2011年3月22日火曜日

20110322 JBJS(Am) Functional Elbow Range of Motion for Contemporary Tasks

日常生活で必要となる、とされている肘の可動域についての研究は1981年にMorreyが行った研究がもっとも有名である。しかしながら最近はキーボードの使用、携帯電話の使用などが要求され、これらの動作で必要となる肘の可動域がどれくらいかという研究はまだない。これらの動作で必要となる屈曲、伸展。回内、回外。内反、外反。について3Dトラッキングシステムを用いて計測を行ってみた。
方法
25人の患者でそれぞれ以前Morreyが行った項目に加え、最近必要となった動作について必要とされる肘の動作について計測を行った。
結果
必要となる角度は最小で27度±7度。最大149度±5度であった。回内は20度±18度。回外は104度±10度であった。内反は2度±5度。外反は9度±5度であった。
最大屈曲が要求される動作は携帯電話をかける動作で、142度±3度であった。最大回内外が要求されるのはフォークを使う動作で103度±34度であった。最大の回内が要求されるのはキーボードを打つ動作で回内65度±8度であった。最大回外動作はドアを開ける動作で77度±13度であった。最小外反はナイフを使う動作で、最大外反はドアを開ける動作でみられた。
結論
以前に報告されていた動作よりも現代社会では必要とされる肘の可動域は大きくなっていた。キーボードや、マウスを使うと行った動作はより回内が必要とされ、携帯電話を使うときにはより大きな屈曲が必要となることがわかった。

<論評>
おもしろい論文だと思いました。この結果自体は新しい人工肘関節がいかにあるべきかということを主眼におこなわれた研究だそうですが、いくつかの新しい視点があり、それを別の研究に生かせないかと思いました。

・人工肘関節がより屈曲と回内を必要とするということが分かりました。これを逆の視点で考えた場合、体が不自由になられた方が苦労するのは屈曲と回内となるので、屈曲、回内を必要としないインターフェイスの作成をすると、その機械はより使いやすくなるということではないでしょうか。携帯電話を耳に当てなくても聞こえるようにするとか、キーボードのないPCというのはユーザーにとって優しい。と言うことが分かりました。

・キャプチャーモーションによって測定したところが新しいと思います。これぞコンピュータの進化であると思いました。
腰椎、股関節、膝関節でも同様の機会を使って、日常生活でこれらの関節がどのように使われているかをチェックしてみると少し面白いかもと思いました。(ただし下肢の場合には歩行がメインとなってしまうというのは注意が必要です。)

・屈曲だけ、回内外だけという評価でしか出来なかったのがこの研究の弱点かなと個人的には思いました。食事でフォークを使う際には回内と屈曲動作が同時に行われていますがその評価が出来ていません。積分することでこの部分の評価ができないのでしょうか。詳しい先生がいらっしゃればご教示いただきたいと思います。

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