2011年2月3日木曜日

20110202 JBJS(Br) What are the radiological predictors of functional outcome following fractures of the distal radius?

抄録
撓骨遠位端骨折は整形外科医がもっともよく遭遇する骨折のうちの一つであるが、その術前術後のX線上での”許容される”指標については今までしっかりとしたコンセンサスが得られていなかった。これはX線上での整復位が多くの場合臨床成績に影響しているとされているので、X線上でのどの測定値が臨床成績の予測因子となりうるかを調べた。結果、高い機能予後をえることが必要とされる患者においては関節面のズレは2mm以内、撓骨の長さが正常と比べて2mm以内の短縮に収まっていること、手根骨のアライメントが正常であること、が必要であることがわかった。治療の究極の目標は全く疼痛がなく可動域制限のない手関節を再建することである。

考察
”許容される”という言葉は衝突を生む言葉である。当然受傷機転は様々であるし、また治療方法も違っている。治療の究極の目標は疼痛のない機能障害のない手関節を再建することであるが、日常生活で常に手関節を使うような患者であればその要求されるところは高くなるであろうし、また逆に虚弱高齢者であれば多少の変形治癒も許容される。 Grewalらは216人の関節外骨折の患者をフォローしてdorsal tilt が10度以上、radial inclinationが15度以下、ulnar variantが3mm以上の場合にはその変形は許容されない。と定義している。患者は年齢で層別化された。X線上での変形の残存によって手関節昨日の低下がみとめられたが、そのインパクトは年令と共に減少した。
関節面の不適合性は将来的なOAの発生リスクに関連している。しかし不適合性では機能に影響を及ぼさないということも言われている。それゆえに高い機能予後を必要とする患者においては2mmの関節面のズレまでが許容されるものと考えられる。
撓骨の短縮、またはulnar varianceの存在はもっとも機能予後に影響を及ぼすと言う事でコンセンサスが得られている。このような変形が残存すると手関節の疼痛や、握力の低下が生じる。撓骨の長さを保つことがまずもっとも重要である。正常から2mm以内の変形に収めるべきである。
dorsal tiltが及ぼす影響については撓骨の短縮よりも小さいのでは、と考えられている。手根骨のアライメントが正しい位置にあることが重要であるので、そのことが同時にdorsal tiltが重要であるということを示唆する。しかし、まず重要なのは手根骨のアライメントであり、その次にdorsal tiltとなると考えられる。手根骨の配列以上があって、dorsal tiltが正中を超えているようであれば処置したほうが良い。手根骨の位置が正しく配列していればdorsal tiltは許容されることがある。
最近の研究では尺骨茎状突起骨折の処置を加えることは不要であると言う事になってきている。(撓骨の安定は最低条件。)



<論評>
最近高齢者のとう骨遠位端骨折をみることがおおく、また皆さん手術を嫌がるので、変形が残存することが多かったのが苦になっていました。ただ、変形していても皆さんあまり症状が無いのも特徴かなと感じました。
高齢であればある程度まで許容されるのかなと思って読んだのがこの論文です。
これからの高齢化社会、”ずれた骨折→すぐ手術”ではなく、その患者さんの状況をよく勘案してその適応を考えるべきかなと思います。

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