうなるかということの検証が必要である。
そもそも患者が水辺に近づかないように指導することがひとつ。どうしても近づきたいときにはビニール袋2重にするか、CVSを装着すると良いのでは無いかと考える。

<論評>
2分間も水の中に完全に浸かるという実験方法がよいのかどうか考えてしまいますが。。。
普通の生活であればビニール袋で充分なのでしょう。
おもしろかった。

2014年6月17日火曜日

20140617 BJJ Patient-reported outcome is influenced by surgical approach in THR

こんにちは、がみたけです。
ただいま病院の都合でSICUに勤務しておりますのですこーし時間が出来ました。
ということで論文読んでます。

DAAから始まった股関節へのアプローチ、なにがいいのか?ということがここ近年話題になっておりました。
医師側からの評価だと、自分の用いているアプローチがいい、という主張のために結果が変わってくる可能性がありますので、patient-reported outcome measures(PROMs)wお用いて評価してみたという話。
スウェーデンレジストリーから。患者立脚型評価(PROMs)を用いてアプローチごとの比較検討。

抄録
THAを行うときにどのアプローチがすぐれているか?ということは未だ議論のあるところである。今回はスウェーデンの人工関節レジストリーを用いて検討を行った。42233例のTHAから6年間のPROMが完全に取得できた4962例を対象とした。
結果後方アプローチは側方アプローチよりも患者満足度が有意に高かった。後方アプローチの方が術後の疼痛を感じている割合が低かった。EQ5Dも後方アプローチの方が高かった。どのアプローチ方法でもTHAは満足できる結果であったが、側方アプローチは後方アプローチに劣っていた。大規模調査の結果であるので臨床的な差があると言って良いものと考える。

考察
後方アプローチの方が側方アプローチよりも健康関連QOL、患者立脚型機能評価のいずれでも優れていた。(術後6年の段階で)
THAの主要な目的は疼痛を除去、機能回復を目的とする。その機能回復の程度の評価方法は様々なものがある。THAの改善率はとてもよいために”天井効果、頭打ち”現象が起こる。また多用な原因で治療に対する反応性が低下する。
THAでQOL、股関節機能とも改善が認められた。アプローチによって改善の程度には差があること、また以前言われていたのはアプローチの違いは短期的なものといわれていたが、本研究では長期間にわたってアプローチの違いによる影響が出ることがわかった。
本研究をもってすべての患者を後方アプローチで手術すればよいということを言っているわけではない。違いは非常に小さい。また少数の患者が不満を述べているだけだということである。
レジストリーによる大規模調査、6年間という長期にわたっての評価であることが本研究の強みである。
limitationとしては教育、喫煙、社会的な問題などの他因子の影響を評価できていないこと。術者の技量についての評価がないこと、インプラントデザインの問題を考慮して以内ことである。
今回生じた差について、影響していると考えられるのは歩容の問題であろう。また上殿神経の損傷による影響も有るのかもしれない。
今後はこれらの2つのアプローチについてのRCTを考慮する価値がある。

<論評>
残念ながら知りたかった前方アプローチについての記載はありませんでした。
今回興味深かったのは、大規模レジストリーによる評価でもよりエビデンスレベルをあげようと思うとRCTしか無いという記載です。
多施設共同RCTを考慮してもよいかもしれませんね。


2014年6月10日火曜日

20140610 Google Scholarをつかってみよう!その2

すこし題名が変わっておりますが気にしません。
Pubmedで同じように引いたときと全く違った順に論文が出てきます。

最大の特徴は”他の論文に引用された回数順に表示されている”ことです。


ここが表示されている論文が他の論文で引用された回数です。
当大学はWeb of scienceと契約が有りますので、そちらを使っても良いのですが、GoogleScholarは”タダ”で使えるところがミソです。

他の論文にたくさん引用されている論文は、役に立つ、引用に値するから何度も引用されているわけで、その業界(今回なら感染性人工関節)でのKeyとなる論文であることが多いです。

また、この”引用元”をクリックするとその論文を引用した論文を教えてくれるので”逆孫引き”ができてしまいます。
この逆孫引きが便利で、このKeyとなる論文からどのように研究が進んできたのか、今現在どこまでわかっていて、何がわかっていないのかということまで追うことが出来ます。

Pubmedに満足できない貴方はいちどGoogleScholarで検索(僕的には”ぐぐすか”と呼ぶ)してみてはいかがでしょう?

ちなみにぐぐすかのトップページに出ている”巨人の肩の上に立つ”というのは
アイザック・ニュートンの言葉(パクったとも言われておりますが)です。

自分の研究成果は、膨大な先人の研究を土台とした上にある。その土台に立つことで地の領域をまた遠くまで見ることができる。ということらしいです。

いい言葉ですね。

20140610 Google Scholar(ぐーぐるすからー)ってすごいって話




こんにちは、管理人ガミタケです。
快調に更新をサボっておりますが、今回は新しい武器を手に入れましたので皆様と共有できればと思い提示いたします。

私、先日ある研究会で「人工関節と感染」で発表いたしました。

書き始めようと思ったらまずは文献検索っと。。。。

「医中誌」開いて、「人工関節」「感染」と入力。
よく似た論文見つけてその発表した先生が参考にした論文を探しに図書館に。
おおっと、大学院生たるもの英語論文にしなければなりません。英語の論文を「Pubmed」で引いてこないと。
"infected arthroplasty"なんかで引けばよいかな。。。

という流れで文献を探しておりました。

この方法で探した場合の弱点が2点あります。
1,医中誌からの孫引きはあくまでもその論文を書いた先生の論拠に沿った内容のものが引用されているので、自分の書きたいことと一致するわけではない。
2,Pubmedは新しい論文からKeywordに沿ったものを羅列するだけなので、論文の質が玉石混交。時にはマイナーな論文過ぎて取り寄せることすら出来ないことも。

Major Journal または Impact Factor ↑ = Good articleというわけではありませんが、Major journal、Impact factorの高い論文の方がより世の中の厳しい目にさらされているという点で優れていると思います。
(最近日本を騒がせたS●AP細胞も、Natureでなければあれほどの騒ぎにはならなかったでしょうし、Major journalであったからこそ自浄能力が働き淘汰されたものと思います。)

そこで、そんな悩みを解決するのがぐーぐるさんが提供する”Google Scholar”です。
では早速つかってみましょう。

”Infected arthroplasty

といれて検索すると。。。

次回に続きます。


2014年5月28日水曜日

今回の日整会の最大の収穫



今回の日整会の最大の収穫はこの本を見つけたことと言っても良いかもしれません。
帝京大学の渡部先生が書かれたシンプルプレゼンテーションの本。 

プレゼンテーションZENやスティーブ・ジョブズのプレゼン手法を整形外科医のために噛み砕いて説明してくださっています。 
合わせて研究初心者向けの考察の論理構築、スタディデザインの考え方など3000円台とは思えない内容の濃さ。 これは買いです。

 (渡部先生とのCOIはありません) 

南江堂さんへ 140ページの肘と肩の話の症例数が文章とイラストで間違っています。 第2版では訂正してくださいね。(気になるので僕のところにも送ってください。)

2014年4月18日金曜日

20140418 CORR Do Activity level increase after total hip and knee arthroplasty

変形性関節症の患者さんって、測定してみると一日80%以上も座ったり寝た生活をしているのですね。
翻って自分の生活を見てみるといかがなものかと。同じくらい不活発のような。
健康成人男性を対象にした一日30分、週5回の運動というのはいかにもハードルが高いと思います。
THA、TKAをうけた患者さんには患者さんなりの運動強度があると思います。

アブスト
OAの患者は不活発なことが多い。THAまたはTKAを行うことで疼痛、身体機能、QOLが改善することが知られている。しかしながら身体活動性に対する研究は未だ少ない。
術前、術後に万歩計を用いて身体活動量を測定。American Physical Activity Guidelineにそって評価を行った。
63人の変形性股関節症および変形性膝関節症の患者を選定。術前6ヶ月の時点での活動量を加速度計付き万歩計で測定。日常活動量を記録した。44患者、70%の患者で質問票形式で疼痛、機能、QOLを聴取できた。加速度計付き万歩計の結果、術前では1日24時間の内82%にわたってじっとしていることがわかった。そしてこれは患者自身の評価としては”時々ウォーキングをして、家事も何とかやっているレベル”というものであった。
結果術後活動量の改善は認められなかった。術後もほとんどの患者が座っている時間が長かった。これはAPAGが推奨する身体活動量には及ばないものであった。疼痛、機能、QOL、身体活動量の自己評価は改善したのにもかかわらず測定された活動量には変化を認めなかった。
患者立脚型評価では疼痛、機能、身体活動量は術後改善したのにもかかわらず加速度計付き万歩計での測定結果は身体活動量が変わっていないことを示していた。術者はTHA,TKAの術後の患者の活動量がますように何かしらの対策を考える必要がある。将来的にはなぜ術後運動しないのかその要因について検討する必要がある。

OAは高齢者に撮って疼痛、機能障害の主要な原因の一つである。OAを有する患者では仕事、社会活動、レクリエーションスポーツへの参加を躊躇することも少なくない。それゆえにOAの患者では一般的に健康を保つために必要であると考えられているだけの運動量にみたないことも多い。またOAはTHA、TKAのの主要な要因の一つである。THA、TKAは末期関節症の患者で疼痛、機能改善する優れた方法の一つである。THA,TKAの目的の一つには身体活動量を上げることも含まれる。しかしながら術後身体活動量が本当に上がっているのかはほとんどわかっていない。
身体不活発性は世界的にみても重要な健康問題のうちのひとつである。APAGでは週5日間30分以上の運動を推奨している。THA,TKA術後の患者でのAPAGに準拠するだけの運動をしているかどうかは不明である。
加速度計付き万歩計は身体活動を測定するためにもっとも有用な測定ツールの一つである。術後24時間、48時間という短い時間でのTHA、TKA術後の患者での即て記録はあるものの週末を含めた活動量の記録はほとんどない。
本研究の目的は1,加速度計付き万歩計を用いてTHA,TKA術後術後の患者の術前から術後6ヶ月の時点での活動量を測定すること。2,術後6ヶ月の時点でのAPAGガイドラインの基準にどの程度の割合の患者が準拠しているか調べることを目的とした。
研究前の仮説として、術後活動性は向上しているものの、多くの患者はガイドラインで推奨される活動レベルには達していないのではないかというものである。

対象と方法
本研究はオーストラリアで前向き研究として行われた。50歳から80歳までの変形性関節症に対してTHAまたはTKAを受ける患者。介護が必要となっているような患者は除外。また術前から脳梗塞などの障害、英語ができない患者も除外した。141症例のうち72例の患者を選定。その後同意が得られなかった患者を除いて63例の患者について評価を行った。63例の内6例が手術をキャンセルした。7例がモニターを付け忘れて十分な結果が得られなかった。3例の患者が途中でフォローできなくなった。さらに3例の患者が別の理由で除外されている。結局44例の患者について術前、術後の身体活動性を調査出来た。TKAの患者が33例、THAの患者が24例である。事前に予測される必要サンプルサイズ数は41例であった。
入院までの待機期間は平均58日。使用インプラントは術者によった。術後はすべて同じリハビリプロトコールで、荷重制限もなかった。入院中はプロトコール通りのリハビリを実施。術後も通いのリハビリに通ったのは57例61%であった。田舎に行った場合にはどのようなリハビリを受けていたかは不明である。データはアシスタントによって集められた。術後6ヶ月のデータはPTが回収した。BMIなどは手術時のデータを用いた。6ヶ月の時点で術後合併症をおこした症例は除外した。モニターはActiGraph1 GT1M activity monitorをもちいた。加速度計は1分ごとに設定した。最低10時間は腰にモニターを巻くようにした。毎日電話をかけてつけるのを忘れないように注意喚起した。もし忘れた場合には一日追加した。水に浸かるような動作の時は外した。
2種類の方法を用いて身体動作を計算した。一つの方法はつけている時の平均のカウント数を用いた。もう一つの方法は夜間などの装着していない時間も非活動時間としてカウントするようにした。
活動量を4つのカテゴリーに分けた。100以下が座位。100から1953が軽い活動。1954から5724が中程度の活動量、5725以上が激しい運動である。1954から5724が3から5.99METsに相当する。
その他の測定項目としてはOxfordScore,SF12、UCLAスコアを用いた。
結果
表3に示すように術前と術後の実際の活動時間には差がなかった。THA,TKAのサブグループ解析でも差を認めなかった。術前では一日の内82%を座って過ごしており、術後は一日の83%を座って過ごしていた。
術前、術後ともAPAGの推奨する活動レベルに達した例は殆どなかった(3例6%)。術後は1例2%のみでAPAGの推奨する活動量に達した。
術前、術後で他覚的に測定できる活動性の増加は認められなかったが患者立脚型評価では疼痛のみならず活動性の向上が認められた。SF12、UCLAスコア、全てで有意に改善した。(表4)。72%の患者でGRCで評価される活動性の自己評価が向上した。
考察
下肢の人工関節は患者の疼痛、機能改善、QOLを改善させる。身体活動性についての他覚的評価を行った報告はほとんどない。本研究の目的は術前、術後6ヶ月の時点で加速度計付き万歩計を用いて活動性を測定し、その活動性が一般的に言われる健康的な身体活動性のガイドラインに合致するかどうかを調査することであった。本研究の結果では他覚的な身体活動性は術前術後で変化しなかった。患者立脚型評価では疼痛、運動機能、QOLのいずれも改善した。
本研究ではいくつかの限界がある。症例が少なく取り扱いやすいサンプルサイズであることである。術前の痛みが強い人では測定ができていないことである。表1に示すようにほぼ確実なデータ回収ができている。筆者らは術前術後にわたって活動量が変わらないことを見つけた。しかしながらひょっとしたら統計学的パワーとしては足りないことが原因かもしれない。しかし統計学的には12cpmで差がでると推定されるが、臨床的には100cpm以上の差がないと活動性に差があるとは言えない。また一日のうち82%の安静時間が83%となったことからも差がないと思われる。あとはサイクリングなどの運動では加速度計付き万歩計が機能しなかった可能性がる。しかしながらUCLAスコアで調査したところ本研究では自転車にのっているひとは居なかった。またカットポイントの設定が健康成人を対象としていることも問題なのかもしれない。。今後は人工関節を受けたひと特有の活動性について設定する必要があるだろう。
THAとTKAをまぜて検討したことも問題である。それぞれの群について十分なサンプル数を確保することが重要である。
APAGが設定する健康のための指針がOA,人工関節置換術後の患者には厳しすぎるのかもしれない。今後は術前、術後のガイドライン作成が必要となるのでは無いだろうか。
人工関節術後の身体活動性の報告はいままでに4編ある。オランダからの報告はTHA、TKAとも術後6ヶ月で身体活動性の向上が見られたと本報告とは反対の結果を報告しているものがある。しかし、その結果は一日あたり10分間延長しているのみであり、統計学的には有意であるが臨床的には意味がないものであると考えられた。他の2編の論文は歩行能力について解析している。歩行能力は身体活動の一部分に過ぎないことから一日の身体活動量を測定した本研究は意味があるものである。
APAGガイドラインに達した患者がほとんどいないこともわかった。この身体活動量に達していないと心血管イベントがおこる可能性が20-30%上昇することが知られている。すなわちこのままではTHA,TKA後の患者ではそういった心血管イベントが起こりやすいのではないかと推察される。THA,TKA術後の患者の日常の身体活動性を向上させ、健康の不利益を回避するための方法を考える必要がある。
患者は術後よく動けるようになったと感じているが実際はそうでは無いことがわかった。日常生活の行動変容は複雑な要因が絡み合っている。普段の生活行動様式にも目をくばる必要があるのかもしれない。日常生活レベルに影響を与える因子についての検討が今後必要となるであろう。


2014年4月6日日曜日

20140405 BJJ Surgical outcomes of primary hip and knee replacements in patients with Parkinson’s disease

たまたまパーキンソン病を有している患者さんの人工関節の手術をしたので、その予後はどうなのかな。と
術後せん妄に注意か。。。はよ教えてくれなアカンやん。苦笑。

Surgical outcomes of primary hip and knee replacements in patients w/ Parkinson’s disease

フィンランドのレジストリーを用いてTHAまたはTKAを受けたパーキンソン病の患者857例と2571例の患者との比較を行った。
平均フォロー期間は6年(1年から13年)。パーキンソン病の患者は入院期間が長く(21日VS13日)。術後1年での脱臼率はコントロール群と比較して2.33。感染、再置換率、術後1年での再置換率には差がなかった。長期のフォローではパーキンソン病の患者の死亡率が高かった。(ハザード比1.94)。10年後の生存率は34.7%(274例)。パーキンソン病の患者では心血管系合併症、神経疾患によって入院期間が延長し、また心血管合併症によって死亡率が高くなる。

パーキンソン病は寡動、振戦、固縮などが見られるドーパミンが欠損する病期である。60歳以上の1から2%が離間するとされている。ドーパミンの投与によって運動障害は改善するものの病状の進行によって運動障害が明らかとなる。運動障害以外にも認知機能障害、うつ病、自律神経の失調などがおこりQOLを低下させる。しかもこれらの障害によって運動障害そのものも悪化する。
病期そのものの問題だけでなく、パーキンソン病は筋骨格系の疾患を惹起し、慢性疼痛の原因と鳴ることが知られている。フランスの研究ではパーキンソン病の慢性疼痛の主要な原因は変形性関節症であるとする報告をしている。THA、TKAは高齢者の変形性関節症患者に対してQOL、生活機能の改善が可能となる効果的な方法であるが、今までにパーキンソン病と合併した患者での報告はない。またいずれの報告も1970年代から1990年までに行われた研究で現在とは臨床背景が異なる。本研究の目的はパーキンソン病の患者でのTKA、THAについてその合併症について評価することフィンランドのナショナルレジストリーを用いて研究することである。

対象と方法
フィンランドのナショナルレジストリーを用いた。それとフィンランドの人工関節レジストリーwp合わせて検討。合併症の検討にはフィンランドのDPC様のデータを用いた。
1998年から2009年までにパーキンソン病と診断をされTHAまたはTKAを受けた患者の検討。別の関節炎、外傷が原因で人工関節置換術が行われたと考えられた症例は除外した。二箇所以上の手術が行われている場合には最新の手術を対象とした。フィンランドでは慢性疾患に対して42-100%の補助がある。パーキンソン病であれば専門医によって補助の申請が出されているため疾患の確実性については保証されている。そのためこのレジストリーは十分にその質が担保されていると言える。
パーキンソン病の患者一人に対して3人のコントロール群を設定した。交絡因子を排除するためにPropensity スコアを用いた。年齢、性別、住居、合併症などをPropensityスコア設定の際の説明因子とした。
入院期間。合併症として感染、脱臼、再置換、死亡率を調査した。入院期間については術後改善せず長期の入院を必要とした症例は除外した。また術後90日たっても退院できない症例についても調査を行った。感染、脱臼、再置換、死亡率については術後90日、180日、一年で確認。脱臼、再置換、死亡率については全フォロー期間を対象に行った。2010年までのフォローで最長13年の経過期間であった。

結果
パーキンソン病の既往を有するTHA297例。TKA560例。パーキンソン病の平均罹病期間は5.2年。6例の患者が術前から認知症を有し、97例の患者で認知症の悪化を認めた。
患者拝見を表1に示す。THA,TKAともにセメント人工関節が主に行われていた。
再置換術についてパーキンソン病とコントロール群の間に差はない。
脱臼について、術後1年以内で脱臼が起こりやすい(ハザード比2.33)。
死亡率は術後2年までは有意差が無いものの、長期間のフォローで5年生存率が75.1%、10年生存率は34.7%でコントロール群との間で有意差を認めた。
入院期間はパーキンソン病群で有意に延長した。術後うつ、せん妄などの精神疾患の発症率はパーキンソン病群の方で多かった。
感染率には差を認めなかった。
認知症の有無は予後に影響を与えなかった。
死亡率増加の原因について検討を行った。高齢、男性、心血管疾患の既往、糖尿病の既往が死亡率増加と関連があった。特に心血管疾患の既往が早期死亡率と関連していた。
年齢、性別で調整を行ってもパーキンソン病の患者では脱臼、死亡率ともに高かった。(ハザード比2.37、1.77)

考察
パーキンソン病があっても周術期早期の死亡率の増加には関連しないことがわかった。しかしながら入院期間の延長、合併症の増加は認められた。またパーキンソン病患者の生存率は低かった。入院期間の延長は精神疾患の悪化と関連を認め、心血管疾患の既往が生存率との関連を認めた。
本研究のつよみは交絡因子をPropensityスコアを用いて排除していること、国家レベルでの質が担保されたレジストリーをつかった研究であることである。本研究の限界はデータの解析を行っただけであるので疼痛の改善、QOLの改善がどの程度であったか知るすべがないことである。またレジストリーからは術中の合併症についての情報はなく、それで再置換が行われたりした症例があった場合には抜けている可能性がある。
入院期間が延長したことに関して、これは大腿骨頚部骨折、消化器外科、泌尿器科で言われていることと同じ傾向を占めいた。これはもともとパーキンソン病の患者のADLが低いこと、加えてとくに認知機能に問題が有るような症例では急性期のストレスによってより悪化するということが言えるのかもしれない。そこで術前から神経内科医、老年内科医などとの連携が必要となってくる。TKAの術後ではそれらの科と連携することでよりよい結果を得たとする報告がある。またパーキンソン病を有する患者の5-7%では退院後3ヶ月後の認知機能の低下が認められたとする報告がある。
パーキンソン病の患者は術後易感染性にあると考えられるが周術期感染ではパーキンソン病群、コントロール群の間に差を認めなかった。以前の報告はNが少なく、またその感染率もフィンランドのレジストリーよりも低い。これはコントロール群がより重症例がピックアップされてことと関係しているのかもしれない。
パーキンソン病の患者では人工関節の脱臼リスクは約2倍であった。この結果はスコットランドのレジストリーから報告されたパーキンソン病は脱臼のリスクではないとする報告と、またWeberらの報告に有るパーキンソン病の患者の5.6%が脱臼するとする結果よりも悪い。これは脱臼に関して13年間の結果を追ったものであり、その累積での脱臼率であるので高い結果になるのが当然で、この結果がより真実に近いものと考える。
死亡率に関しては単施設からの報告と同様であった。ただ、長期の結果はより悪く10年後には全体の3割しか生存していなかった。心血管新刊、DMが不良な予後に関わった可能性がある。
パーキンソン病が合併していても人工関節全体の再置換率には影響を与えなかった。しかしながら脱臼率は上昇し、心血管疾患の既往、精神疾患の合併が入院期間の延長に関わっている可能性が示唆された。心疾患を合併していると生命予後をより悪化させる可能性が有ることがわかった。

2014年3月22日土曜日

20140322 Modular neck型 人工股関節ステムのRecall!


2014 MarchのJBJS(Am)にModular neck typeステムの 不具合の報告が出ております。

1. Early Corrosion-Related Failure of the Rejuvenate Modular Total Hip Replacement
2. Fretting and Corrosion in Modular-Neck Total Hip Arthroplasty Femoral Stems

ABG2とRejuvenateというともにStryker社製のステムです。
幸い日本では認可されていない模様です。(日本語で調べても出てこなかったから。)

ともにネックとステムの接合部での腐食が原因のようです。

ABG2は15例中7例で内側カルカの骨融解が進行し全例再置換を必要とし、Rejuvenateは104例で4年間の人工関節生存率がわずか40%。。。。ほとんどが2年以内に以上をきたしているということです。

この機種、この会社特有の問題であれば良いのですが、Modular neck特有の問題である可能性も否定できません。
他機種ではどうなっているかという検証が必要だと考えます。





2014年3月14日金曜日

20140314 J Arthroplasty Surfing for Hip Replacements: Has the “Internet Tidal Wave” Led to Better Quality Information

<論評>
インターネットと医学情報の関係についてです。今回はTHAについて読んでみました。
椎間板ヘルニアだと84%が役立たずな情報でした。
THAでは。。。。。。54%で深刻な欠点がみとめられたとのこと。
インターネットにかいてある医学情報を鵜呑みにしてはいけません。ウンウン。
このサイトに書いてあることも。。。笑


本研究の目的はインターネット乗で”人工関節置換術”(THR)と検索したばあいに得られる情報の質について検討することである。インターネット上の情報の質をDISCERNスコア、JAMAスコア、、THAについての内容スコア、HONコードについて評価を行った。商業用サイトが最も多く、政府系またはNPO法人のサイトが最もDISCERNスコアが高かった。HONコードを取得しているサイトでは無いサイトよりもDISCERNスコアとTHRについての内容スコアが高かった。医師がもし患者に進める場合にはHONコードがついているサイトを勧めるようにしたほうが良い。
インターネットの発達によって健康情報はより早く容易に取得できるようになっている。インターネット上の情報はあまりに大量で、その健康についての情報はさまざまなレベルに有る。インターネットから適切な情報を取得することは非常に難しい。
アメリカでは成人の85%がインターネットを利用しており、72%の人が昨年一年間の間に一度は健康または医療情報をインターネット上で検索したと答えている。77%の人がグーグル、ヤホー、Bingで検索を行い、その他13%がWebMDといった専門ページで検索を行ったと答えている。
一方、インターネット上の健康情報には危惧される点も多い。52%もの人がインターネット上の健康情報が信用できる、または大方信用できると回答している。今までの研究結果ではインターネット上の健康情報は多くが不正確であることが示されている。
THAは変形性股関節症の患者にとって有用で、アメリカでは年間30万人がTHAを受けている。Drummondらはインターネット上にあったOTが作成したTHAについてのリーフレットの内容が一部間違っているということを報告している。またオランダでは病院選びの一つの基準としてインターネットが使われていることが報告されている。しかしながらTHAそのものの情報について評価した報告は今までに一つも無い。
対象と方法
グーグル、ヤフー、Bingの3つの検索サイトに”Hip replacement”と打ち込んで検索。
グーグルが検索シェア全体の83%、ヤフーが8%、Bingが5%である。一億7千万サイトの内、最初の40サイトを抽出した。すでに閉鎖しているサイトを除外した。
まず、各サイトの管理者が誰で有るかを調査した。学術機関、商業ベース、医師、非医師、メディア、SNSサイトのグループ、政府系またはNPO法人、その他不明に分類した。
サイトの内容の正確性についてはHONコード、DISCERNスコア、JAMAベンチマーククライテリア、またTHA特有の問題について記載されているかを評価。
HONコードとはそのサイトの情報開示度、確からしさを評価するNPO法人からのお墨付きのことである。
DISCERNスコアはサイトの信頼性、治療方針の決定について15項目の質問、80点満点で評価する方法である。
JAMAベンチマーククライテリアは筆者の来歴、所属、情報開示、金銭面のやりとりについて明らかにされているかを調べる方法である。いつ情報が公開されたのか、広告主とのCOIはどうなのかということについて評価を行った。
表1はTHA固有の問題について評価するために作った項目を示す。30点満点である。
筆者が一人でネットを検索して評価を行った。
結果
表2に検索の結果を示す。52の独立したサイトが示された。図2にそのインターネットサイトがどの表酒によって運営されているかを示した。最も多かったのが企業によるものであった。HONコードによって保証されているサイトは9サイト、17.3%に過ぎなかった。
それぞれの結果を示す。DISCERNスコアは平均46.9点であった。最も高いスコアを示したのはNPO法人が運営するサイトであった。8サイトで全てで63点以上であった。11.5%、6サイトでは26点以下という目も当てられない用な結果となった。
Mediaが発信するサイトは有意にその質が低かった。HONコードで保証されているサイトは有意にDISCERNスコアが高かった。
JAMAのベンチマーククライテリアは4項目について調査いた。著作権について記載されているものが最も多く88%であった。62%のサイトで編集した日時が記載されていた。しかしながらディスクロージャー、広告収入の有無については30%以下のサイトでしか記載がなかった。
THAの内容についての記載は平均14.87点であった。医師が運営するサイトで最も高く、メディアが運営するサイトで最も低かった。HONコードがついているサイトは有意に点数が高かった。
考察
医療は医師中心のパターナリズムから医師患者間で相談しながら治療を進めていくという方向に変わりつつ有る。患者側ワ質の高い情報を希望し、自らの状況について自己決定するための情報を求めている。
DISCERNスコアは平均46.9点であった。これはインターネット上のTHAの情報が中程度のクオリティしか無いことを示している。しかしながらメディアからの情報を除くと平均点は51.1まで上昇し、十分な質の情報であるといえる。関連した情報、情報のバランス、他の治療オプションについての評価は高かった。しかしながらその情報の出どころであるとか、もし治療を受けない場合にはどうなるのか、さらに情報が欲しい場合にはどうしたらよいのかという情報は不足していた。
本研究では政府系またはNPO法人からのDISCERNスコアが最も高いことを明らかとした。企業系のサイトはかたよりがあることがわかった。
Kwongらは表面置換型ジンコウカンセツにおいて40%のサイトでその不利益についてのg言及が無いことを明らかとしている。たにもSaitnaらは80%のサイトで短絡的な結論が導かれており、40%のサイトで合併症の記載がなかった。ある医師が一人で運営しているサイトでは明らかな医療上の間違いもあった。MISについて書かれているTHAのサイトでは91%ものサイトでメリットばかりが述べられ、質が低いことを示している。
本研究では54%のサイトで深刻な欠点が認められた。
HONコードがついているサイトではDISCERNスコアが高かった。HONコードはインターネット上のサイトの質を評価するNPO法人から出されるシールである。HONコードはコードがついているサイトはTHAについての内容も適切であった。これらのサイトは医師患者関係を補完するよりよいツールとなりうるものと思われた。

リミテーションは一人でサイトの評価を行ったこと。検索語がTHAで検索したため股関節置換で検索した結果が出ないこと。他の検索サイトでどのような結果になるかわからないこと。毎日サイトは変化しているためこの結果はすぐ変わりうるということである。

2014年2月24日月曜日

人工関節学会行ってきました。

20140221-20140222 日本人工関節学会雑感

沖縄コンベンションセンターにて行われた人工関節学会に参加してまいりました。
真冬の名古屋から最高気温20度の亜熱帯の島へ。
ただ、沖縄の観光地からコンベンションセンターは少し離れており、大学のメンバーでの移動ということで自由に島内をめぐることはありませんでした。

人工関節ステムと骨リモデリング。
機種ごとによって違いあり。ただ臨床成績には関わりないと今のところ判断しています。
自分のチームが使っているステムの特製を理解していればよいと思いました。

術後脱臼対策
脱臼が多因子にわたるためにその対策は必要であろうと思います。
アプローチ、インプラント。インプラントの設置。骨盤後傾。大径骨頭。
性別、年齢、原疾患。術前可動域が良いこと。
多変量解析を行うと男性、術前可動域くらいが独立した説明因子としてでてくる印象。
解析の方法として多変量解析が花盛り。解析ソフトにいれれば良いわけではないよと突っ込みたくなる報告もありましたが身も蓋もないのでスルー。
後方アプローチでは後方の再建は必須だと思います。
今後自分が調査できるネタとしては術前後の脊椎可動域の変化と脱臼、術中脱臼テストの有用性の検証(ROC曲線を用いる)。膝関節、足関節などの多関節の罹患状況の確認など。また思いついたらめもります。

人工膝関節満足度の向上のセッション
TKAはTHAよりも満足度が低いことが知られている。そのため患者立脚型評価、満足度評価が股関節よりも発達、詳細になっていました。
2013年にCORRから報告された患者立脚型評価、他覚的臨床評価を組み合わせた新しい治療評価システムは有効そう。日常生活動作からスポーツなどのアドバンスなアクティビティまで範囲を広げてあるところが良い。股関節にも応用出来ないだろうか。
インプラントの設置が患者満足度と影響しているという報告は股関節だけを主にやっている人間からすると驚きでありました。(股関節はインプラントが下手っぴに入っていても術後の成績がよいことがおおい。)。高位設置と患者満足度、JHEQとの比較を行ってみても良いかもしれない。

セメントレスTHA。Line-toLineテクニックなるカップ設置について初めて拝聴。
セメントレスカップでは臼底骨折が問題となることが少なからずあるので一度だけ叩いてその後スクリュー設置。スクリューは内側にも一本。(カップのデザインも問題となるか)
それだけであれだけの成績がだせるのであればいうことなし。ただ、叩いた時点でプレスフィットだよね。。。

2日目
石黒先生のお話
OAは全身性疾患だ!!という論文のレビューを用いたお話。
脂肪から産生されるレプチンは炎症性サイトカイン、ケモカインと関連あり。
運動、減量は保存療法に必須であるが、まずは減量をオススメすることが肝要。
骨髄浮腫がOAの痛みの原因?
ゾメタを投与したところOAの痛みが軽減したという報告あり。
骨粗鬆症、OA、メタボは密接に関連。
プレゼンのお手本をみるような引き込まれるような講演でした。一度は聞く価値あり。

THAの機種選択。
Mclaughlin先生とフランスからお見えになったRegee先生
TaperWedgeの30年成績。再置換例も殆ど無く非常に優秀とのこと。
出てきた写真はStress Shielding著明。まあ、関係ないと言い切ってしまえばいいのかもしれませんけども、日本人の感覚からするとちょっと。
Subcidenceについても質問されていました。(TaperWedgeタイプのステムは遠位固定になると良くないので)答えは、髄腔ピッタリだから関係ないと。。。。ほんまかいな。
まあ、良いステムの1つで有ることは間違いありませんが、その特徴をよく知って使うことは必須。
またTHAの長期成績はアメリカを始めレジストリーのしっかりした国で行われているので同じような手法の研究を行うことは無駄ですね。
フランスの先生の講演。
フランスは骨盤骨折で有名なJudet先生、ろー(なんとか先生。いま綴りがわかりません)が人工股関節を考案。どれもいまいち。。。ほぼ100%再置換。
その後セメントレスステムを考案するもこれもダメ。
Charnleyのところで教えてもらってきて安定してきたと。その後セラミックオンセラミックが田舎のほうの病院で考案。壊れなければよい材質。。。
現在はモバイルベアリングのTHAを考案してオススメしてくださいましたが、今までの経緯をみるとすこし様子を見たほうが良いかなと思うのはが人の心というものでは無いでしょうか

疼痛管理の講演
単細胞生物でも痛み刺激で逃避反応あり。痛みの性状について詳細に聴取。
傷は深くなるほど痛みを感じる。筋肉は切ると皮膚、皮下より痛い。TKAの痛みの原因か?
骨の中(骨髄)には痛みを感じる神経終末あり。
THAで痛くないのは骨髄を掘削しているからじゃないの?というコメントは秀逸でありました。


人工関節学会は、オレはこういう治療をしてるんだ!という報告会なんだなあと再認識。あんまり議論にならないのですのよね。まあ、過去を省みることで少しでも良い物が提供できればということかと。
患者さんのためになることはなにか。それは新しい機械を使うことではないと思います。
OAの保存治療は未だ薬がなく、人工関節の満足度は70-80%であることを考えればまだ介入の余地はのこされているとおもいます。
日々研鑽していきたいと考えております。




2014年2月19日水曜日

20140219 日本語論文 to Mendeley

日本語論文 to Mendeley

Mendeleyについて以前投稿しておりましたが、最近いいHPを見つけましたのでご報告

日本語論文を導入しようとすると著者の名前が姓名が逆転するだとか、論題と雑誌名が上手に認識されないといった問題が常に残っておりました。

このHPはCiniiから論文情報を抽出。MendeleyにCitationしやすいように登録してくれます。

日本語論文をPDFとして取り込んで置く必要はありますが、その一手間をこなせば日本語論文もスイスイです!!

あとは書くだけだな。

2014年2月17日月曜日

CORR 2014 Magnetic Resonance Imaging of the Hip: Poor Cost Utility for Treatment of Adult Patients With Hip Pain

<論評>
MRIをとりまくってるけど、そもそも最初にレントゲンくらいとれや!という論文です。確かに股関節MRIが役に立つ頻度は膝と比べると少ないですよね。しかも治療法がアメリカならTHA一択なので治療方針の決定には役立たなかった言いきっちゃうあたりがさっぱりしていて良い感じです。苦笑。

抄録
背景
MRIは股関節痛の診断をする際によく用いられる検査方法であるがその費用対効果については知られていない。
方法
本研究は後ろ向き研究。40-80歳までの患者。整形外科医と非整形外科医の間でMRIのindicationが異なるかどうか。治療方針の決定にもっとも影響を与えた検査はなにか。単純レントゲン写真を別とした場合にどの程度MRIが治療方針の決定に影響を与えているのか。股関節のMRIのコストが治療方針にどの程度影響を与えているのかを調査することである。
213人、218股。単施設で5年間の調査を行った。カルテ、単純レントゲン写真、MRIを後方視的に調査。MRIがどの程度治療方針の決定に関わったかを計算した。インパクトスタディの計算にはMRI単価(436ドル)と整形外科または非整形外科医のどちらであるかということも勘案に入れた。
結果
非整形外科医臨床的診断を行わずにMRIをオーダしていることがわかった。(72%対30%)しかも単純レントゲンを取る前に撮像していることも多かった。(29%対3%)。そしてMRIが治療方針の決定に与えた影響は小さかった。(6%対15%)。股関節MRIは腫瘍を疑われるときに最も治療に影響を与えていた。(58%)。また感染の際にも治療方針の決定に影響を与えていた。(40%)。疼痛の評価には股関節のMRIはほとんど影響を与えなかった。股関節MRIはは単純レントゲン写真と分けるとわずか7%しか治療方針の決定に影響を与えなかった。股関節MRIは悪性腫瘍を診断するときにはその単価は750ドルであったが、原因不明の股関節痛に対してMRIを撮像すると59,000ドルであった。整形外科医がとるとMRIのコストは2800ドルであったが非整形外科医が撮像すると7800ドルにコストが増大した。
結論
MRIはある状況であれば非常に有用な診断機器であるが股関節痛のスクリーングには向かないことがわかった。40-80代の患者では病歴、臨床所見、単純レントゲンの所見を補助するものでない。

はじめに
MRIは股関節疾患の診断に有用な診断機器である。大腿骨頚部の不顕性骨折、大腿骨頭壊死のステージング。最近では子お関節の変形、軟骨疾患、股関節唇損傷、炎症性疾患、メタルオンメタル人工関節の反応性の評価などにも用いられている。しかしながらMRIは特異的な疾患の診断には有用であるが、40-80代ではOAの罹患率が高く、そのような場合にはわざわざMRIを撮像する必要はなく、MRIの費用対効果がどの程度かということは不明である。本研究の目的は40-80代の患者を対象として1,MRIのインディケーションが整形外科医と非整形外科医の間で異なるのか。2,MRIが治療方針に影響をあたえるような臨床的な状況はどのような場合か。3、すでに単純レントゲン写真が撮像されている場合にMRIが治療方針にどの程度影響を与えているか。4オーダした人間によってMRIが治療方針決定にあたえた影響とMRIのコストがどの程度かを概算した。

対象と方法
213例、218股の単一施設、5年間でMRIまで撮像された患者を対象とした。1.5TのMRIで撮像された。MRIは骨盤でオーダーされたものではなく、股関節にフォーカスされたMRIとした。MRIの読影は施設内の放射線医によって行われた。MRIのレポートで患者の年齢、MRIをオーダした医者の属性、MRIをとった理由、MRIの診断を調査した。放射線科の記録から単純レントゲン写真がMRIのオーダの前に撮影されているかを確認した。電子カルテでMRI撮影後に治療方針がどのように変化したかを確認した。単純レントゲン写真からだけでは診断できなかった治療の経過についてMRIがどのように影響したかを評価した。
患者の平均年齢は60歳。プライマリーケア、嗅球、非整形外科医が179のMRIをオーダしていた。整形外科医は39例のMRIをオーダしていた。MRIの157例のうち72%はOA、または構造的な問題が無いのに行われていた。54MRIがレントゲン写真を撮影する前にMRIが撮像されていた。3症例が明らかな異常を認めていた。213例、77%の患者で単純レントゲンが撮像されていた。31%の患者で異常が無く、46%の患者では診断がついていた。213例中55例で進行期OAであった。14例で進行した大腿骨頭壊死症であった。28例13%の患者で腫瘍、感染、骨折など病歴で診断がつくものがあった。34例、全体の16%の患者で手術治療が行われた。25例の患者が手術の前に単純レントゲンで診断がついていた。24例でTHAが行われていた。内一例はMRIで大腿骨頭壊死が判明した患者であった。
MRIのコストは、一例あたり436ドルとして以下の計算式に基いて行われた。この計算式は検査の総数を、役にたった検査数で割ったものに436をかける。これを整形外科医、非整形外科医で比較を行った。

結果
痛みの評価の耐えに非整形外科医は整形外科医よりもMRIをより多く撮影することがわかった。(72%対30%)。非整形外科医はレントゲンを取る前にMRIをとることが多いことも分かった(29%と3%)。また進行期のOAに対してもMRIを撮像していることがわかった。整形外科医にとってMRIはより診断に寄与するツールであった。(15%対6%)。非整形外科医は28例で脊椎、膝なども同時に撮影しており、これらのすべてで画像上全く正常であった。
MRIを撮影する理由は136例(69%)で疼痛の精査であった。大腿骨頭壊死(30例)、腫瘍(12例)、関節唇損傷(11例)、感染(10例)、骨折(9例)が判明した。(表2)
これらの82MRIのうち15例が診断の確認のために行われたものであった。最初に診断がついておらず結果が出たのは136例中1例に過ぎなかった。腫瘍の診断、感染の診断、大腿骨頭壊死の診断に有用であった。
股関節MRIはほとんど治療方針の決定に寄与していなかった。34例の患者でのみMRIの結果で治療方針に影響があったが、16例の患者では治療方針を変えることはなかった。
表3に検査をオーダした業種ごとでの費用対効果を示す。股関節痛だけでMRIを撮像した場合にはその総コストは59296ドルにもなった。しかしながらある程度診断をつけてから行われたMRI検査の総コストは2383ドルであった。MRIは腫瘍が疑われる患者でもっとも費用対効果が良かった。非整形外科医がMRIをオーダすると整形外科医の3倍のコストが掛かることがわかった(7804ドル対2834ドル)

考察
MRIはなにか疾患を想起して特異的におこなう場合には有用であることがわかった。病歴、臨床所見、単純レントゲンで臨床的が付いている時にMRIは確定診断、術前計画策定に有用である。本研究で言えることは臨床的な診断がついていないのにとるMRIは非常に無益な検査であることがわかる。
本研究にはいくつかのlimitationがある。1つは後方の観察研究であることである。60歳代の男性が多かったことで年齢、性別のバランスが撮れなかった可能性がある。その2として初診医はコンサルとする前に撮像しており、整形外科医は紹介されてから撮像しているために特異度が上がっている可能性はある。その3として陽性所見のみを取り上げたが、なにもないことを確認するという意味はあったのかもしれない。その4として今回の診断以外にかかっている間接的な費用(例えば復職の許可など)について評価することは困難である。その5としてかかった費用はMRIの撮像比だけど下が本来はその他の診療費などもかかっているということである。
非整形外科医は整形外科医よりも疼痛の評価のためだけにMRIを撮像することが多かった。単純レントゲン写真を取る前にMRIをとることも少なくなかった。単純レントゲン写真で進行期から末期のOAである場合でも見受けられた。整形外科医は診断においてMRIを用いることが非整形外科医の3倍多かったものの、手術をするかどうかについては単純レントゲン写真で決定していた。MRIで手術するかどうかを決めたのは13%に過ぎなかった。膝の場合にはMRIをとるかどうかの基準は整形外科医と非整形外科医の間には違いがない。膝のMRIは関節鏡手術に至る患者の減少という形で全体のコストの減少に関わっている。これに対して股関節MRIは整形外科医に相談する前に撮像されており、加えてMRIから得られる情報量にも違いがあった。
本研究ではMRIの後に手術に至るかどうか、また特異的疾患の診断にMRIが役立っていることがわかった。股関節の診断の際に前もって診断を予測していないと股関節MRIは無駄な検査に終わることがわかった。またMRIをとっても手術治療に至るかどうかは決まらなかった。いくつかの報告で大腿骨頚部の不顕性骨折を見つけるのにMRIが有用であると報告されている。しかしながらそれだけずれていない骨折であれば手術治療の必要もないし、現実MRIで骨折が見つかったけども手術に至ったのは11%に過ぎなかった。大腿骨頭壊死についても40歳以上はすべて人工関節にしてしまうのでMRIの結果が治療方針決定に影響しないのである。関節唇損傷についても軟骨損傷を伴わない場合には関節鏡手術の適応としないので治療方針に影響を与えなかった。まず最初にレントゲン写真をとることが重要であると考えられた。この結果は病院内に通知してある。
股関節MRI は診断が有る程度わかっており、侵襲的な治療をおこなうかどうかの決定には役立つ。当病院で無駄なMRIと考えられた検査を除外すると59,000ドルに登る。高齢者のMRIについてMRIの撮像基準を決定すると大きな医療費の削減が可能となるかもしれない。股関節MRIは病歴、臨床所見からまず診断をある程度決定し、その上で撮像すると費用対効果が高くなる。



2014年2月8日土曜日

20140207 J Arthroplasty Total Joint Arthroplasty and Preoperative Low Back Pain



腰痛を伴った下肢関節の変形性関節症では実際の股関節、膝関節の状態、その後の人工関節置換術の評価を困難とする。今回の前向きコホート研究の目的は変形性関節症に対して人工関節置換術を受けた患者において有病率を調査し、術後の腰痛の緩和の程度を評価するものである。腰痛の評価にはOswestry Disability Index(ODI)を用いた。ODIは膝よりも股関節で高い傾向にあった。膝関節、股関節とも術後1年でODIは有意に改善した。術後腰痛をもつ人工関節置換術を受ける患者においては併存する脊椎疾患によって術後機能予後が十分に改善しない可能性について通達し、人工関節置換術がうまく言っても腰痛が持続する可能性について前もって話して置く必要がある。
アメリカでは4000万人がOAに罹患していると言われており、そのうちの80%以上が55歳以上である。カナダでも同様の状況にある。末期の変形性関節症に対する人工関節置換術は有効な術式である。しかしながら不幸なことに変形性関節症に腰痛を合併している患者では用つつ疾患のために股関節、または膝関節の評価が困難である。
変形性関節症と腰痛の関連ではいくつかの報告があるが、有病率には大きな開きがある。Parviziらは344人のTHAの前の患者では49.4%に腰痛を合併しており、Heishらは変形性股関節症の末期では21.2%の症例で腰痛をみとめたと報告している。Galimらの症例数の少ない前向き研究では少なくとも中程度の腰痛、脊椎疾患が存在したと述べている。THAと腰痛の関連はしばしば述べられているが、TKAと腰痛の関連についてその要因にはっきりと記載されたものはない。Osteoarthritis Initiativeでは変形性膝関節症の患者57.4%で腰痛を感じたことがあり、WOMACスコアと有意に関連していたと報告している。Wolfeらはリウマチクリニックを訪れた患者54.6%に腰痛の訴えがあったと報告している。Burnettらは74%の患者において腰痛を自覚しており、それはTKAを受ける10年ほど前から発症しており、15%の患者で徐々に悪くなってきたということを報告している。
本研究の目的は初回THAまたはTKAを受ける末期関節症の患者での腰痛の有訴率を調査すること、術後の腰痛の変化を見ること、併存する腰椎疾患が人工関節術後に与える影響について調査することである。
方法
前向き研究。末期変形性股関節症の患者に対して人工関節置換術を行った患者が対象。2009年から2010年までに6人の外科医が手術を行った。診断はいずれも変形性股関節症であった。再置換術、両側同時手術は除外している。腰痛の評価には図を渡して疼痛部位を患者に図示してもらった。腰痛の重症度評価にはODIを用いた。ODIは患者立脚型の腰痛評価法としてよく知られた方法である。術前2週の段階で評価を行った。第二の評価項目としてOHS、OKSを術後6ヶ月、1年で測定した。また客観的評価としてHHS、KSSを用いた。
結果
776人に人工関節置換術を行った。491人がTKA、、285人がTHAであった。表1にその背景を示す。人工関節置換術を受ける患者の52%が腰痛を持っていた。変形性股関節症の患者では60%、変形性膝関節症の患者では42%であった。術前のODIスコアは21.6点であった。重症度は50.4%の患者で軽い腰痛、28.9%の患者で軽度の腰痛、20.7%の患者でひどい腰痛であった。変形性股関節症の患者のほうが変形性膝関節症の患者よりも有意にひどい腰痛の有訴率が高かった。(29%対16%)。反対に変形性膝関節症の患者では83.9%の患者で腰痛がないのに対して変形性股関節症の患者では71.2%にとどまった。(表2)
THAの患者でのODIは26.8、TKAの患者では18.6であった。(図2)。股関節の患者でひどい腰痛の患者が多く、膝関節の患者のほうが軽症の腰痛が多かった。
ODIとHHS、KSS、OHS、OKS、はいずれも有意であったがほとんど相関を認めなかった。
術前のODIが高い患者では有意に術前のOHSが低かった。このような患者では術後6ヶ月、1年でのHHSも有意に低かった。
術後のODIはTHAの患者でTKAの患者に比べて有意に改善した。一段階以上の改善を認めたのがTHAで54%、TKAでは17.7%であった。(図4)。ひどい腰痛を感じていた24例が4例に減少した。原因疾患はLSCS、椎間板ヘルニアなどであった。
考察
変形性股関節症の患者では変形性膝関節症の患者に比べて腰痛の有訴率が高かった。腰痛のために膝よりも股関節の症状が悪化していることがわかった。加えてTHA前の患者のほうがTKA術前の患者よりも腰痛の程度がひどいことがわかった。腰痛は股関節の症状と密接に関連していることがわかった。
反対にTKAの患者では腰痛の程度は軽かった。股関節周辺の拘縮、筋力低下が腰痛と関連している可能性が示唆sれた。
術後THAの患者ではTKAの患者と同様に腰痛が緩和された。THAの患者では腰痛が有意に改善された。Hieshらは97.3%の患者が腰痛が緩和したと報告している。Benらは腰痛が改善したことでTHA後の股関節機能も改善したと報告している。

この研究の限界は術前に腰痛がないとした患者のODIのデータが無いことである。しかしこれはもともとの数が少ないことで相殺されるであろう。もう一つの限界は患者立脚型評価を同時にとっていることである。しかしこれらを分割することは困難である。腰痛がどの腰椎疾患で怒ったかを同定することも行っていないが、これもこの研究の限界である。


<論評>
こんにちわ、管理人です。すっかりご無沙汰しておりましたが久々にまとまって読んだ論文です。
THAと腰痛との関連はよく言われているところであってそれをはっきりさせた論文です。本論文で明日からの日常診療に使えそうなのは術後腰痛が改善する可能性が高いこと、また腰痛の程度が強いと回復が遅くなるということでしょうか。

またぼちぼち読んでいきますね。