抄録
上腕骨近位端骨折に対するlosking plateを用いた骨接合術は急速に広がりつつある。この報告の目的はlocking plateをもちいて固定された上腕骨近位端骨折の患者の機能予後と合併症についてのsystematic reviewで行うことである。
方法
英語の文献で、18歳以上。15例以上。18ヶ月のフォローを最低行っており、一つ以上の機能評価が行われているものを選んだ。レビューワーのバイアスがかからないように筆者は誰だかわからないようにした。
結果
12本の研究、514症例が該当した。最終機能は、Constantスコアで74点、DASHスコアで27点であった。
内反変形例では49%に、内反変形例でないものでは33%に合併症がおこっており、全体の14%で再手術が行われていた。合併症で頻度が高いものとしては内反変形が16%、無腐性の骨頭壊死が10%。関節内へのスクリューの穿破が8%、肩峰下でのインピンジメントが6%、感染が4%で認められた。
考察
上腕骨近位端骨折に対するlocking plateをもちいた骨接合術では高率に合併症をきたし、また再手術が高いことがわかった。現在その合併症が高いことについての原因の精査をおこなう必要がある。
<論評>
結構衝撃的なシステマティックレビューでした。たしかに様々なタイプのプレートが発売されており、その良好な成績が報告されているのと同時に、再手術になることも多いなあと言う実感を持っていたので余計に実感をもって読みました。
具体的な対策として
1.アプローチの変更:deltopectoralアプローチはどうしても深くなり、肥満傾向のある患者さんでは上腕骨の後方と小結節の確認が難しい。腋窩神経損傷に注意して側方アプローチもひとつかも知れない。
2。内反変形、スクリューの穿破というところはスクリューの設置で改善できそうな問題かもしれません。
地方会、骨折治療学会でも”こんなにこの治療良かったですよ、( ゚Д゚)ウヒョー”という発表ばかりです。
それでは進歩はアリマセン。失敗例からしかヒトは学べない、と考えています。
このように、当たり前だと思っていた治療でも十分な成績が得られていませんので、そこに観察分析研究(後ろ向きコホート研究)をする余地があると思います。
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