2012年9月13日木曜日
20120913 JBJS(Am) Post-splinting radiographs of minimally displaces fractures; good medicine or medicolegal protection
整復操作と打ち込むたびに制服捜査とおいらのPCでが変換するので、それっぽい画像をUPしてみました。苦笑。
抄録
背景
多くの施設では、整復操作を加えることなくギプス治療とし、その後レントゲンフォローとしている患者は結構いる。本研究の目的は特に整復操作を加えることなくただ単にギプス固定としたほとんど転位のない患者のギプス固定後のレントゲン上での変化について評価を行うことである。筆者らは特に整復操作を加えなくても良いような患者であればその後のレントゲン評価でずれなく経過するであろうという仮説を立てた。
方法
レベル1外傷センターで2008年から2010年までの間に整形外科にコンサルトが来た骨折について評価を行った。2862回のコンサルトがあり、1321の骨折がギプス固定によって治療がなされていた。342骨折(25.9%)が転位のない骨折であった。ここで転位がないというのは5mm以下のずれ、10°以下の角状変形を言う。204骨折がギプス後にレントゲン写真が撮影されていた。可能な限りのフォローを行い、その臨床症状についての評価を行った。
結果
204骨折のウチ、ギプス固定後に転位したものはなかった。2例ギプスの巻き直しが行われ、レントゲン撮像が行われていたがその理由については不明であった。患者は超急性期時に平均10枚のレントゲンを取られていた。そしてギプス固定後に平均3枚のレントゲン写真が撮像されていた。ギプス固定後から次の写真が撮られるまでの平均時間は3時間30分であった。受傷部位として多い骨折は手関節、手指の骨折であった。その患者さんたちの平均待ち時間は3時間。全部で9枚のレントゲン写真が撮られていることが多かった。ギプスをしないで帰る患者よりもERでの滞在時間は長くなる傾向にあった。82例でフォローが可能ですべての骨折にズレを認めなかった。
結論
ズレのない骨折に対してギプスを巻いたあとのレントゲン写真をとることは時間のむだであり、また無駄な被曝を増やしているだけとも言える。ズレのない骨折でむやみにギプス巻き後のレントゲンを取る必要はない。
考察
この研究では、転位がなく、整復操作をくわえていない骨折に対してギプス巻き後のレントゲン写真をとっている例が60%もあることが明らかになった。そのために10枚のレントゲン写真が撮影され、ERに8時間半以上滞在するハメになってしまうこともわかった。ギプスを巻いたくらいでは骨折のズレは出ないので、むやみにギプス巻き後のレントゲンを取る必要は無いものと思われる。
最近幾つかの研究で無駄なレントゲン写真を取ることをやめることで医療費の削減につながっているとする報告もある。
今回待ち時間についての研究も行ったが、ギプスを巻いてそのレントゲンを待ってその上でそのレントゲンの再評価をする。というところで余計に時間がかかっていることがわかった。
患者の無駄な被曝を減らすという意味でもむやみにレントゲンを取るのは良くないと考える。
評価することで教育的効果があるかもしれないという考えもあるが、ギプスを巻いた状態のレントゲン写真ではその厚みによってしっかりと評価ができない。
いままで慣習的にギプス巻き後のレントゲン写真を撮っていたが、これにはあまり意味がなく、特にERという環境下で人的資源を消費することを考えればさらに不要であると思われる。
<論評>
最後の方は端折っちゃいましたけど、同じような内容が延々と書かれておりました。まあ、とにかく早く帰ってもらわないと困るから、いちいちレントゲン取る必要あるの?という疑問に基づいた報告と思われます。
この研究はアメリカ、ニューヨークの外傷センターの報告です。ドラマ”ER”を見たことがおありになる方はご存知かと思いますが、アメリカではまずトリアージされて待たされます。その後各診療ブースで担当のレジデント、医師が診療。必要があれば専門家コール。結論が出るまでは帰れません。
この研究でも、ギプスを巻いて8時間待ち。。。。。(当然他の怪我の処置とかもあるのでしょうけども)というのにはまあ、彼の国の医療事情はそういうものかとびっくりした次第であります。
この論文の中で書かれていた文章で良いなと思ったのが
”その検査結果によって診療方針を変更する見込みのない検査をするべきではない。”という一文です。いや、確かにそのとおりだと思いました。
外来患者のレントゲン写真を取るときにはどのようになっているか、を検査する前に予想し、その上でオーダする。そうすることで見落としもへると思いますし。臨床力は向上していくのでは無いかと思います。
血液検査にしても抗生剤の変更などを考慮しないのであればむやみに取る必要はないと思っています。
ここの予想が立てられるかどうかが良い医者とまあ出来ない医者の境目じゃないかなんて勝手に思っています。ハイ。
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