2010年12月18日土曜日

20101218 Journal of pediatric orthopedics : Incidence of skinconditions and associated charge in children treated with hip spica cast for femur fx.

抄録
spicaギプスは6カ月から6歳までの小児の大腿骨骨折の治療法として知られている。ギプス障害による皮膚障害とそれに伴う追加費用について述べられた報告は今までない。この報告では大腿骨骨折をspicaギプスで治療した場合の皮膚障害の発生率を調べること。その予測因子、皮膚合併症と関連した追加費用について計算した。
対象と方法
2003年から2009年までの間にこども専門病院で治療した大腿骨頸部骨折の患者について調査を行った。皮膚合併症の有無で二群にわけ多変量解析を行った。また皮膚障害の治療に要した費用にはギプスに割を入れたり、ギプスの巻きなおしに要した費用、裏張りを当てたりする作業費もふくんだ。
結果
297児、300例について調査を行った。77例(28%)に皮膚障害を認めた。77例のうち24例(31%)において手術室でギプスの巻きなおしが行われた。19例でギプスの調整が必要となった。皮膚障害がおこりやすい要素としては、虐待時、より低年齢である事、性別、体重、骨折部位があげられた。病院に通院した回数は危険因子とはなりえなかった。皮膚障害の為に要した費用の中央値は12719ドルで、ギプスの調整の為に必要としたのは420ドルであった。
結論
Spica castは高頻度に皮膚障害を起こしうる、またそれに伴って余分な費用を必要とする。小児虐待の被害者は社会的入院をした方がよい。将来的にはギプス固定にかかわる患者教育が必要となる。

<論評>
アメリカと日本の医療環境の違いがあるためはっきりとは言えませんが、どうやら向こうではギプスをまいたら後は自宅で、という事のようですね。(私自身は入院管理をしておりました。)
結構な割合で皮膚障害がおこるという事は頭に入れておいた方がいいのかな。と思いました。
小児の大腿骨骨折についてのまとまったレビューは、米国での医療事情にかんがみたものはありますが日本でこうしたらというものはありません。
整形外科の骨折治療はどうしても先輩の”これでいいんだよ”という言葉にひっぱられているところが少なからずありますが、文献に積極的にあたって、自分なりの考え方を形作るべきと考えます。

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