抄録
オペ室の床に落としてしまい、汚染された移植用自家骨についての正しい取り扱い方法についてのデータはほとんどない。この研究の目的は手術中に床に落としてしまって汚染された自家骨の適切な取り扱い方法について3段階に分けて検証することである。
方法
第一段階として、手術室の床に落とした自家骨の汚染状況について調査を行った。(N=162)。第二段階として、340の骨片に対して、オペ室で利用可能な方法で洗浄を行い、第一段階と同様な方法で培養してみた。第三段階として洗浄後の骨片の状態に対して病理学的な検討を加えてみた。
結果
床に落下させただけで、70%の自家骨に汚染が認められた。CNSがもっとも多かった。第二段階として、様々な薬品で洗浄を行ったが有意な差は認められなかった。スポンジで擦ったほうが生食で洗っただけよりも有効であった。生食よりも薬品を使ったほうが有効であることがわかった。BetadineとHbiclensが良く、28検体で一つも培養で菌が生えてこなかった。
第三段階で病理的に検索したところ、生食とBetadineで洗った群がもっとも細胞の生存数が多かった。スポンジで擦ったものは、生食で洗ったものよりも軟骨の損傷が多かった。
結論
床に落とした自家骨はほとんどが細菌に汚染されていた。5分間Betadineで洗浄を行い、生食で洗い流すのが最も殺菌と骨、軟骨細胞活性の残存とのバランスが良かった。
(Betadineは、IsodineやJDガーグルの同義語(異表記)です)
<論評>
”おいおい、アメリカ人って、落とした骨片普通に使ってるの?”とビビって読みました。
いくつか得られた知見として、”床に落とすと70%も細菌汚染されている”
普段使うオペ室でこの実験は行われているので、オペ室の床が非常に汚染されている一つの傍証であると考えます。
床に座っていたり、足台を椅子がわりにする人間、オペ室の床が汚れると言って座り込んで床にテープをはっているナースなども同じくらいの割合で汚染されていると考えるべきでしょう。笑
この論文ではその後洗い方、洗う薬剤、薬剤の洗い流しの仕方について細かく分けて検証を続けています。
短い時間では意味がないが、5分以上洗っても細菌の汚染具合には差が出ない。4%のヒビテンは殺菌には最も有用であるが、軟骨細胞の生存には最も厳しい。なのでbetadineを使うと一番バランスが良い、と言っています。
考察の最後に、この骨片の汚染が臨床的な感染の成立と関連しているかどうかは不明である。と書いてありました。
そもそも日本人にはこの発想は受け入れられないような。特に人工関節とかインプラントを使う人はムリでしょう。笑
くれぐれも骨片を落とさないようにするためにはどうしたら良いか、という工夫。例えば骨片を加工するときに骨把持鉗子をつかうとかそういった工夫を極めて行くほうが大事じゃないかと思いました。
まあ、オペ室の看護師さんと話すネタがなくなったときのおともにお使いください。笑
あり得ない論文ですね。確かに奴らは、慎重ではないですね。しかし非常に興味深いです。
返信削除ありがとうございました。
がみ会長乙です
返信削除落とした骨についたを消毒して再利用?!
それを真面目に研究した人がいるのにおどろきですね。
日本だと、落とした骨再利用は、ちょっときついですね。
この論文のデータをもとに、落とした骨の再利用を提案しても、みんなの目線が痛い。。。感じですね。
ここには載せてないのですが、もう一つ同じような論文がJBJS(AM)に掲載されておりました。
返信削除かの国では、多分にちじょうちゃめしごととして行われているのでしょう。。。。