抄録
120人の転位型大腿骨頚部骨折の患者に対して人工骨頭挿入術(BHP)と全人工股関節置換術(THA)でのRCTを行い、4年間の経過観察を行った。
Harrisの股関節評価基準では、術後1年の時点でTHA群が勝っていたが、術後4年の時点でよりその差は顕著となっていた。(術後1年でTHA群:対BHP群=87点:78点。術後4年の時点でTHA群:BHP群=89点:75点)
EQ-5Dを用いたQOL評価ではどの時点でもTHA群が勝っていたが、その差が有意に検知されるのは48週後であった。
以上の結果からはしっかりとした高齢者であればTHA群のほうが股関節機能、QOLともに優れていることが分かった。
<論評>
2007年に行われたRCTの追加報告(A randomised controlled trial comparing bipolar hemiarthroplasty with total hip replacement for displaced intracapsular fractures of the femoral neck in elderly patients.J Bone Joint Surg Br. 2007;89:160-5.)である。
股関節機能では疼痛、機能の項目でそれぞれ有意差が出ており、筆者らは臼蓋側のerosionが14%に見られたことから、これが原因でないかと考察で述べている。手術による合併症はTHA群のほうが多かった。両群とも脱臼はなし。
大腿骨頚部骨折の患者でQOLを測定している。というのが自分がやりたかった内容なので読んでみました。
統計的にはサンプルサイズも十分である。フォロー率も75%程度。で妥当であろう。
本邦での大腿骨頚部骨折ガイドラインでは、活動性の高い患者ではTHAのほうがよいかも、となっていたので、その結果を覆すほどのものではないと思います。
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