ブログをご紹介いただきました!!
スポーツ整形外科医S. Uのブログ Sports Physician S.U Blog
産業医大若松病院の内田先生のブログです。
日本で股関節鏡といえば「内田先生」と名前が出てくるほどだと、ボクは勝手に思っております。笑
そんな先生にご紹介いただき、ブログの更新も捗ると言うものです。笑
お読みいただいた方はどなたでも何かコメントを残して頂ければ管理人もまたヤル気がでると言うものです。笑
よろしくお願い致します。
さてはて、先回の頚部痛の続きです。
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6週間を越える頚部痛は一度放射線検査などでその原因について注意深く調べ無ければならない。
慢性の頚部痛に対する治療は様々なものが提唱されているがいずれも根拠が乏しい物が多い。運動と様々な治療の組み合わせによって神経症状のない頚部痛には対処していかなければならない。
・理学療法
理学療法はくりかえす頚部痛に対して基本的な治療の一つである。さまざまな運動療法と物理療法を組み合わせることによって患者が治療に依存しすぎずに自律して運動療法を行えるようになることが目標となる。
2001年のPhiladelohia Panelでのレビューでは様々な治療について評価が行われたが、固有感覚運動と運動療法にが有効であるというエビデンスが合った。牽引については余り効果がないことも同時に示されている。(その他の治療についてはどちらでもない、と言う結論であった。)
2006年のsystematic reviewは頚部痛に対するマッサージについては結論が得られないとしている。
運動療法の有効性を示す論文としては以下の様なものがあげられる。
・180人の就労女性に対して運動療法を指導したところ1年後には明らかに指導しない群よりも改善していた
・就労女性において運動療法やストレッチを指導すると、痛みはそれほどでもないが、可動域の回復が得られる
・頚部痛の患者で5セッションにわたる運動療法の提供は、短い期間の運動療法の提供よりも頚部痛の改善に効果がある
・牽引療法
牽引についてはその有効性は示されていない。
・脊椎のマニュピレーション、マニュアルセラピー(多分整体のようなものか??)
愛護的に行う脊椎のマニュアルセラピーについては有効であるとするシステマチックレビューが一つ有る。
急速な動きを伴うものについてはその有効性は?である。
整体単独での有効性はほとんどなく、運動療法との組み合わせによって効果があるとされている。
ただし、有効性と同時にその危険についても報告されているので注意が必要である。(麻痺、死亡例が海外にて報告されている)
有効性が明らかでない、高齢者の場合などでは整体は全く勧められない。
・薬物療法
三環系抗うつ剤の使用で慢性の疼痛が和らぎ、また不眠にも効果があるとされている。
新しくでた抗うつ剤であるSNRI(プロチアデン錠25®)はうつ状態にあって痛みを訴えるような倍には有効である。ガバペン®は頚部痛に対してしばしば使われる薬剤であるがそのエビデンスに乏しく、糖尿病性神経障害の様な頑固な痛みに使う場合がある。
・トリガーポイント注射
トリガーポイント注射に対してはほとんどエビデンスがない。しかしながら短期間、症状の改善が得られることがわかっているので効くと信じている人にとってはリスクの低い治療法の一つである。
ただし、ステロイドを使うと筋壊死のリスクを高めるので注意が必要である。
・ボツリヌス注射
頚部痛に対する有効性は示されていない。
・TENS(経皮的電気刺激療法)
有効な患者さんもいるが、エビデンスレベルは低い。
・低周波治療
有効な患者さんも一分居る。むちうち症候群の患者さんで一時的な疼痛軽減に役立ったとする報告がある。
・頚椎神経根内側枝ブロック(facetブロック)
facet由来の頚部痛かどうかを診断する際に用いられる。エビデンスレベルは高くない。
・神経高周波熱凝固療法
短期間疼痛除去に有用であるとする報告がある。
・鍼治療
鍼治療の有用性については諸説ある。のでその有用性について評価することは困難である。
・手術治療
慢性の頚部痛に対する手術法はない。
・気功
有効であるとする報告もあるが、さらなる調査が必要な段階である。
・低レベルレーザー治療
有効であるとする報告もあるが、さらなる調査が必要な段階である。
・認知行動療法
有効であるとする報告がある。
【論評】
頚部痛に対してのまとめ。です。
神経学的症候が出ている頚椎疾患に対しては手術治療というオプションを取ることができますが、手術治療が適応とならない患者さんに対してどのような治療を行うかということについて述べられています。
エビデンスレベルの高い、低いというのはあくまでその研究の妥当性を示しているだけであり、目の前の患者さんに対してどの治療を提供するかということが医師として求められているのだと考えています。
すなわちエビデンスレベルの低い治療であっても、そのことを意識下に置きながら患者さんにとって最もよい医療を何とかして提供することが必要なのだと思います。
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