2012年7月11日水曜日
20120711 JBJS(Br) Does early administration of bisphophonate affect fracture healing in pt. w/ intertrochanteric fractures?
抄録
術後早期にBisphosphonate(以下BP剤)を投与することが骨折の治癒過程に影響するかどうか、また同時に合併症の発生に影響するかどうかを調べた。
2008年から2009年の一年間。大腿骨転子部骨折で手術治療を受けた90例。この90例を無作為に3群に分けた。
A群:術後1週間目から投与開始。B群:術後1ヶ月後から投与開始。C群:術後3ヶ月後から投与開始。
プライマリーエンドポイントはレントゲン写真上での骨癒合判定とした。合併症の発生、再手術などをセカンダリーエンドポイントとしている。
骨癒合までの期間はA群が10.7週、B群が12.9週、C群が12.3週であった。(有意差なし)
機能予後、合併症の発生についても有意な差を認めなかった。
これらの結果から大腿骨転子部骨折術後どのタイミングでBP剤を投与するのかは骨癒合には関連しないことがわかった。
考察
BP剤が反対側の大腿骨頚部骨折を減少させ、また死亡率を減少させると言うことは非常によく知られた事実である。しかし、BP剤が骨癒合に与える影響については今まで調べられたことがなかった。
動物実験レベルでは、BP剤の使用によって仮骨形成、レモデリングが遅延する。ということは知られている。しかしながら骨癒合、骨折治癒そのものに影響するかどうかは不明であった。Adolphsonらは撓骨遠位端骨折を受傷した32例について調べ、2ヶ月後にBMDが上昇していたとしているがその差は時間とともに小さくなっていっているとしている。Rozentalらは撓骨遠位端骨折で本研究と同様にBP剤を投与し骨癒合までの時間が延長したと報告している。(55日と49日だけどもね。)
NEJMでのHORIZONstudyで、股関節骨折を受傷した患者に受傷後2週間の時点でZoledronic Acid(ゾメタ®)を投与すると死亡率、再骨折率が下がる、と報告している。
BP剤は骨癒合に影響するのではないか。とかんがえられるが、 本研究でどのタイミングで投与しても骨癒合に差がない。ということがわかったので、再骨折予防のタメには早期介入が望ましいのではないかと考える。
サンプルサイズが小さいのが問題でしょうか。
【論評】
良い研究だと思うんですよね。
これを一歩進めてもっと面白いことができないか。と考えてみたいです。
例えばいま大腿骨頚部骨折で地域医療連携を組んでいる急性期病院、リハビリ病院は多いのではないかと思います。
この骨粗鬆症治療を、地域連携のパスの中に組み入れればよいなー。とおもいます。
出来ればそれを大規模コホートとして追ったら面白いと思うのですけど。。。
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