背景
開放骨折は皮膚を突き破って骨折部が外界に露出するという状態を指す。多くの合併症を生じ、それは人生を変えうる。
目的
重症の開放骨折に対する陰圧療法(NPWT)と一般的なデブリとの間での機能障害の評価、深部感染の発生率、QOLの違いについて調査すること
デザイン
イギリスで行われた多施設無作為割付試験。2012−2015年に16歳以上460例の患者をリクルート。2016年にデータを解析。72時間以上経過した創、アンケートに回答できない症例は除外
介入方法
NPWT226例。デブリのみをおこない、陰圧療法を行わなかった通常治療234例。
主要評価盲目
12ヶ月後の機能評価指数を評価。0−100点。最小の臨床的に意味のある違いは8点。
深部感染の発生率、QOLの評価を行った。
結果
460例の患者がRCTに組み込まれた。平均45.3歳。74%が男性。88%の患者が最終フォローまで追跡可能であった。
12ヶ月後の機能評価指数はNPWT群と通常治療群の間に機能評価指数の間に有意差はなかった。(45.5対42.4 P=0.13)。
感染率は7.1%対8.1%。QOLも差を認めなかった。
結論
重症開放骨折においてNPWTの使用は、使用しない場合とくらべ1年後の機能障害の程度に差を認めなかった。
<論評>
結構衝撃的な論文ですね。あの会社もこの会社も『ええっ』って思ったのではないでしょうか。
機能評価指数の間のP値が0.12と、日本の学会などだと『傾向があった』と結論づけそうなところですが、最小の臨床的に意味のある違い(MCID)がすでに8点と出ているので、
これだけ高価なものをつかう意味はないよ。ということでしょうか。
まずは徹底したデブリが必要ですよね。
湿潤療法の先生方はどのようにお考えなのでしょうか。
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