2012年6月6日水曜日

20120605 JBJS(br) Balance is an important factor for quality of life and function after primary total knee replacement

week 4 balance

抄録
TKRでのバランスの改善が疼痛除去とともに手術後の成績に関わる因子ではないかと言うことで検討を行った。81人の患者を対象とした。うち62人の患者に対して術前、術後の動的、静的なバランス能力の調査を行った。運動機能、患者立脚型成績評価も同時に行った。
術後1年で動的バランスの改善が得られた。バランスの改善が運動機能、健康QOLに関連した因子との相関を認めた。疼痛除去だけでなくバランスを上手に取れるようになるということもTKRの重要な因子の一つで有ることが示唆された。バランスを取れるようにするトレーニングを術後のリハビリテーションに取り入れるようにしても良いのではと考えられた。

考察
疼痛除去だけがTKRでの主な改善点かという臨床上の疑問に答えるために本研究は行われた。術後1年の時点でTUG(Time up & go test)やFSST(Four square step test)を含め改善が得られていた。
静的、動的なバランスの両者とも改善が認められたが、静的なバランスの改善については統計学的に有意な差は得られなかった。膝を30°に曲げた時と90°に曲げたときの2つの場合においてのみ統計学的に有意な差が得られた。

TKR後のSF36の改善と静的バランスの改善、動的バランスの改善は強い相関が認められた。本研究はバランスがTKR後の臨床成績に影響を及ぼすことを示した初めての研究である。FSST、OKSの改善が疼痛の改善よりも日常生活の改善に大きく影響することもわかった。

本研究の限界はまずその脱落群の多さである。全体の24.3%が1年後のフォローを行うことができなかった。

結論として、変形性膝関節症の高齢者に対してTKRは疼痛の除去だけでなくバランスの改善ということでもQOLに貢献しうる。バランスを重視したリハビリテーションが必要である。

<論評>
バランスに着目した初めての論文である。というところがおもしろうございました。
身体のバランスを取れる関節は距踵関節、股関節、脊椎椎間関節の3ヶ所しかないと言われています。(出典不明)
膝の関節は身体のバランスを取るのにはあまり関わっていないので、静的なバランスの改善が得られなかったのかもしれません。
THRであれば体全体のバランスの改善が得られたのがわかるかもしれませんし、脊椎術前後などで動的バランスがどれだけ改善したかという研究をおこなっても良いかもしれませんね。

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