2010年2月19日金曜日

2010.2.18 AOtrauma Advanced course1日目まとめ

骨折の治療は、もともとギプス固定。
神中先生は生物学的固定biological fixationを1930年代に提唱していた。
relative fixation と absolute fixation.
それぞれの特徴について知っていることが必要。
absolute fixation. 仮骨形成なし。関節面の絶対的整復に敵する。
reative fixation 仮骨ができる。骨幹部などの固定。軟部の愛護的処理が必要

tension band & wiring :20-80%で何かしらの合併症が生じる。注意が必要。

骨折治療の4原則
・stability
・reduction
・soft tissue handling
・surgical technique

・stability
Absolute fixation
多骨片骨折の時は禁忌
relative fixation
Gap strain theory 5%以上30%以下のひずみが必要。(ここは質問で聞いておくところ)

・reduction
側方転位,軸転位、回旋転位 長さ、軸、回旋の整復が必要。
徒手整復は骨折の逆のプロセスで。
間接的整復と直接的整復
間接的整復は原則的に骨幹部に。直接的整復は関節面に用いる。
Hohmanこうはてこの原理で用いると非常に強力な整復ツール。ただし皮切が大きくなりすぎるのでそれを嫌う場合にはスタイマンピンを用いる。
push pull technique,cable techniqueという方法もある。

おすすめ本として
・Planning and Reduction Technique in Fracture Surgery
・The Rationale of Operative Fracture Care
がある。ともに3万円程度で少し考えてしまう。笑。

上腕骨近位端骨折
上腕骨近位端骨折は固定が難しい。
cut out、内反転位などの合併症が高い確率で起こる。
それを解決するひとつの方法としてのPHILOSなどのロッキングプレートである。
プレートのideal position.側面位で小結節がみえるようにしてgrooveの後方にプレートが当たっているようなイメージ。
大結節頂部より5ミリ下にプレートをおけばインピンジメントしない。

鎖骨骨折
今までまず保存療法と言われていたが、手術療法をおススメする。
特に健側と比較して10ミリ程度の短縮がある場合には様々な愁訴の原因となるためこのような場合には手術が好ましいと。
保存療法の適応は全くずれのない骨折だけというのはすこし言い過ぎな気もする。笑。

上腕骨遠位端骨折
ヒンジ付きの創外固定は有用。
異所性骨化は屈側にできることが多い。リハビリは伸展を無理に他動的に行わないように注意。
関節面の骨欠損に対しては腸骨からの骨移植にて対応。
上腕骨小頭骨折は原則関節軟骨のない後方からのスクリュー固定。
ハーバートスクリューなどなら前方からの固定も可。

肘の脱臼
安定性のチェックが必須。
手術が遅くなると拘縮のリスクが高くなる。
鉤状突起が安定性に寄与。鉤状突起の固定にはいろいろなアプローチがあるが上腕骨内上顆のosteotomyがひとつの方法として考えられる。
<参照>
Standard Surgical Protocol to Treat Elbow Dislocations with Radial
Head and Coronoid Fractures
J. Bone Joint Surg. Am., Jun 2004; 86: 1122 - 1130.

撓骨遠位端骨折
掌側ロッキングプレート全盛。
解剖学的整復とギプス固定期間の長短は臨床成績に影響しない。
高齢者の場合には-25度、5ミリの短縮は許容されることが多い。
C2までは掌側ロッキングプレートでいけるが、C3は別の考え方が必要。
C3の時にはfragment spcific theoryにしたがって固定すると言う考え方もある。

脛骨高原骨折
受傷時が高エネルギー外傷か、低エネルギー外傷かで全く治療方針、気をつけなければいけないところが変わってくることを頭に
斜位像が診断では有用。
手術適応2ミリの転位。早期の整復が大事なので高エネルギー外傷でも関節面だけでも戻しておきたい。
皮切は2皮切。(前外側,後内側)内側は後方が落ちていることが多い。
TypeCの両顆骨折は内側から整復した方がやりやすい。骨折も単純なので。

足関節天蓋骨折
アプローチ方法をよく考える
fracture windowの考え方。
前内側は皮膚トラブルが起こりやすい
伸筋支帯はまっすぐきらずにゼットに切って再建できるようにしておく。
関節面は距骨を基準にして整復すると良い。

大腿骨転子部骨折
粗鬆骨が問題。粗鬆骨の2パート骨折の合併症発生率は健常骨の4パート骨折に匹敵。
内後方の安定性が整復の際、重要。
ParkerのCochran reviewを参考に

http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0016/1/0016_G0000042_0082.html

TAD25mm,CCDは130度以下が好ましい。

大腿骨遠位端骨折
38%にcoronal plane fractureを合併しているので慎重なCTの読影が必要。
膝への多種類のアプローチに精通しておく必要がある。

The Association Between Supracondylar-Intercondylar Distal Femoral
Fractures and Coronal Plane Fractures
J. Bone Joint Surg. Am., Mar 2005; 87: 564 - 569.

http://www.aofoundation.org/wps/portal/!ut/p/c1/04_SB8K8xLLM9MSSzPy8xBz9CP0os3hng7BARydDRwML1yBXAyMvYz8zEwNPQwN3A6B8JJK8gUWAm4GRk6m_oUlwgBFIHr9uP4_83FT9gtyIcgCExWfz/dl2/d1/L2dJQSEvUUt3QS9ZQnB3LzZfQzBWUUFCMUEwOEVSRTAySjNONjQwSTEwRzA!/?redfix_url=&implantstype=&segment=Distal&bone=Femur&classification=&approach=&showPage=approach&treatment=&method=

4 件のコメント:

  1. はじめまして。
    先日、橈骨遠位端骨折と尺骨茎状突起骨折と診断され、ロッキングプレート埋めこみ、ワイヤー埋めこみ手術となりました。
    そこで、質問なのですが、尺骨茎状突起骨折についたワイヤー固定は必要なのでしょうか?
    担当医曰く、ワイヤー固定がされるがために、ギブス固定期間が長くなるとのことです。
    また、術後一週間でギブスを勝手に外しても、日常生活に影響が生ずる障害が残るという点で問題はないでしょうか?
    当方一日でも早く職場に復帰したく、術後すぐにでもギブスを外すことが第一の希望です。

    不躾な質問で申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

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  2. 管理人です.
    Q1、とう骨遠位端骨折骨折に合併した尺骨茎状突起骨折は骨接合されるべきか?
    A1、してもしなくてもよいが、骨接合しなかった場合には最低でも4週間以上の強固なギプス固定を必要とする。とする報告があります.私の意見としてワイヤーを用いて固定できる尺骨茎状突起骨折は骨接合されるべきと考えます.それは、尺骨茎状突起にはTFCCという軟骨組織が付着しており、それが正しい位置に整復されることでより疼痛が少なくなる可能性があると考えるからです.

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  3. Q2、術後早期にリハビリを開始することについて
    A2、ギプスを勝手に外した場合、骨接合金属の破綻などの危険性が急激に高くなりますのでおすすめできません.骨接合材料が破綻した場合再手術、より長期のギプス固定が必要となり治療期間がかえって延長する可能性を否定できません.

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  4. ただ、早く復帰なさりたいというお気持ちは分かります.
    その強い希望を主治医にお伝えいただいて、お互いの価値観を擦り合わせる作業は必要となると思います.
    一日も早い快復をお祈りします.

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