2018年9月24日月曜日

20180924 JBJS What’s New in Hip Replacement

年に1回ほどJBJSにSpeciality updateが掲載されますが、そのTHA版がこの9月に上梓されていましたので簡単にまとめ。その1

インプラントデザインと成績
・セメントステム
オーストラリアのナショナルレジストリーで2種類のセメントステムについての検討。14年間のフォローでマット加工のステムよりもポリッシュステムのほうが再置換率が低かった。マットステムの再置換の原因の75%は緩みであった。ポリッシュステムの再置換の原因は骨折によるものであった。ポリッシュステムのほうがコンポジットビームのステムよりも骨折率が高いとする論文があるが骨粗鬆症が交絡因子としてありそうだ

・ベアリング
セラミックーポリエチレンの組み合わせの組み合わせが2015年には52%を占めるまでのなった。一方メタルーメタルの組み合わせは劇的に減少している。近年の研究はメタルーメタルの組み合わせによるものが多い。

・メタルオンメタル
メタルイオンレベルとメタルオンメタルTHAの臨床成績には関連がありそうだ。
28ミリ骨頭のメタルオンメタルの10年フォローでは、症状がなくても41%の患者が血中コバルトクロム濃度が上昇しており、ARMDが認められた。

・心血管毒性
Mayoの研究ではメタルオンメタルのTHA後でコバルト濃度が高い患者の屍体では心筋内のコバルト濃度が高かった。これはメタルオンメタル後の心血管イベントが高い可能性を示している。しかし、症例対照研究では心血管イベントは変わらないとする報告もいくつか出ている。

・セラミックオンポリエチレン
症状のないセラミックオンポリエチレンの患者にMRIを思考したところ50例中9例で液体の貯留を認めた。充実性の病変はなかった。今後のフォローによる報告が必要。

・セラミックオンセラミック
セラミックヘッドとライナーの破損はいまだセラミックオンセラミックTHAの主要な問題の一つである。イングランドのナショナルレジストリーによれば、最近のセラミックヘッドは以前のセラミックヘッドよりも有意に破損のリスクが減少した。一方ライナー側の破損率は変わらなかった。ヘッドが小さい方がセラミックベアリングの破損と関連していた。

・Highly cross-linked polyethylene
ニュージーランドの国家レジストリーによれば、コンベンショナルのポリエチレンライナーよりもハイリークロスリンクのポリエチレンのほうが摩耗量が有意に少なく、また再置換率も有意に減少した。若年者を対象としたRCTの10年成績でもハイリークロスリンクは有意に摩耗量が少なかった。ビタミンE含有ポリエチレンはその他のポリエチレンよりも有意に摩耗量が少なかったとする質の高いエビデンスが一ずつある。

・モジュラーネックとモジュラー型ライナー
フランスの国家レジストリーから。モジュラーネックによる再置換率はモノブロックのすてむよりも有意に高いことが報告されている。ステムデザインによる比較ではSROMよりもスミスアンドネフューのエンペリオンがステム破綻が多いことが報告されている。オーストラリアのレジストリーからコンストレインライナーでの再置換のほうが非コンストレイン型のライナーよりも再脱臼率が高いと言う報告がある。すなわち頻回脱臼に対するアプローチではコンストレインライナーにすればよいと言うわけでなく慎重な検討が必要と言うことを示唆している。デュアルモビリティは今後の検討が待たれる。

・患者側要因と臨床成績
・合併症
メタボリックシンドロームは人工関節術後の合併症発生の独立した危険因子である。メタボリックシンドロームを有するもしくはBMI40以上ではそうでない群よりも合併症発生率が高い。
COPD、多発性硬化症、パーキンソン病も最近THA後の危険因子として報告されている。C型肝炎の患者は術後合併症が多いとする報告とそうではないとする報告がそれぞれ出されている。
臓器移植後、血液疾患を有する患者での合併症率は高い。
・股関節治療歴
股関節鏡がTHAの術後成績に影響するのではないかということが示唆されている。股関節鏡術後の患者のほうがそうでない群よりもTHAの成績が低いことが報告されている。30歳以下で骨きり、骨移植などの股関節温存手術術後の患者は初回THAよりも成績不良であることが報告されている。大腿骨頸部骨折で骨接合術後のコンバージョンTHAは一期的にTHAをした患者よりも成績が不良であることが報告されている。
喫煙、ASA>3は独立した再置換の危険因子として報告されている。またBMI>35は深部感染のリスクを上げる。





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