橈骨遠位端骨折は大腿骨頚部骨折、脊椎骨折よりも人生の中で早いタイミングで起こり、橈骨遠位端骨折が骨粗しょう症の一つのサイン、として認識されている。この症例対照研究の目的は橈骨遠位端骨折を発症した男女において、骨密度が健常人と差があるのかということを説明しうる一つの要因となるかを検討することである。
方法
橈骨遠位端骨折の患者、664人の女性、85人の男性。554人の女性、54人の男性を対照群として設定した。これらの患者に骨密度(大腿骨頚部、脊椎)の検査を行い、日常生活についての質問紙法に答えてもらった。
結果
橈骨遠位端骨折を起こした患者で女性では34%、対照の10%で骨粗しょう症が認められた。男性では17%、コントロール群で13%であった。年齢による層別解析をすると、50-59歳では18%と5%、60-69歳では25%と7%であった。ロジスティック回帰分析をすると女性では橈骨遠位端骨折は骨粗しょう症と関連が認められた。これは男性でも同様の結論となった。
結論
橈骨遠位端骨折をきたした女性では骨粗しょう症であることが多かった。また男性でも女性でも骨粗しょう症は橈骨遠位端骨折を起こす危険因子であった。男女を問わず55歳以上で橈骨遠位端骨折を発症した場合には骨密度の計測を行うことが有用であるかもしれない。
<論評>
この研究のMethodを読むと、最初に救急外来にきたひとをregistrationしているというのがこの研究の素晴らしいところであると思いました。実際の臨床により近い状態であったと推測されます
しかし、半分くらいの患者さんがこの研究への参加を断っていることからよりリスクが高い人が残ったためにこういう結果になったのかもしれません。
FRAXでも骨折の既往というのは一つの独立した因子となっておりますのでそれを裏付ける結果となったのかなと感じました。
橈骨遠位端骨折の患者さんをみたら、FRAXに乗せてみるか、または骨密度検診をすすめるかいづれかを行う、というように今後対応していくこととしましょう。
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