TABLE I Systems-Based Interventions
Intervention | Description |
Timed toileting | All patients are offered assistance to the restroom three times every eight-hour nursing shift. |
Wake ’em, take ’em | All patients who are awakened by staff in the course of their duties (e.g., vital signs or administration of medications) are offered assistance to the restroom. |
Assist in, assist out | All patients who require assistance to the commode or restroom are attended and then given assistance back to the chair or bed. |
Shoulder safety | All patients undergoing inpatient shoulder surgery are instructed by both surgical teams and nurses not to get out of bed unassisted for the first twenty-four hours after surgery. |
20 Pickering Street
Needham, MA 02492 USA
The Journal of Bone and Joint Surgery, Inc.
学会の抄録を出さないといけないのですけど、まーーーーったくやる気になれないのでブログの更新をいたしまする。
決してサボっているわけではなく、明日の臨床につながる何かを探すタメにやっているのだ!と自分に言い訳をしております。
抄録
背景
院内での転倒転落事故は時に死亡を含めた重症な転機をたどることがある。しかも転倒転落事故と言うものは2008年のMedicare, Medicadサービスから”病院内で起こしてはいけない事象”として定義されてしまっている。
患者の危険因子から様々な介入策がとられているものの、現在までで急性期病棟でうまく行ったことはない。今回System-basedプログラムを高リスクの状況に対して用いることで転倒、転落事故の防止につながるのではないかと考えた。
方法
術後の転倒について医師、看護師、助手、リハビリスタッフからの実際の情報を収集した。病院の状況、患者の要因、環境について調査した。これを準備段階とした。準備段階の結果に基づいて4つのsystem-basedプログラムを作成した。これらについて前向きに調査。すべての転倒事象の記録をおこなった。準備段階とプログラム導入後の転倒率について調査を行った。
結果
準備段階では11802人日に対して調査した。1000人日に対し 総転倒率が4.24、転倒によるケガが1.17発生した。プログラム導入後では12267人日に対して調査を行い、1000人日に対して総転倒率が2.53、転倒によるケガが0.41と有意な差をもって減少した。
結論
system-basedプログラムを用いることで転倒を減少させることができた。ただ、様々な方法を用いても転倒はおこってしまう。すべての転倒を防ぐことができると言うのは絵空事であろう。
4つのシステム型転倒防止法
・8時間の勤務時間中に3回はトイレへの援助を申し出る
・業務によって起こされた患者さんはトイレへの援助を医療者に申し出る。
・トイレに行くのに援助が必要な患者さんは自分のベッドに戻るまで援助を受けることとする。
・肩の手術を受けた患者では医療者の許可なしにベッドから離れては行けない
考察
本研究は継続型質的改善モデル(continuous quality improvement model)をもちいて転倒防止を行った。本研究はシステムに基づいた対策を行った最初研究である。このことによって転倒を40%減らし、転倒によるケガを65%減らすことができた。
ハイリスク患者に手をかける。と言う方法はほとんどうまくいっていない。また様々な観点から転倒防止を行う。というのは長期の入院を必要とするような病棟ではうまくいくが、急性期病棟ではほとんどうまく行かなかった。
本研究では転倒と、転倒による傷害のいずれも軽減することができた。これは転倒自体の減少にともなう傷害の減少と考えられる。
トイレでの動作が転倒の危険因子であるということは今までにも言われてきた。そこで今回設定したルールでは患者はトイレを原則として医療者の援助下で行うこととした。こうすることでトイレに関わる転倒の抑制ができた。
多くの研究でハイリスク患者に介入するというのは行われている。これらの患者に対してベッドを低くしたり、アラームをつけたり、ビタミンDの内服を始めたり、内服の見直し、患者教育、安全な靴の指導、運動療法などがある。
今回の研究ではこれらの研究での成果は殆ど無いと考えて研究を行った。何故ならば患者ごとにその要因は大きく異なるからである。また急性期ではせん妄、貧血、疼痛治療。また手術の安静などで大きくその様態が異なる。なのでこのような患者ごとにアプローチする方法は有益でないと考える。
当然患者の状態と患者の環境の両者に配慮することは必要である。今回の研究では肩関節術後の患者での転倒が多いことがわかったのでその患者にたいする対策を行なっている。
この研究には幾つかの限界がある。患者の割付が無作為割付になっていないこと。大学病院の整形外科病棟という限られた環境であることなどがあげられる。また報告されていない転倒事例もあることは否定出来ない。
2008年にMedicare,Mediaidの支払い機構から、転倒は防ぎうる事象なので、もし院内転倒、転落事故によって生じる費用はすべて病院が負担することと成っているとの通達があった。システムbased転倒予防を行うことで転倒転落事故の減少はできたものの、支払い機構が言うような”全く怒ってはならない事象”という取り扱いに転倒転落事故がなっていることに納得が行かない。どれだけ手を尽くしても転倒は無くならないのである。
【論評】
私自身、この論文を読む前にも病棟でサインして参りました。”転倒・転落に関わる同意書”。笑
看護師さんがせっせとリスク評価をしてくださって、”ほーら、このおばあちゃん、こんなに転びやすいのよ”と結論づいたところにサインをして、患者さんのご家族へお渡しする。と。
あまり大きな声では申しませんが、ホンマに意味有るんかなあ。と思っておりました。同意書はサインを貰えばよいと言うものではありませんし。
看護師さんは一生懸命評価してくれてるんやけど、ホントに転倒予防につながるんかな。。。。と。笑
この論文はその疑問に答えてくれる一つの回答だと思います。
非常にアメリカっぽいアプローチだなあというのが第一印象です。
ぼくがいうアメリカっぽいアプローチとは100点はとれなくても、誰がやっても同じように70点くらい取れるようなシステムの構築を行うことを指します。
(注:ブログ管理主はアメリカ留学経験、就労経験もないドメスティックな人間ですのでホントにアメリカっぽいかどうかは不明です。笑)
日本でもせっせと転倒の報告を挙げて頂いておりますので、同様の機能評価をおこない、転倒予防につなげたほうが良いのかもしれません。
日本の病棟では、どうしても仕事は”やっていること”という事実に夢中になりがちで、その仕事にどれだけの意味があって、どれだけ患者さんに資しているのか?ということを考えられなくなっております。やっていることに意味はありません。やったことで何か成果が得られて意味があるのです。
NST、ICT、褥瘡委員会。。。。。。。。。。病棟には山のように委員会、チームがありますが、仕事をしているだけではなく、もっと成果として発表し、その結果に基づいて改善していくというサイクルを組み立てる必要がある、と思いました。
大学の専門病棟を対象としているので、同じルールを導入してもすぐ自分のところでうまくいくわけではありません。もしやってみたい。と思われたら、まずは調査してみましょうか。ハイ。
しかし、アメリカの支払い機構はマジで厳しいですね。。。。
院内転倒は病院持ち出しなんですね。
そのうち日本もこんな風に世知辛くなったりして。。。。
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