2010年2月25日木曜日

2010.2.25 第25回東海小児整形外科懇話会

教育研修講演

小児整形外科外来診療で知っておきたい小児脊椎疾患とその対応

国立病院機構 神戸医療センター 整形外科 部長 宇野耕吉先生
<斜頚について>

・骨性斜頚に注意

 筋性だと放置していて訴訟になったケースも・・。「7歳で筋性斜頚」などはありえない。後頭・C1・C2の異常によるものが多い。構築性+機能性。

・骨関節性斜頚

<AARF>

 Cock robin position

 最近慶応よりCTのフォローで外傷が契機となっている可能性があると報告されたが(以前よりも言われているが)、実際に外傷が契機となったケースは少ない。

 開口位は痛がって実際に撮るのは難しい。まずは3D-CTを撮影するとともにGlisson牽引を2週間。だめならHalo。ただしHaloを付けるために全身麻酔をかけるとその時点で整復されていることが多い。ほとんどがⅠ型・Ⅱ型。Ⅲ型はまれ、Ⅳ型を見ることはまずない。

 非典型的な例では精査のためMRIが必要となることも。実際にAARFが疑われ、自然整復後のようなCT画像を示した症例で、臨床所見にて前後屈で痛みが生じ、回旋が可能な症例があった。MRIで髄内腫瘍(Glioma)を認めた。

<環軸椎不安定症>

・リウマチ・外傷・骨系統疾患・ダウン症・続発症・その他

 見落としが非常に多い!!

 ADI・SAC(PADI)、機能写を必ずチェック!

 ADI5mm以上あれば小児脊椎外科医へ

 成熟に達するまでは年2,3回のフォローが必要。

 小児脊椎をライフワークとする覚悟がなければ、見ない方がよい

 外傷をきっかけに四肢麻痺・呼吸停止に至りやすい!!安易にダウン症の子の親に「マット運動はしない方が良い」「転ばないように注意して」と指導するのはいけない。ダウン症の子が守れるかといえば難しい上、万が一麻痺や呼吸停止に陥ったときの親の心理的負担は計り知れない。

 骨系統疾患、ダウン症の子は必ず頚椎レントゲンを!!

<脊柱変形>

・美容上だけの問題である。

・50度以上が手術適応であり、40度までは手術不要であり待機

・骨格の成長が止まれば進行しない

・車椅子の患者は適応とならない

・腰椎レベルの曲がりは放置で良い

・・・・・・は誤りである。

 長期成績において、先天性側弯の高度側弯例では40歳以上で有意に死亡率が上昇する。ただし思春期特発性側弯の場合はこの限りではない。

 先天性側弯の場合、呼吸停止に至る場合もある。特に神経・筋疾患によるものは(筋ジストロフィーなど)、注意が必要であり、手術でADL、QOL、生命予後の改善が図れる。実際の症例では、高度側弯のあった先天性ミエリン低形成性ニューロパチー(?)の患者では16歳で呼吸困難。一旦改善するが、半年後に呼吸困難、四肢脱力を発症し、呼吸停止に・・・。矯正にて呼吸症状は改善。同様の呼吸苦を主訴として来院する症例は比較的多い。

 軽度側弯の場合は正確なX線が撮れていないことが多い。

・全脊柱撮影、半切フィルム

・両上下肢下垂位、AP、立位

・両肩の位置、骨盤傾斜に注意

・撮れた写真で正中仙骨線を確認

・・・・・・以上を必ず確認。

 側弯だと思ってよく正中仙骨線をみるとレントゲンがおかしい・・。実は筋性斜頸の遺残であったことも。

 Risser sign 0or5で判りづらいことが多い。0は腸骨稜がつるんとしているが、5はカクカクしている。10歳以下で5はありえない。

 Cobb角20°以上は脊椎外科医へ。

 手術法は後方が現在は殆ど。

 先天性は早く手術。まだ40°だから・・・と待っていては取り返しの付かないことに。10歳未満の脊柱変形は対応を誤ると致命的なことになりうる。

 成人でも40代なら矯正可能。呼吸器症状などADLの改善を図れる。50歳以上は骨粗鬆症のため矯正が難しい。

 新しい治療法では、10歳以下の症例に対し、Growing Rodの使用。VEPTER:側弯だけ治しても胸郭を開いてあげなくてはいけない。名城病院川上医師が日本へ導入するため尽力。ただし、これらは半年に1回伸ばすためのの手術が必要。それにかわるShilla operationも報告されている。

 脊髄空洞症とArnold-Chiariの合併はいつ手術?
演題より

・ボストンブレース

 採型不要、採寸のみで可。採寸部位は胸部、ウエスト、hip、ASIS間距離。半完成型。Th10以下は胸腰椎ブレース、Th6以下は胸椎ブレース。胸椎カーブ、腰椎カーブ、double

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