"脊椎の大手術を受けた患者で同種輸血を回避する方法"
脊椎の大手術で術中出血や同種輸血を回避するためにとりうる方法
View more documents from gamitake ikuiku
術前の準備
・術前の休薬など
アスピリンや、clopidogrel(プラビックス®)は心血管疾患を合併している患者でよく処方されている。
これらの薬剤を中止するかどうかは術前のリスク評価を行って決めなければならない。抗血小板剤の投与によって10.2%の血管系のイベントが予防できていると考えられている。しかしながら、これらの薬を継続しながら行う手術では出血にともなう有害事象はあまり増加しない、と言われている。
Chassotらは、7日前からのアスピリンの中止を基本としているが、6週間以内に心筋梗塞の既往がある場合、または12か月以内に薬剤溶出型冠動脈ステントを留置した場合にはアスピリンを中止せずに手術を行うこととしている。
アスピリンと脊椎手術における出血量の関連を調べた研究はない。
ちなみに脊椎外科医にアンケートをとって見たところ、アスピリンを飲んでいると聞くと2/3の脊椎外科医が術中出血量が多くなると感じ、また半分以上の術者が出血のトラブルに遭遇したと回答した。
clopidogrelの場合には術中出血量、輸血の割合が増加したものの、死亡率、合併症率には変化が見られなかった。
整形外科医がよく処方するNSAIDsもアスピリンとほぼ同等の抗血小板作用がある。ただし休薬して24時間以降であればその効果は消失している。血小板機能評価装置などを使って術前に評価をしておくほうが妥当であろう。
・自己血貯血
自己血貯血は確立された安全な方法である。腰椎固定術や側弯症手術で同種輸血を回避するのに効果的であるとされている。
しかしながらBrookfieldらの676例の後ろ向き研究によれば自己血貯血を行った群と行っていない群では輸血の行った率に差は見られなかったとする報告もある。
鉄剤の投与、エリスロポエチンの使用は必須である。
0 件のコメント:
コメントを投稿