2010年12月8日水曜日

20101208 危険な頸部痛の診断 

Twitterで”危険な頸部痛の診断は?”とご質問をいただいたのでまとめてみました。

ほとんどの頸部痛は頸椎由来である。しかしながらその原因を同定できるのは15%に過ぎない。
痛みの原因としては筋肉、頸椎椎間板症などがcommonな原因としては考えられる。

頸部痛をきたし、頻度としてはまれであるが、見逃すと死に至るような疾患について以下に示す
<脊椎疾患以外>
・頸動脈または椎骨動脈解離
・心筋梗塞
・髄膜炎
・消化管疾患
・肺炎

<脊椎疾患>
・化膿性椎間板炎、硬膜外膿瘍、骨髄炎
・骨腫瘍(原発、転移性腫瘍ともに可能性としてある)

これらの鑑別には詳細な病歴聴取が必要で、これは頭痛の評価と相通ずるところがあると考える。
すなわち、
・尋常でない痛み
・”何時から発症した””テレビを見ているときに突然に”といったように明らかに発症の時間が特定できるような痛み
・50歳以上
・発熱など感染を疑わせる所見がある
・精神状態に変調をきたしている
・ぐっと力を入れた時の疼痛

身体所見上は
・神経学的な異常
・意識レベルの低下
・項部硬直

といった場合にはred flag!

なので、質問でもいただいたような”椎骨動脈解離をどう見逃さないようにするか”
という質問に対しては、
まず、詳細にその発症様式、疼痛の程度について問診をとる。
小脳症状の有無について身体所見をとる

この時点で除外できなければ、死に至る可能性のある病気なので高次医療機関で緊急MRIをとらざるを得ないと考えます。

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