背景
2月20日から2020年4月にかけて、コロナウイルスSARS(重症急性呼吸器症候群)-CoV-2がイタリア北部で流行し、国家医療システムに大きな打撃を与えた。病院システムは再構築され、整形外科部門は、高齢者の外傷治療、特にコロナウイルス感染症2019(COVID-19)患者の大腿骨頸部骨折の治療をおこなった。本研究の目的は、COVID-19陽性患者の大腿骨頚部骨折に対する整形外科的管理戦略を、手術的治療が患者の全体的な安定性に寄与する可能性があるという仮説を検証することである。
方法
COVID-19に罹患している大腿骨近位部骨折の患者16人。胸部コンピュータ断層撮影(CT)と咽頭スワブの検査でCOVID-19陽性が確認され、入院と低分子ヘパリンによる予防が必要となった患者だった。
結果
3 例の患者は重度の呼吸不全と多臓器不全症候群のために手術前に死亡した.
10例は入院翌日に手術を受けたが,3例は直接トロンビン阻害薬を使用していたため,入院後3日目まで手術を遅らせる必要があった。1 例を除くすべての患者で,O2 飽和度と補助呼吸の点で改善が見られた.9例では術後平均7日目に血行動態と呼吸の安定が認められた。外科治療を受けた4例は術後1日目(1例),術後3日目(2例),術後7日目(1例)に呼吸不全で死亡した。
結論
大腿骨近位部骨折の手術治療を受けたCOVID-19陽性患者12例において、呼吸器パラメータの安定化が認められた。大腿骨近位部骨折のCOVID-19を有する高齢者患者において,手術は患者の全体的な安定性,座位動員,生理的換気の改善,ベッドでの患者の一般的な快適性に寄与する可能性があると考えられる.
<論評>
入院1週間以内に16例中7例死亡してます。ただし手術をしないとG-upも難しく、呼吸管理も困難となるので死亡率100%となることが予想されます。
日本で同じ事態に遭遇した場合には、術後死亡する確率が極めて(1週間以内の死亡率が約50%)高いことをお話した上で手術をせざるを得ないでしょう。
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