2011年5月17日火曜日

20100518 JBJS(Br) Epidemiology and outcome of fracture of the hip in women aged 65 years and under

6782例の大腿骨頚部骨折のデータのウチ、65歳以下の327骨折(うち315例が女性)について前向きコホートで調査を行った。対象として65歳以上の4810骨折(4542例が女性)を対照として研究を行った。
45歳を頂点とした骨折の著明な増加が認められた。これは骨粗鬆症のスクリーニングが開始される50歳よりも若い年齢であった。若年者での大腿骨頚部骨折の原因としては基礎疾患があることが多かった。大腿骨頚部骨折をきたした女性の死亡率は同年代と比較して46倍であった。喫煙歴の存在は若年での大腿骨頚部骨折のリスクと強固に関連していた。
ラグスクリューを用いた固定が最もおおおく行われていた。一般的な周術期合併症の合生は少なかった。再手術としてはセメント人工骨頭を行った。転位のある大腿骨頚部骨折に対してラグスクリューで固定した場合、5年間再手術にならなかったのは71%に過ぎず、今後の手術方法については議論の余地があるものであった。

若年女性での大腿骨頚部骨折は稀な疾患である。高齢者とは違い、若年での大腿骨頚部骨折は社会経済学的な問題がより大きく生じる。大腿骨頚部骨折事態の数の増加が認められているが、これはベビーブーム世代の高齢化と関連している。
若年世代での骨折は転移性骨腫瘍によるものが多かった。高齢者ではあまり影響を与えないが、若年者では死亡率に大きな影響を与えた。若年者では高エネルギーでの受傷が多いと考えられていたが、今回我々の研究ではそのような症例はなく、すべて室内での転倒など軽微な外傷によるものであった。骨折の年齢分布は単峰性に増加するものであった。この分布は脛骨高原骨折、上腕骨近位端骨折が二峰性なのとは趣を異にした。このことは大腿骨頚部骨折は年齢に伴う骨粗鬆症の結果として軽度から中程度の外力で起こりうるものであるということが推察される。
より若い年代であつので一般的にはもっと高い活動性が予想されるのであるが、今回の症例の半分以上が室内での骨折であった。何かしらの社会的、精神的な問題があるのではないだろうか。
一般的に欧米での骨粗鬆症検診は50歳から行われているが、それよりも低い年齢で骨折が発症していた。。
また65歳以上の骨折を起こした分では明らかに喫煙歴があるものが多かった。また1/5の患者でアルコール依存が認められた。アルコールも大腿骨頚部骨折のリスクとなりうる。
ラグスクリューによるこていを行い、全身の合併症の発症率は低かった。転位した関節内骨折にも骨接合術を行った。今後治療方針については議論がなされるであろう。

<論評>
誰も手を付けなかった分野であるので、面白く拝見いたしました。
今後日本でも同じネタでやる価値はあるでしょう。
若くても骨折する人には何かしらのバックグラウンドがある。ということがよく分かりました。
70%の骨癒合が得られるのであれば最初に骨接合を選ぶというのは妥当な選択だと思うのですがいかがでしょうか。

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