具体的には、股関節を曲げた状態で内旋しない、お姉さんずわりをしない。といったところでしょうか。
さて、本研究はそのような患者教育が有効か?という論文です。
- アブストラクト
- THAの主要な合併症として脱臼がある。本研究の仮説はそれほど厳しく脱臼指導をしなくても脱臼率は上がらないのではないか。というものである。
- ヒストリカルコントロール。以前に厳しく患者教育していた109例。ある時点から注意事項の緩和をした108例の比較検討。両群間に脱臼危険因子の有意差を認めず。大腿骨頭は28ミリから36ミリを使用した。カルテで脱臼の有無を調べた
- 両群間に差を認めなかった
- 経験ある術者によって行われるTHAでは28ミリ以上の骨頭を用いれば術後に厳しく肢位についての指導をする必要がない
- 両群間の指導の比較
- 厳格群
- 6週間寝返り禁止。外転枕を入院期間中は装着。90度以上屈曲位、内旋内転禁止。高めの椅子を使用。6週間杖を使用。6週間車の運転禁止
- 緩和群
- 睡眠時の体位指導なし。外転枕は麻酔後のみ。最大屈曲、内旋、内転許可、退院後車の運転許可。椅子は普通の高さで良い
- 両群とも足の交差禁止。後ろ向きに動く時には股関節屈曲位で動くよう指導
- 考察
- 両群間に差を認めなかった。この事から脱臼に対する中止事項は緩和してよいと考えられる。ただ、もう少し大きなサンプルサイズが必要である。
- 脱臼の注意事項についての研究は少ない。Shmidtらが6週間の注意期間を4週間に減らしても脱臼率は上がらなかった事を報告している。
- 脱臼の危険肢位の指導は広く行われているものの、その効果については疑問が残る。Mikkelsenらは有意差がないものの、厳格に指導を行った群で脱臼が減少したことを報告しているが、この報告では有意差がない。
- これらの指導は1960年代から変わっておらず、現在のような短期入院が当たり前となった時代には見直されるべきだと考えられる。
- 我々の研究では脱臼率が低かった。(218例中1例)
- どれくらい厳しい指導を守っていたかの評価は行っていない。また明らかに危険な患者には指導を厳しく行っている
- 脱臼した一例は前方脱臼であった。
- いくつかの研究の問題がある。一つはサンプルサイズが小さいこと。一つは患者満足度を測定していないこと、
- 本研究の強みは、危険な症例を除外している事、また術後3ヵ月の段階で全例フォローしていることである。
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はい。ダメな研究です。笑
着目点は非常にシャープだと思います。確かに漫然と行われている『患者教育』によって患者さんのADLが阻害されていることは臨床上経験します。
本研究では、指導を緩和しても脱臼率は上がらないという仮説なので、研究デザインとしては非劣性試験にしなければなりません。
両群間に有意差がない、ということは同じように有効であったということを証明しているわけではない。というのは研究の基本です。
また、もともと危険な人たちは研究から外す。という暴挙。笑。
この研究がBJJという老舗のジャーナルに掲載されていることに驚きを禁じえません。
やるのであれば非劣性試験のためにサンプルサイズを大きくする。厳格な患者指導でADLが損なわれていることを示す、などが必要では無いかと思います。
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