TKAの患者でいつからリハビリを始めたほうが良いかということは未だに議論となっている。2,3日待ってからのリハビリの方よりも24時間以内にリハビリを始めたほうがよいのかどうかを調べるためにこの研究は行われた。
研究デザイン:RCT.評価者はブラインドされている。
セッティング:スペインの大学病院
患者:306人の患者。55歳から75歳のTKAを受けた患者。心臓、腎臓、肝臓などの内科疾患がある患者は除外した。またRAの患者、腫瘍用人工関節を使用した患者も除外している。最終的に273人の患者の評価を行った
介入方法:無作為割付。24時間以内にリハビリテーションをはじめる群と、48時間以内にリハビリテーションをはじめる群とに分けた。リハビリテーションは退院までの毎日行われ、同一のPTによって施行された。45分間のセッションで、0度から40度までのROM訓練、等尺性四頭筋、二頭筋訓練。足関節の可動域訓練。有酸素運動、姿勢指導、日常生活動作指導、歩行訓練、移乗訓練を行った。術後4日目までに全てのメニューをこなせるようにプログラムは組まれている。
結果の評価:関節可動域、筋力、疼痛を主たるアウトカムと設定した。セカンダリーアウトカムとしてBarthelインデックス、歩行バランス評価を用いた。
結果:24時間以内からリハビリテーションを始めた群の方が48時間以内にリハビリを始めた群よりも入院期間が短かった。また筋力、膝関節可動域、疼痛においても24時間以内にリハビリテーションを始めた群の方が優れていた。早期リハビリを開始した群の方が普通の歩行バランスを多く獲得していた。自律性の回復は両軍で差はなかった。
結論:早期リハビリテーションの開始によって入院期間の短縮がはかれ、また筋力、関節可動域、歩行能力においてもよりよい改善が得られた。
【論評】
リハビリをいつはじめるか、と言うのはなかなか悩ましいところです。
患者さんが術後いたがっているところをみると、まあ、少し落ち着いてからなんていうことも少なからずありますし。
ただ、術後の入院期間、リハビリテーションの考え方は日本とは少し違うのかなというのもうっすらと感じました。日本でTKA術後5日で帰る医療機関はまだごくごく少数派であると思います。この論文だと長い人で8日間の入院ですし。
全体には早期リハビリテーションの有用性が明らかになってきているのだと思います。
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