2011年5月22日日曜日

JBJS(Am) A Splint was not inferior to a cast for distal radial fracture in children

Question 
小児の橈骨遠位端の若木骨折または横骨折の患者。ギプスによって治療するか、装具で治療するかで機能回復に差が出るかを調査した。

Patient
カナダの子供病院を受診した5-12歳までの小児100名。無作為割り付け試験。
多発外傷、先天性障害、成長軟骨に及ぶような症例を除外。92%のfollo-upを完遂。

Intervention
4週間プラスチック製の装具かまたはギプス固定にて経過観察。その後2週間追加で骨折部に負担のかかるような日常生活動作を制限。

Main outcome
Active scales for Kids(ASK)を用いて主要アウトカムを測定。付随するアウトカムとして転位の残存、VAS、手関節の可動域、握力を測定した。

Result
Intention to treat が行われた。二群に有意な差は認められなかった。付随するアウトカムでも違いは認められなかった。

Conclusion
ほとんど転位のない小児の橈骨遠位端骨折であれば装具による治療もギプスと治療成績には差がない。

<論評>
JBJSの"Evidence-based orthopaedics"シリーズからの抜粋です。今月号には3本このEBMシリーズが載っているので紹介していきたいと思います。
最後のコメント欄にもありますが”ギプス治療でも良好な成績を収めている。この研究結果はプライマリーケア、または救急外来で単純な横骨折を見たときに装具で帰宅させたからといって悪くはないよ、ということを言っている”とありますが、その通りだと思います。
25度までの変形は許容したとありますが、日本の医療体制では許されない可能性があります。(日本は皆保険制度により専門医の受診が極めて容易なため)
ギプスを嫌がる子に無理につけることはないよ、という程度の理解にしておいた方が妥当ではないか、というのが私の意見です。

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