目的
脱臼はいまだTHAの主要な合併症の一つである。本研究の目的はDual Mobilityカップ(DMC)と後方にリップの補助がついたカップ(PLAD)の比較検討を行うことである
方法
DMCまたはPLADで再置換された患者の後ろ向き調査。手術時間、入院期間。合併症の発生率、術後再脱臼について調査
結果
2007年から2013年まではPLADで再置換が行われた54例。2013年から2017年まではDMCで28例に対して人工股関節再置換術が行われた。ステム側はMonoblockのCharnleyステムである。年齢、性別に優位な差はなかった。手術時間はDMC/PLAD:71/43と有意にDMCが長かった。DMC群は平均55ヶ月のフォローで脱臼、再々置換なし。PLAD群は平均86ヶ月のフォローで再脱臼率は16%(9例)であった。また再々置換率は25%であった。
考察
本シリーズは以前にもPLADを用いた報告を行っており、その脱臼率は16%であった。諸家の報告でも10%程度である。PLADではメカニカルストレスの増大、インピンジメントの危惧がある。メタアナリシスでも今までのライナーでの再脱臼率が7.1%なのにたいし、DMCを用いた場合には2.2%であるとする報告がある。DMCはこのようなシア置換に有用かもしれない。
結論
CharnleyTHA後の再置換でDMCはPLADよりも優れた成績であった。
<論評>
非常にサンプル数の少ない研究ですが、言いたいことははっきりしています。本研究の最大の強みはステム側がCharnleyのMonoblockステム(ヘッドからステム一体型、ヘッドは22.225ミリ)とすべて一致していることであると思います。(こんなのまだ使ってるのかというのは失礼ですが。)
DMCは22ミリ骨頭用のものもあります。小さなサイズの骨頭では後方リップの恩恵はそれほどなかったということでも良いのかもしれません。
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