CORRから。
テリパラチドは骨形成型骨粗しょう症治療薬であることから、骨折治癒にも役に立つのでは無いかとするいくつかのpreliminalyな結果が散見されます。
本研究は大腿骨頚部骨折に対してのRCT。
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- 大腿骨頚部骨折の治療はより改善されていかなければならない。テリパラチド(フォルテオ)は骨形成薬として知られており、骨粗鬆症の患者に対しての適応がある。幾つかの研究でフォルテオは骨癒合を促進するということが言われている。
- この研究は対象は大腿骨頚部骨折の患者。介入方法はプラセボとテリパラチド。アウトカムは再手術の頻度、レントゲン写真上の骨折治癒の状態、疼痛、歩行速度、安全性について調べた。
- 6ヶ月と24ヶ月の時点での骨折患者の治癒状況を確認することとし、各群1220例を必要とするところであったが、患者が全く集まらなかったので結局159例の患者を81例のプラセボ、78例のテリパラチドに割りつけた。とにかくn数がすくない。
- 12ヶ月の時点での再置換術の割合は、プラセボ群が11例中の81例。テリパラチド群が13例中の78例であった。2群間に有意差を認めなかった。12ヶ月の時点での骨折治癒の状況はプラセボ群75%、テリパラチド群73%であった。痛みについてはプラセボ群対テリパラチド群で92%対91%であった。合併症発生割合はプラセボ群49%、テリパラチド群45%であった。
- とにかくn数が限られていたのでこの結果は調査的なものである。テリパラチドは大腿骨頚部骨折の再手術を減らさない。安全性はプラセボと同様であった。機能予後を調べる必要があるのかもしれない。
- はじめに
- 大腿骨頚部骨折に対していーらいリリーのスポンサーシップを受けてその骨癒合について調べてみた。
- 研究デザイン
- 当初2012年にPhase3試験として二重盲検無作為割付多施設研究としてスタートした。当初のプライマリーアウトカムは骨癒合率の改善を見ることである。
- 再手術なし、レントゲン写真上で骨折の治癒、歩行速度の改善、疼痛の改善が見られることをゴールとした。
- とにかく患者が集まらなかった。当初の予定では10年以上かかってしまいそうであった。サンプルサイズを減らし、期間を短くして研究の達成を優先させた。
- 対象
- 50歳以上の大腿骨頚部骨折患者。受傷後7日以内。手術はプロトコールから外した。生命予後が2年以下のものは除外。
- 骨粗鬆症以外の骨系統疾患、カルシウム値の異常があるもの、PTHが高値であるもの、ビタミンD低値であるものを除外。
- 術後2週間以内に割りつけ。投与開始。
- 6ヶ月間テリパラチドまたはプラセボを投与。その後6ヶ月間休薬。全期間にわたってビタミンDとカルシウム製剤の内服を継続していた。
- 6か月、12か月の時点でアウトカムを確認。
- 最終的に78例のテリパラチド群、81例のプラセボ群に分けた。
- 結果は先の抄録に書いた通り。全く差なし。
- 考察
- とにかくいろいろな理由で患者の獲得に失敗し、小さなサンプルサイズとなってしまった。
- 本研究の意義は、ネガティブなデータにも関わらずこうやって報告していることである。
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だいぶはしょりましたが、結論としては テリパラチド惨敗。ということでよいと思います。
その理由として、
1)コントロールがプラセボであること。プラセボコントロールはもっとも差が出やすい試験なのですが、コントロールをプラセボにしても差がでないということはこの研究の対象、もしくは観察項目に問題があったということでしょう
2)COIにいー◯いりりーが明記されている。
企業がバックアップして、行われているにもかかわらず「ネガティブデータでも出したんだぜ」と言われましても。ホントに差がないんだ。としか思えません。
3)患者をenrollできなかった理由が明記されていない。
とにかくいろいろな理由でサンプルサイズが小さくなったと4回位書かれています。その理由については全く明記されること無く終わっていました。なぜこれほど患者が集まらなかったのでしょう。気になります。
個人的には大腿骨頚部骨折の大事なポイントは反対側の骨折をいかに抑制するかだと思います。
本研究も再手術をプライマリーアウトカムにするのではなく、再骨折の抑制が可能であったかどうかを焦点とすべきであったものと思います。
フォ◯テオは大腿骨頚部骨折の患者にルーチンにつかうことは現段階ではオススメ出来ません。ただ、優秀な薬であることは間違いありませんので、次の研究を待ちたいと思います。