AAOSの変形性膝関節症に対するガイドライン
1、患者教育
1、変形性関節症の症状があるような患者は、関節症協会から提供される自己管理プログラムに積極的に参加したり、ランニングをウオーキングに変えて生活の中に運動を組み込むように教育することは効果がある。(エビデンスレベルⅡ、推奨レベルB)
2、自己管理のために定期的に診察を行うことも有効である。(エビデンスレベルⅣ、推奨レベルC)
3、BMIが25以上の変形性膝関節症の患者にたいして食事療法、運動療法を適切に処方し、最低5%以上の減量を行うことは効果的である。(エビデンスレベルⅠ、推奨レベルA)
2、リハビリテーション
4、変形性膝関節症の患者に対して衝撃の少ないエアロビクス運動を勧めることは効果的である。(エビデンスレベルⅠ、推奨レベルA)
5、変形性膝関節症の患者に対して関節可動域訓練を行うことはひとつの方法である。(エビデンスレベルⅤ、推奨レベルC)
6、変形性膝関節症の患者には大腿四頭筋訓練を勧めることは効果的である。(エビデンスレベルⅡ、推奨レベルB)
3、機械的介入
7、症状のある変形性膝関節症の患者に対して膝蓋骨のテーピングは短期間であるが痛みの除去と機能改善に有効である(エビデンスレベルⅡ、推奨レベルB)
8、内側型の変形性膝関節症の患者に対して外側楔状型の足底板を処方しないことを推奨する(エビデンスレベルⅡ、推奨レベルB)
9、内側単独型の変形性膝関節症の患者に対して外反装具を処方することは推奨することができない(エビデンスレベルⅡ、推奨レベル結論なし)
10、外側単独型の変形性膝関節症の患者に対して内反装具を処方することは推奨することができない(エビデンスレベルⅤ、推奨レベル結論なし)
4、代替医療
11、変形性膝関節症の患者に対して鍼灸を用いて治療することは推奨されない。(エビデンスレベルⅠ、推奨レベル結論なし)
12、グルコサミン、コンドロイチンの処方を行わないように推奨する(エビデンスレベルⅠ、推奨レベルA)
5、疼痛除去
13、特に禁忌がない場合には以下のような処方を行うことが推奨される
・アセトアミノフェンの投与(一日4gを超えない)
・NSAIDsの処方
(エビデンスレベルⅡ、推奨レベルB)
14、60歳以上である、他の疾患の治療中である、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の既往がある、胃潰瘍からの出血の既往がある、ステロイドと抗血小板剤の併用を行っているなどの様々な条件を有する場合には以下のような処方が推奨される
・アセトアミノフェン(1日4グラムを超えない)
・NSAIDs外用(湿布など)
・胃粘膜保護剤とNSAIDsの併用
・COX-2阻害剤
(エビデンスレベルⅡ、推奨レベルB)
6、関節内注射
15、ステロイドの関節注射は短期間の疼痛除去に有用である。(エビデンスレベルⅡ、推奨レベルB)
16、軽度~中程度程度の変形性膝関節症に対してはヒアルロン酸の関節内注射は推奨されない(エビデンスレベルⅠ or Ⅱ、推奨レベル結論なし)
7、穿刺による洗浄
17、穿刺による洗浄は行われるべきではない(エビデンスレベルⅠ,Ⅱ、推奨レベルB)
8手術治療
18、症状のある変形性膝関節症に対して初期の診断目的に関節鏡下にデブリードマンを行うことは有用である(エビデンスレベルⅠ,Ⅱ、推奨レベルA)
19、半月板の症状や関節内遊離体による症状がある変形性膝関節症の患者に対して関節鏡下半月板部分切除や遊離体摘出を行う場合もある。(エビデンスレベルⅤ、推奨レベルC)
20、大腿膝蓋関節のOAがある患者に対して脛骨結節移動術は勧められない(エビデンスレベルⅤ、推奨レベル結論なし)
21、アライメント異常のある活動的な変形性膝関節症の患者に対して骨切り術はひとつの方法である。(エビデンスレベルⅣ,Ⅴ、推奨レベルC)
22、片方の果部のOAに対してfree-floating interpositional
deviceを用いることは有用である。(エビデンスレベルⅣ、推奨レベルB)
<論評>
代替医療に対して厳しい評価が下ったものと思われます。まずは患者教育。その上で治療を行っていくこと。注射のみの外来を行わずやっていけるようになると理想ですよね。
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