2011年3月4日金曜日

20110304 JBJS(Br) Is routine chemical thromboprophylaxis after total hip replacement really necessary in a Japanese population

<抄録>
薬剤による抗凝固療法は、人工股関節全置換術(THA)においてルーチンに行うよう推奨されている。筆者らの立場は薬剤を使用しなくても理学療法(機械圧迫)で十分ではないかとする立場である。二種類の抗凝固剤をそれぞれ使用し、理学療法のみの群と無作為割付試験で調べてみた。255人の日本人の患者。片側のTHAをセメントレスで行った患者。プラセボ群、フォンダパリヌクス群(アリクストラ群)、エノキサパリン群(クレキサン群)の3群に分けてそれぞれ85人の患者に投与を行った。全員理学療法は同様に受けた。術後11日目で全員超音波によるDVTの検索を行った。12週にわたってフォローを行った。
結果プラセボ群7.2%、フォンダパリヌクス群7.1%、エノキサパリン群6.0%で3群に有意な差は認められなかった。日本人の患者に限れば、THAの後に抗凝固療法を行わずに機械的圧迫だけで効果がえられるのではないかおと考えられた。

<論評>
素晴らしいですねえ。考察で筆者が書いていらっしゃるとおり、サンプルサイズの問題、単施設研究という問題はあるにせよ、一つの施設でこれだけの仕事をなさったと言う事に敬意を評したいと思います。
超音波での検索はほぼゴールデンスタンダードですので、構わないのになあと思いました。

もともとこの薬自体14日間使えとなっていますが、下手したら退院してますしね。
肺塞栓は起こったときの衝撃があまりに大きいので使いたくなる術者の気持ちもわかりますが、厳密には、心血管リスクが高い、再置換術であるなどのもっと明らかにハイリスクな群に使うよう推奨しても良いのかもしれませんね。

僕自身はガイドラインが変わるまでは使い続けると思いますけど。。。(笑)

0 件のコメント:

コメントを投稿