2011年2月6日日曜日

20110205 運動器疾患の臨床研究寺子屋セミナー

NPO法人iHOPEが主催する 運動器疾患領域臨床研究セミナーに参加してきました。

主にお話ししてくださった京都大学医療疫学教授の福原先生の講演が大変分かりやすく、感銘をうけました。

以下セミナーの覚書

普段診療でいだいている疑問(clinical research)を構造化することによって研究可能な疑問(research question:RQ)へと変化させる。
我が国の学会発表は症例報告と基礎研究が大変多い。そこで、今後必要となるであろう研究スタイルが分析観察研究である。

研究デザインはまず介入の有無で分かれる。その次に比較対象があるかどうかで症例報告と分析観察研究と分かれる。症例報告から一歩前に出てみることが重要。

”Garbage in, Garbage out” ゴミをいれてもゴミしか出てこない。 データをいじるだけではよい研究になりえない。

RQにするための七つのステップを順に追う。
RQの種類は4種類。1,病気や診療の実態を調べる。2,診断方法を評価する。3,要因とアウトカムの関係を調べる。4,治療/予防の効果をしらべる。
今後はプラクティスパターンからのアウトカムの測定を。

良いリサーチクエスチョンとは"FIRM2NESS"
RQを構造化することでスキのない抄録を作る。
PE(I)COを明らかにすること。
Pではat risk集団に注意。
Eは”三た論法”(使った、治った、効いた!)に決してならないように注意。

研究によって診療行動が変わるような研究が理想。


4種類のRQと研究デザイン
・治療の効果を診るには介入研究とコホート研究、病気の原因を知るにはコホート研究と症例対照研究を、診断の評価には分析的横断研究を、疾患の実態を知るには記述研究を用いる。

RCTを行うことで比較の質を確保。RCTだけでなく観察研究も有用である。
症例集積研究では要因とアウトカムの関連を結論できない。症例対照研究では要因とアウトカムの関連を結論可能。ただしリスクは求められない。コホート研究は要因とアウトカムの関連を結論可能であり、リスクを求めることができる。


比較の質を落とす要因  バイアスと交絡
・交絡とは第三の因子が着目する効果に混ざり合い、真の効果を歪めて見せる減少。この時要因への影響が均等に掛かっていることが前提。
研究前後で交絡は調整可能。できるだけ考えられるだけの交絡は前もって上げる。層別で調整することで交絡は調整可能。最強の方法はランダム化。この他にはマッチングなど。
事前、事後共に調整可能。

バイアスは解析で調整できないので、事前のデザインが重要。

内的妥当性は交絡、バイアスがすくない。
臨床研究とは比較すること⇔関連性の有無を検討すること。


抄録のブラッシュアップセミナー
質疑応答で、この角度は脊椎外科医にとって重要というコメントがフロアから。しかし、患者さんにとって大事なのはQOL。QOLを改善するために有効な指標が何か、と言う事を整形外科医はもっと謙虚になって聞くべき、と感じた。


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