背景
エビデンスに基づかない手術数による病院の分類によって今まで手術件数と術後成績評価が行われてきた。このことは手術件数と術後成績との関連について誤った結果を導き出している可能性がある。本研究の目的は統計学的手法に基づいた病院の分類をおこない死亡率、合併症率、再置換率について検討を行うことである。
方法
ニューヨークの州のデータを用いた。90日間の合併症率、2年間での再置換率についての検討を行った。1997年から2014年までで187557件の手術について検討を行った。
結果
年間12例以下、13から25例、26から72例、73例から165例。166例から279例、280例以上の執刀数というように術者を群わけした。病院については年間11例以下、12例から54例、55例から157例、158例から526例、527例以上というように分けた。35%のTHAが、年間12例以下の術者によって行われていた。これらの成績を検討すると2から2.5倍で合併症、死亡率が発生することがわかった。週1回程度のTHAが行われる病院では、たくさん手術が行われる病院と比較して合併症が1.5倍、死亡率が4から6倍になった。いままで用いられていた手法によって検討すると手術件数による差は認められなかった。
結論
正しい統計学的な手法を用いると手術件数と術後合併症、死亡率との間に関連を認めた。手術件数は一つの指標となりうる。
<論評>
手術件数と合併症の関連について。今まで数と合併症は関連がない。という報告が散見されていましたが、本研究では件数が少ない術者、病院だと合併症が多くなると報告していますな。年間500以上の病院(週10件、一日3件ずつ)やる病院と週1回の病院比べるのは酷だとは思いますが。。。
そのうち病院の規模によって診療報酬に差がつく時代が来るのでしょうかねえ。
2018年7月26日木曜日
2018年7月23日月曜日
20180723 CORR Revisiting the Anteroinferior Iliac Spine: Is the Subspine Pathologic? A Clinical and Radiographic Evaluation
背景
腸骨棘でのインピンジメントが股関節の関節外のインピンジメントの原因として認められてきつつある。CTによる分類はなされているものの、単純XpとCTとの間での関連について述べられた報告はない。いくつかの報告ではAIIS(下前腸骨棘)が股関節可動域と関連していると報告しているが、臨床的には信頼性にはかける。単純レントゲンXpにてAIISの形態評価が可能となればCTでの必要性が低下して、放射線被曝の軽減につながる。
臨床上の疑問
本研究では、(1)症状のあるFAI患者において、AIISのサブタイプの割合を確認すること。(2)股関節正面像と、False profile像とCTとの間での画像の関連を調べること。(3)AIISのサブタイプと股関節機能との関連を調査することを目的とした。
方法
後ろ向き研究。FAIに対して関節鏡を受ける患者を対象とした。2013年から2016年。601例の患者を対象とした。立位の単純股関節XpとFalse profile像が撮影された。また3DCTも撮像された。601例中う145例が本研究で対象となった。54%(145例中78例)でCTが撮像されており、63%(145例中92例)が女性であった。3DCTの所見に基づいてAIISの分類が行われた。また二人の整形外科医によって股関節正面像とFalse profile像のAIISの評価が行われた。それぞれの評価の一致率は股関節正面像で0.0.382,False profile像にて0.372、3DCTにて0.325と低い一致率であった。検者内での繰り返しでの評価は股関節正面で0.516、False profileにて0.915、3DCTにて0.915で高い一致率を示した。これと股関節の可動域とAIISの分類の調査をおこなった。
結果
3DCTによるAIISの分類でType1が56%、Type2が39%、Type3が5%であった。単純XPでのAIISの評価は股関節正面像ではType1が64%、Type2が32%、Type3が4%であった。False profile像ではType1が49%、Type2が48%、Type3が3%であった。3DCTをゴールドスタンダードとしたときに股関節正面像よりもFalse profile像のほうが正確であった。感度、特異度ともFalse profile像のほうが優れていた。股関節可動域とAIISの形態とは関連を認めなかった。
結論
AIISの評価には股関節単純正面像よりもFalse profle像のほうが有用であった。AIISと股関節の可動域と理学所見とは関連を認めなかった。いままでのAIIS分類の利便性には疑問が生じる。
<論評>
最近股関節鏡の発達とともにAIISに注目が集まっています。本研究はAIISと臨床評価を行った論文です。
AIISでいままで提唱されてきた分類に疑義を呈しております。分類は臨床上の意味があって初めて意味をなしますので、このような論文には大変意味があると思います。
新しい分類考えないといけません。
腸骨棘でのインピンジメントが股関節の関節外のインピンジメントの原因として認められてきつつある。CTによる分類はなされているものの、単純XpとCTとの間での関連について述べられた報告はない。いくつかの報告ではAIIS(下前腸骨棘)が股関節可動域と関連していると報告しているが、臨床的には信頼性にはかける。単純レントゲンXpにてAIISの形態評価が可能となればCTでの必要性が低下して、放射線被曝の軽減につながる。
臨床上の疑問
本研究では、(1)症状のあるFAI患者において、AIISのサブタイプの割合を確認すること。(2)股関節正面像と、False profile像とCTとの間での画像の関連を調べること。(3)AIISのサブタイプと股関節機能との関連を調査することを目的とした。
方法
後ろ向き研究。FAIに対して関節鏡を受ける患者を対象とした。2013年から2016年。601例の患者を対象とした。立位の単純股関節XpとFalse profile像が撮影された。また3DCTも撮像された。601例中う145例が本研究で対象となった。54%(145例中78例)でCTが撮像されており、63%(145例中92例)が女性であった。3DCTの所見に基づいてAIISの分類が行われた。また二人の整形外科医によって股関節正面像とFalse profile像のAIISの評価が行われた。それぞれの評価の一致率は股関節正面像で0.0.382,False profile像にて0.372、3DCTにて0.325と低い一致率であった。検者内での繰り返しでの評価は股関節正面で0.516、False profileにて0.915、3DCTにて0.915で高い一致率を示した。これと股関節の可動域とAIISの分類の調査をおこなった。
結果
3DCTによるAIISの分類でType1が56%、Type2が39%、Type3が5%であった。単純XPでのAIISの評価は股関節正面像ではType1が64%、Type2が32%、Type3が4%であった。False profile像ではType1が49%、Type2が48%、Type3が3%であった。3DCTをゴールドスタンダードとしたときに股関節正面像よりもFalse profile像のほうが正確であった。感度、特異度ともFalse profile像のほうが優れていた。股関節可動域とAIISの形態とは関連を認めなかった。
結論
AIISの評価には股関節単純正面像よりもFalse profle像のほうが有用であった。AIISと股関節の可動域と理学所見とは関連を認めなかった。いままでのAIIS分類の利便性には疑問が生じる。
<論評>
最近股関節鏡の発達とともにAIISに注目が集まっています。本研究はAIISと臨床評価を行った論文です。
AIISでいままで提唱されてきた分類に疑義を呈しております。分類は臨床上の意味があって初めて意味をなしますので、このような論文には大変意味があると思います。
新しい分類考えないといけません。
2018年7月16日月曜日
20180716 CORR Is There a Cardiotoxicity Associated With Metallic Head Hip Prostheses? A Cohort Study in the French National Health Insurance Databases
背景
摺動面には大きく4タイプが使用されている。メタルーポリエチレン(MoP)、セラミックーポリエチレン(CoP)、メタルーメタル(MoM)、セラミックーセラミック(CoC)である。メタルヘッドを用いた摺動面(MoMまたはMoP)ではヘッドとネックの嵌合部の摩耗によって析出されるコバルトによって心毒性が懸念される。しかしこの疑念に対する研究は今まで存在しない
臨床上の疑問/目的
本研究の目的はフランスの国家保険データベースを用いてメタルヘッドを用いた摺動面のTHAと拡張型心筋症と心不全(DCM/HF)と関連があるかを検討することである。
方法
2008年から2011年。フランスで行われた55歳以上の初回THA.399,968例。127,481 例をTHAの理由により除外した。17137例がDCM/HFの既往歴を有していた。
255350例を対象。43%が男性。平均年齢72±9歳。92376例(37%)がMoP、58095例(23%)がCoP、11298例(4%)がMoM、92376例(36%)がCoCであった。2015年までのフォローでDCM/HFで初回入院したかどうかを調べた。MoPまたはCoPは高齢者に用いられることが多く、MoM、CoCは若年者に使われることが多かった。摺動面の組み合わせをサブグループ解析にて行った。一人でMoPとCoPが行われた患者ではMoMとCoCの患者とそれぞれ組み合わせた。DCM/HFの危険性について金属骨頭と非金属骨頭の間で比較して検討した。Coxのモデルを用いて年齢と性別で調整を行った。
結果
DCM/HFの発生率はMoP2.4、CoP1.8、MoM1.2、CoC1.1であった。金属骨頭は有意にDCM/HFのリスクが高かった。(ハザード比1.08または1.11)。女性においてはMoMはCoCのほうが有意にリスクが高かった。。(ハザード比1.16または1.20)
考察
金属骨頭は有意にDCM/HFのリスクを高くした。特に女性、高齢者でその傾向が高かった。交絡因子を除外してもすべての交絡因子を除外できるわけではない。金属骨頭を用いた患者では心機能の変化をモニタリングすることが必要である。他国のレジストリーとの比較が必要である。
<論評>
いわゆる数の暴力ですな。ハザード比1.2倍ってどれだけの差ですかね。ハザード比は相対的な発生率をみているので、イベントの発生率が低いとハザード比が大きくなってしまいますな。
しかもアウトカムがDCM/HFの初回入院ってさすがにそれは関係しないと思いますけど。。
すこし本文に触れてみないとわかりませんね。
摺動面には大きく4タイプが使用されている。メタルーポリエチレン(MoP)、セラミックーポリエチレン(CoP)、メタルーメタル(MoM)、セラミックーセラミック(CoC)である。メタルヘッドを用いた摺動面(MoMまたはMoP)ではヘッドとネックの嵌合部の摩耗によって析出されるコバルトによって心毒性が懸念される。しかしこの疑念に対する研究は今まで存在しない
臨床上の疑問/目的
本研究の目的はフランスの国家保険データベースを用いてメタルヘッドを用いた摺動面のTHAと拡張型心筋症と心不全(DCM/HF)と関連があるかを検討することである。
方法
2008年から2011年。フランスで行われた55歳以上の初回THA.399,968例。127,481 例をTHAの理由により除外した。17137例がDCM/HFの既往歴を有していた。
255350例を対象。43%が男性。平均年齢72±9歳。92376例(37%)がMoP、58095例(23%)がCoP、11298例(4%)がMoM、92376例(36%)がCoCであった。2015年までのフォローでDCM/HFで初回入院したかどうかを調べた。MoPまたはCoPは高齢者に用いられることが多く、MoM、CoCは若年者に使われることが多かった。摺動面の組み合わせをサブグループ解析にて行った。一人でMoPとCoPが行われた患者ではMoMとCoCの患者とそれぞれ組み合わせた。DCM/HFの危険性について金属骨頭と非金属骨頭の間で比較して検討した。Coxのモデルを用いて年齢と性別で調整を行った。
結果
DCM/HFの発生率はMoP2.4、CoP1.8、MoM1.2、CoC1.1であった。金属骨頭は有意にDCM/HFのリスクが高かった。(ハザード比1.08または1.11)。女性においてはMoMはCoCのほうが有意にリスクが高かった。。(ハザード比1.16または1.20)
考察
金属骨頭は有意にDCM/HFのリスクを高くした。特に女性、高齢者でその傾向が高かった。交絡因子を除外してもすべての交絡因子を除外できるわけではない。金属骨頭を用いた患者では心機能の変化をモニタリングすることが必要である。他国のレジストリーとの比較が必要である。
<論評>
いわゆる数の暴力ですな。ハザード比1.2倍ってどれだけの差ですかね。ハザード比は相対的な発生率をみているので、イベントの発生率が低いとハザード比が大きくなってしまいますな。
しかもアウトカムがDCM/HFの初回入院ってさすがにそれは関係しないと思いますけど。。
すこし本文に触れてみないとわかりませんね。
2018年7月9日月曜日
2017年度のインパクトファクター
インパクトファクターだけで雑誌の質を測れるわけではありませんが、一つの参考にはなるのかなと思います。
整形外科分野でのインパクトファクターランキング 10位まで
1 American journal of sports medicine 6.057
2 Osteoarthritis and Cartilage 5.454
3 Journal of bone and joint surgery (American volume) 4.583
4 Journal of physiotherapy 4.542
5 Arthroscopy 4.330
6 Clinical orthopedics and related research 4.091
7 Bone and Joint Journal 3.581
8 Journal of orthpaedic research 3.414
9 Journal of arthroplasty 3.338
10 Knee surgery sports traumatology arthroscopy 3,210
普段このブログで取り上げている雑誌として
JBJSはこの3年はインパクトファクターが徐々に低下してきています。これは月間だったものを隔週発行にしたことも影響しているのかもしれません。
それに対して、CORR、BJJ、J arthroplastyは着実にインパクトファクターを上昇させています。
確かに、このブログでも数年前よりはJBJSよりもこれら三誌を取り上げることが増えました。よりよい論文がたくさん投稿されているのでしょうね。
雑誌の種類もハゲタカジャーナルを含めて増える一方です。
せめてPubmedくらいには掲載されるような雑誌に投稿、掲載されたいものです。
整形外科分野でのインパクトファクターランキング 10位まで
1 American journal of sports medicine 6.057
2 Osteoarthritis and Cartilage 5.454
3 Journal of bone and joint surgery (American volume) 4.583
4 Journal of physiotherapy 4.542
5 Arthroscopy 4.330
6 Clinical orthopedics and related research 4.091
7 Bone and Joint Journal 3.581
8 Journal of orthpaedic research 3.414
9 Journal of arthroplasty 3.338
10 Knee surgery sports traumatology arthroscopy 3,210
普段このブログで取り上げている雑誌として
JBJSはこの3年はインパクトファクターが徐々に低下してきています。これは月間だったものを隔週発行にしたことも影響しているのかもしれません。
それに対して、CORR、BJJ、J arthroplastyは着実にインパクトファクターを上昇させています。
確かに、このブログでも数年前よりはJBJSよりもこれら三誌を取り上げることが増えました。よりよい論文がたくさん投稿されているのでしょうね。
雑誌の種類もハゲタカジャーナルを含めて増える一方です。
せめてPubmedくらいには掲載されるような雑誌に投稿、掲載されたいものです。
2018年7月8日日曜日
20180708 Resident Participation is Not Associated With Worse Outcomes After TKA
背景 アメリカでは整形外科手術の3分の1が教育病院で行われている。しかしながらその手術にレジデントが参加することでTKAの術後成績が変化するかどうかといった研究はない。
クリニカルクエスチョン (1)レジデントの参加はTKA術後の患者立脚型評価に影響するか(2)レジデントが参加することで手術時間が延長するか(3)レジデントが参加すると術後の入院期間は延長するか(4)レジデントが参加すると患者の退院先が自宅ではなく施設に変わるのか
方法 2011年から2016年。単施設。1626例のTKAについての検討。手術時間、入院期間、退院先、患者立脚型評価について調べた。レジデントが参加したかどうかは手術記録から抽出した。多変量解析を行い、レジデントの参加とレジデントの年数が関連するかを調査した。
結果 レジデントの有無で、患者立脚型評価、退院施設の変更、入院期間は影響を受けなかった。手術時間は卒後1から4年目のレジデントがついていると有意に手術時間が延長した。
結論 レジデントの有無では入院に係る費用についての項目での差は認められなかった。今後は膝疾患特異的な患者立脚型評価を行う予定である。患者のケア、安全に影響を与えることなくレジデントの教育をさらに効果的に行うか決定することが必要となる。
<論評>
アメリカはたいていオペナースとオペレータプラスアルファでやっていますのでレジデントが入ることでだいぶ差がでてくるのかなと思います。おsれが手術時間の差に影響したのでしょう。それ以外の項目はTKAそのものの質を問うているものですので、当然差が出ないのではないでしょうか。
手術のすべての責任はオペレータにあり。
クリニカルクエスチョン (1)レジデントの参加はTKA術後の患者立脚型評価に影響するか(2)レジデントが参加することで手術時間が延長するか(3)レジデントが参加すると術後の入院期間は延長するか(4)レジデントが参加すると患者の退院先が自宅ではなく施設に変わるのか
方法 2011年から2016年。単施設。1626例のTKAについての検討。手術時間、入院期間、退院先、患者立脚型評価について調べた。レジデントが参加したかどうかは手術記録から抽出した。多変量解析を行い、レジデントの参加とレジデントの年数が関連するかを調査した。
結果 レジデントの有無で、患者立脚型評価、退院施設の変更、入院期間は影響を受けなかった。手術時間は卒後1から4年目のレジデントがついていると有意に手術時間が延長した。
結論 レジデントの有無では入院に係る費用についての項目での差は認められなかった。今後は膝疾患特異的な患者立脚型評価を行う予定である。患者のケア、安全に影響を与えることなくレジデントの教育をさらに効果的に行うか決定することが必要となる。
<論評>
アメリカはたいていオペナースとオペレータプラスアルファでやっていますのでレジデントが入ることでだいぶ差がでてくるのかなと思います。おsれが手術時間の差に影響したのでしょう。それ以外の項目はTKAそのものの質を問うているものですので、当然差が出ないのではないでしょうか。
手術のすべての責任はオペレータにあり。
2018年7月4日水曜日
20180704 JAMA Effect of Negative Pressure Wound Therapy vs Standard Wound Management on 12-Month Disability Among Adults With Severe Open Fracture of the Lower Limb: The WOLLF Randomized Clinical Trial.
背景
開放骨折は皮膚を突き破って骨折部が外界に露出するという状態を指す。多くの合併症を生じ、それは人生を変えうる。
目的
重症の開放骨折に対する陰圧療法(NPWT)と一般的なデブリとの間での機能障害の評価、深部感染の発生率、QOLの違いについて調査すること
デザイン
イギリスで行われた多施設無作為割付試験。2012−2015年に16歳以上460例の患者をリクルート。2016年にデータを解析。72時間以上経過した創、アンケートに回答できない症例は除外
介入方法
NPWT226例。デブリのみをおこない、陰圧療法を行わなかった通常治療234例。
主要評価盲目
12ヶ月後の機能評価指数を評価。0−100点。最小の臨床的に意味のある違いは8点。
深部感染の発生率、QOLの評価を行った。
結果
460例の患者がRCTに組み込まれた。平均45.3歳。74%が男性。88%の患者が最終フォローまで追跡可能であった。
12ヶ月後の機能評価指数はNPWT群と通常治療群の間に機能評価指数の間に有意差はなかった。(45.5対42.4 P=0.13)。
感染率は7.1%対8.1%。QOLも差を認めなかった。
結論
重症開放骨折においてNPWTの使用は、使用しない場合とくらべ1年後の機能障害の程度に差を認めなかった。
<論評>
結構衝撃的な論文ですね。あの会社もこの会社も『ええっ』って思ったのではないでしょうか。
機能評価指数の間のP値が0.12と、日本の学会などだと『傾向があった』と結論づけそうなところですが、最小の臨床的に意味のある違い(MCID)がすでに8点と出ているので、
これだけ高価なものをつかう意味はないよ。ということでしょうか。
まずは徹底したデブリが必要ですよね。
湿潤療法の先生方はどのようにお考えなのでしょうか。
開放骨折は皮膚を突き破って骨折部が外界に露出するという状態を指す。多くの合併症を生じ、それは人生を変えうる。
目的
重症の開放骨折に対する陰圧療法(NPWT)と一般的なデブリとの間での機能障害の評価、深部感染の発生率、QOLの違いについて調査すること
デザイン
イギリスで行われた多施設無作為割付試験。2012−2015年に16歳以上460例の患者をリクルート。2016年にデータを解析。72時間以上経過した創、アンケートに回答できない症例は除外
介入方法
NPWT226例。デブリのみをおこない、陰圧療法を行わなかった通常治療234例。
主要評価盲目
12ヶ月後の機能評価指数を評価。0−100点。最小の臨床的に意味のある違いは8点。
深部感染の発生率、QOLの評価を行った。
結果
460例の患者がRCTに組み込まれた。平均45.3歳。74%が男性。88%の患者が最終フォローまで追跡可能であった。
12ヶ月後の機能評価指数はNPWT群と通常治療群の間に機能評価指数の間に有意差はなかった。(45.5対42.4 P=0.13)。
感染率は7.1%対8.1%。QOLも差を認めなかった。
結論
重症開放骨折においてNPWTの使用は、使用しない場合とくらべ1年後の機能障害の程度に差を認めなかった。
<論評>
結構衝撃的な論文ですね。あの会社もこの会社も『ええっ』って思ったのではないでしょうか。
機能評価指数の間のP値が0.12と、日本の学会などだと『傾向があった』と結論づけそうなところですが、最小の臨床的に意味のある違い(MCID)がすでに8点と出ているので、
これだけ高価なものをつかう意味はないよ。ということでしょうか。
まずは徹底したデブリが必要ですよね。
湿潤療法の先生方はどのようにお考えなのでしょうか。
2018年7月3日火曜日
20180703 J arthroplasty Variation in Use of Postoperative Precautions and Equipment Following Total Hip Arthroplasty: A Survey of the AAHKS and CAS Membership.
背景 THAの術後脱臼を減少させるために、昔から術後の脱臼注意と補装具の処方が行われてきた。本研究の目的は北アメリカの人工関節を行う整形外科医が術後どのように脱臼への注意と補装具の処方を行っているかを調査することである。
方法 AAHKSに所属する整形外科医にメールで調査。実際に患者にどのように脱臼の防止指導をしているのか、また補装具を処方しているのかを調査した。また普段使っているアプローチ、外科医の背景についても調査をおこなった。
結果 44%の外科医が脱臼防止指導を行っている一方、33%の外科医が全く注意を行っていなかった。後方アプローチの仕様、外科医の経験年数、大径骨頭の仕様が注意をおこなうかどうかで有意な差を認めた。DAAを用いる外科医では脱臼防止指導、補装具の処方が有意に少なかった。
結論 術後の脱臼指導は未だにある一定の割合で続けられているが、余計なリハビリ、余計な補装具の購入についてとまた患者満足度減少との関連はまだ十分な研究がない。今後この分野における精査が必要であろう。
<論評>
最近話題ですね。脱臼予防はどれだけ必要かという問題です。
エビデンスとしては2009年にARDで患者指導を行うと脱臼が減少するというエビデンスがあるだけです。この数年はこのブログでも取り上げていますがBJJなどでも過剰な指導は不要ではないかという論調になってきています。
これは大径骨頭の使用などで早期脱臼が予防できると感じているからでしょう。
まったくしなくてもよいか。というのはまた難しい問題です。起こりうる合併症ですので脱臼しないとは言えませんのでどこまでどのようにいうかでだいぶ違ってくるのではないでしょうか。
方法 AAHKSに所属する整形外科医にメールで調査。実際に患者にどのように脱臼の防止指導をしているのか、また補装具を処方しているのかを調査した。また普段使っているアプローチ、外科医の背景についても調査をおこなった。
結果 44%の外科医が脱臼防止指導を行っている一方、33%の外科医が全く注意を行っていなかった。後方アプローチの仕様、外科医の経験年数、大径骨頭の仕様が注意をおこなうかどうかで有意な差を認めた。DAAを用いる外科医では脱臼防止指導、補装具の処方が有意に少なかった。
結論 術後の脱臼指導は未だにある一定の割合で続けられているが、余計なリハビリ、余計な補装具の購入についてとまた患者満足度減少との関連はまだ十分な研究がない。今後この分野における精査が必要であろう。
<論評>
最近話題ですね。脱臼予防はどれだけ必要かという問題です。
エビデンスとしては2009年にARDで患者指導を行うと脱臼が減少するというエビデンスがあるだけです。この数年はこのブログでも取り上げていますがBJJなどでも過剰な指導は不要ではないかという論調になってきています。
これは大径骨頭の使用などで早期脱臼が予防できると感じているからでしょう。
まったくしなくてもよいか。というのはまた難しい問題です。起こりうる合併症ですので脱臼しないとは言えませんのでどこまでどのようにいうかでだいぶ違ってくるのではないでしょうか。
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