抄録
精神疾患は脊椎手術の術後成績に影響を及ぼす。一般的な脊椎外科医は精神疾患の一般的な評価方法を使用せずに自分の感覚にたよるところがある。今まで脊椎外科医が精神疾患をもった患者を適切に評価できるかどうかと言うことについて調べた報告はない。今回脊椎外科医は正しく精神疾患を評価できないのではないか、という仮説を検証してみた。
方法
8人の脊椎外科医、うち4人は手術を普段行なっている医師で、4人は脊椎を専門としているが手術をしない医師に対して400人の患者の診察を行ってもらって評価をしてみた。すべての患者にDRAM(Distress and risk management)を行い、これを対照とした。8人の脊椎外科医にはこの結果を知らせずにいつもと同じように診察を行ってもらい、患者の精神疾患のレベルについて評価してもらった。その上でDRAMとその脊椎外科医の評価を比較してみた。
結果
400人の患者のうち、64%が精神疾患を抱えていることがわかった。全体の24%ではその精神疾患はより重度なものであった。重度な精神疾患に対する脊椎外科医の診断の感度は28.7%で、陽性的中率は47.2%であった。手術をしない脊椎外科医の診断の感度は41.7%で、普段手術をしている脊椎外科医の診断感度が19.6%であることの間には有意な差が認められた。
経験の長い医師と短い医師との間には優位な差は認められなかった。
結論
脊椎疾患を訴えて専門医を受診する患者の64%が精神疾患を抱えていることがわかった。質問紙法と比べてみると脊椎外科医の感じている精神疾患の頻度は低いことがわかった。精神疾患を適切に判断するためには質問紙法を用いたほうが良い。
考察
ヒトのこころと体はつながっていて、体調や精神状態は病気の状態や社会的な背景に左右されると言うことはよく知られている。患者の精神状態は同様に治療の結果に影響を及ぼし、治療の結果も病態生理にかかわらず患者の生活に影響を及ぼす。これらは治療成績に精神的な要素が影響すると言う事を指し示す。精神疾患があると脊椎の術後成績に影響を及ぼすと言うことも今までいくつか報告されている。その影響についてはDRAM法によって調査することができるが、多くの脊椎外科医はその潜在的なリスクに対しての認識が少ない。
今回の研究では脊椎外科医の”感覚”がどれくらい患者の抱えている精神疾患を判定することが可能か、ということを明らかにするものである。その結果は、DRAMで評価されたものよりも脊椎外科医の感覚は正確ではない、と言う事である。とくに高度の精神疾患を抱えている患者に対しての正確性が低くなった。精神疾患を抱えていない群での正確性は高かった。結局脊椎外科医の感覚では高度の精神疾患を抱えているヒトを少なく見積もり、精神疾患を抱えてないとするヒトを多く見積もる傾向があることがわかった。
今回高度な精神疾患を抱えているヒトの割合が22%という事であったが、他の報告でも23%ー29%であり、決して高い数字ではなかった。
手術を普段しているか、していないかで評価した場合、手術を普段していない医師の方がより正確に精神疾患を診断できた。これは手術をしない医師のほうが精神疾患の有り様について深く考察するからではないだろうか。手術をする脊椎外科医はうつ領域と、身体領域の二つに分類しがちであることもわかった。ただ、陽性的中率は手術をする、していないでは差が出なかった。
医師の経験の差では差は出てこなかった。どちらかというと個々の医師に依存している傾向があった。
DRAM法はあくまでも精神疾患のスクリーニング法で病気のすべてを理解する方法ではない。また脊椎の状態と精神疾患をつなぐものでもない。ただ精神疾患と脊椎疾患のいずれにもアプローチすることは必要である。治療方針の決定には何らかの方法でのスクリーニングを行ったほうがよい。
<論評>
脊椎疾患に精神疾患が合併しやすいのは事実である。と言うことが一つ。精神疾患の状態を正しく見極めて
適切な治療が提供できるようにする。時には手術よりも投薬の方が良いかもしれない場合を念頭におくと言うことでしょう
ただ良心的な医者ほど自分の手術でなんとか出来れば、と考えてしまうために重症の精神疾患があっても低く見積もるのではないかとも思います。
一人当たりにかける時間が日本の数倍のアメリカの外来でもやれるかどうかわからない、と書いてあるので、多分忙しすぎる日本の外来で実施することは非常に困難ではないかとも思います。
2010年12月19日日曜日
2010年12月18日土曜日
20101218 Journal of pediatric orthopedics : Incidence of skinconditions and associated charge in children treated with hip spica cast for femur fx.
抄録
spicaギプスは6カ月から6歳までの小児の大腿骨骨折の治療法として知られている。ギプス障害による皮膚障害とそれに伴う追加費用について述べられた報告は今までない。この報告では大腿骨骨折をspicaギプスで治療した場合の皮膚障害の発生率を調べること。その予測因子、皮膚合併症と関連した追加費用について計算した。
対象と方法
2003年から2009年までの間にこども専門病院で治療した大腿骨頸部骨折の患者について調査を行った。皮膚合併症の有無で二群にわけ多変量解析を行った。また皮膚障害の治療に要した費用にはギプスに割を入れたり、ギプスの巻きなおしに要した費用、裏張りを当てたりする作業費もふくんだ。
結果
297児、300例について調査を行った。77例(28%)に皮膚障害を認めた。77例のうち24例(31%)において手術室でギプスの巻きなおしが行われた。19例でギプスの調整が必要となった。皮膚障害がおこりやすい要素としては、虐待時、より低年齢である事、性別、体重、骨折部位があげられた。病院に通院した回数は危険因子とはなりえなかった。皮膚障害の為に要した費用の中央値は12719ドルで、ギプスの調整の為に必要としたのは420ドルであった。
結論
Spica castは高頻度に皮膚障害を起こしうる、またそれに伴って余分な費用を必要とする。小児虐待の被害者は社会的入院をした方がよい。将来的にはギプス固定にかかわる患者教育が必要となる。
<論評>
アメリカと日本の医療環境の違いがあるためはっきりとは言えませんが、どうやら向こうではギプスをまいたら後は自宅で、という事のようですね。(私自身は入院管理をしておりました。)
結構な割合で皮膚障害がおこるという事は頭に入れておいた方がいいのかな。と思いました。
小児の大腿骨骨折についてのまとまったレビューは、米国での医療事情にかんがみたものはありますが日本でこうしたらというものはありません。
整形外科の骨折治療はどうしても先輩の”これでいいんだよ”という言葉にひっぱられているところが少なからずありますが、文献に積極的にあたって、自分なりの考え方を形作るべきと考えます。
spicaギプスは6カ月から6歳までの小児の大腿骨骨折の治療法として知られている。ギプス障害による皮膚障害とそれに伴う追加費用について述べられた報告は今までない。この報告では大腿骨骨折をspicaギプスで治療した場合の皮膚障害の発生率を調べること。その予測因子、皮膚合併症と関連した追加費用について計算した。
対象と方法
2003年から2009年までの間にこども専門病院で治療した大腿骨頸部骨折の患者について調査を行った。皮膚合併症の有無で二群にわけ多変量解析を行った。また皮膚障害の治療に要した費用にはギプスに割を入れたり、ギプスの巻きなおしに要した費用、裏張りを当てたりする作業費もふくんだ。
結果
297児、300例について調査を行った。77例(28%)に皮膚障害を認めた。77例のうち24例(31%)において手術室でギプスの巻きなおしが行われた。19例でギプスの調整が必要となった。皮膚障害がおこりやすい要素としては、虐待時、より低年齢である事、性別、体重、骨折部位があげられた。病院に通院した回数は危険因子とはなりえなかった。皮膚障害の為に要した費用の中央値は12719ドルで、ギプスの調整の為に必要としたのは420ドルであった。
結論
Spica castは高頻度に皮膚障害を起こしうる、またそれに伴って余分な費用を必要とする。小児虐待の被害者は社会的入院をした方がよい。将来的にはギプス固定にかかわる患者教育が必要となる。
<論評>
アメリカと日本の医療環境の違いがあるためはっきりとは言えませんが、どうやら向こうではギプスをまいたら後は自宅で、という事のようですね。(私自身は入院管理をしておりました。)
結構な割合で皮膚障害がおこるという事は頭に入れておいた方がいいのかな。と思いました。
小児の大腿骨骨折についてのまとまったレビューは、米国での医療事情にかんがみたものはありますが日本でこうしたらというものはありません。
整形外科の骨折治療はどうしても先輩の”これでいいんだよ”という言葉にひっぱられているところが少なからずありますが、文献に積極的にあたって、自分なりの考え方を形作るべきと考えます。
2010年12月15日水曜日
20101215 Rheumatology International : Evaluation of metabolic syndrome in patients with chronic low back pain
慢性の腰痛患者でのメタボリックシンドロームの評価
Abstract
この研究の目的は慢性腰痛を有する患者でどれくらいメタボリックシンドロームがあるかということと、またメタボリックシンドロームの有無で慢性の腰痛患者の臨床的、機能的なパラメーターにどれくらいの違いが出るかということについて調べることである。
最低2か月の腰痛を訴える患者をこの研究では対象とした。機能的評価としてRoland-MorrisのDisability score、イスタンブール腰痛評価、Oswestryの障害尺度を用いた。抑うつ状態の評価のためにはBeckのうつ尺度を用いた。メタボリックシンドロームの定義としてはNCEPが2001年に提唱したものを採用した。(上前腸骨棘での腹囲、血圧、随時血糖、中性脂肪、HDLコレステロール)。60人の患者、うち51人が女性がこの研究に参加した。
慢性腰痛の患者で、メタボリックシンドロームの有無について調べたところ、BMI、年齢、腹囲、罹病期間で有意な差が得られた。ほかのパラメーターでは有意な差が得られなかった。腹囲が大きい肥満の患者で腰痛の訴えが多かった。
この研究から言えることは慢性の腰痛の患者、高齢の患者、BMIが高い患者ではメタボリックシンドロームの危険性が高いと言える。このような患者ではメタボリックシンドロームに対するスクリーニングをしっかりと行い、予防策を講じることが必要である。
考察
メタボリックシンドロームは脂質代謝、炭水化物の代謝の異常により、低いレベルでの炎症状態が惹起されているものと考えられている。メタボリックシンドロームとほかの疾患についての関連については様々な論文があるが、腰痛に関してのものはなかった。
今回の研究では慢性腰痛の25%の患者でメタボリックシンドロームを発症していることが分かった。欧米社会では全人口の20%にメタボリックシンドロームを発症しているといわれており、その数は急速に増大している。今回の研究では15人の患者でメタボリックシンドロームを発症しており、うち14人が女性であった。メタボリックシンドローム自体女性に発症しやすることは知られている。今回も53.3%の患者で腰椎椎間板ヘルニアが指摘された。
TNFαが肥満、インスリン抵抗性と関連があることが知られている。またTNFαが腰椎椎間板由来の腰痛で重要な役割をはたしているとする論文も散見される。最近ではTNFαブロッカーによる腰椎神経根痛の治療もおこなわれている。この研究からは同様の機序でTNFαが関連し、メタボリック症候群と腰痛とに影響していると考えられた。これにはさらなる研究が必要である。
BMI30未満で腰痛の発症リスクが減少し、40以上でリスクが上がった。メタボリックシンドロームの患者ではBMIが高かった。
この研究ではメタボリックシンドロームかどうかで腹囲に差が認められた。これはメタボリックシンドロームの診断基準として腹囲を入れているからである。他の研究ではウエストが太い女性では腰痛の発症頻度が高いということが報告されている。
メタボリックシンドロームの患者で、腰痛を持っている患者の平均年齢は高い傾向にあった。慢性腰痛の危険因子はメタボリック症候群とよく似ており、高齢であること、喫煙歴があること、日常生活の活動性が低いこと、太っていることが挙げられている。
メタボリックシンドロームで腰痛をもった患者では血糖値が有意に高かった。
またメタボリックシンドロームで腰痛を持った患者の罹病期間は有意に長かった。これは慢性の腰痛のために活動性が下がり、メタボリックシンドロームの危険性を上げたものと考えらえた。
<論評>
メタボリックシンドロームと腰痛を結びつけた、という着眼点が面白いとは思います。
この論文に難癖はいくらでもつけられそうですが。。(サンプルサイズ、考察の論理性など)
まあ、なんにしてもデブはいかん。ということですね。
Abstract
この研究の目的は慢性腰痛を有する患者でどれくらいメタボリックシンドロームがあるかということと、またメタボリックシンドロームの有無で慢性の腰痛患者の臨床的、機能的なパラメーターにどれくらいの違いが出るかということについて調べることである。
最低2か月の腰痛を訴える患者をこの研究では対象とした。機能的評価としてRoland-MorrisのDisability score、イスタンブール腰痛評価、Oswestryの障害尺度を用いた。抑うつ状態の評価のためにはBeckのうつ尺度を用いた。メタボリックシンドロームの定義としてはNCEPが2001年に提唱したものを採用した。(上前腸骨棘での腹囲、血圧、随時血糖、中性脂肪、HDLコレステロール)。60人の患者、うち51人が女性がこの研究に参加した。
慢性腰痛の患者で、メタボリックシンドロームの有無について調べたところ、BMI、年齢、腹囲、罹病期間で有意な差が得られた。ほかのパラメーターでは有意な差が得られなかった。腹囲が大きい肥満の患者で腰痛の訴えが多かった。
この研究から言えることは慢性の腰痛の患者、高齢の患者、BMIが高い患者ではメタボリックシンドロームの危険性が高いと言える。このような患者ではメタボリックシンドロームに対するスクリーニングをしっかりと行い、予防策を講じることが必要である。
考察
メタボリックシンドロームは脂質代謝、炭水化物の代謝の異常により、低いレベルでの炎症状態が惹起されているものと考えられている。メタボリックシンドロームとほかの疾患についての関連については様々な論文があるが、腰痛に関してのものはなかった。
今回の研究では慢性腰痛の25%の患者でメタボリックシンドロームを発症していることが分かった。欧米社会では全人口の20%にメタボリックシンドロームを発症しているといわれており、その数は急速に増大している。今回の研究では15人の患者でメタボリックシンドロームを発症しており、うち14人が女性であった。メタボリックシンドローム自体女性に発症しやすることは知られている。今回も53.3%の患者で腰椎椎間板ヘルニアが指摘された。
TNFαが肥満、インスリン抵抗性と関連があることが知られている。またTNFαが腰椎椎間板由来の腰痛で重要な役割をはたしているとする論文も散見される。最近ではTNFαブロッカーによる腰椎神経根痛の治療もおこなわれている。この研究からは同様の機序でTNFαが関連し、メタボリック症候群と腰痛とに影響していると考えられた。これにはさらなる研究が必要である。
BMI30未満で腰痛の発症リスクが減少し、40以上でリスクが上がった。メタボリックシンドロームの患者ではBMIが高かった。
この研究ではメタボリックシンドロームかどうかで腹囲に差が認められた。これはメタボリックシンドロームの診断基準として腹囲を入れているからである。他の研究ではウエストが太い女性では腰痛の発症頻度が高いということが報告されている。
メタボリックシンドロームの患者で、腰痛を持っている患者の平均年齢は高い傾向にあった。慢性腰痛の危険因子はメタボリック症候群とよく似ており、高齢であること、喫煙歴があること、日常生活の活動性が低いこと、太っていることが挙げられている。
メタボリックシンドロームで腰痛をもった患者では血糖値が有意に高かった。
またメタボリックシンドロームで腰痛を持った患者の罹病期間は有意に長かった。これは慢性の腰痛のために活動性が下がり、メタボリックシンドロームの危険性を上げたものと考えらえた。
<論評>
メタボリックシンドロームと腰痛を結びつけた、という着眼点が面白いとは思います。
この論文に難癖はいくらでもつけられそうですが。。(サンプルサイズ、考察の論理性など)
まあ、なんにしてもデブはいかん。ということですね。
2010年12月12日日曜日
20101211 JBJS Pirogoff Amputation for Foot Trauma
1854年にロシアのPirogoffによって考案された少し変わった下肢切断方法。かかとを残すことによって下肢の短縮を5センチ以内にすることが可能である。かかとが足部の荷重部となるためそのまま義足を作成してもしなくても歩行することが可能となる。
優れた方法であるがPirogoffがロシア語で元論文を書いたために広まることがなかった。
Pirogoff法はどの症例にも用いることが可能、というわけではない。これは創治癒に問題をきたすことが多い方法であるからである。後脛骨動脈の存在は必須である。そこで交通外傷の患者などに有用ではないかと筆者は考えている。
顆部の存在により、断端は円錐状となる。このおかげで普通の下腿切断よりも義足の装着が容易となる。
考察
Medlineで一生懸命調べたところPirogoff法を行われた患者が65例いた。85%が男性で、フォローアップは最長15年であった。5例がその切断基準が不明であったため、60例についての評価を行った。
13例、22%が外傷によるものであった。Pirogoff法が選択されたのはより良い機能予後を期待されてということであった。また同時に義足を不要とする場合がある、下肢の短縮が最もすくなく、まあ下肢長差が少なくなることが多かった。また足部の潰瘍の発症を減らすと考えて行われた。
8例、13%の患者で感染による再切断が行われた。治癒不全による皮膚移植が3例、5%に。疼痛のために使えなかったものが11例、18%。下肢長差が3センチを越えたものが1例、2%であった。すべての合併症は述語1.5年以内に発症していた。
Taniguchi rating scaleによる下肢切断後のADL調査は22例に行われ、11例が60点以上の成績良好群に入っていた。成績不良であったすべての症例が血管病変にともなう壊死性病変によるものであり、再切断を行うこととなった。
小集団であるためにはっきりとしたことは言えないが、このPirogoff法は交通外傷の患者で有用となる可能性がある。Syme法や、下腿切断よりも合併症を減らせる可能性がある。創外固定を用いることによってアライメントが正しく獲得できたり、感染のリスクを減らせるのかもしれない。
交通外傷の前足部の受傷により切断を考慮すべき患者ではPirogoff法は有用なオプションとなりうる。
<論評>
踵骨を半切し、90度回転し足関節天蓋部と骨接合する方法。アキレス腱の処理、どれくらい踵骨を切ればいいかというtipsは書いていないため不明。
確かに、重症な前足部の損傷なら一度試みてもいいのかもしれないですね。
Pirogoff amputation
優れた方法であるがPirogoffがロシア語で元論文を書いたために広まることがなかった。
Pirogoff法はどの症例にも用いることが可能、というわけではない。これは創治癒に問題をきたすことが多い方法であるからである。後脛骨動脈の存在は必須である。そこで交通外傷の患者などに有用ではないかと筆者は考えている。
顆部の存在により、断端は円錐状となる。このおかげで普通の下腿切断よりも義足の装着が容易となる。
考察
Medlineで一生懸命調べたところPirogoff法を行われた患者が65例いた。85%が男性で、フォローアップは最長15年であった。5例がその切断基準が不明であったため、60例についての評価を行った。
13例、22%が外傷によるものであった。Pirogoff法が選択されたのはより良い機能予後を期待されてということであった。また同時に義足を不要とする場合がある、下肢の短縮が最もすくなく、まあ下肢長差が少なくなることが多かった。また足部の潰瘍の発症を減らすと考えて行われた。
8例、13%の患者で感染による再切断が行われた。治癒不全による皮膚移植が3例、5%に。疼痛のために使えなかったものが11例、18%。下肢長差が3センチを越えたものが1例、2%であった。すべての合併症は述語1.5年以内に発症していた。
Taniguchi rating scaleによる下肢切断後のADL調査は22例に行われ、11例が60点以上の成績良好群に入っていた。成績不良であったすべての症例が血管病変にともなう壊死性病変によるものであり、再切断を行うこととなった。
小集団であるためにはっきりとしたことは言えないが、このPirogoff法は交通外傷の患者で有用となる可能性がある。Syme法や、下腿切断よりも合併症を減らせる可能性がある。創外固定を用いることによってアライメントが正しく獲得できたり、感染のリスクを減らせるのかもしれない。
交通外傷の前足部の受傷により切断を考慮すべき患者ではPirogoff法は有用なオプションとなりうる。
<論評>
踵骨を半切し、90度回転し足関節天蓋部と骨接合する方法。アキレス腱の処理、どれくらい踵骨を切ればいいかというtipsは書いていないため不明。
確かに、重症な前足部の損傷なら一度試みてもいいのかもしれないですね。
Pirogoff amputation
2010年12月8日水曜日
20101208 危険な頸部痛の診断
Twitterで”危険な頸部痛の診断は?”とご質問をいただいたのでまとめてみました。
ほとんどの頸部痛は頸椎由来である。しかしながらその原因を同定できるのは15%に過ぎない。
痛みの原因としては筋肉、頸椎椎間板症などがcommonな原因としては考えられる。
頸部痛をきたし、頻度としてはまれであるが、見逃すと死に至るような疾患について以下に示す
<脊椎疾患以外>
・頸動脈または椎骨動脈解離
・心筋梗塞
・髄膜炎
・消化管疾患
・肺炎
<脊椎疾患>
・化膿性椎間板炎、硬膜外膿瘍、骨髄炎
・骨腫瘍(原発、転移性腫瘍ともに可能性としてある)
これらの鑑別には詳細な病歴聴取が必要で、これは頭痛の評価と相通ずるところがあると考える。
すなわち、
・尋常でない痛み
・”何時から発症した””テレビを見ているときに突然に”といったように明らかに発症の時間が特定できるような痛み
・50歳以上
・発熱など感染を疑わせる所見がある
・精神状態に変調をきたしている
・ぐっと力を入れた時の疼痛
身体所見上は
・神経学的な異常
・意識レベルの低下
・項部硬直
といった場合にはred flag!
なので、質問でもいただいたような”椎骨動脈解離をどう見逃さないようにするか”
という質問に対しては、
まず、詳細にその発症様式、疼痛の程度について問診をとる。
小脳症状の有無について身体所見をとる
この時点で除外できなければ、死に至る可能性のある病気なので高次医療機関で緊急MRIをとらざるを得ないと考えます。
ほとんどの頸部痛は頸椎由来である。しかしながらその原因を同定できるのは15%に過ぎない。
痛みの原因としては筋肉、頸椎椎間板症などがcommonな原因としては考えられる。
頸部痛をきたし、頻度としてはまれであるが、見逃すと死に至るような疾患について以下に示す
<脊椎疾患以外>
・頸動脈または椎骨動脈解離
・心筋梗塞
・髄膜炎
・消化管疾患
・肺炎
<脊椎疾患>
・化膿性椎間板炎、硬膜外膿瘍、骨髄炎
・骨腫瘍(原発、転移性腫瘍ともに可能性としてある)
これらの鑑別には詳細な病歴聴取が必要で、これは頭痛の評価と相通ずるところがあると考える。
すなわち、
・尋常でない痛み
・”何時から発症した””テレビを見ているときに突然に”といったように明らかに発症の時間が特定できるような痛み
・50歳以上
・発熱など感染を疑わせる所見がある
・精神状態に変調をきたしている
・ぐっと力を入れた時の疼痛
身体所見上は
・神経学的な異常
・意識レベルの低下
・項部硬直
といった場合にはred flag!
なので、質問でもいただいたような”椎骨動脈解離をどう見逃さないようにするか”
という質問に対しては、
まず、詳細にその発症様式、疼痛の程度について問診をとる。
小脳症状の有無について身体所見をとる
この時点で除外できなければ、死に至る可能性のある病気なので高次医療機関で緊急MRIをとらざるを得ないと考えます。
20101207 Up to date :Evaluation of the adult with headache in the emergency department
救急外来での危険な頭痛の徴候
・頭痛の患者さんでは注意深く病歴を聴取し、身体所見をとることが最も重要である。
・表1に危険な兆候についてまとめてある。
・神経学的な異常なしょけんが頭蓋内病変の唯一の所見であることがある。精神状態の変調、見た目の変化、片頭痛の患者の兆候など。
・急性の頭痛の患者で一つでも危険な兆候にあてはまるものがあれば、腰椎穿刺、画像の評価のいずれかまたは両方を行うべきである。図1参照
・頭痛の原因にかかわらず、症状が軽減することは重要なことである。別に治療について述べる。
Evaluation of the adult with headache in the emergency department
・頭痛の患者さんでは注意深く病歴を聴取し、身体所見をとることが最も重要である。
・表1に危険な兆候についてまとめてある。
・神経学的な異常なしょけんが頭蓋内病変の唯一の所見であることがある。精神状態の変調、見た目の変化、片頭痛の患者の兆候など。
・急性の頭痛の患者で一つでも危険な兆候にあてはまるものがあれば、腰椎穿刺、画像の評価のいずれかまたは両方を行うべきである。図1参照
・頭痛の原因にかかわらず、症状が軽減することは重要なことである。別に治療について述べる。
Evaluation of the adult with headache in the emergency department
20101208 Up to date: Evaluation of the patient with neck pain and cervical spine disorders
Summary and recommendation
・頸部痛、または放散する上腕痛(神経学的所見の有無を問わず)の原因として頸椎がかかわっている場合にはC4から7、とくにC5,6,7の神経根がかかわっていることが多い。
・頸部の捻挫、は睡眠中の姿勢や、習慣などと関連があるとされ、慢性化することはほとんどない。
・頸椎椎間板症による疼痛が頸部痛の最も多い原因とされている。神経学的には正常であるが、頸部の多動による不快感を訴える。
・頸椎症、という用語は頸椎の骨棘や椎間関節の変形を指示しているだけである。レントゲン写真上では頸椎の年齢による変化を指摘することができるが、別にその変形自体が臨床症状とのかかわりはない。
・頸椎椎間関節症候群(むちうち)は頸椎の屈曲進展外傷によって引き起こされる。筋肉、神経、靭帯などがかかわっている、と考えられているが病理学的には明らかになっていない。またそれを評価するための検査もない。
・頸椎症性脊髄症は頸椎の脊柱管の狭窄によって脊髄神経が圧迫を受けている状態である。筋力低下、巧緻運動障害、歩行障害、膀胱直腸障害、勃起障害などが症状として現れる。手術治療(除圧術)が必要である。
・頸椎症性神経根症は別に述べさせてもらう。
・身体所見では動作、頸椎の可動域、圧痛、神経学的所見、誘発テストを行う。
・頸椎のレントゲン写真が必要なのは、外傷、50歳以上の初発の頸部痛、持続する頸部痛の場合である。
・CT、MRIが必要なのは、神経学的な欠損が認められる場合、動作時が極端に制限されるようなひどい頸部痛がある場合、保存療法を6週間にわたって行っても効果がない場合である。
・電気生理学的検査は頸椎病変よりも末梢神経障害を見つけるのに役立つ。頸部痛に対する血液検査はルーチンに行う必要はない
・救急の現場では、頸椎を安静に保つ、神経学的評価を行い、脊椎の圧痛のうむを確認する、そしてレントゲンを撮影する。神経学的な異常が認められた場合には脊椎外科医にコンサルトを行う。レントゲンを撮ったほうがよいかどうかはCanadian spine ruleもしくはNEXUSルールに従うこと。
・頸部痛、または放散する上腕痛(神経学的所見の有無を問わず)の原因として頸椎がかかわっている場合にはC4から7、とくにC5,6,7の神経根がかかわっていることが多い。
・頸部の捻挫、は睡眠中の姿勢や、習慣などと関連があるとされ、慢性化することはほとんどない。
・頸椎椎間板症による疼痛が頸部痛の最も多い原因とされている。神経学的には正常であるが、頸部の多動による不快感を訴える。
・頸椎症、という用語は頸椎の骨棘や椎間関節の変形を指示しているだけである。レントゲン写真上では頸椎の年齢による変化を指摘することができるが、別にその変形自体が臨床症状とのかかわりはない。
・頸椎椎間関節症候群(むちうち)は頸椎の屈曲進展外傷によって引き起こされる。筋肉、神経、靭帯などがかかわっている、と考えられているが病理学的には明らかになっていない。またそれを評価するための検査もない。
・頸椎症性脊髄症は頸椎の脊柱管の狭窄によって脊髄神経が圧迫を受けている状態である。筋力低下、巧緻運動障害、歩行障害、膀胱直腸障害、勃起障害などが症状として現れる。手術治療(除圧術)が必要である。
・頸椎症性神経根症は別に述べさせてもらう。
・身体所見では動作、頸椎の可動域、圧痛、神経学的所見、誘発テストを行う。
・頸椎のレントゲン写真が必要なのは、外傷、50歳以上の初発の頸部痛、持続する頸部痛の場合である。
・CT、MRIが必要なのは、神経学的な欠損が認められる場合、動作時が極端に制限されるようなひどい頸部痛がある場合、保存療法を6週間にわたって行っても効果がない場合である。
・電気生理学的検査は頸椎病変よりも末梢神経障害を見つけるのに役立つ。頸部痛に対する血液検査はルーチンに行う必要はない
・救急の現場では、頸椎を安静に保つ、神経学的評価を行い、脊椎の圧痛のうむを確認する、そしてレントゲンを撮影する。神経学的な異常が認められた場合には脊椎外科医にコンサルトを行う。レントゲンを撮ったほうがよいかどうかはCanadian spine ruleもしくはNEXUSルールに従うこと。
2010年12月2日木曜日
20101202 European spine journal : Surgical treatment of coccygodynia: an analytic review of the literature
尾骨部痛は脊椎末端の疼痛、不快感として定義される.その病因、程度は様々である.外科的手術が治療に有効であろうとは言われている.
尾骨部痛についてのsystematic reviewを行った.
”尾骨部痛ー尾骨切除術”とPubmedで検索し、1980年から2010年までの報告を渉猟した。671例の尾骨部痛にたいして尾骨切除を行った報告があった。
男女比は1:4.4と女性に多かった。直接の外傷に伴うものが270例であった。504例の患者においてその手術成績は優または良、であった。
9例の深部感染症、47例の表層感染症を認めた.他には2例の血腫形成、6例の創治癒不全、9例の創離開をみとめ全体の11%に何かしらの合併症を生じていた.
特発性、何かしらの訴訟を抱えているような症例ではその治療成績は外傷によるもの、出産後からの疼痛にくらべその治療成績は不良であったが、全体の85%で症状の軽減がえられていた.合併症としては手術創に関するトラブルが頻発していた.
<論評>
読んでいただいたとおりです.
手術を行う前にキシロカインテストなどで疼痛が取れることを確認してから行うべきでしょう.
尾骨部痛についてのsystematic reviewを行った.
”尾骨部痛ー尾骨切除術”とPubmedで検索し、1980年から2010年までの報告を渉猟した。671例の尾骨部痛にたいして尾骨切除を行った報告があった。
男女比は1:4.4と女性に多かった。直接の外傷に伴うものが270例であった。504例の患者においてその手術成績は優または良、であった。
9例の深部感染症、47例の表層感染症を認めた.他には2例の血腫形成、6例の創治癒不全、9例の創離開をみとめ全体の11%に何かしらの合併症を生じていた.
特発性、何かしらの訴訟を抱えているような症例ではその治療成績は外傷によるもの、出産後からの疼痛にくらべその治療成績は不良であったが、全体の85%で症状の軽減がえられていた.合併症としては手術創に関するトラブルが頻発していた.
<論評>
読んでいただいたとおりです.
手術を行う前にキシロカインテストなどで疼痛が取れることを確認してから行うべきでしょう.
20101202 International orthopedics :Clavicle fractures: a comparison of five classification systems
鎖骨骨折の5つの分類法を比較して、どの分類方法が最も臨床的に経過が「予測できるのかを調べてみた。487例の鎖骨骨折を分類した。X線写真と臨床症状で経過を観察した。その中で遷延治癒、偽関節となるかどうかを調査した。
79.3%が中1/3で骨折していた。外側1/3が19.3%で、内側1/3が1.4%であった。全体の7.3%が遷延治癒、もしくは偽関節となり、3.2%が手術を必要とし、4.1%で症状のない偽関節となった。
外側1/3での骨折では9.6%が偽関節となったが、0.4%としか手術を必要としなかった。Craigの分類が外側1/3の分類では最も予後を正確に反映していた。
中1/3の分類ではRobinsonの分類が最も正確に予後を予測することが可能であった。
鎖骨骨折はよくみられる外傷であるが、偽関節はそう起こらない。偽関節は外側1/3の骨折でよくおこるが、おこったとしても無症状で終わることが多いことが分かった。中1/3の骨折では手術治療を必要とすることが多かった。中1/3での骨折はRobinsonの分類に従い、外1/3はCraigの分類に従って評価するとよいものと考えられた。内側1/3は数が少なく判定できなかった。
考察
鎖骨骨折は10万人に対して80人におこるよくみられる骨折である。左右関係なく男性の場合には年齢に関係なく、女性の場合には年齢が減るにしたがって罹患率が低下した。これはスポーツレベルなどの日常生活の活動性と大きく関連していると思われる。子供の場合には夏休みの受傷が多く、65歳以上では年間を通じて一定して罹患していた。それ以外の年齢では長期休暇で受傷率が上がる様子が認められた。これは今までの報告と同様である。
5つの分類法(Allman,Neer,Craig,Nordqvist,Peterson)に今回分類した。
Allmanの分類 Group1:中1/3の骨折、Group2:烏口鎖骨靭帯に骨折が及ぶもの、Group3が内側1/3に骨折が及ぶもの
Neerの分類 Allmanの分類で外側1/3をさらに3つに分類
Craigの分類 Neerの分類を、小児、関節内、それぞれの靭帯損傷などふくめてさらに細かく分けた.(小児の場合には鎖骨骨折の偽関節はめったに見られず、また若木骨折でもその予後は非常に良い)
NordqvistとPetersonの分類 Allmanの分類に戻った。ただし、Allmanの分類に骨折の転位、形状を追加したものとなった。
Robinsonの分類 内側、外側、中央部と5つに分類した。分け方は特殊であるが、今までの分類と同様に靭帯付着部、筋付着部に応じた分類となっている。
Nordiqvistは中央1/3での骨折で転位が大きい場合に偽関節になりやすいと報告している。今回の研究では転位のない中央1/3部の骨折でも偽関節となった。また転位のある中央部1/3の骨折でも5%が偽関節となり、4.5%が手術治療が必要となった。Nowakは多骨片に分かれた鎖骨骨折は治療成績が不良となる一つの因子であるとしている。今回の研究でも単純骨折では2%としか偽関節化しなかったのに対し、粉砕骨折では9.3%に手術治療が必要となった。
Robinsonの分類では転位のない骨折では1.9%が偽関節に、転位のある骨折の9.3%が偽関節となった。Robinsonの分類では中央1/3での斜骨折は転位が無いものとして扱っているが、実際には軟部組織の問題から手術治療がおこなわれる事が多い。転位のない骨折で偽関節化したものはすべて斜骨折であった。
<論評>
どの分類が治療成績に直結しているか?と言う論文.
世の中にこんなに沢山鎖骨の分類があることにビックリしました.笑
僕が研修医の時に習ったのは、第三骨片があればよく治る!ということですけど、どうも逆みたいですねえ.笑
小児:治癒しやすいので保存的に行ける
成人:外側1/3の骨折は偽関節になりやすい.ただなっても症状は出にくい.中央1/3の骨折は偽関節になると有症状なので、転位が大きい場合には手術をした方がよい。
ということですね。
分類の大事さを知る.と
79.3%が中1/3で骨折していた。外側1/3が19.3%で、内側1/3が1.4%であった。全体の7.3%が遷延治癒、もしくは偽関節となり、3.2%が手術を必要とし、4.1%で症状のない偽関節となった。
外側1/3での骨折では9.6%が偽関節となったが、0.4%としか手術を必要としなかった。Craigの分類が外側1/3の分類では最も予後を正確に反映していた。
中1/3の分類ではRobinsonの分類が最も正確に予後を予測することが可能であった。
鎖骨骨折はよくみられる外傷であるが、偽関節はそう起こらない。偽関節は外側1/3の骨折でよくおこるが、おこったとしても無症状で終わることが多いことが分かった。中1/3の骨折では手術治療を必要とすることが多かった。中1/3での骨折はRobinsonの分類に従い、外1/3はCraigの分類に従って評価するとよいものと考えられた。内側1/3は数が少なく判定できなかった。
考察
鎖骨骨折は10万人に対して80人におこるよくみられる骨折である。左右関係なく男性の場合には年齢に関係なく、女性の場合には年齢が減るにしたがって罹患率が低下した。これはスポーツレベルなどの日常生活の活動性と大きく関連していると思われる。子供の場合には夏休みの受傷が多く、65歳以上では年間を通じて一定して罹患していた。それ以外の年齢では長期休暇で受傷率が上がる様子が認められた。これは今までの報告と同様である。
5つの分類法(Allman,Neer,Craig,Nordqvist,Peterson)に今回分類した。
Allmanの分類 Group1:中1/3の骨折、Group2:烏口鎖骨靭帯に骨折が及ぶもの、Group3が内側1/3に骨折が及ぶもの
Neerの分類 Allmanの分類で外側1/3をさらに3つに分類
Craigの分類 Neerの分類を、小児、関節内、それぞれの靭帯損傷などふくめてさらに細かく分けた.(小児の場合には鎖骨骨折の偽関節はめったに見られず、また若木骨折でもその予後は非常に良い)
NordqvistとPetersonの分類 Allmanの分類に戻った。ただし、Allmanの分類に骨折の転位、形状を追加したものとなった。
Robinsonの分類 内側、外側、中央部と5つに分類した。分け方は特殊であるが、今までの分類と同様に靭帯付着部、筋付着部に応じた分類となっている。
Nordiqvistは中央1/3での骨折で転位が大きい場合に偽関節になりやすいと報告している。今回の研究では転位のない中央1/3部の骨折でも偽関節となった。また転位のある中央部1/3の骨折でも5%が偽関節となり、4.5%が手術治療が必要となった。Nowakは多骨片に分かれた鎖骨骨折は治療成績が不良となる一つの因子であるとしている。今回の研究でも単純骨折では2%としか偽関節化しなかったのに対し、粉砕骨折では9.3%に手術治療が必要となった。
Robinsonの分類では転位のない骨折では1.9%が偽関節に、転位のある骨折の9.3%が偽関節となった。Robinsonの分類では中央1/3での斜骨折は転位が無いものとして扱っているが、実際には軟部組織の問題から手術治療がおこなわれる事が多い。転位のない骨折で偽関節化したものはすべて斜骨折であった。
<論評>
どの分類が治療成績に直結しているか?と言う論文.
世の中にこんなに沢山鎖骨の分類があることにビックリしました.笑
僕が研修医の時に習ったのは、第三骨片があればよく治る!ということですけど、どうも逆みたいですねえ.笑
小児:治癒しやすいので保存的に行ける
成人:外側1/3の骨折は偽関節になりやすい.ただなっても症状は出にくい.中央1/3の骨折は偽関節になると有症状なので、転位が大きい場合には手術をした方がよい。
ということですね。
分類の大事さを知る.と
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