2020年1月19日日曜日

20200119 CORR Is Previous Periacetabular Osteotomy Associated with Pregnancy, Delivery, and Peripartum Complications?

寛骨臼骨切術後が妊娠、出産に影響をあたえるかというワシントン大学のChlosy先生のところからの発表。 ANCHORという前向きデータベースを持っているので強いですね。 日本で行われている寛骨臼回転骨切り術よりもPAOは産道が狭くなるので余計に多くなるのではないかと考えます。つまり、RAOよりもCPOのほうが帝王切開が多いかもしれませんな。 以下本文 寛骨臼周囲骨切り術の対象は、一般に生殖年齢の女性である。しかし、この骨切り術が、分娩、分娩様式、または妊娠関連の合併症においての妊娠、産科カウンセリングでの決定にどのように影響するかについてはほとんど知られていない。本研究の目的は(1)寛骨臼周囲骨切り術の既往は、妊娠するという患者の決定に影響しますか、それとも妊娠と出産の安全性に関する産科カウンセリングに影響するか (2)寛骨臼周囲骨切り術の既往は、全国平均と比較して帝王切開を受けるリスクの増加に関連しているか (3)寛骨臼周囲骨切り術の既往は、合併症の増加、乳児の出生時体重の減少、早産に関連するかを明らかにすることである。産科医と協力。2008年から2015年の間に、それより以前に寛骨臼周囲骨切り術を受けた女性患者の妊娠、分娩様式、妊娠関連合併症、および産科カウンセリングについて郵送または電話カウンセリングによる後ろ向き調査を実施。96人の患者を抽出。寛骨臼周囲骨切り術の病歴が妊娠するという決定に影響を与えたかどうかを尋ねた。私たちのコホートには、寛骨臼周囲骨切り術を受け、その後妊娠および分娩を受け、合計38の妊娠で41の出生をもたらした31人の患者を詳細に調査。帝王切開、低出生体重、早産の割合が、National Vital Statistics ReportおよびCDCで公開されている文書化された米国の全国平均と異なるかどうかを判断するために、二項検定を使用。31人の患者のうち1人は、寛骨臼周囲骨切り術が子供の出生に悪影響を与えたと感じた。31人中2人はポジティブな影響であったと回答した。 55%(17人中31人)の患者で、寛骨臼周囲骨切り術の病歴が分娩までの能力または経膣分娩の能力に影響を与える可能性があると産科医が懸念を表明したと回答した。分娩の53%(38回中20回)が帝王切開を受けた。これは、全国平均の32%(オッズ比0.424 [95%信頼区間0.214〜0.837]; p = 0.006)よりも高かった。寛骨臼周囲骨切り術を受けた1人の患者のみが妊娠関連の合併症を患った。寛骨臼周囲骨切り術後の単胎妊娠では、早産率は14%(35人中5人)であり、低出生体重児の割合は2.9%(35人中1人)で、これらの割合は、8%の早産率(OR 0.523 [95%CI 0.154〜1.772]; p = 0.1723)および6.4%の低出生体重(OR 2.34 [ 95%CI 0.607 to .025]; p = 0.3878)と有意差を認めなかった。この小規模な調査研究では、寛骨臼周囲骨切り術の既往がある患者と、妊娠と出産の合併症に関する標準的な全国データを有する患者の間で、合併症、早産、または低出生体重児の観点で違いは見られませんでした。ただし、別の小規模な調査研究ではほとんどの産科医が寛骨臼周囲骨切り術の患者に懸念を示しているため、寛骨臼周囲骨切り術の患者は帝王切開により将来の子供を分娩する可能性が高くなることに留意する必要がある。 Methods 2008年から2015年にChlosyが手術した患者で咲いて9ヶ月のフォローが可能だった患者を対象。457例のうち、男性例を除外、18歳以下を除外。連絡が取れなかった176例を除外。残った96例を対象。96例のうちPAO後に妊娠出産したのが31例。1妊娠が1例、2妊娠が8例、3妊娠が1例。合計妊娠が38例であった。双子の妊娠が3回あった。股関節の追加治療としては88%に形成術、44%に股関節鏡、関節唇縫合が35%、切除が11%、外科的脱臼が3%。患者の平均年齢は26歳であった。表2に今回回答した96例と回答がなかった173例の比較を載せる。アンケート調査のみ行った。 結果 3例でPAOが妊娠出産に影響したと回答した。2例の患者でPAOが終わるまで妊娠を待機していたと回答した。1例で抜釘していないことが妊娠出産に悪影響であったと回答した。45%の患者が骨切り術の既往があることで産科医に懸念を表明された。 53%の患者が帝王切開にて出産した。この割合は全米の32%という割合よりも高いものであった。初産の患者はより帝王切開になった。20例中12例が経膣分娩から帝王切開への切り替えを必要とした。双子は3組あった。4患者6帝王切開が寛骨臼周囲骨切り術を理由に行われた。5例は骨盤位、羊水過少、胎児の状態のため帝王切開となった。寛骨臼周囲骨切り術の前に12例が23出産あり、6例が帝王切開であった。これらの患者は以前の帝王切開を理由に骨切術後に帝王切開となった。31例中21例で抜釘がすんでいない状態だった。これらの患者では33出産中19例、58%で帝王切開が行われた。 寛骨臼周囲骨切り術の既往は、乳児の出生時体重の低下や単胎妊娠における早産率の増加とは関連しなかった。寛骨臼周囲骨切り術の既往は、妊娠または出産に関連する合併症の増加とは関連しなかった。対象では、妊娠または出産の合併症はまれであった。このシリーズでは、分娩後出血が6%(18分の1)の経膣分娩で報告された。これは2003年の全国データよりも高い(OR 0.029 [95%CI 0 to 2147.2]; p = 0.0000)。このコホートの子供の10%(41人中4人)は、新生児集中治療室に滞在する必要があった。これらの乳児のうち2人は双子で、33週目に出産した。双子を除く本研究の乳児の平均出生体重は3329グラムで、双子を含むと3128グラムであった。このシリーズの単胎妊娠(35人中1人)の3パーセントは、出生時体重が低く、全国平均の6%(OR 2.17 [95%CI 0.538 to 8.757]; p = 0.4337)と違いはなかった。 14パーセント(35人中5人)単胎児は37週間未満で早産であったが、これは全国平均の8%(OR 0.522 [95%CI 0.154〜1.044]; p = 0.1705)同程度であった。 考察 Limitation 研究参加人数が全体の36%。またそのうちの32%しか妊娠出産を経験していないことによるサンプルサイズが小さく、Nonresponder biasがある。ただし、この出産率は同年代の出産率より高いのでどう解釈してよいかは議論の余地がある。またアンケート調査なので周産期合併症については想起バイアスがある。 骨切りの既往が患者の決定または産科医の決定に影響を与えるか:患者の決定に影響を与えるかは不明。産科医は帝王切開を選ぶ傾向にある。 帝王切開が増えるか?:増える。 周産期合併症は増えるか:増えるというエビデンスはない 結論:周産期合併症は差がないが、帝王切開は増える。