2011年7月18日月曜日

20110720 Up to Date. Acute Compartment Syndrome

コンパートメント症候群はいつ、どうやって切るか、ということを自信を持って他の人に伝えることが出来ませんでしたので、権威の力を借りてコンパートメント症候群にいかに対応するかについてまとめてみたいと思います。

Summary & recommendations

・急性コンパートメント症候群(以下ACS)は何らかの原因で筋膜内の圧を逃がすことが出来なくなり、コンパートメント内の圧が上昇して阻血障害や、組織の機能障害を起こしうる病態である。ACSは外科緊急疾患である。
・ACSは下肢の骨折、前腕の骨折などの重症外傷にともない早期に発症する。また、軽微な外傷、もしくは外傷が全くないような症例でも生じうる。(例としては、虚血性障害、凝固障害、動物咬傷、薬剤の点滴漏れ、長い間の下肢の圧迫など)
・ACSでは進行する耐え難い疼痛が早期の症状として現れる。これは筋の腫脹のためにおこる膜の伸張による疼痛であると考えられている。ACSは急速に進行していくが、多様な症状は数時間経ってから出現する。診断を確定させようと待つことは患者を危険な状態にしておく、ということになる。
・ACSが疑われるような症例ではコンパートメント内圧を測定すべきである。一度測定し、その値が正常であったとしてもそれはその瞬間には値が低くても、進行する直前であるかもしれない。つまり値が正常であったもがACSを除外診断できた、ということにはならない。重要なことは、ハイリスクの患者であれば継続して何箇所からでも測定を行なうことである。
・コンパートメントの正常圧は0-8mmHgである。大体20mmHgを越えたあたりからACSの症状や兆候が現れてくる。しかし、その兆候が現れてくるまでの圧は様々でもともと高血圧をもっているような患者では末梢神経障害が起こるまでにより高い圧を必要とするし、一方、四肢の虚血性疾患を合併しているような患者ではより低い圧でACSが起こりうる
・どれくらいの圧になれば筋膜切開をするべきかというコンセンサスは得られていない。ある専門家は収縮期血圧と測定したコンパートメント圧の差を、また別のある専門家は拡張期血圧とコンパートメント圧の差を使っている。その差も20mmHgとするか、30mmHgとするかも分かれている。
・ACSの治療は、すべてのコンパートメントから、コンパートメントに圧をかけているものを除去することである。ギプス、シーネなど覆っているものは除去されなければならない。下肢は決して挙上してはならない。鎮痛薬の投与と酸素投与も行う。低血圧になると灌流が低下するので生食の持続投与を行う。
・多くの症例で、筋膜切開を行うときには、関係すると考えられるすべてのコンパートメントの開放を行うことが最終的な治療となる。筋膜切開をためらうことは機能障害の残存につながる。

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・コンパートメント症候群(ACS)の疫学
ACSは一般的に骨折をともなうような大きな外傷で起こるが、小さな外傷もしくは外傷の内容な症例でも起こりうる。一般的に前腕、下腿で好発するが足、大腿、臀部などでも起こりうる。
・ACSは35歳以下で起こりやすい。若い男性は大きな事故に合いやすく、また筋量がおおいことがACSの起こりやすさに関連しているのかもしれない。

ACSの75%に骨折を合併している。粉砕型の骨折であること、脛骨の骨折であることがリスクを高くする。
脛骨骨折の1‐10%にACSを合併する。ついで前腕にACSは起こりやすい。特に小児では上腕骨顆上骨折に合併するACSが多い。

開放骨折、閉鎖性骨折のいずれに関わらずコンパートメント症候群は起こりうる。骨折の治療をできるだけ早期に行うことが必要である。
非観血的骨折整復術をおこなうと、コンパートメント圧が上がっていたコンパートメントの圧を低下する効果がある。ある観察研究では、撓骨遠位端骨折で整復をおこなった例では整復直後にギプスを巻くまでの間でコンパートメント圧は最大になる。第二のピークは4時間後に現れ、その後徐々に消退していくことが知られている。過度のギプス固定はコンパートメント圧を上げる。
観血的な骨折の整復固定はコンパートメント圧を上昇させうる。脛骨髄内釘挿入時にはコンパートメント圧は髄内釘挿入時に最大となり、以後36時間かけて減圧していく。撓骨遠位端骨折術後では24時間程度で減圧する。

骨折を伴わないACS
・直接外力
・熱傷
・過度にきつくまいた包帯
・穿通外傷
・四肢血管へのダメージ
・その他軽微な外傷

外傷のないACS
・再灌流障害
・凝固障害
・ネフローゼ
・点滴、注射薬の血管外漏出
・動物咬傷


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長いので次回に続きます。笑

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