ぶっちゃけ、「THAにリハビリ意味なくね?」が主旨です。
リハビリ関係者は刮目すべしと思います。
漫然とリハビリしとっちゃいかんのだて!!もっと考えて、もっとより良いものを患者さんに!!という熱い気持ちで呼んでほしいと思います。
抄録
THA術後の一般的な理学療法の効果については未だ不明である。手術方法、麻酔方法の変遷などの変化とともに、個々に応じた理学療法がTHA術後の患者の機能回復に効果的ではないかと言うことを検証する
単施設、無作為割付試験。120例の自宅退院を前提とした。片脚初回THAの患者が対象。介入群は10週間に渡って自宅での個々に応じた理学療法を実施。コントロール群は今までと同様に8週間に渡って週2回自宅に理学療法士が訪問するプロトコールを実施した。機能評価としてはHarris Hip Score、SF-36、WOMACを術後1ヶ月、6ヶ月、12ヶ月で取得し、評価を行った。
結果
120例中108例が最終評価時まで残った。介入群の10患者(19%)、コントロール群の20患者(37%)が割付された群と反対の群に移動した。術後1ヶ月、6ヶ月、12ヶ月のいずれの時期に於いても機能評価には差が認められなかった。
考察
このRCTの結果は、積極的に口出しをしないリハビリでも安全で効果的な成果が得られることがわかった。今までの訪問型のリハビリは必要ないといえる。
Introduction
THAは最も成功している外科的手術の縁の1つである。伝統的に術後の厳しいリハビリが良好な結果をもたらすと言われてきた。しかしながら、これらのリハビリについての報告はいずれもTHAの黎明期の報告であり、手術方法、麻酔方法が発達した近年ではこれらの伝統的なリハビリ方法について疑問がある。実際に、今までやってきたのとはことなる早期復帰プログラムでも、THAは充分に良好な成績が得られている。今までに自宅での定められていないリハビリ方法と、今まで行なわれてきた方法との間でのRCTは存在しない。本研究の背景として、アメリカではTHA術後の訪問リハビリのために1億8千4億ドルが投じられてる。高価な古い治療法に固執するよりも新しい効果的な方法を構築する必要がある。本研究の目的はRCTで古来からのリハビリ方法と口出しをしないリハビリ方法との間で効果を比較することである。
Material and Method
18歳から80歳までのOAに対して片脚THAを受ける患者を対象とした。また急性期リハビリに退院できる患者を対象として、長期間のリハビリが必要となりそうな患者ははじめに除外した。
120例の患者。66例の男性、54例の女性を対象。患者背景はTable1に示す。
割り付け方法
エクセルで乱数を作成。患者たちにはBlindをセずに割り付けを行った。
手術情報
5人の術者。側方又は前方アプローチ。術前にアセトアミノフェン1000mg、リリカ75mg、セレコックス400mg、Ketrolac30mgを内服。腰椎麻酔によるセメントレスTHA。ドレーンは留置しない。術後は6時間毎に650mgのアセトアミノフェンを投与。リリカを12時間毎に内服。Ketrolacを12時間毎に投与を行った。痛みがある場合には弱オピオイドの内服を追加。抗凝固としてはアスピリンを投与。術翌日からの立位、歩行を開始し、術後の脱臼肢位についての注意は施設基準に基いておこなった。
介入方法
退院時までPT、OTによるリハビリを受けた。伝統的リハビリ群は8週間に渡って週2回の通いのリハビリを行った。口出しをうけないリハビリ群は退院時にリハビリについて一日3回毎日やるようにと記載された注意事項についてのパンフレットを渡され、10週間自己管理でリハビリを行った。
口出しされない群は2週間毎に評価を行い、回復が悪かったり、また本人が希望した場合には伝統的リハビリ群に移動できることとした。両群とも毎日のリハビリ内容についてリハビリ日記をつけるように指導した。術後2週間は歩行器歩行、その後2週間は杖歩行とした。
機能評価
機能評価にはHHS、WOMAC、SF36を取得。1ヶ月、6ヶ月、12ヶ月で取得した。HHSでは一般的に非劣性試験ではSD13、最小臨床学的差が7点であることから55例でよいと考えられた。
統計学的検討
MnWhitneyのU検定を行った。
結果
640例のTHAの内、520例の患者が除外された。 2例の患者について検討が行われた。全ての項目について2群に差が認められなかった。(図4に2群の差の折れ線グラフ)
本研究では28%の患者で群間の移動があった。
考察
THAで良好な臨床成績が得られることはよくしられた事実である。また鎮痛管理、麻酔方法の発達などで回復までの時間が短くなってきている。本研究では、あまり口出ししないリハビリ方法でもほぼ同等の臨床成績が得られることがわかった。またこのことによって費用節減も期待できる。また今までの伝統的なリハビリの方法についても再考の余地がある。
本研究で特に定められていないリハビリ方法でも充分な回復が得られた。
本研究の結果によって多くの患者は伝統的リハビリが不要となるであろう。ただ、これらの千はビリが必要な患者を排除するものではない。10名、20%の患者が自己リハビリでは充分な改善が得られなかった。これらの結果は高齢で、術前機能が悪い患者ではリハビリを必要とするものである可能性が示唆された。
20名、40%の患者が伝統的リハビリから自己リハビリに変更した。一般的な患者では8週間で1440ドルの支払いが必要となり、これらが重荷になった可能性がある。
本研究にはいくつかのLimitationがある。まずNon-complaiantの存在であるが、これらはITTをおこなうことで排除されている。また、非劣性試験ではType2のエラーが生じている可能性(有意差があるのにないとするエラー)がある。
またアプローチの違いも影響しているかもしれないが、これらは術前で差が認められなかった。
また選択バイアスの可能性がある。今研究に参加した患者はもともと社会、経済的に恵まれているため前向きにリハビリに取り組んだ可能性がある。
またいずれの評価方法にも天井効果、床効果があるため差が出なかった可能性がある。
幾つかのLimitationはあるものの、リハビリの方法を再考するというのは必要なことではないだろうか。