背景
腸骨棘でのインピンジメントが股関節の関節外のインピンジメントの原因として認められてきつつある。CTによる分類はなされているものの、単純XpとCTとの間での関連について述べられた報告はない。いくつかの報告ではAIIS(下前腸骨棘)が股関節可動域と関連していると報告しているが、臨床的には信頼性にはかける。単純レントゲンXpにてAIISの形態評価が可能となればCTでの必要性が低下して、放射線被曝の軽減につながる。
臨床上の疑問
本研究では、(1)症状のあるFAI患者において、AIISのサブタイプの割合を確認すること。(2)股関節正面像と、False profile像とCTとの間での画像の関連を調べること。(3)AIISのサブタイプと股関節機能との関連を調査することを目的とした。
方法
後ろ向き研究。FAIに対して関節鏡を受ける患者を対象とした。2013年から2016年。601例の患者を対象とした。立位の単純股関節XpとFalse profile像が撮影された。また3DCTも撮像された。601例中う145例が本研究で対象となった。54%(145例中78例)でCTが撮像されており、63%(145例中92例)が女性であった。3DCTの所見に基づいてAIISの分類が行われた。また二人の整形外科医によって股関節正面像とFalse profile像のAIISの評価が行われた。それぞれの評価の一致率は股関節正面像で0.0.382,False profile像にて0.372、3DCTにて0.325と低い一致率であった。検者内での繰り返しでの評価は股関節正面で0.516、False profileにて0.915、3DCTにて0.915で高い一致率を示した。これと股関節の可動域とAIISの分類の調査をおこなった。
結果
3DCTによるAIISの分類でType1が56%、Type2が39%、Type3が5%であった。単純XPでのAIISの評価は股関節正面像ではType1が64%、Type2が32%、Type3が4%であった。False profile像ではType1が49%、Type2が48%、Type3が3%であった。3DCTをゴールドスタンダードとしたときに股関節正面像よりもFalse profile像のほうが正確であった。感度、特異度ともFalse profile像のほうが優れていた。股関節可動域とAIISの形態とは関連を認めなかった。
結論
AIISの評価には股関節単純正面像よりもFalse profle像のほうが有用であった。AIISと股関節の可動域と理学所見とは関連を認めなかった。いままでのAIIS分類の利便性には疑問が生じる。
<論評>
最近股関節鏡の発達とともにAIISに注目が集まっています。本研究はAIISと臨床評価を行った論文です。
AIISでいままで提唱されてきた分類に疑義を呈しております。分類は臨床上の意味があって初めて意味をなしますので、このような論文には大変意味があると思います。
新しい分類考えないといけません。
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