1854年にロシアのPirogoffによって考案された少し変わった下肢切断方法。かかとを残すことによって下肢の短縮を5センチ以内にすることが可能である。かかとが足部の荷重部となるためそのまま義足を作成してもしなくても歩行することが可能となる。
優れた方法であるがPirogoffがロシア語で元論文を書いたために広まることがなかった。
Pirogoff法はどの症例にも用いることが可能、というわけではない。これは創治癒に問題をきたすことが多い方法であるからである。後脛骨動脈の存在は必須である。そこで交通外傷の患者などに有用ではないかと筆者は考えている。
顆部の存在により、断端は円錐状となる。このおかげで普通の下腿切断よりも義足の装着が容易となる。
考察
Medlineで一生懸命調べたところPirogoff法を行われた患者が65例いた。85%が男性で、フォローアップは最長15年であった。5例がその切断基準が不明であったため、60例についての評価を行った。
13例、22%が外傷によるものであった。Pirogoff法が選択されたのはより良い機能予後を期待されてということであった。また同時に義足を不要とする場合がある、下肢の短縮が最もすくなく、まあ下肢長差が少なくなることが多かった。また足部の潰瘍の発症を減らすと考えて行われた。
8例、13%の患者で感染による再切断が行われた。治癒不全による皮膚移植が3例、5%に。疼痛のために使えなかったものが11例、18%。下肢長差が3センチを越えたものが1例、2%であった。すべての合併症は述語1.5年以内に発症していた。
Taniguchi rating scaleによる下肢切断後のADL調査は22例に行われ、11例が60点以上の成績良好群に入っていた。成績不良であったすべての症例が血管病変にともなう壊死性病変によるものであり、再切断を行うこととなった。
小集団であるためにはっきりとしたことは言えないが、このPirogoff法は交通外傷の患者で有用となる可能性がある。Syme法や、下腿切断よりも合併症を減らせる可能性がある。創外固定を用いることによってアライメントが正しく獲得できたり、感染のリスクを減らせるのかもしれない。
交通外傷の前足部の受傷により切断を考慮すべき患者ではPirogoff法は有用なオプションとなりうる。
<論評>
踵骨を半切し、90度回転し足関節天蓋部と骨接合する方法。アキレス腱の処理、どれくらい踵骨を切ればいいかというtipsは書いていないため不明。
確かに、重症な前足部の損傷なら一度試みてもいいのかもしれないですね。
Pirogoff amputation
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